Tuesday, December 15, 2009
米軍の増派計画は、タリバンの手の中に…!?/US surge plays into Taliban hands By Walid Phares
オバマ政権の、アフガンからの撤退をみすえた増派計画には…
リアリティがあるのだろうか─
Af-Pak新戦略に対してはこのような手放しの反対論もある
米軍の増派計画は、タリバンの計略に叶うものとなる… By ワヒド・ファーレス (12/11、Asia Times)
我々は今や、オバマ政権の新アフガン戦略とは何かを知った。米軍に抗して戦うタリバンの戦略はどうなるのか?タリバンとアルカイダの作戦司令室は、オバマの戦闘プランにもとづき3万人の兵力を増派するNATOとアフガン政府軍に、いかに対抗するのだろう?
両者の戦略がどう衝突するのかを予想し、米国の現在のこの地域でのポリシーの正確さを評価するためにも、我々はそうした問いを発する権利がある。
戦略的な認識 Strategic perceptions
ジハードの作戦司令室は、米政権が今や「いわゆるアル・カイダ組織」の打倒に視野を絞ったことを察知する…タリバンに関しては、彼らが全面的勝利を達成することを阻止すること…彼らが勢いを得ることのみの阻害にゴールを絞ったのだ。戦略的な言い方をすれば米政権は、タリバンの全面的打倒のために必要な長期的な関与をやめるだけでなく、時間や手間をかけることも、やめたのだ。
ジハードの戦略家たちは今や、ワシントンのアドバイザーたちが未だにタリバンとの…タリバン全体との対話を推奨してはいるが、それはタリバンが自らの弱さを自覚して、対話の必要性に押し戻された時にだけ、可能だと考えている、と理解する。このような認識のもとで、原理主義的なイスラム主義勢力についてのアナリストたちは、いま米国がアル・カイダとタリバンを二つの異なるものと考え、まず初めに前者を打倒すれば、やがて後者の打倒も可能だ、と結論づけていると実感する。
そのような米国の欠陥だらけの認識をジハーディストたちが理解することは、まず、タリバンとアルカイダに有利なアドバンテージを与える :貴方の敵である米国は、貴方が何者なのかを本当によく見てはいないのだ…とわかるから。
戦略的な関与 Strategic engagement
米国は、アフガニスタンでのミッションのゴールとは、アルカイダの打倒やアフガニスタン軍の訓練ではあっても、アフガンの国の建国作業に取り組むことではないことを、再確認した。前回までの米国のコミットメントのし方(アフガンとの関わり方)とは異なり─それはとにかくあまり成功していないが─現在の戦略ではオフィシャルに、(そのような)思想的な面での論争は無視している。
かくして、タリバンは彼らの生命線であるマドラサ(イスラム神学校)の卒業生を基盤としたさらなるリクルート活動が、広くオープンな状態だと知る。ワシントンの努力も、資金援助も、ジハード主義の思想工場にタッチすらできないのだが、それがタリバンとアルカイダの戦略的な深層部分なのだ。
そうしてアフガニスタンのジハーディストのネットワークは継続し、その教化活動の組織をさらに発展強化させていくだろう…米国の軍事力拡大からも影響を受けず、妨害をされることもなく。米国の海兵隊と他のNATO同盟軍が今日のタリバンと戦っているとき、明日のジハード主義者たちは彼らの指導者からの教えを、完全な静寂のもとで受けているだろう。
米国が2011年か、2012年、あるいはそれ以降の撤退の期限に到達するころまでに、未来の敵の勢力は配備を敷くばかりに陣容をととのえているだろう。ひとつのテロリスト勢力の波が米軍とNATO軍によって弱体化されても、その後にそれに代わる次なる波が待ち構えているだろう。
致命的デッドライン Deadly deadline
米政権のプランは、アフガニスタンからの撤退のタイムライン(スケジュール)を含んでいる(それは"撤退の始まり"と再解釈されてはいるが)。 …それが"期限を設けない取組みではない(no open-ended engagement)"、との査定評価にもとづけば、新しいアフガン戦略のいかさま師たちは、敵の作戦司令室にある中継カメラを通じて、米国のアフガン関与が最大でも2013年までで、その後は再びタリバンの時代が戻ってくる、と彼らに告げてしまったのだ。
多くのアナリストが結論するように、すべてのジハード主義者の戦争プランナーたちがするべきことは、ハリケーンの拡大が止むまで、時をしのぎ待つことだ。その米国の戦略において提案された致命的なデッドライン(撤退の期限の設定)は、全体主義的勢力との対決においては先例がないことだ。タリバンはすでに、8年間待っていた; だから彼らは、更にあと2年、3年、または8年待ってはどうなのか…米国主導の同盟軍の軍事行動は質的にも(量的にではないにしろ)、これと違わないのではないか?
出口戦略のための兵力増派 A surge to the exit
アフガニスタンの人々に対して示されたように、米国政府の戦場に関する新たなプランは、アフガンからの総体的な退去を前にした最後の増派だと思われている。タリバンの作戦司令室はそのような、見積もりを理解している。3万3千人の重武装の米軍追加兵力が、5千から1万人の同盟軍兵力のバックアップを受けて派兵される。南ヘルマンド県や、その他のエリアには攻撃が行われるだろう。特殊部隊は多くの地点に移動展開し、砲撃がイスラム過激派の武装勢力を2年間以上にわたって悩ますだろう。
タリバンは損害をこうむり、アルカイダの活動家たちはより重い圧力のもとに置かれるだろう:それらすべてはタリバンの指導者、オマール師の本に書いてあり、アルカイダの副代表アイマン・アル・ザワヒリのラップトップにも保存されていることだ…そして何が起こるのか?
そこに出国のときが訪れて、米軍とNATO軍は撤退を開始する。それが起きるとき、生き延びていたタリバン兵士と、新たにマドラサを卒業したニューウェーブたち、または、ボランティアのジハーディストたち…バーチャルなカリファテ<1400年前のイスラム・カリフ公国を想像上で復興した国際的な領土>の4つのコーナーから送られてきた者たち…が次の選択を迫られる: 米国の交渉者たちが推奨するアフガン政府への参加の提案を受けいれるか、またはその提案を蹴って、撤退中の"異教徒の勢力”を砲撃でみまうのか?
簡単に要約すれば、新戦略はタリバンの作戦司令部にとって都合がよいことなのだ: 彼らにとっては、そのことはマヤ暦の2012年までに…そしてその後においてもずっと、ことごとく実感されるにちがいない。
全体主義者に勝利を提供することが民主主義の役割だ、と取りちがえることは、後者の長期的なゴールが何なのか、を理解しないことだ──そしてそれをちょうど今、米国は行ってしまった。
(*Dr Walid Phares is director of the Future Terrorism Project at the Foundation for Defense of Democracies and author of The Confrontation: Winning the War against Future Jihad.)
http://www.atimes.com/atimes/South_Asia/KL11Df03.html
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