Tuesday, September 29, 2009

ヴァン・ジョーンズと、“エコ・アパルトヘイト”とは?/Van Jones, "Eco-Apartheid"...and ACORN?


解任されたオバマの「グリーン・ツァール」 Van Jonesとはどういう人物?…
彼が保守派に攻撃された理由とは?

*FOXのグレン・ベックの番組が制作した、Van Jonesを批判する半生記ビデオ Glenn Beck Exposes Obama's Czars- Day 1- Green Czar Van Jones …スクリプトの翻訳

《前記事の続きです…》
http://www.youtube.com/watch?v=KTXOzAAqnho

Jones(演説シーン) 「もしも私が2日ほど前に行ったスピーチをお聴きいただけたなら… 私がそこにいたことはラッキーでした、私はそこで働いていたのです… でもその(スピーチは)本当に、溢れ出てきたのです(FU--!!)…グリーン・ジョ~ブ!(聴衆の歓声…)」

Jones(TVインタビュー)「私がやっているのは、いわば単純なことです。私は基本的にコミュニティ・オーガナイザーなのです…連邦政府のなかでの」
ナレーター 「まずイエール大学のロースクールの時代から始めよう…Van Jonesはコンバット・ブーツを履いて、ブラックパンサー党のブックバッグを抱えてこの大学に現れた。彼はその頃こう語った:“もし別の国に住んでいたら、多分自分はアンダーグラウンドのゲリラのセクトか何かに入ってただろう。だが私は、このようにアイビーリーグのロースクールに入った” … 彼はドロップアウトしたいとも思ったがここに留まった…代わりに大学で学位を得ることで公民権運動について発言する為の法的正当性を得ようと決心したのだ” …そして、それは後に、彼の十字軍的活動にとって重要なパートとなった…」

Jones 「これはもはや、リッチな人々や…裕福な人々の消費者としての選択といった次元の、ビジネス機会などではありません… それは人々の仕事へのサポートそのもの、人々の健康へのサポート、そうした機会を通じた低所得者層へのサポートなのです。そして私はナンシー・ペロシ議長が、彼女のクリーン・エネルギーに関するJOB法案への立場にも適用してくれることを望みます」
ナレーター 「彼にとっての大きな転換点が訪れたのは、1993年に彼がロドニー・キング事件(LAでの警官による黒人の殴打事件)において、キングの権利の擁護を主張して刑務所に収監された時だった。この刑務所で彼は、実に色々な肌の色の、若いラディカルな人々に出会った。それは本当に過激な人々…つまり、共産主義者やアナキストなどの人々だっだ …”私は彼らこそが自分が本当に参加すべき人々だと思った”、と彼は言う。

 …ロドニー・キングを殴打した警官への(無罪)評決がその年の4月下旬に下され、 Jonesは…8月までに自分は共産主義者になっていた、と言う。彼はその次の10年間をりっぱな共産主義者としてすごした。何よりもまず、彼はSTORM(Standing Together to Organize a Revolutionary Movement…) という名のグループを設立し、マルクス・レーニン主義の教えの勉強会を催した。そのグループの来歴を記し、革命をとなえるパンフレットによれば、”グループのメンバー全員が、マルクス主義革命運動への基本的理解と、コミットメントを有する。そして特に第三世界での歴史的な共産主義運動を重視する。そのグループは特に毛沢東を尊敬する”…〔歴史上、7千7百万の自国民を抹殺したといわれる毛沢東を。ヒットラーやスターリンが自国民を虐殺した数よりもはるかに多い数字だ〕 

 …STORMの初期の活動は、”若い有色人種たちを動かして、直接的な武装組織行動へと巻き込み…これを自分たちのコミュニティーの深い部分に根づいた組織と結合させること…を含んでいた。その大きな活動の一つは、警官殺しの罪で有罪宣告されていたムミヤ・アブ・ジマールの為に人々を動員することだった─

 …彼らの勉強会や組織での活動以外に、メンバーにはそれぞれサイド・プロジェクトがあった。たとえばJonesは1985年、STORMを、ベイエリアのポリスウォッチ(警察の行動の監視)のための活動にも連帯させ…この運動の延長は後にエラ・ベイカー・センターの人権運動(the Ella Baker Center for Human Rights, in Oakland CA )となった。この公民権運動のヒーロー…ベイカーは、共産主義者と密接に協力しており、その中には秘密の党員のスタンリー・ロビンソンもいた〔彼は長年、CPUSA(米国共産党)のトップの資金提供者(マネーマン)だった人物だ〕 …Jonesは警察の暴力監視運動の一部としてもその運動に大きなインパクトを与えた…Jonesは、誰も口にしないような事を言った、”ウィーリー・ブラウンの警察委員会(コミッション)が、黒人たちを殺している”、と。そして彼は99年に、WTO国際会議への抗議運動中に再び逮捕された…彼のSTORMは3年後に解散した。
 …彼はそれ以降、現在まで、彼のブラック・ナショナリズムの方向を変え、環境主義者としてのテーマに焦点を置いている」 

Jones 「私に向かって “お前はブラックなのに、どうして環境主義者になれる?"という人が居る。そうじゃない、私はアフリカンだ。どうして、その私が地球を愛さないで居られるだろうか?」
ナレーター 「彼はハリケーンカタリーナが襲来した際に起きたことに関して、政府への怒りを表明した。そして新しいグリーン・ジョブのブランドを叫んだ─ Eco-Apartheidの阻止に焦点をおいて。
そして社会正義の要素をグリーン・ジョブに追加していった…、”Prison EconomyからGreen Economyの間をつなぐパイプラインを建設しよう、” と。

彼は刑務所を出所した人間にリハビリのトレーニングを行い、ソーラーパワーによるエネルギー効率のいい未来を目指した建設作業につかせた」

Jones(ラップ調に) 「もし、あなたがこれを理解しなければ、地球温暖化をとどめることはできない:40%の温暖化ガスが石炭やビルディングからではなく、都市から来ていることを… 。そして75%のガス・エミッションも都市から来ていることを。あなたが、都市をグリーン化しなければ温暖化ガスをとどめられない。グリーンにしなければすべては実現しない。そして2009年に私はあなたにグリーンなジョブを与えたい」

ナレーター 「なぜこんな、深く革命思想にコミットした人物がオバマ政権で高い地位を占めたのだろう。そしてオバマのアドバイザーのひとりとなるとは?

彼のイーストベイ・エクスプレス2005に現れた大きなプロフィールでは、彼はいまだに革命家のつもりだ…それも更に熱心な。あるヒップホップの本(彼の共著した本)によれば、ヒップホップ研究のリーダーとしてJonesはこう言っている: ”我々はそろそろWHUPA(驚かせる物)にならねばならない。別の場所でF-Ingを十分やってきたものたち…彼らは名前と、仕事の明細をもっている。あなたはそうしたあなたの敵と対決する為に、クリエイティブにならねばならない。何故ならあなたが彼らの用語のままにやっていたら、結末はすでに見えているから」

Jones 「真の天才、それはバラク・オバマだ。何故なら彼は生まれながらの黒人大統領で、生まれながらのグリーン大統領だから。…君はこんなことを言う奴らに、勝つわけではない、”Fool White World"と!」

ナレーター 「Van Jones, そうだ。彼はいまだに革命家だ、そして今さらに情動的な…(そして私はこう言おう)よりパワフルな人間なのだ」

Glenn Beck 「我々は今日、White Houseにこのような質問を送りました…VanJones氏がこのように政治的にラディカルなバック・グラウンドを持つことを、White Houseは認知していたのか、と。そしてもし知っていたなら、White Houseに躊躇を与えなかったのかと?それに対して得た答えはこうです:“Jones氏のフォーカスは完全にひとつの政策的なゴールというものに向けられている。つまり、クリーンエネルギーのためインセンティブを設定し、再生可能な資源を利用しながら、エネルギー効率を高めることのできる21世紀の仕事を創造する、ということなのです”、と。
…おやまあ、これはこの質問に対する答えとは思えないのですが。あなたにはどうですか!?」

http://www.youtube.com/watch?v=KTXOzAAqnho&feature=player_embedded
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*Van Jonesによるエッセイの抜粋:

エコノミー思考で考える:すべての人々にグリーンエコノミーの分け前を…エコ・アパルトヘイトを超えて(- By Van Jones) 

 2005年にハリケーン・カタリーナが襲来して、米国人たちはTVの前に座ったまま米国の街が水没する恐ろしい光景を目撃した。2006年にはAl Goreがあちこちの映画館で、温暖化防止の緊急の行動を訴えていた。やがて2007年に米国人たちは、温暖化防止に声をあげはじめた… 記者や編集者、学生たち、企業は環境問題をフロントページへと掲載しはじめ─民主党員も共和党員もこぞってグリーンの旗を振りはじめた…オタクの科学だった環境問題も、いまや政治・文化・経済の中心事項へと躍り出た… しかし新しく出現したこうした環境主義者たちは、誰をその道連れにして、誰を置きざりにしようとしているのだろうか?
 環境保護の活動家たちが、議会を「市場原理」にみあった理論によって説得することを我々は知っている(たとえばCO2の排出権取引…Caps&Tradeのように)。だがこうした活動家たちは、その影響力を拡大しても、ハリケーン・カタリーナの災禍を生き延びた人々を助けようという気があるのか?黒人や貧困層の人々は未だに住むところもなく…それを再建する手段すらもたないのに?
 温暖化防止の活動家たちは、政府からの補助金の確保や、クリーンエネルギー/省エネルギー市場へのサポートのために戦っている。だが彼らは、こうした新しい市場が、「エコ・エリート(エコ主義のエリート層)」以外の人びとにとってもアクセスが可能になると信じているのだろうか?…低所得層や有色人種層がそれによって仕事を創出したり、富を得たりする機会があると信じているのか?
 新しい環境主義者は、誕生しつつあるこのグリーン・エコノミーのなかで今、「eco-equity(エコロジー的な公正さ)」に向かって戦っているのか…それとも彼らはより安易な途を選んで─「eco-apartheid(エコロジー的アパルトヘイト)」の方向へいくのだろうか?

(環境主義の第1の波:Conservation=自然保護)
 これまでの環境保護思想で、人種差別やエリート主義と切り離されていた物はない。実際に、多くの環境保護運動は、人種的不平等を無視したり悪化させたりした。たとえば環境保護運動の最初にあった、 “Conservation"の波をみるがよい。 最初のConservationistは、ネイティブ・アメリカンだった。原初のアメリカ人は、大自然と調和を保って住むことの天才だった。ヨーロッパ人の到来以前には、この大陸全体が巨大な自然保護区だった。栗鼠たちは大西洋岸で樹に登っては、枝から枝へ…また枝へと、ミシシッピー河に到達するまで渡っていった。沢山の鳥たちは冬には雷鳴のように羽ばたきながら南方に渡り、その数は太陽をしみのように覆い隠していた…(中略)

…「ヨーロッパ人の到来以前に、アメリカは一つの巨大な自然保護区だった」
…「インディアン殺しのテディ・ルーズベルトは”レイシズム的な政策”を唱える、大方のConservationistの典型だった…だから彼は言った“さあ、我々が盗んだ土地を保護しよう”、と」


(環境保護の第2の波:Regulation=法制化)…「60年代にレイチェル・カーソンの書『沈黙の春』が話題となり、 過剰な工業化による環境汚染への問いに発した環境保護運動の成果として、70年代にClean Air Act、the Clean Water Actなどの規則が制定され、EPA が設立され、Earth Day も初めて実施された」
 しかしこれらの法制化 Regulationの波もまた、富裕層のためのLily Whiteなものだった。結果的にそれは、巨大な有毒物質汚染のブラインド・スポットを、褐色の肌の人たちの、貧困なコミュニティの中に集中的に残した。実際に有色人種の人々のあいだには、白人の環境汚染者たちと、白人の環境保護主義者たちが無意識に協力し合っているのでは?と疑う人々がいた。彼らは最悪の汚染物質や廃棄物を、ブラック、ラティーノ、アジアン、貧困者層の地区にさし向けていた…
…「80年代までの環境保護運動は、人種的に分断(隔離)されていた」 《中略》

(グリーン・ラッシュ=グリーンカラー・ジョブ?)
 カラード・ピープルの視線でみれば、グリーンな運動のより大きなテントを張ることは努力に値する。グリーンは、急激な勢いで新たなゴールド(金鉱)になりつつある。LOHAS(lifestyles of health and sustainability) の市場分野は、クレージーな速さで成長している:2006年には米国経済で2,290億ドルの市場を占め、垂直の成長を続けている。
 しかし不運なことに、LOHASの分野は米国経済の中でも、もっとも人種的に分断された市場だ─ その顧客の面から見ても、オーナーと被雇用者という面から見ても。…それを変えていくことがさらなる健康と、より多くの仕事を創造し、それらを欲するコミュニティの富を増加させる。
 たとえば、都会の若者がソーラーパネルの設置の仕事の訓練を受けられたなら、電気技師になれる。二重ガラスを設置して省エネルギーに貢献できるヤング・アダルトは、ガラス職人になれる。エコ・シックな竹を扱ったり、ハイブリッド・エンジンを調節できる者は、よい仕事をみつけられるだろう。 我々はグリーン・テクノロジーの訓練センターを、すべてのパブリック・スクールや職業訓練学校、コミュニティ・カレッジに設立することが必要だ。そして米国には、AmericorpsやPeace Corpsのような、Energy Corpsが必要だ…それによって何百万もの若者を訓練し、国の巻き返しを図るための力としていかなければならないのだ…
(後略)
http://www.greens.org/s-r/45/45-15.html


*このグレン・ベックの辛気臭いビデオをみた誰もが、Van Jonesを批判的にみることもないだろう。彼の左翼的な過激さは、米国の主流派ではタブーときまっているけれど?
*オバマやミシェルもシカゴのサウス・サイドの黒人地区でコミュニティ・オーガナイザーとして貧困層の自立の支援にあたっていた… JonesやACORNの趣旨と彼らの信念とが重なりあう面があったのだろう。
*ヴァン・ジョーンズは日本でも環境保護分野の訳書が出ている。知らないのは米国の保守派だけなのか?─ http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-f9a5.html

 9月 7日 (月) NHK『グリーン・ニューディール──環境投資は世界経済を救えるか』でもJonesに触れていた…
*VanJonesと並び、このところ貧困層のための組織団体ACORNへの保守派の非難が激化:
「ACORNの売春業への擁護を、売春婦とポン引きに化けた保守派活動家が暴露?」CBSの英文記事 
http://www.cbsnews.com/blogs/2009/09/16/politics/politicalhotsheet/entry5315657.shtml
*保守派の日本人のBLOGがACORNに関する疑惑を解説
左翼メディアも無視できなくなった左翼市民団体ACORNスキャンダル(苺畑より)
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2009/09/acorn_2.html

ACORN:未成年売春斡旋者にローンと税金の手ほどき(9月12日)
http://mikerosstky.spaces.live.com/blog/cns!65DFD4754018BC2A!4472.entry