Thursday, March 5, 2020

アンカラのトルコ政府は侵攻を恐れているのか?By Abdulrahman Al-Rashed


Is Ankara Afraid of Invasion?

アンカラのトルコ政府は侵攻を恐れているのか?(3/4/2020,Abdulrahman Al-Rashed)

9年前に始まったシリアの戦争で、トルコ空軍とその砲撃戦力は今回、初めてシリア政府軍とイランの傭兵部隊に対する攻撃を行った。トルコ政府が同地域で米軍の軍事力の保護下にあるという確信を得ない限り、そのF-16戦闘機やドローンは、シリア・イラン・ロシアの防衛戦力が犇めくシリアの空域に入ることはできない。しかも、イスラエルの戦闘機にダマスカス近郊のイラン・ヒズボラ勢力に対する空爆を許可したロシアもまた、トルコ空軍がシリア政府のロシア製スホーイ戦闘機Su-24を撃墜したり、トルコのドローンがシリア政府の装甲車両を攻撃することを妨げることもなかった。

トルコのエルドアン大統領の側では、モスクワでプーチンと会談する意向を示した─プーチンのスポークスマンは、ウラジミール・プーチンが戦闘地域の拡大を願ってはいないと語っている。

エルドアンにとっての懸念とは、イランとシリア兵力の北上だ─それは北部シリアでトルコが武装勢力を完全に一掃し終えてその地域の支配権を満足に奪還してはおらず…それらの勢力に未だに、トルコ領に侵攻する意図をもっていることも示唆している。

トルコ政府はかくして、想定される脅威から同国の国境線と市民を守る義務を繰り返し主張している。

ダマスカスとテヘランの政府が戦闘地域を北部へと拡大して、南部トルコに侵攻したいと望んでいるとみられる理由は、昨年、トルコがシリア北部に自国軍を派兵する許可を発した判断とも同じ理由に基づく─すなわちシリア領内に、クルド兵力によるトルコへの攻撃を妨げる「セーフゾーン」を作りたいとの理由だ。それならば、ダマスカスのシリア政権とイラン軍は、シリア人(反政府勢力)と外国人武装勢力を含む勢力を押し返すといった口実で、国境を越える決断を下すかもしれない。それによってトルコ勢力を弱体化し、シリア政府に反対する何百万人ものシリア人勢力を排除しようという目的だ。

アンカラのトルコ政府は、ソチにおいてイランとロシアとの間で交わしたシリアに関するすべての合意に関しては、過去2年間にあらゆる国益を費した結果、自らが貧乏くじを引いたのだと見出した。それが同国が米国との同盟を破って(北部シリアのクルド勢力を攻撃し)、かつ米国政府にそうした動きへの支持を求めたことの理由だ。

米国は、シリアに関するトルコとの最近の合意に反対して、トルコの立場を批判している。もちろん、米政府はシリアの反政府勢力に同国の政府の役割を果たすよう要求して、イラン勢力とその傭兵勢力をシリアから排除するよう求めている。おそらくこのことは南西シリアの、ヨルダンに近いダラアでの戦闘が2年近くにわたる停戦の後に再開された理由も説明するだろう。これは、主な戦力を殆ど北部に移したシリア政府の方向性を逸らす可能性がある。

エルドアンはいまや軍事侵攻の遅れの対価を支払わされており、シリアの反政府勢力の(拡大を許すという犠牲のもとに)イランとロシアに接近している。地図をひと目見れば、主な戦闘がトルコ国境から数マイルの地域で起きていることがわかる。

過去数週間にシリア政府軍とその同盟勢力は、イドリブ県と周辺地域で激しい攻撃と破壊作戦を展開した。トルコは何もせずにこれを非難した。その結果、何千何万もの人々がトルコに向かって避難を行った。トルコ政府はこれ以上の言葉濁しで、うそをつく時間はない。彼らが同国国境に近接するイドリブとその地のシリア人たちを守る行動に出ない限り、戦闘は拡大する。そして、さらなる何百万もの人々が住処を追われ、国境を越えてトルコの都市に向かわざるを得なくなるだろう。

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