Wednesday, December 30, 2015

シリア北端の国境線を奪え The Race for Syria's Northern Border By Pepe Escobar

A NATO AWACS aircraft
シリア北端の国境線を奪えThe Race for Syria's Northern Border 
By ぺぺ・エスコバル (2015/12/21, RT


もしも、ダマスカスのシリア政府か、あるいはクルド人たちがシリアとトルコ国境の最後の一幅を奪ったなら…トルコ政府のシリアへの影響力のゲームとはもう、ゲーム・オーバーだ。

ロシアとトルコのドラマのなかで、最高の利益を得る者とは誰なのか?…言うまでもなく、それは「混沌の帝国(Empire of Chaos)」だ。自棄的になるアンカラのトルコ政府は、ますますNATOの抱擁にたよることになる。
「パイプライン-ニスタン(Pipelineistan)」のアリーナ席では、Turkish Stream(*))のプロジェクトが延期になったままだ─キャンセルはされていないが。ユーラシアの統合…つまり、中国とロシアにとっての21世紀のキー・プロジェクトは、酷く妨げられてしまった。そんななかで、オバマ政権の「戦略」としてまかり通るものとは、ぬるぬるした日本のウナギよりも一層、摑みどころがない。米国の多くのシンクタンクは、それを、「戦場での紛争を解く」ための「努力」だ、などと解釈する─シリアで活動するNATOの主なサポーターたち (すなわち米国、英国、フランス、ドイツ、そしてトルコ…)が、ISISに対する「大規模攻撃」とされるものに向けてギアをハイに入れているにも関わらず。
「…とされるもの」とそれを呼ぶ理由とは─なぜなら…すべての作戦が、最上級の影絵芝居(prime shadow play)を巻き込んでいるからなのだ。そして、「紛争を解く」ということはむしろ、「紛争を再開する」ことを意味する…。 (*Turkish Streamロシアが計画中の、ロシアから黒海経由でトルコ、シリアに通じる天然ガスパイプライン)

プーチン大統領が、「スルタン」エルドアンによるロシア軍機・スホーイ8Su-24の撃墜を最高にイロジカルな(非合理、筋の通らない)行為、とみているのは間違いない…その動機としてはもちろん、ロシア空軍によるトルクメン族への空爆も含まれる─ トルクメン族とは、トルコ政府が北シリアでコントロールしているフィフス・コラム(密かに外部に忠誠を誓う五列目の隊列)なのだ。…そしてまた、盗まれたシリアの石油密売事業へのロシアの容赦のない攻撃(*)も、航空機撃墜の一因なのだが─そこには、かなり著名なトルコ人たちとISISとの共謀関係がある。(*11月以降、ロシアはシリア・トルコ国境付近の空撮により、原油を運ぶISの1万台超のタンクローリー車両を発見し、以来空爆を強化している)
 
もしも主要なエネルギーの領域に眼をやるなら…それは一層、イロジカルにみえる。アンカラのトルコ政府は、エネルギーの27%を石油に、35%を天然ガスに依存している。昨年トルコは、その天然ガスの55%をロシアから購入して、18%をイランから購入していたのだ。

その多種多様なインフラ問題のせいで─イランは単純に、近い将来にトルコ(そして、ヨーロッパ)への天然ガス供給の分野では、ガスプロム(Gazprom)の強い競合にはなり得ない。その建設工事が将来、再開されると仮定すれば、ターキッシュ・ストリームとは、トルコと中欧・南欧諸国のいずれにとっても非常によい取引になる。




Spin me a coalition 有志連合についてスピン(政治的な誇張話)を唱え

(シリア北部への米軍特殊部隊の配備をも含め、)現在、演じられている影絵芝居とは─トルコ人とアメリカ人が、重要拠点であるジャラブルスJarabulus の十字路(交差点)から、ISを駆逐すべく攻撃準備している可能性も呼びさます。そのためのエルドアンの口実とは、よく知られている…つまりシリアのYPG(*)のクルド人たちが、彼らの北部シリアの3つの地域を統合しよう、とする企みを何としても阻止しようというものだ。この回廊地域においてエルドアンは、トルクメンの危なっかしくも曖昧な有象無象の一団(…すなわち不特定多数の…穏健なスンニ派叛乱勢力と混ざりあった勢力…それは、彼の代理勢力なのだが)を配備して…彼らがトルコとのあらゆるコミュニケーション(および、密輸)のルートを、オープンにし続けるよう望んでいる。(*YPG=People's Protection Units:クルド人民防衛隊)https://ja.wikipedia.org/wiki/クルド人民防衛隊)

一方でまた、シリアのクルド人達は、そうした場に最初に到達したいと望んでいる。アメリカ人による空爆とロシア人による空爆の援護のもとで。これはオバマ・チームとクレムリンの両政府が、シリアについて達した数少ない合意のひとつなのだ─スルタン(エルドアン)にとってはまったく絶望すべきことだなのが。アンカラの発した内部的な言葉では…トルコはジャラブルスに向かって陸上部隊をプッシュする準備はあるものの─ただしそれはアメリカ軍の援護のもとで行うに限るのだという…これは、余りにも馬鹿げている…ワシントンとアンカラの両政府が、同じエンドゲームを望んでいるとはとても考えられないのに…。
そんななかで、モスクワでシリア問題を論じつつ、米国務長官ジョン・ケリーは(記録によれば)ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相から合意を強いられた、という─「シリアの人々」は選挙を通じて、彼ら自身でアサドの将来を決めなければならないと。…かくして今や、オバマ政権でさえも、「アサドは去るべきだ(Asad must go…)」という言葉が、もはや地下深く葬られたという印象を振りまいているようにみえる。
…否…そんなに素早くは行くわけはない。影絵芝居とは、均衡を維持するものの一部としてしぶとく残存し続けている。いずれにせよ(結局のところ、)すべてのプレーヤーが容認する有名な「トップ10のテロリストのリスト」というものは…今や(…砂漠の蛇たちによるいかなる振る舞いも武器にし続けられるような)トルコとサウジ・アラビアによっても、容認されねばならないのだ…そうした砂漠の蛇たちが、「アサドは去るべきだ─」などとうそぶき続ける限り。

この蛇の穴に這い入る者とはつまり─ホリデー・シーズンのジョークだ。…すなわちそれは、34カ国─リヤドのサウジ政権によって率いられた「すべてのイスラム世界諸国からなる」…反テロ同盟…と称するものだ。イエメンでの戦争の遂行者である王太子代理で、防衛大臣のモハメド・ビン・サルマンMohammed bin Salmanは 「テロリストへの資金の流れを停止するめ目的のた」、この、曖昧で判然としない新たなる秘密取引を行う…とすら誓ったのだ。たとえ、もしもサウード家が、彼らの地元の気の触れたイマームたちや、信仰心の厚くて裕福な、「資金援助者」たちの首を切ることがあろうとも。

この「有志連合」─つまり、既存の…アメリカ先導の…化け物じみた…非効果的な、「危ない日和見主義者たちの同盟(CDO= Coalition of the Dodgy Opportunists)」というものの内部に(ビルト・インされた〕同盟─ とは、生のままの(水で薄められていない)スピン(*政治的目的ためのの虚言・大言壮語に他ならない。サウジ・アラビアとアラブ首長国連邦(UAE)とはこの夏以来、ISに対してはまったく何の行いもしていない。彼らはむしろ、嬉々としてイエメンを空爆している。彼らの「軍隊」には、傭兵ばかりがはびこっている。傭兵がいなければ、サウジ軍は存在しない。パキスタンとエジプトは、確かに軍隊を持っているが…しかし彼らは、火急を要するローカルな問題に忙殺されて…たとえ山ほどのオイルダラーの賄賂を贈られようとも、その部隊、を「シラク(Syraqの泥沼」に派遣することなどできない。(*スピン=政治的操作を意図したぎまん的物言い・大言壮語 (*Syraq=Syria+Iraq)
彼らのうちの抜け目のないエデルマン(*)のロビイストたちが調合した…こうしたスピンを駆使して、リヤドの政権は…彼らがいかにシリアを崩壊〔分裂〕させよう、と強く試みていのるか─ということからテーマを逸らせ得ると信じている。(*世界最大の米系PR会社)
シリアの人口構成(その大量の難民を含めて)というものは、その14%内外をアラウィ派のシーア派が占め、5%をキリスト教徒、3%をドゥルーズ教徒、1%を12イマーム派(twelvers)のイスラム教徒が、そして10%をクルド人が占めている─およそ40%は、絶対的多数の左派であるスンニ派のイスラム教徒だ…その大半は世俗的な左派でありダマスカスやアレッポのビジネス・エリートとの快適な繋がりを持っていることは言うまでもなく…彼らは幾世代にもわたり、政府に寄り添われてきた。
リヤドの政府、そして、アンカラの政府の抱いている信念─つまり、少数のサラフィスト-ジハーディスト(Salafi-jihadist)たちのグループならどんな説得方法によってでも、こうした複雑な構成のバランスを崩せるだろう、(国家全体の支配も可能なだけでなく)という信念…とは、どんなロジカルな説明にも反するものだ。


国境線の破れ目を獲得するThe break for the border 

それゆえに、いまや全てが、国境線の破れ目(break)というものにかかっている。シリアのクルド人たちは、大声で何やら叫び続けている─「真のクルド人は、ジャラブルスに行く」─というようなことを。ジャラブルスとは…要するに、シリアにおけるトルコの最後の砦なのだ(ロシアの空軍は、ラタキアLatakiaの北部で、トルクメンの戦闘員の隊列以外のすべてを皆殺しにしたのだ…)

クルド人同士が統合する、回廊地帯というものを想像してほしい─AfrinからRojavaまでの地域の、残された地へと至るものを。このことはトルコが、シリアから切り離されたことを意味する…そして、究極的に、ジハーディスト・ハイウェイというものの終わりを意味し;…トルコのシークレットサービスによる、Daesh(IS)への、豪勢で気前の良い兵站支援の提供(…ビッグマックの差し入れからトルコでの休日に至るまでの…)の終わりを意味し; シリアの盗まれた石油を輸送するDaesh Highway〔ISのハイウェイ〕の終焉をも意味する。准・自治地域(県)を、州のプロトタイプというステータスのもとで支配するYPG…すなわちPKKクルド労働者党の同盟者…については触れるまでもないことだ。

どうか、間違えないでほしい─スルタン(エルドアン)は、それを防ぐために掴むべきホールド・バーを持っていない。ISとは、トルコ政府にとっての「実存的な脅威(existential threat」だったことは一度もない。これとは対照的に…それは常に役に立つ、間接的な「同盟者」だった。アンカラの政府は、Daeshの壊滅に至る道とは、アサド政権の交代を経なければならないという神話を信じ続けてきた。
ロシアはブラフ(bluff)、虚勢的な脅し)をも曝けだした。レームダック(死に体)と化しているオバマ政権には、未だに確実さを有していない; 我々はエルドアンを…無謀にもNATOをロシアに直接対峙させようとすら試みているエルドアンを…利用すべきなのか?あるいは、我々は彼を棄てるべきなのか?その答えとは─ 誰がどうやって国境線の破れ目(break)を獲得できるのかにある。

https://www.rt.com/op-edge/326536-turkey-isis-syria-erdogan/

*ターキッシュ・ストリームTurkish Stream

ロシアから黒海を経由し、トルコに達する天然ガス・パイプライン計画(先行のサウス・ストリーム計画の代替)として、201412月プーチン大統領がトルコ訪問を機に提案。201511月、トルコによるロシア空軍機の撃墜を受けて、両国が相次ぎ計画の凍結放棄を宣言。

当初、ロシアのRusskayaを起点にトルコ側進入地点は北西トルコのKıyıköy村と策定され、ガスプロム社は合意後直ちに工事開始することを予定していたが、年間の計画輸送容量630億平方メートル(うちトルコが140平方メートルを購入し、残りをヨーロッパに輸出)に対してギリシャ・トルコ国境以西の輸送可能量の不足〔買い手、及びインフラ不足〕が判明し、交渉は決着しなかった。

両国の最初の直結天然ガス・パイプライン計画は、2005年のブルー・ストリーム計画であり、その延長のサウス・ストリームも計画されたものの、実現されなかった。

2009年プーチンが黒海海底にブルー・ストリーム1と並行するパイプラインを提案(SamsunからCeyhan,、シリア、レバノン、イスラエル、キプロスを跨ぐ)。

201511月トルコによるロシアのスホーイ空軍機撃墜の後、ロシアの経済相がターキッシュ・ストリームの計画凍結を宣言、125日にトルコのエルドアン大統領は

同計画を「トルコの要求に対するロシアの不服従のため」停止すると発表。(wikipedia

https://en.wikipedia.org/wiki/Turkish_Stream

*2015年12月30日、ロシアが同計画の再開を仄めかしたと報じた記事。
Russia Ready to Increase Gas Supply to Turkey, Resume Turkish Stream
http://www.naturalgaseurope.com/russia-gas-supply-turkey-resume-turkish-stream
 


Pepe Escobar: How Russia is shattering the Turkish game in Syria (著者による本記事の前記事)    ロシア諜報機関,トルコ-イラク国境・シリア国境付近の空撮で12000台の「ISのタンクローリー」の車列を発見Russian intel spots 12,000 oil tankers & trucks on Turkey-Iraq border - General Staff (12/25, RT) https://www.rt.com/news/327063-russian-intelligence-oil-tankers-turkey/



いま、真実が現れる─アメリカは、いかにシリアとイラクでISISの台頭を煽ったのか Now the truth emerges: how the US fuelled the rise of Isis in Syria and Iraq By ソーマス・ミルン (2015/6/3, The Guardian
─宗派的なテロリスト集団を、それらを生みだした欧米諸国がうち負かすことはできない



テロとの戦い─14年前にジョージ・ブッシュが放ったの終わりのない作戦とは、自らをこれまでになくグロテスクな歪みに結びつけようとしている。この月曜日、ロンドンでは、シリアでテロリズムに加担したとの容疑でスウェーデン人Bherlin Gildoの裁判が行われていたが─そこでは、被告の男がそれを支援したという容疑を問われていた、同じ叛乱勢力に対し英国の諜報部も武器援助をし続けていた、という件が明るみに出て裁判は破綻した 

検察側は告訴を棄却した─明らかに諜報機関の顔を潰さないよう配慮して。弁護側は英国という国家自らが、シリアの反体制派に「多大なサポート」を行っていることの十分な証拠をよそに、それが裁判にもかけられずにまかり通るのは「正義に対する侮辱だ」と論じあった。

そこには政府が豪語している、単なる「致命的でない支援」の実施(たとえば、防弾チョッキや軍用車両の供給など)だけでなく、訓練やロジスティクス(兵站)の支援、秘密裏の「大規模な武器支援」なども含まれていた。報告書によれば、M16CIAは協力して─カダフィ政権が失墜した後の2012年に、リビアの武器貯蔵庫からシリアの叛乱勢力に対して、ラットライン(*)で武器を輸送していた。(*禁止地域における人員や軍事物資の秘密輸送)  

明らかに、閣僚や治安担当者たち自身にとっても馴染みの深い行為を理由に、誰かを刑務所送りにすることは愚劣にすぎた。しかしそれは、数多くのよく似た出来事の単なる最新の事例に過ぎなかった。もっと不運な例では─ロンドンのタクシー運転手、Anis Saardarの一件がある─彼は2007年に英米のイラク占領に抵抗する叛乱勢力に加担したとの理由で、二週間前に終身刑を宣告されて
いた。通常の言葉の定義でいうなら(ジュネーブ条約による定義も含めて)、違法な侵略や占領に武力で抵抗することはテロリズムや殺人といった定義には当てはまらない筈なのだ。

しかし、テロリズムというものはいまや、それを観る者の眼に応じて杓子定規に捉えられる。そして、中東では特にそうなりやすい─そこでは、今日のテロリストが明日は専制独裁に抵抗する武装戦士となるのだ(today’s terrorists are tomorrow’s fighters against tyranny)─そして、欧米の政策立案者からの相談の電話に混乱するあまりに、気紛れな行動に走るような同盟者も敵なのだ。

過去一年間、米英をはじめとした欧米勢力がイラクに立ち戻っていた─おそらく、高度に宗派的なテロ・グループであるイスラム国Islamic State、(以前は イラクのアルカイダとして知られた)を破壊するという大義のために。これは、ISISがイラクとシリアの領土の広大な塊を制圧し、独自流のIslamic caliphate(イスラム・カリフ国)の建国を宣言して以降のことだ。
その作戦は不首尾に終わっていた。先月、ISISはイラクの都市ラマディに突入したが、その時には、今や存在していない国境線の反対側で、彼らの勢力がシリアの街パルミラを制圧していた。アル・カイダのオフィシャルなフランチャイズ、ヌスラ前線もまたシリアで戦果を得ていた。

イラク人のなかには、こうした出来事が起こりつつあった際に、米国にはやる気がなかったと苦言を漏らす者もいる。米国人たちは彼らが市民の巻き添えによる死を避けようとしていたのだと主張し、そして彼らは大いに勝利をあげたとも主張する。米政府の人間たちは個人的には─宗派紛争におけるスンニ派の拠点を弾圧するようにみられることでペルシャ湾の彼らのスンニ派の同盟者らを憤らせたくなかった、とも主張する。

我々がここに至るまでの道のりを照らし出す光とは─最近、その機密が密かに公開された20128月の米国諜報部の報告書が放っている。それは不気味にそれを予言しながらも、事実上それを歓迎している─シリア東部での「サラフィストの小国家」の建国、そしてシリアとイラクでの、アル・カイダによって統制支配されたイスラム国家の設立というものを。当時の欧米による主張とは鮮明なコントラストをなしつつ、国防情報局(DIA)の書類は─イラクのアルカイダ(=ISの前身)と、その友人(同盟者)のサラフィ主義者たちが「シリアの叛乱勢力を動かす大きな原動力」であると認めている─そして、「欧米諸国とペルシャ湾岸諸国、そしてトルコ」が、シリア東部の支配権の奪取を狙う反体制派の運動を支援していた、とも述べている。

「建国宣言のなされる(あるいは宣言されない)サラフィスト小国家の可能性」を挙げるペンタゴンの報告書は、さらにこう続く。「これは、まさに反体制勢力を支援する者たちの望むものだ…シリアの政権を孤立させるために。それはシーア派勢力〔=イラクとイラン〕の拡大に対しての、戦略的な縦深を生むことでもあるのだが。」

米軍は叛乱勢力の一翼を空爆する傍らでシリアでは他の叛乱勢力も支援している。それは、その2年後に起きた出来事と寸分違わぬ出来事だった。その報告書とは政策に関する書類ではない。そこには、かなり編集が施されており、その文言も曖昧である。しかし、それが示唆するものとは明白だ─米国と他の同盟国は単に、シリアの叛乱勢力に向けてそれが非常に過激な宗派勢力に率いられていると知りつつ、武器援助を行っていただけではなく…彼らは、何らかの形での「イスラム国家」の創設を容認する準備があった─(それがイラクの統一に対する「深刻な危機」になるという可能性にも関わらず)つまり、シリアを弱体化するためのスンニ派の緩衝地帯、として。


そのことは米国がISを創造したということは勿論、意味しない─湾岸の同盟諸国は確かに、そこに何らかの役割を果たしたのだが(米国副大統領ジョー・バイデンが昨年、そう認めたように)。しかし米国と英国がイラクを侵攻する前には、イラクにはアル・カイダはいなかった。そして、米国は確かにISの存在をその地域の他の勢力への対抗勢力として利用していた─それが西欧による支配というものの維持の、より大きな原動力の一部となるように。

そうした計算とは…ISが欧米人の斬首を行いはじめて、オンラインで残虐な行為を喧伝しはじめたときに変化を遂げた…そして湾岸諸国もいまや、シリアの戦争ではヌスラ戦線などの他の勢力を支持している。しかし、米国や欧米諸国がジハード主義者の勢力と共闘する習癖というものは(そうした勢力はその後に舞い戻っては、彼らの手を噛むものなのだが)、少なくとも1980年代の、アフガンにおける反ソ連の戦いにまで遡るものだ─それがCIAの後見の下に、アル・カイダを培ったのだ。



その事はイラクが占領されているあいだに再度、調整された─米軍がペトラエウス将軍の許で…イラクの叛乱勢力を弱体化するために、宗派勢力の暗殺部隊を用いてエル・サルバドル式の汚い戦争を主導していた際に。そしてそれは、2011年にNATOのもくろんだリビアの戦争で再現された─そのリビアではISが、先週、カダフィの生まれた町Sirteを制圧したのだが。


現実には─いまや中東で大災害に見舞われている米国と欧米の政策は「分割して支配せよ(divide-and-rule」」という帝国主義者の古びた鋳型によるものだ。米軍は叛乱勢力の一翼を空爆する間に、シリアでは他の勢力を支援して─そしてイラクではISに対抗するべく、イランとも実質的に同盟して共同軍事作戦を展開し…その間に、イランの支援するイエメンのフーシ勢力と戦うサウジの軍事作戦も支援している。だが、米国の混乱した政策とはしばしば、そうしたアプローチに完璧にフィット〔適合〕するような…弱体で細分化されたイラクとシリアになってあらわれる。

明らかなのは、ISとその怪物性は、イラクとシリアにそれを最初にもたらした同じ勢力によっては壊滅させられないということだ─あるいは、そのオープンで転向的な(支持勢力をしばしば変えるような)戦いの方法が、それ以降もずっと幾年も隆盛しているということだ。中東への欧米の終わりのない軍事介入とは、ただ破壊と分裂を生んだだけだった。その病を治癒させられる者とはその地域の人々だけであって…そのウィルスを培養した者たちではない。
http://www.theguardian.com/commentisfree/2015/jun/03/us-isis-syria-iraq


Saturday, December 5, 2015

モルディブに非常事態宣言 …ラグジュアリー・リゾートが政情不安に揺れる?- Maldives Declares State of Emergency

★前記事:トラブルに見舞われた楽園モルディヴ:Q&A/ の続き

 2015年10月、副大統領・アディーブが逮捕されたモルディブで非常事態が宣言されたが、その背景とは?

〔モルディヴを揺るがす政情不安〕
・2008  民主的大統領選挙で、モハメド・ナシード(ジャーナリスト、人権活動家、環境活動家)が当選 30年間のアブドゥル・ガユーム大統領の独裁政権が終焉 
・20122月 ナシード大統領が辞任、モハメド・ワヒード副大統領が昇格、11月迄大統領
 ・201211月 アブドゥラ・ヤミーン現大統領(ガユーム元・大統領の異母兄弟)が決選投票で政権を奪還 
・20152月 首都マレでIS系の黒旗集団がデモ 
・20153月 前大統領ナシード逮捕、自宅軟禁へ 
・201551日 マレで反政府デモ デモの「扇動者」と看做されたシーク・イムラン逮捕
・20158月 ナシード前大統領が投獄される;覆面の3人組が大統領・副大統領の殺害予告ビデオを投稿 
・2015911日 アマル・クルーニーがナシード元大統領の弁護団に加わる 
・20151028日 高速船上で爆発、ヤミーン大統領暗殺未遂が報じられる 
・2015115日 ヤミーン大統領暗殺謀議罪で、アディーブ副大統領が弾劾決議を受け逮捕(非常事態令を発令→国際社会の非難を受けて、11/10に解除) 


銃を持った3人の男大統領殺害脅迫ビデオで予告 (2015/8/15, Maldives Independent)

バラクラーバ(覆面帽)を被り、銃をかざす3人の男たちが大統領Abdulla Yameen、および副大統領 Ahmed Adeebの殺害と、モルディヴの観光業へのテロ攻撃を予告するビデオをYoutubeに投稿した。投稿者名はスレイヴリー・スレイヴSlavery Slave画面の隅にはISのロゴがあった。男たちは、「もしも政府がスイス滞在中(自主亡命中)のイブラヒム・サンダアヌ・ムーサ・ルスIbrahim ‘Sandhaanu’ Moosa Luthfyに対するハラスメント行為を停止せず、また、Adhaalath 党の党首シーク・イムラン・アブドゥラSheikh Imran Abdullaを釈放し新たな反テロリスト法を30日以内に撤回しない限り、 大統領の命と観光業を脅かすテロを起こす」ディベヒDhivehi語(モルディヴ語)で予告し

中東地域では100人程度のモルディヴ人が武力闘争に加わっているものとみられるが、予告ビデオのISとの関連の真偽は不明。このビデオと同様の脅迫は、昨年1230日にジャマイカ人歌手のショーン・ポール(Sean Paul)にも発され彼はコンサートをキャンセルした

シーク・イムラン51日の反政府デモでの暴力行為を煽ったとの咎で逮捕され、100日以上警察に拘留された。6、彼を裁くテロリスト裁判の担当判事が最高裁判事に昇進させられ以降裁判滞ってしまった3人の覆面男らはまた政府がスイスからサンダーヌ・ルスモルディヴに連れ戻そうとする行為を直ちに止めよ─とビデオで求めていた。
ルス
2月に、ヤミーン大統領の人権大使として議会からジュネーヴに派遣された折にそのミッションを辞任それ以後、ソーシャルメディア上で政府批判を行っていた。彼は反政府の新聞を発行したとして、Gayoomの政権から終身刑を宣告されたが、Gayoomの後任の前・大統領Nasheedによる恩赦を享受したNasheed 自身20129月にスイスへの自主亡命からの帰国後、当時大統領だったDr.Mohamed Waheed Hassanのアドバイザーに指名された。政府は、7月末に議会に新テロリスト法案を提出したが、10月に(議会が再開すれば)同法案成立する見込み。(新テロリスト法とは、外国の内戦の戦闘行為に参加することを違法化して20年の懲役刑を課して、モルディヴ人が中東等でのジハードに加わる行為阻止を意図している
http://maldivesindependent.com/society/gun-wielding-men-threaten-to-kill-president-in-youtube-video-116916 



モルディヴの前・大統領ナシード2カ月の自宅軟禁の後再び収監さる (2015/8/24 BBC 
Mohamed Nasheed (former president)
 


今年3月にモハメド・ナシードMohamed Nashheedは反テロ法違反を問われ、懲役13年の刑収監された。彼の弁護士その訴追は政治的なものであり、政府は減刑の約束を反故にした…と主張している─ しかし政府はこれを否定して、彼が先日まで自宅軟禁にあったのは医療上の理由からだった、と主張する。彼の弁護士は、政府が719日に13年の懲役を自宅軟禁に減刑した事証拠書類があるいう、大統領のスポークスマンはその書類偽造だ言っているナシードの弁護人の一人であるAmal Clooneyは、政府が完全に「法のルールを無視した」と述べる 

元・人権活動家のナシードは、2008年に民主的に選ばれた最初の大統領とな、有力者マウムーン・アブドゥル・ガユームMaumoon Abdul Gayoomが敷いた30年間の独裁を終わらせた。しかし、2012年にナシードは、裁判官の逮捕を命じたという理由で拘留された。1ヶ月後に彼は軍の兵士暴動や民衆の抗議運動の起こるなかで大統領を辞任した。ナシードはクーデターで政権を追われたとも主張したが、彼の後任となった副大統領はれを否定した。現・大統領のアブドゥラ・ヤミーンAbdulla Yameen、30年にわたって独裁政権を維持したマウムーン・アブドゥル・ガユームMaumoon Abdul Gayoomの異母兄弟で、論議を醸した2013年の選挙によって選任された
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-34043340 


4人のモルディヴ人が"家族でジハード参加(2015/8/30, Maldives Independent)


先週夫婦ともに28歳のカップル6歳と3歳の子を連れ、Fokaidhoo 島からスリランカ、トルコを経由しジハードに加わるべくシリアに向かったという。中東では100人以上のモルディヴ人がヌスラ戦線やISなどの戦闘に参加している。そうした渡航者のなかには、家族全員で行く者や、移民担当官、マレのギャング犯罪組織のメンバー、病院職員もおり、現地から家族とSNSで連絡を取る者もある。これまでに少なくとも、7人が戦闘によって殺害され、政府は、ジハードに加わるために国を出た者には懲役20年を課す、という反テロ法の議案を提出した。批評家たちは、厳罰だけでは不十分であり、過激化を予防するプログラムが必要だと訴える。
'Mohamed Nasheed was the first 
democratically elected leader'



野党第一党のモルディヴ民主党(MDP)は、ヤミーン大統領の過激派対策は手緩いとも批判する。昨年5ジハードによる初のモルディヴ人死者が報じられた際、与党PPMはそれが民主党の流した虚報であると主張したが、昨年9月にはモルディヴにおけるイスラム法施行を求めて、マレで200人がISの黒旗を掲げてデモをた。12月には、内務大臣が海外で戦うモルディヴ人は7人だと認めた─さらに翌1月には、警察のコミッショナーのフセイン・ワヒードHussein Waheedがその数を50人に修正した。


モルディヴのイスラム省は、昨年7若者の戦争のための海外渡航を牽制し、宗教大臣や宗教機関もまた、イスラム教徒の流血は許されないという宗教令を発した。米国務省は一昨年、モルディヴでのイスラム教徒の喜捨がテロ資金に流れたと報じていたが、モルディヴ財務当局はこれを否定したhttp://maldivesindependent.com/politics/family-of-four-leaves-maldives-on-jihad-116870



アマル・クルーニー、前・モルディヴ大統領のモハメド・ナシードの解放を要求する国際弁護団の代表となる (2015/9/10, 2015, The Guardian

ウィキリークスのジュリアン・アサンジ等を顧客にもつ人権弁護士で(同じく国際人権活動家でもある)ハリウッド俳優ジョージ・クルーニーと先頃結婚したアマル・クルーニー、ナシード前大統領の弁護団代表に就任

モルディヴ政府はこれに対抗したのか、シェリー・ブレア〔*ジョン・ブレア元首相の夫人、夫よりも切れ者といわれる弁護士〕の法律事務所PR会社Omnia Strategyを高額で雇い入れた(9/102015,The Guardian)
 
アマル・クルーニーは、ナシードの解放を訴えるべくモルディヴを訪問して、水曜日には司法長官Mohamed Anilと会談。弁護団のメンバーJared Genserはマアフシ島を訪れ刑務所のナシードとも面会した。Genserは、「彼は元気だが、収監に対して憤っている」とモルディヴ・インディペンデント紙に語った。「ナシードは大衆に人気が高く、大統領選に再び立候補することを考えているが、政府は彼の動きを阻止したがっている 

元・ジャーナリスある政治犯ナシードの流転のサーガや、国民の大半がイスラム教徒のこの国へのハイ・プロファイルな注目度の高い国際的弁護団の来訪と最新の予期せぬ展開でもある。デヴィッド・キャメロンとも親しいというナシードは、大統領に就任以降、モルディヴが直面している気候変動や海面上昇による脅威を強調すると同時に司法制度の民主化も求めてきた。

しかし、彼は幾度も問題に衝突して、政治的な反対者や宗教勢力とも対立していた。彼の支持者らは─こうしたグループとは、彼が選挙破った前・独裁者のMaumoon Abdul Gayoomに関与者たちだ、みている。2012年2月ナシードは大統領辞任を決断をしたが彼と彼の支持者たちはそれが同国の警察勢力によるクーデターだったと訴える。2013年10月には、ようやく再選挙が行われたが、その際は彼の職位が廃止されたのみであり、翌1月の決選投票によって結局、前・大統領の異母兄弟のAbdullaYameenが大統領に当選した。

Amal Clooney in Male

ナシードは大統領在位中の2012年 に上級判事らの逮捕を命じたが、これが軍による誘拐に近いものだったため反テロ法に抵触するとされて彼逮捕された。この事件への終夜の抗議j運動と国際的な非難巻き起こり…政府はナシードの党モルディヴ民主党との交渉開始したが、裁判所が控訴それまでの自宅軟禁は健康上の理由だったとして彼を再度、収監した。現在両者は法廷で争っている。

ナシードの党の党員Hamid Abdul Ghafoorは、政府がこの国を「deep state〔=影の政府〕」支配する過去に戻しつつある、と非難、「デモクラシーとはモルディヴでは新しいもので、適正な形で実現したことは未だにない」と訴えた。 http://www.theguardian.com/world/2015/oct/28/maldives-boosts-tourist-resort-security-amid-search-for-explosives 
 
アマル・クルーニー、身の危険を冒してモルディブを訪問!
http://top.tsite.jp/entertainment/celebrity/i/25392005/

アマル・クルーニー、前・大統領モハメド・ナシードを解放するための新たな戦いをモルディヴからスリ・ランカへと移す2015/9/11, the Daily Mail

国際人権弁護士のアマルは、最新の法的闘争の地モルディヴに4日間,滞在した後、金曜日には訴追をスリランカの首都コロンボに持ち込みメディアのジャーナリストらと対話した。
危険かつ困難な案件であるにも関わらず意気軒昂な彼女は微笑みを振りまきつつ、ピンクのジャケットにスカート姿で事件への注目喚起に努めた。Lebanon系英国人の彼女はナシード弁護団の前任リーダーMahfooz Saeedが先週の末に正体不明の人間に頭を刺され負傷した後この任務を引き継いだ。彼女は前大統領を代弁するという非常に危険な立場にっている─それ故に司法長官のAttorney General Mohamed Anilは、この裁判の判決は迅速に下されると言明した。検察側は訴追に対する異議申し立てを準備する事となる。  

先週、米国はモルディヴ政府に対して、再び収監された前・大統領の解放を要求。モルディヴ政府は国際的な非難に直面して、論議を
醸したこの決定から彼ら自身が距離を置くための努力を始めている当局は、彼の訴追への異議申し立てめの為には特殊な手段を講じるとも述べた。アマルと彼女の同僚弁護士であるジャリド・ゲンセル(Jared Genser)はスリランカを訪れた後に、モルディヴ政府が秘密裏に盗聴器を仕掛けて、彼らと刑務所内の依頼人との秘密の会話を盗聴していた、として同政府を訴えた
http://www.dailymail.co.uk/tvshowbiz/article-3231128/Amal-Clooney-moves-fight-former-president-Mohamed-Nasheed-s-freedom-Maldives-Sri-Lanka-meets-local-press.html 
 
 
世界がナシード大統領の解放を要求するなかで モルディヴは抑圧へと後退する (10/14, HuffPost WorldPost) <*弁護士アマル・クルーニーの寄稿>

ナシードの恣意的な収監とは、孤立したケースではない。いまや、すべてのモルディヴの野党リーダーらが収監されたり、政府による訴追・脅迫を受けて、1700人の人々が政治運動を理由に訴追され、ジャーナリストらは襲われたり、逮捕されたり、行方不明になっている。 

 国連による見解の発表以来の政府の行動とは、この国の野蛮な凋落を示している。その戦略は矛盾しており、どんな反体制分子も、雇われたロビイスト党や、高額な雇われ者の手によって窒息させられる様な抑圧的手段が加速している。98日には政府は月額5万ドルの契約でワシントンのロビー会社Podestaを雇った。当初、政府はその契約を否定していたが、その後それは公的記録からも露呈し、認めざるを得なくなった。 政府は、法律事務所兼・PR会社のOmniaStrategy

にも非公表の報酬で仕事をさせている。

Omniaは、政府に法的な枠組の強化
について助言している政府による(国家の)「民主的な強化(democratic consolidation)」の一環という名目で、また、「現在進行中のナシード前・大統領の案件」の取り扱いも依頼している。しかしOmniaが顧問として助言を開始してからの4カ月には、抑圧のスパイラル更に強化されただけだ。国連見解の発表に続いて生じた政府に対する大衆の抵抗運動の最中で、政府は「WGAD(国連委員会)による決定は受け入れられない」と声明。そして与党の著名議員が、ジュネーブを本拠とする専門委員会を、国連システムの「門番(janitorial staff)」とも呼んだ。英国連邦からの批判に対して政府は33年間維持された英国連邦のメンバーシップを返上するといって脅迫した。

政府の孤立政策とは、恐るべき法的な衰退を伴っている。国連の決断についての記者会見の翌日には、政府が新たな刑法上の罪を規定モルディヴの検事が政府内の人権侵害者に対する制裁措置sanction 求めるような者は、誰でも収監しうるという新法を策定する、とも発表した。この新法とは、「モルディヴに対する観光業ボイコットと制裁措置への要求を禁ずる法律」と呼ばれるこれは「国内外における制裁措置実行の奨励や、それへの参加や呼びかけ」から構成される様ないかなるスピーチ(言論)をも対象とし、あるいは「旅行者たちやモルディヴを訪れるすべての人々の間に恐怖を巻き起こしたり、そうした情報を広めるような」いかなる言論をも対象とする。その罰則とは10年以内の懲役か、あるいは325千ドル以下の罰金である。議会での、この法案審議の場において、与党議員Riyaz Rasheedは、この法案が国内外の反体制派を黙らせる為のものだと述べ、またもう一人の与党議員Ahmed Amirはソーシャル・メディアの利用は禁ずべきであり、憲法による言論の自由は、「停止されるべき」だと述べた、


 Rasheedは、野党の全議員に対して、「ここにいるすべての野党議員は逮捕されるべきだ」とも述べた。彼は、さらに議会議員らに対して、モルディヴを訪れた外国人が、制裁や観光業ボイコットの呼びかけを行うことを禁じるよう求めた。これに続いて政府の議会グループのリーダーAhmed Nihanが、ナシードの国際的なカウンセラーのアマル・クルーニーとジャリード・ガンセルを、「国家の敵」とみなすよう求めたなぜなら彼ら二人が旅行の自由剥奪と資産凍結という制裁措置を、モルディヴにおいて深刻な人権侵害を行った者に科すべき論じたので。その法案は与党議員から広い支持を集め、いまや委員会審議を通過するところだ。


この法外な法案とは、専制独裁(autocratic)体制における基準からみても、極めて厳しいものだそれは国際条約としての市民の権利や政治的権利条項である、第19条(人権条項)の扱う国際法のレベルの問題なのだそれは、政府が表現の自由を保証すべきものと定めているが。この提案では、内務省が新たな規則を公布した2週間後に、省がすべてのNGOに対し、彼らの行うプロジェクトに政府の許可が必要となるとして、「調和を乱すような、あるいは国家の安全を脅かすような」、いかなる行動に関与した場合にもその業務を停止させ得るとする。


去る719日、司法長官その法案を提出したが、法案では「国家の利益に反するような、いかなる表現」も有罪と規定する。そんななかで最高裁は、弁護士連盟をも解散させて、国連に対して政府の実績(パフォーマンス)を報告した人権組織に対しては叛逆罪を適用するとし、すべての独立した組織の政府への報告義務を規定している そんなななかでヤミーン大統領は播基文〔国連事務総長〕ほかの国連担当者、世界各地の独立した状況観察者からのナシード氏解放への要求の声と、大統領のもつそれへの法的権限にもかかわらずナシード氏の恩赦の受け容れを断固、拒否した。政府は世界に対しモルディヴが生まれたばかりのデモクラシー(民主主義国家)で、旅行客の楽園であると信じさせたがっている。しかし、高額なPR戦略に もかかわらず、世界は騙されてはいない。同政府は、人権と正義を擁する代わりに、抑圧と孤立に陥りつつある。すべてのモルディヴ人にとっての利益とは、こうした風潮が覆されることだ。

 http://www.huffingtonpost.com/Amal-Clooney/maldives-president-nasheed-release_b_8297848.html



モルディヴ大統領、高速船上で爆破を逃れる 10/28 the Guardian.AFP) 
 
モルディヴのヤミーン・アブドゥル・ガユームYameen Abdul Gayo大統領は、同国の首都マレに向かう途中のスピードボート上で起きた爆発を免れた、妻のFathimath Ibrahimと、ボディガードが負傷した。大統領は、サウジ・アラビアへの豪奢な巡礼旅行から帰国したところだった。56歳の大統領と、複数の側近たちが病院に運ばれた。比較的大きなそのボートは軍に関与するものだが、爆発の原因は不明という。 

近年モルディヴの政情は不安定で、同国はイスラム武装勢力の伸長の問題も抱える。1ケ月前には、正体不明のグループが大統領の殺害予告を発して脅迫し、ネット上でこの国の金の儲かる観光産業に反対するビデオを投稿していた。犯行グループの正体は不明だが、彼らはISと何らかの関わりがあるともみられる。彼らのビデオ声明では、幾つかの要求と共に、反テロリスト法の撤廃を求めていた。8月に投稿されたこのビデオは、1ヶ月後の攻撃を予告していた。
モルディヴでは、保守的なイスラム諸国では禁じられている飲酒も容認しており、休日を過ごしに来訪する多くの旅行者たちは飲酒が容認された環礁リゾートの島々に直行する。首都の空港は別の島にある為に、人々はボートでショート・クルーズをせねばならない。 
Ahmed Adeeb (ex-vice President)

記者たちはサウジから空路で帰国したヤミーン大統領を出迎えるべく、首都の島のジェットボートに乗っていたが、そのうち3人が軽傷、ボディガードが最も重症を負ったが命に別条はないという。スピードボートには、閣僚が数名と大統領室のスタッフ、幾人かの国会議員と大統領の家族がいた。 


ヤミーンは2013年に物議を醸した選挙によって当選して以降、過去の人権弾圧の前歴を問われていた。野党の党首で環境問題(気候変動)活動家のナシードは今年の春、支持者らが「でっちあげ」と呼ぶ容疑によって収監されている。  
 http://www.theguardian.com/world/2015/oct/28/maldives-boosts-tourist-resort-security-amid-search-for-explosives  
  
Video captures explosion on Maldives' President's boat 00:51(CNN)
http://edition.cnn.com/2015/11/10/asia/maldives-lifts-state-of-emergency/index.html
モルディヴ、非常事態法で弾圧を強化し、副大統領を弾劾2015./11/5 Yahoo News)  
この木曜に、モルディヴ議会は副大統領Adeebを船上での爆発事件の謀議罪で訴追したがその前日に政府は1ケ月の非常事態宣言を出して、国際社会からの非難を浴びた。Adeebは、10/28の爆発事件の後に議会の85人のメンバー中61人の賛成弾劾訴追された。野党勢力は、この投票は違憲であり、政治的な意図によるものだ、として投票を棄権した。この動きは首都マレでセキュリティが強化されて、軍の兵士が路上をパトロールする只中で起きた。

米国や人権保護団体、・英国植民地を中心とする英国連邦諸国は、モルディヴが非常事態宣言を解除して、反体制派への抑圧を止めるよう、要求した。Yameen大統領は反政府派が〔公式に〕デモを計画していた当日2日前に(当局がマレの彼の家の近隣で爆発装置と武器の山を発見した、とも発表したその直後国家の安全の危機を唱えつつ、非常事態宣言を発令した。米国FBIは船上の爆破現場を捜査したが爆発物があった証拠はないとして、その原因に疑問を呈した。 


 米国防省は、水曜日に非常事態宣言への深い憂慮を表明し、憲法に従って市民の自由を回復し、政治的訴追や拘留を止めるよう繰り返し求めたまた、米国は前・大統領のナシードの解放をも要求している。人権団体アムネスティも、同政府による言論の自由と人権侵害を非難している。33歳のAdeeb、Yameenが前任の副大統領を7月に罷免して以降、2人目に(弾劾された)副大統領でもある
http://news.yahoo.com/u-rights-groups-call-maldives-lift-state-emergency-084706496.html;_ylt=AwrSbm5g6z1WctUAlw1XNyoA;_ylu=X3oDMTEydmluZGpyBGNvbG8DZ3ExBHBvcwMxBHZ0aWQDQjExNzhfMQRzZWMDc2M-
 
モルディヴ、弾圧に対し高まる非難に直面11/5the Guardian
ヤミーンYameen大統領は、爆発事件の後に非常事態宣言を発したが、これは、今週予定されている大きな反政府集会開かれる直前に基本的人権を停止し、そして、治安部隊に対し容疑者逮捕の為の全権限を与えるためのものである。米国国務省のスポークスマン、ジョン・カービー(John Kerby)は、同国政府に対し非常事態宣言を解除し憲法の保証する人権をただちに回復するよう求めた。木曜日には、モルディヴ議会副大統領アーメッド・アディーブ(Ahmed Adeeb)を大統領暗殺謀議の罪で弾劾し、85議席中賛成票61票、反対票ゼロで国家叛逆罪によ弾劾決議した。野党のモルディヴ民主党はこの投票を棄権した。旧宗主国の英国も11年ぶりに米政府の懸念に同調し、英国のアジア方面担当大臣、ヒューゴ・スワイヤ(Hugo Swire が、モルディヴ政府を非難した。http://www.theguardian.com/world/2015/nov/05/maldives-government-faces-growing-international-criticism-over-crackdown



モルディヴ、非常事態令を早々に解除 (2015/11/10,Yahoo News) 
Yameen Gayoom大統領
ヤミーン大統領は、国際的な非難に接して非常事態令が観光業にも悪影響を与えるとの懸念から、発令後1週間をまたずにこの非常事態令を解除し、全ての人権を回復する、とした。 同国の司法長官Mohamed Anil 大統領は、爆発事件や武器発見に関する捜査に大きな進展がみられたことや、国際的な非難、観光業への影響等を顧慮しこの決断を行った、と発表した。


野党のモルディヴ民主党は、この発表を歓迎するものの、この非常事態宣言は第一に、先週金曜に企画されていた前・大統領のナシードの解放を要求する反政府集会を妨害する為の政治目的のものだった、とした。


同党は、「Yameenは政治的な仕返しの為に、国家の非常事態を捏造したものと思われる。彼は、ますます常軌を逸しており、そのパラノイア的で危険な行動は、国の大統領には相応しくない。彼は失敗した人間であり、辞任すべきである」、との声明を発した。 
http://news.yahoo.com/maldives-president-revokes-state-emergency-early-131131014.html


*モハメド・ワヒード・ハサン博士
モハメド・ワヒード・ハッサン: Mohamed Waheed Hassan195313日生)ナシードの大統領辞任後の201227 – 20131117日に副大統領に在任。スタンフォード大学で博士号取得。1980年、モルディブ憲法議会議員に任命。 1989年、モルディブ人民議会議員選挙で当選。1991年から2006年まで、ユニセフに勤務した。20086月に帰国して、国民統一党を結成。 200810月のモルディブ大統領選挙に副大統領候補として出馬して当選。 
Mohamed Waheed Hassan

201227日にモハメド・ナシード大統領が野党との対立やデモにより辞職すると、第5代モルディブ大統領に昇格。20131111日に前大統領の分の任期を満了したが、大統領選挙が延期され続けたため、1117日まで暫定大統領として職務を執行した。しかし、大統領選挙の最中の1115日、録画した辞任メッセージをメディアに公表し、診察を受ける妻に同行するとしてシンガポールへ向け出国した。https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=モハメド・ワヒード・ハサン&oldid=54663474

http://www.dhivehisitee.com/election-2013/candidates/mohamed-waheed/ 
(モハメド・ワヒードとは誰か?

モルディヴ、英連邦に対し連邦脱退への政府申立てをブリーフィング (7/29/2015, raajje)
https://raajje.mv/44938

モルディヴ議会は先週、大統領ヤミーンからの議会への手紙による依頼に基づいて、モルディヴの英国連邦メンバーシップの更新について討議した。この討議で与党モルディヴ先進党の議会総務であるアーメッド・ニーハン(Ahmed Nihan) は、英国連邦内部のより大きな国による行為は脅しであり、苛めなので─もしも、同連邦を脱退すべき場合には政府はそれに躊躇しない、と言明して、「彼らの 行動とは、教室でより大きな子供が、一番弱い子供を苛めて喜ぶようなもので、我々はそれを受け入れられない」と述べた。


アムネスティ、白昼の弁護士刺傷事件の捜査を要求 (2015/9/5, Maldives Independent)

アムネスティ・インターナショナルはモルディヴ当局に対し、弁護士マフフーズ・サイードの白昼の刺傷事件に関する、迅速かつ徹底した捜査を求めた…前・大統領モハメド・ナシードの弁護士団のメンバーで、野党第一党のモルディヴ民主党(MDP)法律委員会のマフフーズ(26歳)は、夕方5時頃にバイクの二人組の男に頭を刺され─左の側頭部にナイフが刺さったまま病院に急送された。26歳のマフフーズは左耳の上に3.5インチの深さに刺さったナイフの除去手術を受けたが(視覚や脳機能へのダメージはなく)快方に向かっている。病院に搬送された際の彼の画像は、ソーシャル・メディアを席巻した。
 
若手弁護士のホープとみられていたMafhooz Saeed

アムネスティ担当者は「人権の保護者の自由は保護されるべきで、この悪意ある攻撃の犯人を捕捉して必ず責任を糺すべきだ。この攻撃のターゲットがマフフーズであった可能性は高く、その動機の解明が重要」「過去2年間にモルディヴの人権保護の状況は衰退して政治的緊張が高まり、野党支持者らの間に恐怖が広がっている。当局はこうした攻撃が許されないと明言すべきだ」と述べた。
攻撃はJared Genser、 Amal Clooneyらの弁護団到着の前夜に行われ、その直後に数人の野党議員がもしも政府の推す新テロリスト法案に反対票を投じないなら、「マフフーズと同様に」殺害するという脅迫メールを受け取った。http://maldivesindependent.com/politics/amnesty-calls-for-investigation-of-lawyers-brutal-stabbing-in-broad-daylight-117029
 
*与党議員野党の全議員を収監すると脅迫 
 

*FBI、船上の爆弾の存在を否定 FBI: No evidence that Maldives explosion was a bomb   http://www.aljazeera.com/aboutus/fbi-evidence-maldives-explosion-bomb-151101023311706.html

*副大統領アディード、9/12にCNNに寄稿(2015/9/12)
 Struggle in paradise: The case against former Maldives President Mohamed Nasheed  http://edition.cnn.com/2015/09/12/opinions/maldives-vice-president-ahmed-adheeb/index.htm (=政府を代弁してナシード元大統領を批判し彼の拘禁を擁護している)  

*元副大統領アディード、腐敗を追及したジャーナリストの昨夏の失踪に関与?
 Suspicion cast on ex vice president over journalist’s disappearance
http://maldivesindependent.com/politics/suspicion-cast-on-ex-vice-president-over-journalists-disappearance-120159

*ナシード元大統領の弁護士が、国連機関のバックアップの許で彼の解放を求めて、下級裁判所に申立てへ(2015/12/22) http://maldivesindependent.com/politics/nasheeds-lawyers-petition-lower-courts-to-secure-release-120905 Nasheed petitions lower courts to secure release

*元副大統領アディードが心境のOp-Ed寄稿 (2015/12/12,The New Indian Express=>Maldives Independence)I fear for myself and the future of Maldives: former vice president
 http://maldivesindependent.com/feature-comment/i-fear-for-myself-and-the-future-of-maldives-former-vice-president-120587 

*イスラム過激派"取材中のドイツARDのクルーが'やらせ'で強制送還(ドイツのTVクルー、撮影対象のモルディヴ人らにイスラム過激派の名を口する事を依頼…)
http://maldivesindependent.com/politics/maldivians-who-assisted-deported-german-crew-under-fire-120874/comment-page-1#comment-185094 

※政情不安の"頻発"するMaldivesでは、反体制派野党党首イムラン・アブドゥラ(*下右)のほか、 モハメド・ナズィーム前防衛大臣らも現政権により投獄されている

Sheikh Imran Abdulla

 

に http://doreview.blogspot.jp/2010/04/president-pardons-ibrahim-moosa-luthfee.html (President pardons Ibrahim Moosa Luthfee, co-founder of Sandhaanu)(Dhivehi Observer Maldives News,2010) 

Ibrahim Moosa Luthfy
*上記の記事にリンクされたナシードとルスフィが共同設立したSandhaanuのサイトとは、Gayoomの行った政治犯拷問殺害の凄惨な遺体写真を掲載する告発サイト
            ↓
*Gayoom is fully aware of torture in the Maldivesガユームは拷問を完全に承知していた (2008/11, MARVERICKS) https://maverickmagazine.wordpress.com/2008/09/11/gayoom-aware-torture-maldives/ 
 (拷問死した政治犯らの写真の暴露が、2003年スリランカでのMDP(モルディヴ民主党)の結党、モハメド・ナシードの大統領選での勝利…独裁政権の終焉をもたらしたという)