Friday, January 2, 2015

石油汲み上げ戦争?- A Pump War? By Thomas L.Friedman


 これは昨年秋以来、話題になった陰謀論のコラム
A Pump War? By Thomas Friedman(2014,10/14, NYタイムズ)
 
これは私のイマジネーションなのか、あるいはそこにはグローバルな石油戦争というものが…一方に米国とサウジアラビア、他方にロシアとイランの両者を競い合わせて進行中なのだろうか?米国―サウジの石油同盟が故意のものなのか…あるいは、偶然の利害の一致なのかは誰にも確言できまい─だが、もしもそれが露骨になれば…我々は明らかに、ロシアのウラジミール・プーチンとイランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイに、米国とサウジがソ連の最後の指導者に対して行ったのと同じことをしているのだ─つまり、pump them to death…(彼らを陥れるために…)死ぬほど石油を汲みあげるという(行為)だ─石油価格を、モスクワもテヘランも彼らの国家予算を調達しえなくなるレベルへと押し下げて…。

四つの産油国(producers)を想定してみるといい─リビア、イラク、ナイジェリア、シリア─それらは今日、動乱のさなかにあり…そしてイランは経済制裁でよろめいている。10年前にはそうしたニュースは石油価格を押し上げたかもしれない。しかし今日では反対の事が起きているのだ。グローバルな原油価格は何週にもわたって下落し、今や88ドル前後だ─一長らく、1バレル105ドルから110ドルの間にとどまっていた挙げ句に。

価格の下落とは、ヨーロッパと中国の経済の減速が…米国が世界屈指の産油国に転じたこと(ニュー・テクノロジーが、シェールの“タイト・オイル(※)”の掘削を可能にさせたお陰で…)と複合したことの結果であり…また、米国が例外を実践しはじめて、新たに見つけた石油製品の輸出を許容しはじめたことや…サウジ・アラビアが石油価格維持を目的とした石油の減産を拒否しながらも、(他のOPEC産油国に対抗してそのマーケット・シェア維持を選んだこと…)とも複合した結果なのだ。次なる結果とは、ロシアとイランにとってはその生命を困難にする─サウジと米国が、シリアで両国(ロシアとイラン)との代理戦争をしているというこの時期に…。それはビジネスとはいえ、他の手段…つまり石油においてはまるで戦争のようにも感じさせる。


ロシア人らは気づいている。彼らが気づかないことがあろうか?彼らは、かつてこの芝居を演じたことがある。ロシアのプラウダ紙は、4月3日にこんなタイトルの記事を掲載した、「Obama Wants Saudi Arabia to Destroy Russian Economy.(オバマは、サウジアラビアがロシア経済を破壊することを望んでいる)」。それはこう述べている:「そこには、ソ連の崩壊の原因ともなった、そうした共同行動(joint action)の先例が存在した。1985年にサウジは、石油生産量を1日2百万バレルから1000万バレルに急増させて、石油価格を1バレルあたり32ドルから10ドルに急落させたのだ。ソ連は、石油生産の一部をそれよりも低い価格─1バレル約6ドルで売りはじめた。サウジにとっては失うものはなかった…なぜなら、石油価格が3.5分の1に下落したときに、同国は石油生産量を5倍にしたからだ。ソ連の計画経済は輸出収入の落ち込みに対処できず、それは、ソ連崩壊の一因ともなった」。

US Sec of State John Kerry speaks with Saudi King Abdullah
もちろん、1991年から94年までロシアの首相だった故Yegor Gaidarは、2006年11月13日のスピーチで、このような見解を述べていた─「ソ連の崩壊のタイムラインとは1985年9月13日まで遡れる。この日に、サウジの石油相Sheikh Ahmed Zaki Yamaniは、王国がその石油ポリシーをラディカルに変更したことを宣言した。サウジは、石油価格を保護することを止めた…その後の6か月間に、サウジの石油生産は4倍に増えて、石油価格は暴落した。ソ連は年間で約2000万ドルを失った─それは単純にいって、同国が生き延びられない金額的な損失だった。」 

モスクワもテヘランも、明日、崩壊することはない。そして、もしも石油価格が70ドルを下回ったなら、米国の石油生産量は縮小するだろう─その石油探索には、コストに見合わないものもあり、価格は上昇するだろうから。しかし疑いなく、そうした価格下落とは、米国とサウジの戦略的利益には都合がよく、ロシアとイランには損害を与える。石油の輸出収入は、イラン政府の収入の6割にあたり、ロシアでも5割以上なのだ。 

こうした価格の下落とは、アクシデントではない。10月3日のNYタイムズの記事でStanley Reedは述べている─石油価格の急落は、「サウジアラビアが価格維持よりも、市場シェアの維持に関心がある、とのシグナルを送ったことへのレスポンスとみられる。サウジの国営石油会社Aramcoは、湾岸産油国にとっての重要な成長市場であるアジア向け石油価格を、1バレルあたり1ドルに下げると発表して市場に衝撃を与え、また米国市場向けの価格を、1バレルあたり40セントとすると発表した」…と。またNYタイムズによるなら、米国が今や多くの石油・天然ガスを生産しているなかで、「最近のシティ・グループの報告によれば、米国への実質の石油輸入高は2007年以来、一日当たり8.7百万バレルも減少しており、それは、サウジとナイジェリアを合わせた石油輸出の総額にもおよそ等しい」ものだという。 

この資源の横溢とは、我々がシリコン・バレーのエネルギー・テクノロジーの「噴出」に出くわしたのとも、時を同じくしているのだ─それは我々に、いまだかつてないエネルギー効率の良さと、生産性、省エネルギー性をももたらしたが…それはシェールが、我々のエネルギーのセキュリティと、グローバルな強みを確定させたことのインパクトにも等しいものなのだ。
 Google はNestを通じて、AppleはiPhoneのソフトウェアのコーディングを通じて平均的な米国人に、家庭や職場でのエネルギーの節約をより容易にさせた。 

最終的な結論─産油国の独裁者たちというものは、余り善いものではない。米国は今日、エネルギー省の前・副長官Andy Karsnerが、こう呼んだもの─つまり、「3つの大きなC─code(コード)、crude(原油)、capital(資本)」…というもののなかにあって拡大するアドバンテージを得ている。もしも我々が税制の改革さえ実現できれば、そしてペイロール(社員給与)と法人税において炭素税(carbon tax)を導入できれば…我々は弾力性と、そして、いかなる対抗者よりもはるかに優位な成功への方程式を手に入れることができるだろう。   
http://www.nytimes.com/2014/10/15/opinion/thomas-friedman-a-pump-war.html?_r=0
(※タイト・オイル=頁岩(シェール)層などの岩盤層から採取される非在来型の原油。孔隙率、浸透率が共に低い(タイトな)頁岩層や砂岩層から生産される中・軽質油で、2009年ごろから米国でガス価格が下がり比べて原油価格が高値であったことから投資が活発化し、水平坑井掘削や水圧破砕といったシェールガスの開発技術を応用することで増産が進んだ。IEAの2012年11月の報告では、こうした非在来型原油の増産によって米国は2020年までにサウジ・アラビアを抜いて世界一の産油国になるとの見通しも示された…)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%AA%E3%82%A4%E3%83%AB

(関連記事)‘Pump them to death’: The secret war on Russia http://www.news.com.au/finance/economy/pump-them-to-death-the-secret-war-on-russia/story-e6frflo9-1227160860899




シーア派とスンニ派がイエメンを引き裂いている─ Shi'ites and Sunnis are tearing Yemen to shreds - By Zvi Bar’el

Houthi fighterin Yemen


シーア派とスンニ派が、イエメンをずたずたに引き裂いている─

米国は、その軍事中枢をフーシ族に乗っ取られたイエメンの政権が、反アル・カイダの闘いの協力関係から撤退するのでは、と怖れている─

 By Zvi Bar’el (ハーレツ、2014,12/27) 
Shi'ites and Sunnis are tearing Yemen to shreds 

アラビア半島の南端にあるのは、イエメンと呼ばれる国だ。そこにはおよそ2千4百万人の人々が住み、その半数は貧困ライン以下で暮らしている。イエメンの子供たちは約60%が栄養失調を患い、また家族の約70%は政府や国際機関からの生活保護を必要としている。
中東で最も貧しい国・イエメンは、西欧諸国やメディアの関心のレーダーの許にあるといえる。イエメンはアラブの春以降、解体しはじめた国々のリスト上に…リビアとシリアに次いで最期に連なるのだ。紅海航路のルートの戦略的な要衝にも位置しながら、推定30億バレルの石油埋蔵量を有するその国は、サウジ・アラビアからの援助にも大きく依存している─2012年におけるサウジからの援助金額とは、40億ドルにのぼる。

今やサウジ・アラビアは、主に同国の市民たちの燃料費を賄っていた援助金カットを検討しており…イエメンにかけた首縄は、よりきつく締めつけられそうだ。このことは7月以来、イエメンの人口の約45%を占める少数派のシーア派と、多数派のスンニ派との流血の争いが続くためで─イエメンでは中央政府というものが、単なる理論的な概念にすぎないことを意味する。その戦争とは宗教的な戦争ではなく政治的なものだ。それは権利や機会のための…そして、政府や予算を分け合うための戦いである。

イエメンのシーア派とは、イランのシーア派やシリアのアラウィ派などとは異なる。彼らの多くは、シーア派のなかでも主流とはかけ離れたザイド(Zaidi)派に属している。イランのシーア派は、彼らのことを異端とみなしている。しかし、その戦争とはザイド派(※イラクでISISにメンバーが処刑・虐殺されたヤズィーディYazidisと彼らとを混同してはならない)と、イエメンのスンニ派の主流勢力、あるいは、ワッハーブ派の急進勢力との戦いではない。ザイド派の多くは北イエメンのサウジ国境地帯のSaada行政県の中枢的存在であるフーシHouthi部族の長に忠誠を誓っているのだ。 


フーシHouthi族の"ファミリー"の間での暴力的な抗争が生じて以降、北部イエメンでは近年、反政府勢力として戦ってきた彼らのリーダー、35歳のアブドル・マリク・アル・フーシ(Abdul Malik al-Houthi)がこのグループを鉄拳支配しているらしい。この戦いに加担しているのは”神のパルチザン”を自称するフーシ族と、スンニ派のアル・カイダ、そして、民衆総合会議(the General People’s Congress=イエメンの支配政党であり追放された前大統領アリ・アブドラ・サレハAli Abdullah Salehや現大統領アブド・ラブハ・マンスール・ハディAbd Rabbuh Mansour Hadiにとっての苦々しききライバル)などだ。サウジ・アラビアはこの国内的抗争にも参画して、政府側を支持しているのだ。イランは、フーシ族を支持して援助しているものとみられる。彼らの頭上には、米国の軍事ドローン(無人偵察機)が飛び交っており、イエメンのアル・カイダ基地を攻撃し続けている。しかし、イエメンという国は、中東の革命運動の結果、生まれた分裂国家の主な事例としてみられるにも関わらず、実はこの国は、それよりずっと以前から分裂していたのだ。同国は、大金で購われた部族間の不安定な同盟関係や、南部と北部の歴史的な反目関係などにも依存している。 

イエメンでは、アラブの春で起きた革命が政府に変化を呼び醒ました後、希望の「切れはし」が生じて…昨年中には、フーシ族が9月の武装蜂起を通じて首都サヌアと他の多くの地域を急激に制圧してから進展した戦闘によってのみ込まれている。彼ら(フーシ)は…自らの法的制度や、独立した警察ノ勢力を設立し、同時に各省庁を司る6人の閣僚を含む公式の政府も樹立している。彼らは防空システムを支配して、イエメン軍上級幹部らを自宅に軟禁し、主要な軍の基地の支配権も奪っている。

木曜日に彼らは、(フーシ族の拠点の)サアダ行政県の諜報部の前司令官で、イエメンの諜報部の長でもある、Yahya al-Maraniを誘拐した。11月上旬に就任発表した36の閣僚からなるイエメン政府は、フーシ族の命令に従うことはできない─フーシは、7月に首相に対して燃料の補助金の削減中止を強いた後に、国家予算の見直しも要求している。2004年に、北イエメンのフーシ族がひどい差別待遇に対して抵抗蜂起して以来、生じてきた(こうした)動きというものが、今や、民衆の広範な支持を得ながら政府に要求を発するものとなっているのだ─しかし政府は、自らの采配によって彼らの要求を満たせるほどには、十分なリソースをもっていない可能性がある。 


一方、フーシ族とはイエメンのアル・カイダ分子の仇敵でもあり…また、彼らはアル・カイダの影響力をけん制するためにイエメン当局とも協力している。それを理由として、米国は彼らをこの地域のポジティブな勢力だとみなしており、同時に、彼らはイエメンでは(その宗教的信条の類似性ゆえに)イランの代理勢力として疑われてもいる。彼らの類似性とは、サウジや湾岸諸国の懸念の種ともなっているのだ。そうした国々は、自国の領土内におけるシーア派勢力の反乱(2011年にバハレーンで生じたような…)が起きる事を、懸念しているのだ。 
イランの影響力による脅威とはフーシ族が、サヌアの西200キロのAl Hudaydahの港湾都市(イエメンの輸入物資の70%を輸入する貿易港である)を制圧して以来、高まっている。何らの抵抗も生じずに実現したこの重要都市の制圧が、フーシ族に海の玄関口というものを与えた─その海港によって彼らは、イランからの軍事的援助をも得ることができる。…それでも彼らは、バブ・エル・マンデブ海峡にまで支配を拡大しよう、とは考えていないようだ─なぜなら、イエメン南部には、スンニ派の多数派の勢力と、ワッハーブ派の活動勢力が、アル・カイダ分子と共に、居住しているからだ。米国やカナダ、英国、フランスの駆逐艦も、バブ・エル・マンデブ海峡を巡回しており、彼らが軍事介入したならば、地域の奪取を阻止することもできる。 

これまでのところ、フーシ部族は彼らの闘争を、倫理的、あるいは宗教的な戦いと捉えることを避けて、彼ら自身の要求を、社会経済的な正義(…それを通じて、貧しく不遇な人々を保護し、国の資源を偏見や差別なく分配するための…)のマニフェストである、と位置付けているようだ。彼らは、イランからの支援を得ていることを強く否定する。彼らフーシは、イエメン国家の分裂を阻むために、2014年に決議された州制度への分割案の廃止をも求めて…それが彼らを石油産出の豊富な地域から締め出し、彼らの「生得権」を奪うものだ、とも主張する。フーシはまた、彼らがサヌアから撤退することを求めている国連決議にも反対しない、と宣言しており…彼らがこれまでに設置した検問所の廃止や、彼らが徴収した武器の明け渡しにも応じる、としている。彼らのリーダーは、そうした要求には従う…と約束しているものの、具体的にいつ、実行するかは約束していない。

そんななかで、欧米超大国は、イエメン情勢への介入を避けている。米国は、2011年以来イエメンに9億ドルの援助を与えているが、フーシが主要な役割を演じているイエメン人たちの政府に何が起こるのか、を注視しつづけている。米国は、フーシが軍事的な中枢を掌握して以来、イエメンの新たな政権が米国との対アル・カイダの共闘関係をおりるのではないか、とも危惧している。一方で、フーシは(厳密にいうならば)m彼ら自身の力と、アル・カイダやイスラム原理主義勢力とのライバル性によって米国の効果的な同盟者にも転じる、可能性がある。

イラクや、アフガニスタン、シリアでも存在した状況のごとく、米国は、その国の政府よりも地元の民兵や部族勢力との協力関係を見出すことで、対テロ戦争のポリシーを実現できるのかもしれない。これらの国々でも起きたことのように、国内勢力の対立と、そして主に、極端な貧困というものがテロリストのグループとの戦いの主な障害となる。しかしいずれかの超大国や国家連合が、イエメンの経済的な看護婦の役割を買って出ることは疑わしいことだ。イラクとシリアは、より一層、面白味のある(利権にかかわる)国であるとともに一層の脅威ともなりうる。イエメンもまた…それらの国々とも一線に並ばねばならないのだ。 
http://www.haaretz.com/news/middle-east/1.633964

(関連記事) 

http://mainichi.jp/select/news/20150121k0000m030150000c.html                   イエメン:武装組織フシ、大統領府突入し制圧の情報

(1月21日)イエメンのシーア派武装組織フシは20日、首都サヌア中心部にある大統領府で、治安部隊と交戦、内部に突入し大統領府を制圧した模様だ。ロイター通信などが治安関係者の話として伝えた。

http://www.juancole.com/2015/01/masses-capital-secedes.htm 
Yemen Civil War? Masses Rally in Capital & South Secedes
(1月26日)フーシ武装勢力にのっとられた首都サヌアで、市民たちが反フーシの抗議デモを展開

http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/cat_73689.html
(2月15日)イエメン情勢(中東の窓)
イエメン情勢につき、湾岸協力理事会は14日外相会議の最終コミュニケで、クーデターを非難するとともに、国連安保理に対して、憲章第7章(強制措置)に基づく決議の採択を呼びかけました。
コミュニケは、正当性(hadi大統領)の支持とこれを妨げるものに対する制裁を呼びかけているので、hothyグループやサーレハ前大統領等に対する、制裁を求めているものと思われますが、al jazeera net は軍事行動を可能とするとコメントしています。
このような動きについては米ロシア等の常任理事国始め、安保理メンバー内でも大方の支持がありそうですので、イエメンに関する次の段階は安保理決議に基づく制裁、と言うことになりそうです。
しかし、これまでも制裁だけで物事が解決した事は殆どなく、al jazeera netの言うような軍事行動の問題となりそうですが、一体だれが主導するのでしょうか?オバマはそれでなくとも中東への介入に消極的な上に、イラク、シリアで手いっぱいです。
結局は湾岸諸国と言うことになるのかなと言う気もしますが、米国の関与なしで、彼らにそれだけの力があるのか、又そもそも対岸の怖いお兄さん(イランのこと)を前にして、それだけの勇気があるのか否か、今後彼らの結束力と実行力が問われる事態が予想されます..........