Sunday, August 8, 2010

「グラウンド・ゼロ・モスク」のイマーム、ユダヤ系米国人からの支持に感謝/ 'Ground Zero mosque' Imam thanks U.S. Jews for support- By Natasha Mozgovaya


「グラウンド・ゼロ・モスク」のイマーム、ファイサル・アブドル・ラウフ、ユダヤ系米国人からの支持に感謝を表明─

─ADL(名誉毀損防止同盟)は、グラウンド・ゼロ近くのモスクの建設は「逆効果」と非難。
一方"J Street"は1万名以上のモスク支持者から署名を集めた─

(By Natasha Mozgovaya 、8/4,  Ha'aretz)
(*写真は45 Park Placeでモスク計画の支持を訴えるユダヤ教ラビ、Arthur Waskow氏)

 グラウンド・ゼロから2ブロックの地点におけるモスク建設計画の主導者、イマームFeisal Abdul Raufは、この火曜日、広範にひろがる反対の声の中でイスラムセンターの計画を支持してくれたユダヤ系米国人たちへの感謝を表明した。

 「私は、ユダヤ人の友人、同僚たちによる、この厚意に満ちたジェスチャー(身ぶり)と支援に心からの感謝を表明する」、と彼は述べた。「貴方がたによる支持はユダヤとムスリムの文明が過去に分かち合ってきた相互協力の偉大な歴史と、相互理解を反映し、全ての米国人の間で今後も継続する我々相互の対話の永続的な成功と、宗教の自由や寛容性・協力関係への献身のあかしでありつづける…」 

 ニューヨーク市のエリアでは、米国ムスリム前進協会(American Society for Muslim Advancement)と、コルドバ・イニシアティブ(Cordoba Initiative)と呼ばれるイスラム系グループがグラウンド・ゼロから2ブロック地点に計画中の、この13階建てイスラム・センターとモスクの1億ドルをかけた建設プランへの感情がヒートアップしている。

 このほかの挑発的な面としては、911のテロ攻撃の10周年を期した新たなイスラムセンター開設の計画であること、またその資金の大半がサウジアラビアとフォード財団に負っていることがある。

 土曜日に、(ユダヤ人団体)「ADL(名誉毀損防止同盟)」はこの計画は「逆効果だ…」としつつも、大目にみる声明を発した。

 「グラウンド・ゼロ・モスク」計画として知られるようになった…このコルドバ・イニシアティブのNYCプロジェクトは、国中での論議を過熱させてきたが…先週の水曜日以来、議論はユダヤ人団体を中心としたものにシフトしてきている。

 ADLは…我々は宗教の自由を支持し、頑迷さを拒絶する、と強調した─(しかし、ADLは)新たなイスラム教センターに選ばれたこの場所が、センシティブなサイトであることを鑑みて、コルドバ・イニシアティブがモスクを含む13階建てのイスラム・コミュニティー・センターを911現場から2ブロック先に建てたいとの主張は「逆効果、counterproductiveだ」、と評した…それでも、その声明文のなかでは「イスラム・センターの提案者はここにそれを建設するあらゆる法的権利を有するかも知れず、彼らはイスラム教についてのポジティブなメッセージすらも発するためにこの場所を選んだかも知れない」、とつけ加えた。

 それでもリベラルなユダヤ人たちは即座にADLの声明を「偽善的」と非難し、それは彼らによる最近の決断と、彼らの宣言するミッションを害するものだとした。親イスラエルのロビー・グループ、JStreetは、1万人以上のモスク支持者の署名を集め、コルドバ・ハウス建設に関する議決がなされるよりも前に、それをNY市の歴史的建造物保存委員会に提出したのだ(同委員会は、全会一致でこの地の〔*911の遺構として建物に手をつけないとの〕景観保存規制には反対票を投じた)

 「米国のムスリムたちが、米国中のユダヤ人コミュニティ・センターをモデルに、ローワー・マンハッタンにコミュニティ・センターを建設しようとの計画に対する反対意見に驚愕し、J Streetは信教の自由への支持と、反ムスリムの頑迷な考えに反対する署名を集めている」とJ Streetはそのウェブサイト上で表明した。

 リベラル誌「Tikkun」〈イスラエルの著名な宗教系雑誌〉の編集者、ラビMichael Lernerは、ADLの決定は「恥ずべき」ものだとし、「ADLのリーダーAbe Foxmanは、彼らの組織が差別と戦う立場をとると表明しつつも、その公式声明は相手を攻撃しつつ嘆いてみせているという、完璧な例にすぎない」と言って批判した。

 Shalom Center の設立者のラビ、Arthur Waskowは、他の30人ほどのラビやユダヤ人リーダーたちと共にセンターの建設を支持し、支持者たちにFoxmanのオフィスにコンタクトをとって彼の組織が立場を変えるように働きかけて欲しい、と頼んだ。

 AJCもまた火曜日にコルドバ・イスラミック・センターは「建設される権利を有する」、と述べた─しかしその創立者たちに対しては、「彼らの資金源や、テロリストへの支援への懸念を表明してほしい」、と要請した。

 コネチカット州上院議員のジョー・リーバーマンは、センター建設にいくつかの条件をつけてほしいと要望し─基本的に、このセンターの建設が911の犠牲者の遺族や友人らにどのようなインパクトを与えるかの評価、またセンターのスポンサーたちの意図や、その資金源に関する更なる評価がなされるまでは、「このプロジェクトをストップして欲しい」と求めた。

 Park51プロジェクトのリーディング・デベロッパーであり、アッパー・マンハッタンのユダヤ人コミュニティ・センターのメンバーでもあるSharif el-Gamalはハーレツ紙に対して、彼が5年間にわたり、センターの建設を意図してそのビルを購入しようと試みてきたことが、このような注目を浴びるとは予想もしなかった、と語った。「私は10年近くにわたり、この近辺で物件を探していた。ニューヨークで不動産を見つけるのは容易ではないからだ」、と彼はいう。

 ユダヤ系の義理の姉妹をもつEl-Gamalはこう付け加えた─「このモスクは、より大きな施設の構成要素の一部となるが、他の施設とは切り離して非営利で運営される。そこにはジムやプール、レストランも作られる。スパや多目的施設、そしてまた911の犠牲者への顕彰するメモリアル・スペースも設けられる」と。 (*写真はEl-Gamal氏)

 モスクの計画を批判する者たちは、イマームのFeisel Abdul Rauf(モスクの計画提案者)が911のテロ発生の直後にCNNに対し「米国のポリシーとは、ここで起きた犯罪のアクセサリーのような物だった。我々(米国)は、世界で死んでいく多くの罪のない人々の命にとってのアクセサリーだった。オサマ・ビン・ラディンは米国によって作られた」などと語った、という事実を挙げている。

 こうした批判者たちの声に呼応してAbraham Foxmanはハーレツ紙に対し、彼の声明が「政治的な意図(アジェンダ)を持つ、全てのグループや人々によってねじ曲げられた」、と語った。
 「ADLの立場は非常に明白で、単純だ─ それはこの建設計画のロケーションと、感情的な過敏さ(センシティビティ)の問題であり、宗教の自由や、偏見に関する問題ではないのだ。カソリック協会がアウシュヴィッツの近くに祈祷のためのセンターを建設したいと言った時にも、我々はノーと言い、世界に呼びかけてこれに反対するように求めたのだ」、とFoxmanは言った。

 「(前法王の)ヨハネ・パウロ2世が彼らのセンターを(アウシュヴィッツから)1マイル離れた地に建設すことが可能だ、と言明したときまで、我々はアンチ・キリスト教だというレッテルを貼られていたが…実際、過去15年間、それはいかなる争い事もなくその場所に在ったのだ」、と彼はつけ加えた。
http://www.haaretz.com/jewish-world/ground-zero-mosque-imam-thanks-u-s-jews-for-support-1.305883
*NY市では許可が出されつつも、全米で反対の声があがるモスク計画に、↑イスラエルの中道リベラル紙ハーレツではこのような冷静な記事を掲載?

*世論調査(6/21-28)では過半数のNY市民がモスク計画に反対(クウイニピアク大学研究所調査、NY市の有権者 1,183 人回答)
http://www.nbcnewyork.com/news/local-beat/New-Yorkers-Oppose-Ground-Zero-Mosque-Poll-97602569.html
(*52%が反対、31%が賛成、17%が未決定。地域的にはリベラルなマンハッタン区では賛成者が多く反対者は僅か36%のみ、逆にスタッテン島では76%が反対)

*ADL(名誉毀損防止同盟)のモスク計画に対する声明文(7/28)
http://www.adl.org/PresRele/CvlRt_32/5820_32.htm
(計画に反対したとの解釈と、大目にみたとの両方の解釈がある…この地での建設案を非難しつつ、計画者にはすべての法的権利がありうると微妙に譲歩する?)

*多民族都市擁護派・ブルームバーグNY市長の「激烈な」モスク計画支持声明も話題に
http://www.youtube.com/watch?v=tQsHc1EHgQY

*6月6日のNY市でのモスク反対集会
http://www.youtube.com/watch#!v=VK1W4HDGa08&feature=related

*NYの辺鄙な島、スタッテン島コミュニティセンターでの反対者集会
http://www.youtube.com/watch#!v=j1ux4G7wMNc&feature=related

*グラウンド・ゼロ・モスクの設立者、RaufのFOXでのインタビュー
http://www.youtube.com/watch#!v=YTX_licVz88&feature=related
…Cordoba Instituteのチェアマン、Faisal Abdul Raufと911に現場で活躍したNYCの消防士Tim Brownが討論
Raufは以前からトライベッカにもモスクを持ち、911の後にはFBI当局の捜査にも協力、ムスリム社会と周囲の社会の関係改善に努力してきたと語る。最後にモスク計画の資金源を問われるが、NYの金融街で成功したムスリムなど彼らの組織の「多くの支持者」からのものだと語る?(討論が丁度時間切れとなる)

*昨年12月、Abdol Raufの妻Daisy KahnへのFOXのインタビュー
http://www.youtube.com/watch?v=q7WbTv_gsx4&feature=related

*コルドバ・イニシアティブのsite:Park51プロジェクト声明
http://www.cordobainitiative.org/

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