Tuesday, January 4, 2011
アル・カイダが、東方キリスト教徒をテロのターゲットに?/ Qaeda seeks Muslims-Christian division in Mideast- By Acil Tabbara
アル・カイダは、中東でのムスリムとキリスト教徒の間の亀裂を利用しようとしている
─アナリストは言う:“中東のキリスト教徒は、攻撃すれば宗派間の衝突が容易にエスカレートする、アル・カイダにとってイージーなターゲットで、イスラエルに利益する”─
ドバイにて By アシル・タバラ
(1/4, Middle East Online)
アル・カイダは、中東のキリスト教徒には反撃の能力がなく、彼らを攻撃すれば宗派間衝突に容易にエスカレートさせられるイージーなターゲットだ、と発見した。
アレクサンドリアのコプト教会で元日に発生した、21人が死亡し79人を負傷させた明らかな自爆テロについての犯行声明は出ていないが、エジプト政府はアル・カイダが間接的に関わっていると示唆している。
46人のキリスト教徒を殺害したバグダッドのキリスト教会への攻撃への犯行声明を出したアル・カイダの一派ISI(Islamic State of Iraq)は、コプト教会に対する脅迫も行っていた…イスラム教に改宗した二人のコプト聖職者の妻たちを彼女らの意に反して、拘束していたとして。
そして12月には、アル・カイダの関連ウェブサイトShumukh al-Islamが、土曜日に爆弾テロのあったアレクサンドリアのAl-Qiddissin (聖人)教会を、ターゲットのコプト教祈祷所の一つとしてリストアップしていた。
“キリスト教徒は他のコミュニティよりもイージーで、弱いターゲットだ”と、バーレーンに本拠をおくInternational Institute for Strategic Studiesのアナリスト、Emile Hokayemはいう。
これは“アル・カイダの新たなる戦略なのだ。(それに比べて)シーア教徒を攻撃することは政治的なコストが高く、彼らには反撃の能力があるため深刻なダメージをもたらす”と、彼はイラクのスンニ派グループについて語った。
“米軍を攻撃することでも(また)、報復攻撃の脅威がもたらされる、それに反してキリスト教徒は報復できない”と、Hokayamはいう。
スンニ派武装勢力がイラクのサマラのシーア派聖廟を2006年に爆破して以来、信仰を異にする者同士の戦闘が勃発し、何千もの人々の命を奪った。
“アル・カイダは非イスラム教徒をすべて背教者であると信じていて、それゆえ彼らを殺害する権利があると信じている”、とイエメンのイスラム原理主義運動のアナリストSaeed al-Gamahiはいう。
“アル・カイダはムスリムとキリスト教徒の間の不安定さ(unrest)と宗教間の衝突を喚起し、おそらく内戦を引き起こそうとしている”、エジプトにおいて…と彼は言う。
彼らのネットワークは“彼らがそこに安住し損ねた国内で、混沌(カオス)状態を引き起こしている”。
土曜日の地中海岸の港湾都市における攻撃は、何百人ものキリスト教徒の若者と警察との間の衝突を含む、怒れる街頭デモを引き起こした。
月曜日遅く、カイロ北部地域の反対者たち(protesters)が、何千名ものコプト教徒の街頭デモを阻止しようとした警察に投石したことで、再び緊張状態が溢れ出た。
エジプトでは、金曜日のコプト教のクリスマス・デーを前に高度な警戒宣言が出された─その日は毎週のムスリムの祈祷・安息日でもあるが─そしてコプト教リーダーの教皇Shenouda3世は、通常通りクリスマス・イブのミサでスピーチをする積もりであると語った。
テロの脅迫の後、ヨーロッパとカナダのコプト教会でも同様にセキュリティが強化されている。
ドバイのInstitute for Near East and Gulf Military Analysisの主任、Riad Kahwajiは、アレクサンドリアの自爆テロだけでは、アル・カイダが戦略を変更をしたとは、結論づけられないという。
オサマ・ビン・ラディンや、エジプト生まれのアイマン・アル・ザワヒリを含む同グループのトップリーダーたちは、未だにキリスト教徒をターゲットにするという明確な声明を発していないという。
東方キリスト教徒をターゲットにすることは、この地域での対立を拡大し、イスラエルに利益することになる”と彼は警告する。
レバノンでは月曜日に、有力日刊紙Daily Al-Naharがこの事件を米国での911になぞらえて、”アラブ世界の、恒久的なSeptember 11”と呼べる、と指摘した。
”これはイラクとエジプト、そして恐らくその他の、宗教的な多様性を擁するアラブ諸国全土に広がる(そこにはレバノンなどの多くのキリスト教徒が含まれる)、危険な暴力的企みだろう”、と同紙は語る。
その他のレバノンの日刊紙As-Safirは、アレクサンドリアでの攻撃が、”エジプトとアラブ世界の未来に地震をもたらすシグナルだ”、と書いた。
バチカンによれば、キリスト教の揺り籠である中東地域には総人口3億6千5百万人中のうち、2千万人のキリスト教徒が住んでいるという。
アナリストたちは全て、こうした攻撃が中東からのキリスト教徒のエクソダスを進めるだけだろう、という点で意見を同じくする。
12月にはUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)が、10月31日のバグダッドの教会での虐殺の後にイラクの何千人ものキリスト教徒が”エクソダス”を開始した、との報告をしている。
バグダッドやアレクサンドリアの教会へのこうした攻撃は“地域全域でのキリスト教徒のパラノイアと恐怖感を拡大し、彼らが標的になりたくはないという信念を高めるだろう。
”それは既にキリスト教徒が激減している地域の、移住の動きをさらに加速することだろう”
(写真はカイロでの抗議デモのキリスト教徒たち)
http://www.middle-east-online.com/english/?id=43413
*中東学者のJuan Coleは、アレクサンドリアでのテロについてのアラブ各紙のレポートをブログに掲載している─
Christian Crowds Protest Violently in Egypt
エジプトで、キリスト教徒の群衆が暴力的に抗議 By Juan Cole (1/2、Informed Comment)
日曜日に、数多くの若いキリスト教徒の群衆が、アレクサンドリアとカイロの街頭で抗議デモを行った─
アレクサンドリアの抗議の群衆は、土曜日の朝、爆破され21人の死者と100人程の怪我人を出したSaints Cathedral に近づこうとして機動隊に阻まれた。カイロのAbbasiya地区では、720万人強のコプト正教徒の精神的リーダーであるコプト教皇Shenouda III世に対し、高位の人物たちが弔意を示しに訪れたSt. Mark’s Cathedralの周りに群衆が集まった。
─私は1970年代に大学院生だった折、Abbasiyaに住んだことがあり、コプト教徒の近隣住民達と会話したことを覚えている─
Misr al-Gadidah紙によれば─
同アラビア語紙によると要人たちが教皇Shenoudaを次々に訪問したが、そのなかには Al-Azhar seminaryの聖職者である Dr. Ahmad al-Tayyibや数人の閣僚たちも含まれた。騒々しい抗議の群衆は、彼らが立ち去ろうとする際に話しかけ、彼らの車を叩いた。少なくとも2人の閣僚が、怒れる群衆によって聖堂内に1時間半ほど拘束された。機動隊は何十にも取り巻き遂には群衆をけ散らした。
抗議デモの群衆はエジプトの内務大臣(米国の国土安全省Homeland Securityのチーフとほぼ同格)に対し、彼が土曜日の爆破テロを防ぐべき任務にあったとし、信任性欠如の面から辞任を要求した。
Al-Arabiya紙は─
スンニ派原理主義グループのIslamic State of Iraqが、聖人教会への攻撃を2週間前に指令しており、そして彼らは攻撃ターゲットとする教会のリストを掲げていたと報じている。イラクのスンニ派の原理主義者たちは中東のキリスト教徒を、米国など、外部世界のキリスト教徒勢力の協力者だと捉えているが、この見方は誤解にもとづいている。またエジプトにおいては、コプト教聖職者たちの2人の妻の件が論議を呼んでいる─彼女らは虐待を受けたため、夫たちから逃れる為イスラム教に改宗を試みたと報じられるが、エジプトの公的権力がそれを阻んだとされる。イラクとエジプトのスンニ派原理主義グループはその事件に怒りを感じ、コプト教徒たちに報復を企てたとされる。
そんな中で、(バチカンの)教皇ベネディクト16世とAl-Azhar Seminaryの聖職者Dr. Ahmad al-Tayyibとの間に、小さな諍いがあった。教皇は(今回のテロに反応して)世界のリーダーたちに対してエジプトのキリスト教徒の保護を訴えた。Al-Tayyibはこれを拒否し、それはエジプトに対する内政干渉であると呼んだが、彼は同時にエジプトのキリスト教徒に対する攻撃に対する熱烈な非難をも繰り返した。彼は教皇が何故、イラクでムスリムたちが殺されていた際にはこれを止めさせるように国際社会の介入を呼びかけなかったのか、と問うた(彼が言うのは恐らく米軍によって、という意味であろう)
エジプトのキリスト教徒への攻撃は、エジプトで現在は平和的な原理主義運動グループであるムスリム同胞団のスポークスマンによっても非難された。彼らはその攻撃が、すべてのエジプト人にネガティブなインパクトを与えたとし、犯人らを逮捕するよう求めている。ムスリム同胞団は、イスラム革命のための暴力行使を否定するムスリム同胞団というものを非難するアル・カイダとは、反目的な関係にある。しかしそのあとこの同胞団のスポークスマンは─レバノンのシーア派ヒズボラを(先の内戦で)爆撃したイスラエルへの非難と、その攻撃の犠牲者遺族への弔意を表すことで、すべてを台無しにしてしまった…。
イランもまた今回のテロ行為を非難した(シーア派のイランは、ハイパー・スンニ派であるアル・カイダを恐れ、憎悪している)。
http://www.juancole.com/2011/01/christian-crowds-protest-violently-in-egypt.html
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