Tuesday, February 7, 2012

シリア:メール・オーダーの虐殺?Syria: Mail-Order Massacre?


2月4日に、国連でのシリア非難決議案にロシアと中国が拒否権行使
これと同時にシリアのHomsで起こった約300名の市民の虐殺は…
政府側と反体制側どちらの仕業? 欧米メディアと異なる、Pravdaのいい分は? 

シリア:メール・オーダーの虐殺 Syria: Mail-Order Massacre 2.4.2012 - By Timothy Bancroft-Hinchey (2/4、English Pravda)

 誰か、リビアのことを覚えているか?リビアでNATOが、ロシアと中国にこういって約束したときのことを…リビアの市民らを守るためには飛行禁止区域を設けるしかない…そしてそこを埋めに後からNATOが防御のためにやってくるから、といって。 そして2月4日は、NATOが後援するシリア反体制派による残虐テロが頂点をきわめ、偽のフラグを立てた出来事を起こしてX-Dayを宣言した日だった…NATOの軍を送りつけ、第3次世界大戦をスタートさせようとして…。

 NATO、またの名をFUKUS枢軸国〔France、UK、UKそしてIsrael〕が、国連決議1970及び1973を作成し…リビアの空軍機と、「都市や町々を爆撃する政府軍の航空機」がおこなった「酷い虐殺の数々」にもとづいて…リビアに飛行禁止区域を作ったときのことを覚えているか?リビアの当局が外国の報道機関に自由を与え、何時間か前にそれらの攻撃があったばかりの場所へと彼らを連れて行くからと告げたときに、何が起こったのかを覚えているか? (*FUKUS-Axis...筆者が前回の同じコラム欄http://english.pravda.ru/opinion/columnists/06-01-2012/120164-iran_hormuz-0/でFUKUS threeと呼んだジョーク)

 FUKUS枢軸国が、ロシアと中国に詳細を語るのに失敗したとき…そして、ミッション・クリープ(mission creep*末尾註としての飛行禁止区域戦術が、NATOの特殊部隊によるフルスケールの侵攻に転じたことを覚えているか(…そしてそれが、リビアで街の黒人たちの喉元を切り裂き、女性をレイプし、金属釘で子供らを突き刺し、人々や建物を焼き払い、泥棒や殺人、拷問、テロを働いたテロリストたちに与える全面支援へと転じたことを?)…どの国の政府が、そうした惨劇をバックで支援していたのかを覚えているだろうか?

 紳士淑女の皆さん、サーカスが街に帰ってきた…今回はシリアに。同じFUKUS枢軸国が企んで、シリアで虐殺をはたらいたテロリストらを武装させ、訓練している─そして、シリアの政府軍がそれに反撃したときには、彼らはヒラリー・クリントンとウィリアム・ヘイグ、アラン・ジュッペたちや…意志盛んな西欧メディアの批判の嵐によって嘲笑された…虐殺と、理性を欠いた軍隊と、人々への弾圧を告発されて。

 シリアの反政府勢力とは、シリアの民衆ではない。反政府勢力の言うこととは異なり、シリアの政府は人々に大いに人気がある…そして反政府勢力の言うこととは異なり、そのシリア国民評議会(Syrian National Council)という(反政府派の)組織は、リビアの暫定国民評議会のミラー(鏡像)なのだ…レイプ犯や、レイシスト、拷問者、放火犯、盗っ人や、殺人者らだ。そしてシリアの国民評議会SNCとは何なのか、それは、トルコを本拠としたSuriye Ulusal Geçiş Konseyiというグループだ。地政学的地図によれば、オスマン朝時代の…オスマン帝国がその地域全体を支配していた時代へとさかのぼる。親西欧の中央アジアと中東のパワーブローカーである、トルコとカタールの台頭を、称賛したいのか?

 一部では…もう一つのFUKUS枢軸国もまたこの地域を支配するために、そして来るべき戦争…まずはイラン・イスラム共和国との、そして次にロシア・中国との戦いへの足がかりとしてそれを用いようとしている。

2月4日:シリアの反体制派によって放たれたXデー
 シリア大使館の外でのシリアのはみだし者や亡命者らの反対デモと、今日の「Homsの虐殺」と呼ばれるものの偶然の一致に、誰か気づいた者はいるだろうか?西欧諸国の報道機関は─FUKUSに支援された反体制勢力の売るストーリーを従順に受け入れ、「我々には証拠はないが、我々にはそれを信じない理由もない」、などと書いている。実際には反体制勢力とFUKUS枢軸国は同じ存在であり、FUKUS枢軸国の軍備で暴虐を振るうために用いている。これは、アフガニスタンやコソボ、イラク、リビアにおきたのと同様のテロリズムと呼ばれるものだ。FUKUSの枢軸国は、その帝国主義的野望を受け容れる者なら、どんなテロリストとでもためらいなくはしゃぎ回るのだ。

メール・オーダーの虐殺 Mail-Order Massacre
 その虐殺、国連での決議投票のちょうど直前のいま(2月4日に)Homsで起こっていると思われる「虐殺」とは…ちょうどPravda紙が(1週間前に)シリアの敵によるトルコ国境への化学兵器の密輸の策略について暴露したためにその攻撃が実行されなかった、その1週間後に起きているのだ。

 その問題の「虐殺」とは─国連で進行中の決議投票の直接の影響をうけて起こったと思われるのだが─ いったい誰が行っているというのか?治安勢力が罪のない市民らを虐殺した、という証拠を誰か持っているのだろうか?武装したテロリストのギャングが近隣を包囲したときに、あなたは何をすると思うのか?シリア人たちはこうした傭兵やテロリストたちと、1年近くも戦ってきている。それとも、その「虐殺」はシリアの敵(Enemies of Syria)によって行われ、そのあとに政府軍からの報復の攻撃をうけたというのか?

 西欧メディアは105名から217名の人々が殺されたと報じて、西欧の人権団体組織も虐殺が行われた、と主張したが、BBC、SKY、Al Arabiya、Al Jazeera、AFPにはいかなる信憑性があるのか?リビアでも「反政府勢力」がテロリストやレイプ犯、レイシストと殺人者で構成されていることを我々は余りにも明白にみてきたが、シリアの敵Enemy of Syriaらとはいったい何者なのか?

 Homsの虐殺とは、政府による虐殺なのか、それとも国連決議投票の前夜に、シリアの敵Enemy of Syriaによってなされた、メール・オーダーによる虐殺なのか?それは余りにも、明白ではないか?もし国連安保理が投票しようとしていたなら、なぜシリア政府は彼らにモスクワと北京において巨大なプレッシャーをかけ少なくとも棄権させる理由を与えつつ、FUKUSの枢軸国による介入には拒否票を投じなかったのか(それは、いずれにせよ、もしもシリア非難の決議が通ったなら…リビアで起こったように…彼らのサインした紙切れなどは何の意味もなさないものになる)

 PravdaのHomsでの情報源によればその「虐殺テロ」では、テロリストらがアサド大統領の属するアラウィの少数派の人々の家から家をまわって虐殺を行ったのだという。メインフォト http://pravda-team.ru/eng/image/article/5/3/5/46535.jpeg )
をみるがいい。 矢印が示しているのは、それらの遺体の腕が縛られていることだ。すると、もしもシリアの政府勢力がコミュニティを銃撃したのなら、彼らはまず家々に踏み込んで人々の手を縛り上げ、その後に彼らを銃撃したというわけなのか?

 そんなことを信じるのが、いかに愚かなことか?事実はこれらの人々は、Homsで活動していたイスタンブールの親・FUKUS枢軸国のテロ部隊によって捉われたのだ─彼らは手を縛られて処刑され、そして当局が踏み込んだときに、カメラが人々のためにすべてを写すようにとカメラに向けられたのだ。西欧のくそ報道機関が、国連の決議投票とちょうど同時に、いまひとつの素敵な、気の利いたストーリーを我々のために拵えた。そして、ヒラリー・クリントン、ウィリアム・ヘイグ、アラン・ジュッペが彼らの主張をした。せいぜい、彼らのいうこととは完全に効力を持たず、最悪でも何かもっとずっと邪悪なことなのだ。
 彼らはロシアと中国が愚かだとでも思っているのか、それとも?

終わりに─ ライターのNajah Ibrahimは、この国がかつて歴史上一度も分裂やレイシズムや宗派主義(セクタリアニズム)に陥らなかったことを確信し、知識人たちに対して外国から押しつけられる危機に対抗するようにと呼びかけた。

更なる証拠─ これこれはHomsで、今日2月4日に誘拐された人々の書類〔死者の名前のリスト〕だ。彼らはすべて親政府側のシンパサイザーだ。今日、西欧に提示され、明日国連に提示される死者らの写真のなかにその多くが見られる↓
https://docs.google.com/spreadsheet/ccc?key=0AgcBgBbbRTCcdFZGNjNNdkM2bWpubmJCOWhKLXJVbHc&hl=de&pli=1#gid=0

 面白い。政府軍による「犠牲者たち」は銃撃によって処刑されたようだ… http://www.youtube.com/watch?v=5ito83NnXKc&feature=share

化学兵器による虐殺も、Homsの虐殺ももはやこれまでだ…
お次は何なのだろうか?

Timothy Bancroft-Hinchey  Pravda.ru
http://english.pravda.ru/hotspots/terror/04-02-2012/120420-nato_homs_terrorists-0/


victims of shelling by the Syrian army in the Khalidiya 2.4

拒否権の力 Veto Powers By Daniel Politi (2/6, International Herald Tribune・NYTimes) 

  ロシアと中国の政府は、シリアの暴力を終わらせるための国連安保理での決議に拒否権を用いたことで、批判の嵐を浴びた…しかしそこには、他の見方もある。

 各国のメディアによる意見やコメンタリーをざっとまとめると:

 中国の「Global Times」は北京の強固な位置を、中国の外交の新時代を開くとして称賛した。中国はついに、それが必要としていた「口を開くことによる報復を果たした。その本当の考えを隠すことは問題を避ける助けにはならない」。

 「China Daily」にとっては、拒否権の行使は「グッド・ポリシー」の問題だった、なぜなら「国際社会は、シリアの危機解決を助けるいかなる試みにおいても、主権と独立、領土の統一性を尊重せねばならない」からだ。マレーシアの「New Strait Times」もこれに同意し、暴力を終わらせたいとの願いは尊いゴールだが、「シリアの国内問題は他国の割り込むべきことではない」とした。

 「Pravda」のLisa Kaprovaは、より一層好戦的だ。彼女は米国の国連大使、Susan Riceによるロシアと中国への激しい非難について、彼女は「豚の頭をしており」「邪悪だ」と呼んだ。「シリアとリビアのテロリストに、まさに武器を供給しているのは一体誰なのか?米国とその精神病質の同盟者たちだ」といって。その一日前に、「Pravda」は、Homsの虐殺が「テロリスト」によってなされた「メール・オーダーの虐殺」だとも主張した…

 「Dar Al Hayat」では、Mostafa Zeinが西欧諸国の動機について、問いを発する─彼らは本当にただ、「シリアとイランの同盟に一撃を与えること」だけを望んでいるのだと。そうして、国連が民主主義を広めようとしているとは、「もはや誰も納得させられない」という。

 スウェーデン本拠の「Asian Tribune」のS.H. Moulanaもまた懐疑的だ─もしも米国と他の西欧諸国が本当に「中東の問題の解決に関心があるのなら、なぜ彼らはイスラエルにはっきり主張し、パレスチナ人に正当な祖国を与えないのか?」、と…

 さらにまた、「the Hindu」は論じている─NATOがバックで支援したリビアでの、承認なしに(un-authorizedで)行われたMuammar Qaddafiの排除と、ワシントンによる「アサドへの執拗な退陣要求」のあとに、「西欧諸国はこの酷い、延々と続く危機の只中にあってこれまで力と影響力のある同盟国であった国々を疎外していることに関しては、自らを責めるほかは責めるものがない(the West has only itself to blame for alienating what could have been powerful and influential allies in this terrible and protracted crisis)」、と。
http://latitude.blogs.nytimes.com/2012/02/06/russia-and-china-vote-against-u-n-resolution-on-syria/?scp=2&sq=Syria%20Russia%20China%20Veto&st=cse

Government Is Said to Kill 200 in Attack in Syrian CityBy JOAN NASSIVERA
http://www.nytimes.com/2012/02/04/world/middleeast/syrian-government-said-to-kill-200-in-attack-in-homs.html

*〔註〕ミッション・クリープ:終わりの見えない展開◆本来は米軍事用語で任務を遂行する上で目標設定が明確でなく当初対象としていた範囲を拡大したり、いつ終わるか見通しが立たないまま人や物の投入を続けていかなくてはならなくなった政策を意味し批判的に使われる言葉.