クリミア/ノー・モア・マクドナルド、または併合後のメタドン(By Peter Walker)
(4/4, The Guardian)
もしもクリミアの人々がいまだに、ロシアによるクリミア半島の併合によって、その生活がどのように変わるのかを知りたいなら─今や、その答えが与えられた。それは「ノー・モア・マクドナルド」だ。
マクドナルド・ウクライナのウェブサイトによれば、同社はクリミアの主要都市、Simferopolと Sevastopolと Yaltaの店舗を「製造業務上の都合」で閉店するという。同社は、この3店舗の閉鎖が「一時的な休業」にすぎないといいながらも─れらの店舗のスタッフは、希望すればウクライナの店舗で、同額の給与も保証されるのみならず、ウクライナの永住権も得て移り住むことができ、スタッフ自身と家族の引越し費用、そして、3か月分の家賃も同社によって負担されると提案している。
同社は、そのことは、「スタッフ各人の意志に、完全にゆだねられる。もちろん、ウクライナに転勤を希望しないスタッフは、ウクライナの法に従って解雇手当を受け取って、辞職することも可能だ」、とつけ加える。
同社は、そのことは、「スタッフ各人の意志に、完全にゆだねられる。もちろん、ウクライナに転勤を希望しないスタッフは、ウクライナの法に従って解雇手当を受け取って、辞職することも可能だ」、とつけ加える。
ヨーロッパのマクドナルドが、上記とは別に出した声明によれば、この閉鎖の理由とは、「厳密な、ビジネス上の理由─必要な金融的サービスや、銀行のサービスが得られなくなるため」であり、政治的な理由とは一切関りがない、という。
(中略)…ロシアによるクリミア併合による、そのほかの目だった影響と言えば、クリミアの、800人ほどのヘロイン中毒患者が、(更生プログラムのために)、毎日服用の必要な治療薬のメタドンの補給をこれ以上、得られなくなることだと言う。ロシア当局によれば、すでに、あまりにも多くの患者がメタドンを入手できず、ブラック・マーケットに依存しはじめている。これにより、中毒患者は注射針の(使い回しによる)他人との共用を余儀なくされ、HIV感染率が高まる危険性もある。(…この治療プログラムが開始されて以来、クリミアでのHIV感染率は減少していたのだが…。)
Please,
Russia, Don’t Vindicate Tom Friedman’s Silly McDonald’s Theory
By Joshua Keating
どうか、ロシアよ、トム・フリードマンの馬鹿げた「マクドナルド理論」を実証しないでほしい By ジョシュア・キーティング(4/14, Slate.com)
トム・フリードマンは、1999年の彼の著書「レクサスとオリーブの木」で、その有名な「(国際」紛争防止のためのゴールデン・アーチ理論」を主張した。その理論とは、つまり─「ひとたび、マクドナルドが国内にオープンした国同士は、決して互いに戦争をしない」、というものだった。フリードマンは基本的に、経済的な統合によって武力紛争の生じる可能性が低減されるという点を、論理的に指摘していたのだが─しかし、不運にも同書の出版後まもなく、NATOがユーゴスラビアを空爆しはじめた際に、その理論が正しくないことが証明された。情報性豊かなウィキペディアのページによれば─その理論には、すでに1989年の米国によるパナマ侵攻と、1999年のインド対パキスタンのカーギル紛争というものによっても反証が出されていた。
その後も同理論は、2006年のイスラエルによるレバノン攻撃と、2008年のロシアとグルジアの軍事衝突によっても否定された。そしてまた、ウィキペディアの匿名筆者による秀逸な短いコメントもある─「マクドナルドのグローバルな出店拡大とは、国際紛争のコンテクストと比べてみれば、比較的最近の出来事である。」
ロシアのクリミアの武力による併合もまた、新たなる反証のようにみえる─ロシアとウクライナは共に、ゴールデン・アーチを愛してきた。しかし今回は、フランチャイズ店舗は両国に挟まれて宙吊り状態になっている。マクドナルドは今日、「我々のコントロールの範囲を超えた、営業上の理由」によって閉鎖すると発表した。このことは、ナショナリスのウラジミール・ジリノフスキーVladimir Zhirinovsky(つまり この男だ)を刺激して─そして、彼は、ロシア全土のマクドナルド店舗を閉店させよ、という要求を発するにいたった。
そんなことは、おそらく実際には起こらないだろうが─ロイター通信も述べたように、「もしもロシアで、大規模な反・マクドナルドの気運が高まるようなことがあったら、同社の帳尻にとってはかなり劇的な結末」をもたらすだろう。モスクワのプーシキン広場のマクドナルドとは、2012年には、世界のいかなるマクドナルドの支店よりも多くの顧客に利用されたのだ。それは、ロシアのソビエト崩壊後の資本主義への移行の、ある種の象徴ともなっていた。
フリードマンは、おそらく─クリミアがこれ以上の紛争拡大には至りそうにない、という事実が、この理論を立証する、と唱えることだろう。今日の国家同士とは、長らく、戦争をするには余りにも相互の経済的依存性が高まっており、もしも戦争した場合に生じる金融上の悪影響とは深刻すぎるのだ。
しかし「ゴールデン・アーチ理論」とは、この点を主張するには、あまり適してはいない。「マクドナルド-レス(McDonald’s-less)」となったロシアが、国際的な武力紛争に向かう─といった状況で、フリードマンの唱えた説が最後に立証されないように願いたいものだ。
McDonald's Leaves Crimea After Russian Annexation
ロシアによる併合後、マクドナルドがクリミアを出る (NewsWeek、4/4) (抄訳)
(クリミアの店舗はフランチャイズではなく、マクドナルドの直営店だった…)
この店舗閉鎖の措置は、ドイツ郵便サービスが、ジュネーブを拠点とするUPU(万国郵便連合)に対して、リミアあての郵便物の受け入れと配達を停止する─と宣言したことに続いて行われた。
親ロシアの政治家ヤヌコヴィッチの追放に反応して行われたロシアのクリミア併合後、ロシアとウクライナの経済関係は悪化した。経済制裁は多くの著名なロシア人に対して行われ、またEUは海外投資家たちへの警告を発した。 (中略)
ロシアの機動隊は、先月リペツク市において、ウクライナの製菓業界の大立者が所有する工場を(同社の業務に関する家宅捜索のために)占拠した。チョコレート王(Chocolate King)」としても知られるオリガルキーのPetro Poroshenkoは、5月25日のウクライナの大統領選に立候補しているフロント・ランナーである。
ウクライナは今週、ロシアの7つの食品会社のウクライナ国内での販売を一部禁止した。
マクドナルドは近い将来に、クリミアでの営業を再開できることを希望しているともいう。
反欧米的な主張で知られ、ロシア議会の議長を務めるジリノフスキーは、ロシア全土でのマクドナルドの店舗の撤退を求める、と主張した。…彼は、それはロシアにとって良いことで…その次はペプシ・コーラ社だ…とも言ったのだと、ロシアのメディアは伝えている。マクドナルドは現在、ロシアで400店舗以上を運営しているが、同社はソ連の崩壊が起こる以前から、モスクワのプーシキン広場で営業をはじめた最初の海外ファーストフード・チェーンであり…それを誘発する一助ともなったものだ。 2012年には同広場の店舗が、世界の支店中でも最大の売り上げを挙げており…2013年のアニュアル・レポートによれば、ロシアは米国・カナダ以外の世界のトップ7市場の内の一つだという。ロシアからの店舗撤退とは、同社のビジネスにとって甚大な影響を及ぼすことになる。しかし、ロシアの通信社RBKは、マクドナルドが撤退した場合にロシアの食品供給業者が蒙るだろう被害の大きさというものも詳しく伝えている…。
http://www.newsweek.com/mcdonalds-leaves-crimea-after-russian-annexation-244291
http://www.newsweek.com/mcdonalds-leaves-crimea-after-russian-annexation-244291
http://english.pravda.ru/news/russia/04-04-2014/127270-mcdonalds_zhirinovsky-0/
McDonald's restaurants should be closed throughout Russia, Zhirinovsky says
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