Saturday, March 20, 2010

ヤマニをとるか?あなた自身の人生をとるか?Yamani or Your Life - A nasty attempt to coerce Danish newspapers into apologizing for the cartoons of Mohammed By C.Hitchens



ヨーロッパでは、宗教に対する論争が高まっている…ますます憤激を高めるコラムニスト?? 

ヤマニをとるか、それともあなた自身の人生をとるか?
─モハメッドの風刺漫画を載せたデンマークの新聞社に謝罪を強要した、彼等の不快な試みについて─ By クリストファー・ヒッチンズ(3/8、Slate.com)

 私は、これまでに私のデスクの上に舞いおりた書類の中で最もばかげた、不快なもののひとつを、いま読み終えたところだ。それはAhmed Zaki Yamaniという男の営むサウジアラビアの法律事務所から、スカンジナビアの新聞社グループに送られた手紙だ──ここにその主要なパラグラフを直接引用しよう:

<我々の法律事務所は、過去数ヶ月間にわたり──彼等が先祖として崇敬している預言者を、ターバンに爆弾を隠した自爆テロリストとして描いた絵画を…あなた方の新聞が再び掲載した、ということを知った預言者の数千人の子孫たちと接触してきた。

 預言者の子孫としてこれらの人々は、貴紙の風刺画の再掲載によって個人的に侮辱されように感じ、苦悩の感情に苛まれ、名声を奪われたと感じている。そのため、彼等は我々の法律事務所を雇い、私に貴紙と交渉することを依頼した…>

 そしてこのばかげた箇所── 7世紀の戦争領主にして説教師だった人物の子孫だと称する人々が、傷つけられた感情のために訴訟を起こす、という箇所に至る。たちの悪い(ぞっとする)部分は、その数パラグラフほどあとの部分だ:

 <…貴紙が、先述の条件を満たすなら、それはムスリム世界全般に対する尊敬と理解のしるしである、とみられるだろう。そして貴紙が、風刺画の再掲載によって引き起こした深刻な軋轢を解決することに寄与するだろう。お気づきの通り、この軋轢はいまだに、デンマークとアラブの利益に影響を及ぼしている──特に、沢山のデンマーク製品がいまだにボイコットを受けている中東地域で>

 この、2つ目の引用文に脅威と脅迫の要素を感じないでいることは不可能だろう。デンマーク人たちに対し…2005年にモハメッドをマイルドに風刺した絵画が最初に掲載された後におこされた、大使館の焼き討ちや暴徒による市民虐殺などの組織的でヒステリカルな報復を思い出させることは、難しくない。
 
 ここでは、ほんの僅かな背景の説明だけが必要だろう:
2008年に、狂信的な殺人者のセル(グループ)がこれらの風刺画を描いた者たちの殺害をもくろんだことが露呈し、そしてデンマークの大きな新聞社グループは、言論の自由への支持を表明すべく、連帯してその風刺画をふたたび掲載した。すると2009年の年明けに、あるソマリアの原理主義者が、74歳の漫画家Kurt Westergaardと、泊りにきていたその孫娘とが休んでいた家に侵入を試みて、彼ら2人の殺害にほとんど成功しかけたのだ。

 しかし、このような出来事すべてに対する謝罪が、攻撃をしかけた者や扇動者たちによってなされるよりも、彼等による犠牲者たちの側から発されるべきだ、とされたのだ。先月の下旬に、コペンハーゲンの新聞“Politiken”は、Yamaniの法律事務所の命じた条件に応じて、公式な謝罪を掲載することに同意した。
 
 Yamani はベイルートでの勝ち誇った記者会見で、この見下げ果てた決定を祝福し、彼が94,923人以上にわたる怒れる預言者の子孫の代理人だと称する、その奇怪な主張を繰り返して、ひとつの完全にばかげた声明と、過激な悪意のある声明とを発した:

 <我々の見解においては、すべての宗教的な偶像たち──聖処女マリアや、イエス・キリスト、モーゼ、そして(預言者やそのメッセンジャーたちと比較すべきではないが)…その他の非宗教的だがヒューマニティに貢献した偶像たち…すなわち、マハトマ・ガンジーや、ネルソン・マンデラ、マーチン・ルーサー・キング、ダライ・ラマ…また、イブン・シーナやイブン・アル・ハイザム、アルバート・アインシュタインといった偶像たちは、すべて尊崇に値し、侮辱や名誉毀損から守られるべきなのだ>

 このような歴史的レベルのクレチン病(奇形病)はまれにしか起こらないものだ。明らかにYamaniは、マハトマという称号が、ヒンズー教の宗教的な尊称ではなく単なるファーストネームだと考えているし、"ダライ・ラマ゛というのは世俗的な肩書だ、とも思っているようだ。そればかりか彼は、(貴方は、ここにユダヤ人の名前を投げ入れているのは、ご愛嬌と思うだろうが)、厳格なスピノザ主義者のアインシュタインが、ビッグ・バンや量子理論について述べた、その多くの誤った仮説によって風刺されることからも保護しようというのだ。彼は、そんなことについて何も知らないのは明白なのに、彼はそのような脅迫を暴く方法も知っているのだという:

 <我々は、風刺画を掲載したすべてのデンマークの新聞が、我々のクライアントの主張にそって、Politiken紙と同様の解決法を受け容れ、そして複数の司法的な訴追をうけて金銭的ダメージをこうむることを避けるために、謝罪を掲載することを望んでいる>

 もしもあなたが、Yamaniは超自然的世界と、粗野な物質的な世界のどちらをより信じているのかとあなた自身に問うならなら、その答えに達するのに手間は取らないだろう。あなたは彼がある意味で、暴力的破壊行為の記憶からの恐ろしい脅迫に対して、穏やかな推奨を行うことで、バランスをとっているのだと気づくだろう: Yamaniをとるか、あなた自身をとるか… との。

 しかし新聞とは、その掲載する内容が検閲や脅迫にさらされることはない、という法律や憲法の存在する物質世界のなかで発行されている。その同じ物質世界とは、祖父とその孫娘が、狂信的な殺人者から守られるという法の存在する世界でもある。我々はこのように苦労して得られた権利を、ほとんど神話的な人物──読むことにも書くことにも不安を覚え、朗誦することだけで(コーランを)伝承することを好んだような人物──との血縁関係を主張する、病的に興奮した人々のために受け渡すべきなのだろうか?

 もしも、この事態がさほど憎しみに満ちたものでなくて、彼等がデンマークの新聞の神経をすでに逆なでする事に成功していなかったなら、それはばかげた声明文として済んでいたことだろう。少し前にアイルランドでは、神の冒涜を禁ずる法律が制定され、同国で名誉を毀損され犯罪者扱いされていたローマ・カソリック教会だけでなく、すべての宗教信者たちを怒らせることが、犯罪だと断じた。同じような偽の全キリスト教会的な傾向は、ムスリム諸国が毎年、国連に対して、宗教に対する攻撃を違法とする国連決議を制定するように働きかけているなかにも見出される。信心(faith)というものが、すべての問題の解決になるという考えは十分ではありえない。そのような途方もなくばかげた主張が、いまやすべての問いかけ、すべての批判、すべての嘲りから逃れるべきものだとの要求がだされている。

 この動きは止めなければならない、それもたった今。すべての民主主義国家とその集まりは、First Amendent〔*米国憲法修正第1項、「言論の自由」の条項〕の条項に沿った法律を読み返しながら、宗教についてオープンな議論を行う権利を保証し、法律事務所や、その本当の先祖など厳密に証明できないような人々からの脅迫が不当なものだと否認しなければならない。
http://www.slate.com/id/2247256/
(写真は風刺画を描いたデンマークのcartoonist, Kurt Westergaard)
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/article6973966.ecePanic room saved artist Kurt Westergaard from Islamist assassin
…Westergaardは自宅に暗殺者が侵入したとき「Panic Room」にこもって命びろいしたが、5才の孫娘は連れて入る暇がなかったのだとか? 
http://en.wikipedia.org/wiki/Danish_cartoons
デンマーク紙 Jyllands-Postenのムハマッドの漫画掲載による騒動