Wednesday, December 16, 2009

オバマの「アフガン戦争計画」への 高まる疑念?…Obama, Peace and War?


 ノーベル平和賞の授賞スピーチでオバマ大統領は、アフガニスタンでの戦争は 911に淵源があるもので─米国の安全のための”Just War”(正しい戦争)であると論じた…
 ブッシュのイラク戦争はこれと異なり「仕掛ける必要のない、大義なき戦争だった」、とけなすことにより、オバマは大統領選に勝利したからでもある…

─しかしさすがに、このご都合のよい”Just War"議論は、米国人の間でも批判を呼びおこしている


[例] R.Mackeyは "Just War、Unjust War"の議論はイラク戦争開戦の前夜に、同じノーベル平和賞受賞者だったジミー・カーターがNYTに寄稿していたテーマだ、とも論じている… ↓
 http://thelede.blogs.nytimes.com/2009/12/10/just-war-theory-and-afghanistan/
‘Just War’ Theory and Afghanistan By ROBERT MACKEY

 ── “Global Research”のウェブサイトでは、戦争を拡大させるオバマは、”Economic elite” …で軍産複合体のdecoyなのだといっている…
(http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=16410 )  
Af-Pak War Racket: The Obama Illusion Comes Crashing Down by David DeGraw   

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──昨今の米政権は、いわゆるテロリストのアルカイダと、穏健派も含むタリバンとは別の存在、のように認めつつもあったのではなかったのか?… 米政権が新たに発表した「Af-Pak戦略」の軍事的基本方針というのが、なぜまた強硬なタリバン掃討の継続に立ち戻ってしまったのか疑念を述べる人も少なくない… ↓例えば Juan Coleのブログも我々の心に浮かぶ一抹の疑念を代弁するかも 

オバマ、平和と戦争 Obama, Peace and War (12/11、By Juan Cole)

 ノーベル賞委員会がオバマに平和賞を授与した理由は…オバマがGeorge W. Bushではないからだ…というのが本当ならば、彼らはオバマの授賞スピーチのなかにブッシュの対テロ戦争の枠組が残っているということを知って、狼狽するに違いない。

…それは、偉大なスピーチだった… ガンジーやキング牧師、人権思想や経済的な正義にも触れて語られたスピーチとして。ブッシュができるスピーチではなかった。

 しかしオバマは、最終的には、GWOT(Global War On Terror)の引力には逆らえなかったようだ。その責任のありかは他者にある、とされ、米国に責任は課せられなかった…イラクで犯した戦争犯罪によって、告訴される米国高官なども居りはしない…。

 (極端で、周縁的な)テロリスト・グループであるアルカイダは、米国国防省(ペンタゴン)への挑戦であるとされたが、インターポール(国際警察)への挑戦とはみなされなかった。そして、アフガニスタンの反乱勢力は、アルカイダと同等だと見なされた。イラン、それは核兵器開発プログラムを持っていないにも関わらず、北朝鮮と同一視された。

 オバマは、平和的な紛争解決は望ましいと示唆していたが、しかし、そこには軍事的な解決を求めるとの挑戦が提起された。しかし彼は無意識に、うっかり軍産複合体に好意的に、その机上に物事を積み上げた──ブッシュ主義者のレトリック…敵を'evil'(悪)と呼ぶいい方…をキーフレーズの継ぎ目に用いたり、テロリズムへの返答は軍事行動であると論じていた… そして誤った同一化を断定的に用いることによって、戦争は不可避だとみせかけた。

 オバマは彼自身が空想家なのか、テクノクラートなのか、未だに決めてはいない。ノーベル賞委員会は、彼が前者であることを望んでいた。しかしこのスピーチでは、彼らに対して、オバマは後者の姿をみせた…
http://www.juancole.com/2009/12/obama-peace-and-war.html

 また、Asia timesのG.Porterの記事では、米政府はタリバンからの<平和的提案>があったものも、拒否しているという↓

US silent on Taliban's al-Qaeda offer By Gareth Porter (12/17、Inter Press/Atimes)

 …タリバン指導部は12月初めに、オバマ政権に対し、彼らがアフガニスタンを「他の国への攻撃のための拠点にしないとの法的な保証 (Legal guarantees)を与える」、との提案をおこなったという…。しかし、これに対して米政権は沈黙を守っている。

 タリバンからのオファーに関しての米政権の沈黙は… ヒラリー・クリントン国務長官が公式声明のなかで述べたこと…「タリバンが自分たちをアルカイダから切り離して、いかなる提案を行うことにも疑念がある…」との見方にも関わらず、そのような提案をベースにした交渉のドアは開かれていることを示している。

…しかし、タリバンはオバマ政権の立場としては提案を拒否したとみている。

 タリバンは報道各社に12/5に、4日付の声明メールを送った。そのなかで彼らは「我々には、他国の内政に干渉するいかなるアジェンダもない。もしも外国軍がアフガンから撤退するならば、そのことへの法的保証(Legal guarantee)を与える」としていた。

 …その声明文にはアルカイダへの言及はまったくなく、またそうした「干渉」に対する「法的保証」の意味とは何か、についての詳しい説明もなかった。しかし明らかにそれは、米国が過去に行った主張──アフガニスタンでの戦争は、アルカイダが同国を安全な避難地(safe haven)とすべく再び戻って来ることを阻止するために必要だ という議論への回答だといえる。
 このことから、タリバン自身がアルカイダとの連携を否定することでの米国との間の合意に関心があり、また米軍の撤退とそれとを交換条件とすることに関心がある、と推測された…。

 これに関して、この2、3週間インタープレス・サービスは、国務省スポークスマンのP J Crowley氏や National SecurityCounsilの報道担当 に、オバマ大統領がこの件を知っているのか繰り返し確認を試みていたが何の回答もなかった。12/5付のWSJの記事はこの件に関して唯一、政府高官へのインタビュー内容を伝えた。その高官はビンラディンとの繋がりを断たなかったグループが、アルカイダとの連携を断つとは信じがたい、との立場をとった。

 翌日、ABCのジョージ・ステファノポロスのインタビューでクリントン長官はタリバン上層部との交渉の可能性について訊かれ「我々はまだ知らない」と答えた。またその件は、アフガン戦争開戦前に米国はオマール師に確認しており彼らが意思を変える筈はないと長官は付け加えた─

 ゲイツ長官は同じインタビューでタリバンの上層部はタリバンが弱体化するまで、米国との交渉に臨むことはない、そして「それはたった今、我々が彼らの勢いを削ぐかどうかにかかっているだろう」と推測を述べた…しかしその2日後"Mujahideen"と名乗るタリバン指導者が、米国は彼らの提案を拒否したとネット上に投稿し…彼は同時に、彼らの次なる政府は外国政府が撤退するなら他国に干渉することはないと繰り返した─
(この後国務省とNSC担当者はクリントン、ゲイツ長官らの懐疑論をあえて繰り返さずに沈黙を守っている)

 しかしPhiladelphia Inquirerのコラムニストによると、11月にKabulで匿名の米高官が「もしもタリバンがアルカイダと縁を切り彼らの目的が非暴力で非政治的だと宣言するなら──米国はここで6万8千の兵力に加えた追加兵力を維持する必要などない」と語ったという…。

 オバマ政権の多くの人間がそれをタリバンの大きな詐欺工作だと考えた。ブルッキングス研究所のBruce Riedelもそれは目眩ましだろうという。しかしRiedelでさえも、昨今のパキスタンのタリバンによるパキスタン軍とISIへの攻撃は…ISIとアフガンのタリバンの間の密接な繋がりに脅威を与えているという──そしてパキスタンのタリバンはアルカイダとの密接な繋がりも維持している。

 タリバンは2007年以来米国とNATOとの交渉にオープンな関心を示してきたが、彼らが米軍撤退との引き換えにアルカイダと手を切るとの提案は、3ヶ月前に発されたに過ぎない。

 9月中旬のEid al-Fitrの祭日の際、オマール師は声明で「我々には他国を危機に晒す意図はなく、他国が我々を危機に晒すことも許さない。我々の目的はイスラム体制としての独立だ」と述べた。しかし反乱勢力のリーダーたちは交渉は米国の出方次第だとも表明し続けた。

 オバマが新戦略を発表した直後の11/25に、オマール師は3000語の声明を発し「アフガンの民衆は軍事的な駐留延長を法的に正当化し続ける侵略者との交渉はありえない。米国の侵略者は交渉の名を借りてムジャヒディーンを降伏させようとしている」、と述べた。それはタリバンが米軍撤退を条件に交渉する余地があることも示している。

 タリバンの提案の翌日カルザイ大統領はCNNのインタビューで、米国とタリバン指導者との交渉が緊急に必要だが、オバマ政権はそれを拒否したとした。彼は交渉への米国への参加を明らさまには求めなかったが、米国が参加しない限りアフガン政府だけでは無理であると述べた…
http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/KL17Df02.html


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