Sunday, December 28, 2014

今回のイスラエルとパレスチナの対立 ─はなぜ、いつもとは異なるのか Why Israel vs. Palestine Is Different This Time Around

Palestinians look at rescue workers as they search for victims under the rubble of a house

Why Israel vs. Palestine Is Different This Time Around
今回のイスラエルとパレスチナの対立─はなぜ、いつもとは異なるのか

  (8/11, By John McLaughlin)


イスラエル対パレスチナの対立が再燃した─それは、まるで古いニュースのようにも感じられる。

遠目に眺めれば…現在のイスラエル・対・ハマス(=パレスチナの小さいが人口密集したガザ地域の支配勢力)─の戦いというものは、この地域で何十年にもわたってよく知られた敵対感情にも似ている。

しかし、今回のそれは異なる─なぜなら、いまや周辺の中東地域が全面的な動乱状態に陥っているというなかで、両者の勢力が戦争状態にあるからだ。そして、全てが鎮静化すれば、両勢力はさらに─未だかつてないほど、合意からはほど遠い状態となるだろう。

ネタニヤフにとってのジレンマとは─過激派勢力が勝利のために勝利する必要がない、ということ─つまり、彼らにとっては負けさえしなければいい…という点にある。

この戦いの奔流は、3週間前に始まったものだ─これまでに、ガザでは1000人以上のパレスチナ人が死亡して、イスラエルは50名以上の兵士を失った…誰が、それを開始したのか?イスラエルは、ハマスが2012年の休戦協定を破って、3人のイスラエル人のティーンエージャーを誘拐し殺害した、と非難した。ハマスは、イスラエルが西岸地域で50人以上のパレスチナ人の収監者たちを拘束した(…その幾人かは、2011年の囚人交換によってパレスチナに送還された者たちだった)、と非難した。

両国が最後に戦ったのは、2012年のアラブの春の勃発の前に、地域での不穏な情勢がエスカレートしはじめた、その後だった─しかしそれは、イラクの状況が粉砕されはじめて、シリアに過激な分子が台頭し始める以前…そして、今や信任を失ったムルシ政権がエジプトの政権に就くよりも、ずっと前だった。言いかえれば、イスラエルとパレスチナは以前も戦ってはいたが─中東において、今日のような形で戦ったことは一度もなかった、といえる。

…それが意味するものとは、つまり─

もはやこれは…全ての紛争を終わらせる紛争ではない
This is no longer the conflict to end all conflicts


Palestinians carry Mohammed Abu Shagfa, seven years old, during his funeral in Gaza City
つまり、その問題というものはすべて─平たく言えば、その状況をより一層、悪くするような近隣地域へと降りかかっていくものだ。それに関しては、もはや信頼のできる議論(米国やその他の国々が何十年も唱えてきた議論…イスラエルーパレスチナ紛争が中東での「ゲーム・チェンジャー…ゲームの流れを変えるものとなるなどと論ずる議論)は、行いようのない状況なのだ。アメリカとアラブ諸国とは…日常習慣のごとく、こう主張してきた─この紛争の解決とは、グローバルなテロリストたちの主張(ナラティブ)を崩すために役立つものだと…、そして、それはアラブ諸国とイスラエルの間の敵対感をも減じさせて、イランのごとき過激勢力の政権による影響力も、阻むものになるのだと。私は、永年にわたり、そのことをアラブ諸国の政府官僚から常に聞かされてきた。

しかし、今や、この地域全体が余りにも大きなトラブルに見舞われて、誰も(米国でさえも)が、イスラエル・パレスチナ紛争に対し…それがかつて求めていたような注目を浴びせなくなった。そして、米国政府の官僚たちは、この問題の解決が中東全域にポジティブな余波を与えるだろう、といった議論も交わさなくなった。

This isn’t the same Palestine anymore
もはや…これは今までのパレスチナではない


パレスチナのコミュニティの内部における関係性とは、より複雑化している。過去2回の戦争の間(それは2009年と2012年だった)に、パレスチナの行政機構は、ガザの過激派勢力・ハマスとより穏健な西岸地域のパレスチナ自治政府とに分裂した。

しかし、6月以降には、二つの勢力は権力をわけあう連立政府での、落ち着きのない同盟を樹立した。それはパレスチナ自治政府を─その、ガザ地域での最小限のプレゼンスというものにも関わらず─より一層、紛争というものに直接的に引き込んだ。同時に米国は、パレスチナ人たちと直接交渉ができなくなった─なぜなら、我々はハマスをテロリスト組織と規定していたからで、我々はテロリストとは交渉しないからだ。

そして、さらに、パレスチナ人たちのなかの穏健勢力も、今やハマスを支援せざるを得ない…と感じている─彼らのことを、逸脱した同胞仲間と扱うよりは(…むしろ、せいぜい、直接的ではないやり方によってでも)。このことは、米国や他の国々にとってこれまでのような交渉を困難にするものだ─パレスチナ自治政府の穏健派の官僚たち自身も、〈欧米との〉交渉に距離を置きはじめ、あるいはまた、イスラエルとの妥協に軽蔑感を抱きはじめているなかで。

The neighborhood’s going to the dog
近隣地域は退化を辿る

周辺地域における優先事項(プライオリティ)や、連帯関係もまた変化した。その結果生じた最も重大な要素といえば─エジプトだ。1979年のキャンプ・デービッド合意で保証されていたイスラエルとの和平も、今やパレスチナ人〈特にハマス〉との交渉においては同じ影響力を維持してはいない。かつて米国は、パレスチナ人たち側に影響力を及ぼすべく、エジプトの助けをあてにできた。事実、廃位させられたムスリム同胞団のモハメッド・ムルシ大統領は、2012年の停戦交渉では道具として使われた(ハマスとは、同胞団の支部であって…彼らにとってファミリーの一部だ、という理由で。)
しかし、今やエジプトのアル・シーシー大統領が、同胞団をテロリスト・グループとして非合法化したために、今回の交渉において、エジプトの存在感はとても希薄になった。

そんななかでハマスへの最も目立った支援とは、同グループのリーダーを匿っているカタール、そして、トルコによるものだ。…どちらの国も、イスラエルとの関係は冷えている。そしてハマスの永年の支援者のイランも、ごく最近その立場を逆転させている。イランのシーア派のリーダーたちは、ハマスがスンニ派のシリア人反政府勢力に対する忠誠を誓っているのを理由に、ハマスへの支援を取りやめた─しかしイランは明らかに、こうしたイスラム内部における内戦問題が山積するなかで、ムスリム世界に対してガザに武器を送るよう呼びかけたようなのだ。

Kerry is riding the struggle bus
ケリーは、苦闘を満載したバスに乗り込んだ


最後に、米国の国務長官ジョン・ケリーは、解決を探るために巨大な努力を支払っているが、この地域で米国の影響力が縮小したというのは、シンプルな真実だ。アラブ世界と米国との、このより辛辣さを増した関係性の原因とは何なのだろうか?まず、エジプトとシリアから始めよう。中東人たちは(それがアンフェアだろうが、なかろうが)米国が2011年のエジプト革命の間に、永年の同盟者だったホスニ・ムバラクに背を向けた行為の素早さを指摘し、そして米国のシリアに対する軍事力非行使の決断というものも挙げる─オバマ大統領は(軍事攻撃の)意志があると宣言していた…という事実にもかかわらず。端的にいえば、中東は米国の関与(コミットメント)に疑念を抱いていたといえる。

The brother of Israel Defense Forces Sgt. Daniel Kedmi reacts during his funeral.

There’s a trudging path ahead
眼の前には、辿るべき小径がある

こうしたことの全ては、米国が今や死に体となった「和平交渉」─つまり、米国の外交にとって何十年ものあいだ間断的な執着の念(オブセッション)でありつづけたもの…の再開への期待を、ゼロにする。

停戦が行われた際に、我々が期待できる最大のものとは、(長らく…とても長らくそう思われてきたのだが)和平交渉の再開への条件を設定しはじめるというプロセスだった。しかし、その時が至るまでに、我々にはどちらの側の民衆も、相手側との交渉に臨めるほど状況を温めていない…という確信を得る。

ごく最近の暴力行為については─イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスによるイスラエルへの攻撃(ロケット攻撃によろうと、ハマスの武装戦士たちを秘密裏にイスラエル領に運ぶ、悪名高きトンネルによろうと…)を止めさせよう、との決意を固めているようだ。そしてイスラエルの民衆の90%以上は、戦争を大々的に支持している。ネタニヤフにとってのジレンマとは、ハマスやイランの支援を受けたヒズボラなどの過激派と闘う際に、世界のリーダーたちが、いつも直面するジレンマでもある。つまり、過激派たちにとっては─過激派の勢力が勝利のために勝利する必要がないこと─彼らにとって、必要なのは負けることを阻止するということだけである点だ。言い換えれば、もしも彼らがいまだに戦いの終わりに立っているなら、彼らはイスラエルと闘うべく立ちあがったと訴えながら、次なる闘いの日のために次なる兵士らのリクルートを呼びかけるだろうことだ。

http://www.ozy.com/pov/why-israel-vs-palestine-is-different-this-time-around/33037

John McLaughlin is the former deputy director of the CIA. He writes a regular column on OZY called “The Spy Who Told Me” and teaches at the Johns Hopkins University’s School of Advanced International Studies (SAIS).