Saturday, May 30, 2009

ブロンクスのモスク信者に強引な囮捜査が?/Informer’s Role in Bombing Plot

10日前、ニューヨーク・ブロンクスのユダヤ教シナゴーグの爆破を計画したとして、4人の男が逮捕された。 ─当局の囮捜査が1年前からモスクに集まる男たちを追跡し、
FBIの情報屋が、”Jihadist wannabes”たちににニセの爆弾を渡したというのだが?



シナゴーグ爆破の陰謀計画と、情報屋の役割 By WILLIAM K. RASHBAUM and KAREEM FAHIM(May 23, 2009 NYT)

誰もがその外国人のことを、“Maqsood” とだけ呼んでいた。彼はいつも、ニューヨーク州Newburghのモスクのパーキング・ロットで、彼のメルセデス・ベンツの座席に座り、金曜礼拝の終わるのを待っていた─そして彼は、若い男達に近づいた─とそのモスク-Masjid al-Ikhlas-の信者仲間たちはいう。
彼は、34歳のShakir Rashadaという男に、一緒にランチを食べに来ないか?と聞いた。また39歳のShafeeq Abdulwaliには、仕事の口があると提案した、たぶん彼の建設会社の仕事だったのだろう。38歳のJamil Muhammedには、彼に携帯電話とコンピューターを与える、と持ちかけたという。

そのパキスタン人の男は時々、モスクのイマーム(導師)のアシスタントに近づき、ミーティングを開くことを提案したり、モスクの寄金者たちの会合で買ったサンドイッチに、代金よりも多額な金を払ったりした。やがて、モスクの年配のメンバーたちは、彼が政府の雇った情報屋だと知るようになったのだ、とモスクのリーダーらはいう。その男の関心は、もっと年若い黒人のメンバーたちや、ビジター達に集中していたようだ、と彼らは言う。
「金の力で誰かに影響力を及ぼすことは、簡単なのだ。」と、そのモスクの長年のメンバーの Muhammed氏はいう。「特に、こうした刑務所帰りの男たちには。」

そのモスクのメンバーたちは、今ではMaqsoodが、NewYorkのユダヤ人センターを爆破しようとした陰謀の咎で今週、逮捕された4人のNewburghの男たちに関わりをもっていた政府の情報屋(government informant)だったことを信じている。政府当局は、その4人のうち何人かはNewburghのモスクを訪れており、また全員が以前刑務所で服役したことがあり、彼らは皆ユダヤ人を殺したいと願っていた、という。そして訴追者は、彼らが実際にNYの街に爆弾を仕掛けた積りだった─彼らの行動はFBIにビデオで録画されていたのだ、と主張する。

連邦政府が訴追したこの事件は、そうしたテロ計画の実行を望む男たちの願いを、より容易にする便宜を図るふりをした政府の情報屋(informant)の行為が中心となって動いた一件だ。そうした情報屋というものは、9月11日以降、州やローカルな当局によって立件された何件かのテロ攻撃計画においても、コンスタントな役割を占めていた。弁護人たちの側がコンスタントに試みているのは、彼らのクライアントたちがこうした情報屋の罠にかかった「dupe(騙されやすいカモ)」だったに過ぎず、もしこうした情報屋の挑発に乗らなかったら、そのような罪は犯さなかっただろう、と主張することだ。

だが、法廷でのこうした申し立ては決まって失敗する。陪審は明らかに、こうした情報屋の行為の影響によって常に犯罪的テロの計画が誘導されていた、というような申し立てには動じることはない─例えば、ニュージャージーのFort Dix基地で兵士達を殺害しようとした5人の男たちのケースや、マンハッタンのHerald Squareに爆弾を仕掛けようとしたクイーンズの若いパキスタン移民たちなどのケースでもだ。そして、今週の爆弾事件の陰謀に関する捜査で、この情報屋によるおとり捜査の罠(entrapment)への反論申し立ての弁護はやはり失敗した。

その情報屋の身元はマンハッタンで水曜日に出された裁判記録においては公表されていない。しかしその件に関するブリーフィングを受けた人物によると、男の名はShahed Hussainで、2004年にニューヨーク州Albanyのモスクで、ピザ屋のオーナーとイマーム(導師)がおとり捜査で訴追された件においても、証言者の中心となった男だ、という。

こうした男たちを弁護する側は、裕福な過激派のイスラム教徒だと名乗っていたHussainが彼のクライアントだった男たちを、パキスタン外交官をミサイルで暗殺する、という究極的に架空のプロットで誘導し罠にかけたと主張する。しかし州法廷の陪審団はこの2人の男に有罪評決を下し、15年の懲役刑に処した。

金曜日にNewburghのケースについて尋ねられたNY警察のコミッショナー、Raymond W. Kellyは、「良心のかけらのあるいかなる弁護士でも、これはentrapment(おとり捜査の罠)だったことを主張するだろう」、と答えた。
「議論は法廷でなされるだろう。だが法的には、おとり捜査を仕掛けられなければこうした犯罪には手を染めなかったとの証明ができない限り、こうした弁護は成功しない。」

政府当局側が提出した訴状では、この情報屋(informant)は単にこの4人の男の暴力的破壊行為の意志に助力を与えただけの人物だとしている。連邦当局は被告の1人James Cromitieがアフガニスタンでの戦争に対し憤りを抱き、米国に攻撃を仕掛け、そして後にはユダヤ人をも攻撃する意志を抱いていたものと断定した。その情報屋(informant)は彼らに対して、自分はパキスタンのテロリスト・グループと繋がりをもっていると語り、そして彼らに(彼らが信じるところの)爆弾とミサイルを与えた。

それらの男たちが、情報屋(informant)が接近するよりも前から本当に安全への深刻な脅威であったといえるのか、と訊かれたNYのFBIオフィスのチーフ、Joseph M. Demarest Jr.はいう、「その(テロ計画)は彼らの企んだプロットであり、彼らが進めようとしていたプランだ。我々は単にそれを容易にしただけだ。彼らは爆弾を欲しがった。彼らはスティンガー・ミサイルやロケット砲を欲しがった、私は彼らが欲しいものをそう呼んでいたと信じる。彼らは本物の爆弾だと信じた包みや鞄をブロンクスのシナゴーグの前に置き去ったのだ」

このCromitie氏の弁護人であるVincent L. Briccettiは、彼が Albany のケースでもHussain氏の役割に気づいていた、と金曜日にNew York Post紙で述べている。
「彼の行ってきたことについて我々は関心がある」とBriccettiはいう。

Albany の事件での法廷記録によれば、Hussainは1993年ないし4年にパキスタンから米国に来た。彼は、色々な仕事を渡り歩き、いくつかのビジネスや不動産を所有するようになった。しかし2002年に彼はAlbany 地域の人々が違法に自動車運転免許を取得することを幇助して金銭を要求した、との容疑で訴追された。

国外追放を逃れるべく彼は政府への協力に同意した─始めはこの自動車運転免許の違法取得に関する囮捜査に協力し、そしてヘロインの密輸事件での囮捜査にも協力した。2003年にFBIは彼をより野心的な捜査に駆りだした。FBIはHussainに、彼らがテロ計画のサポーターではないかと疑っていたYassin Arefという男の意図を探りたいとし、そして最後には彼の友達であるMohammad Mosharref Hossainに、フォーカスを当てるよう依頼した。
連邦政府エージェントの与えた指示のもと、しばしば録音機を携えて彼は男たちに会い、そして彼らに対し自分は「ウェルシー・ラディカル(金持ちの過激主義者)」だと自己紹介した。最終的に連邦政府は今回、2人の男をミサイル入手のためのマネー・ロンダリング容疑、またたぶんその武器を用いてパキスタンの外交官を殺害しようとした容疑で訴追した。
Hussainは2人の男たちを訴追する法廷で長々と証言したが、被告の弁護人たちは彼を捜査活動に熱心すぎる政府機関の道具だったと描写している。

彼は2人の男たちに彼のゲーム計画を話すために会う際、その前には常にFBIのエージェントに会っていたと証言した。
「自分はエージェントのColl が自分に話した内容を、彼らにその通りに話した。」とHussain は、彼とFBIエージェント、そして2人の男とのかかわりに関する尋問で証言した。
「では、あなたは完全に、エージェントのCollが言った通りに行動したわけか?」と彼は弁護人に訊かれた。「その通りだ」と彼は答えた。

Hussainの弁護を、2002年のその逮捕以来2006年まで担当していたlawyerのJames E. Longは、この事に関するコメントを拒否した。ArefとHossainを訴追したAlbany市の連邦裁のattorney、William C. Pericakもまた、この情報屋に関するコメントを拒否した。しかし2人の男の判決の後、彼はいった、「これらの男たちがテロ攻撃を、実際に何%の確率で実行していたかは誰にも推測できないが、Albanyにテロリストがやって来た場合に彼らが協力した確率は100%だ。」
Maqsoodと呼ばれるその男は Newburghに現れるより前、まず始めに、近所のWappingers Fallsの Al-Noor モスクにアプローチしていた、とモスクのメンバーは言う。イマームとそして何人かの幹部メンバーはMaqsoodという男が2007年以来、散発的に礼拝に参加するようになっていたが、彼は派手な男で、いつも彼の不動産ビジネスや資産について自慢していた、と言う。彼は黒のメルセデスに乗りつねに1人でやってきた。

モスクの元会計係のZubair Zohaはその男に、有力な見込み客を探すため、モスクのメンバー全員のリストを見せて欲しいと3回にわたり頼まれたという。しかし彼は大概いつも無視し、払いのけてきた。
彼は2008年の6月ごろには来なくなった、とメンバーは言う。そしてその後、政府が法廷に提出した報告によれば、この情報屋はNewburghで、Cromitieと彼の仲間とのつき合いを始め、爆弾計画に繋がる一連の取引を始めた。

Newburghのイマーム、Salahuddin Mustafa Muhammadはその情報屋が彼のモスクを、レギュラーのメンバーたちとは何の関係もない陰謀計画に関係づけた、として憤っている。彼は計画を非難しているが、その情報屋が現れなかった場合にも、逮捕された男たちが同じ犯罪計画に手を染めたかどうかには疑問を表している。
Muhammad氏はMaqsoodという名の男に疑いを抱いた時、彼自身が違う行動をとっているべきだったかどうか、と自問している。「政府関係者が何かを仕組んでいるらしい時に、政府の機関にそのことをどうやって告げらたらいいのか?」と彼は問うている。
http://www.nytimes.com/2009/05/23/nyregion/23informant.html?hp=&pagewanted=print

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ブッシュ政権以来の対テロ捜査の過剰さが、いまも継続しているのだろうか? 


A BUNCH OF TERROR DUMMIES- HOW FBI DUPED BX. 'PLOTTERS' WITH DUDS (NYPost)
…al-Ikhlas モスクのメンバー達は、情報屋のShahed Hussain, 52才が長らく礼拝者たちをジハードに誘おうとしていたと証言する。「誰もが彼に近づかないよう距離を置いていた。自分達は James [Cromitie]さえもが彼に近付かないよう試みた、だが彼は聞かなかった」と29歳のAbdul Waliはいう。「彼は人々に仕事の口を紹介していた、彼は建設工事の仕事を紹介していたのだと思う。たぶん、彼はそうやって Jamesに近づいた…」
http://www.nypost.com/seven/05232009/news/regionalnews/a_bunch_of_terror_dummies_170636.htm


NYでテロ計画、4人を逮捕 FBIおとり捜査で発覚(日本語記事)
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2604488/4173435

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