Sunday, October 25, 2009

8月のバグダッドの爆破事件は誰の仕業か?/Whodunnit in Baghdad - By Juan Cole

10月25日、バグダッドの中心で再び、
大きな爆破テロ事件が起こった──
8月19日の省庁爆破の犯人すらも
判明して居ないのに。

Whodunnit in Baghdad バグダッドでそれを行ったのは誰だ?- By Juan Cole (8/20、Informed Comment、〔抜粋〕)

 水曜日のバグダッドでの無残な爆破テロの背後には誰がいたのか…に関して、ニュースメディアや、インターネットの全域では、推測が飛び交っていた─
 イラク議会の治安委員会の議長代行、Ammar Tu'mahは、政府がこれらの攻撃を阻止できなかったのは、各治安勢力やユニットが協力関係を欠き、情報をシェアできなかったためだと非難した。彼のいうように、防衛省と内務省は違った政治的な色合いが強く…誰が数多くの諜報機関の誰に報告するかも明確でなかった。しかし本当の疑問とは、誰が何のためにこのようなテロを実行したのか、の問題だ…

バグダッドのスンニ派アラブ人アナリストの推測(Aljazseeraアラビア語版のInterview):

 このアナリストは、この爆破テロはMaliki首相の行為に反発する者の仕業だとする…Malikiのダワ党〔Islamic Mission (Da'wa)Party〕が、シーア派連合の統一イラク連合〔United Iraqi Alliance〕から脱退するとみられたなかで、彼に切り捨てられるのでは、と感じた不満分子が起こしたのだろう、と推測する。〔すなわち、統一イラク連合の主要構成メンバーの一つのSadr派か、ハキム派ISCI(Islamic Supreme Council of Iraq…)などの関与を暗に示唆していた…〕 最近の首都バグダッドでの銀行強盗事件に、ISCI武装兵士が関与していたことや、Sadr派の分裂グループAsa'ib Ahl al-Haqqの起こしたバスラでの反連合軍のテロなどは、そうした推測にやや現実味をもたらすのだが…

アラビア語紙Al-Hayatの推測:
 …上記と対照的な推測は、Iraqi List(前首相Ayad Allawiの率いるナショナリスト党派)が、イランが爆弾を供給したと糾弾しているものだ、とal-Hayat紙はいう。Allawiは議会の275議席中の25議席を占める彼の党に脱退者が多く、分裂の一歩手前にあり、絶望的になっていたという。同党のメンバーは、彼が高圧的すぎて他人の意見を全く聞かず、イラン政府との会談を勝手に決めたという。Allawiは、来る1月の選挙で勝利するためにテヘランと近づこうとして、同国のayatollahにすげなく断られた…これにヒステリックに立腹した彼が党内での支持を得るためにイランを糾弾した、という…

al-Zaman紙の推測:
スンニ派アラブ人のナショナリスト・メディア、al-Zamanは、イランの革命防衛隊のJerusalem brigade(エルサレム旅団)の仕業だというが、これはジャーナリズムとしての裏づけの証拠が何もない、ショッキングな推察記事にすぎないといえる。

 …だが私はこう反論したい。イラクの閣僚や政治家たちはこのように長い間、各党派が力を集中するための道具として、利用されてきたのだ。イラクの財務省は、長らくISCI の活動家のBayan Jabr Sulaghが率いていて、同省職員たちはISCIからの引抜きが多かった。一方、クルド民主党のHoshyar Zebari率いる外務省は、誰の目でみても、クルド人に特別な仕事の機会を与えていた。そして教育省は、ダワ党〔the Islamic Mission Party (Da'wa)- Iraq Organization〕 (al-Maliki の所属するシーア派原理主義党と同じ党の支流)の議員、Khudayr al-Khuzaiに率いられていた。 そのため爆破ゲリラたちは、中央政府のみならず、こうした各省を操る党派に制裁を加えるという目的があったのにちがいない。

  でもISCI がそれ自身の操る財務省を爆破するのはありえない。イランはISCI に近い関係があり、クルド人にも近い。そして我々は実のところ、誰が ISCI、Islamic Mission Party(ダワ党)、そしてクルド民主党の3者すべてを憎んでいるかを知っている…それはスンニ派アラブ人ゲリラたちだ…─それがバース党であろうと過激な原理主義者だろうと。だから、スンニ派アラブのアナリストの陰謀説は説得性がないし、Allawiのグループやal-Zamanの推測にもまた真実性がない。

  Al-Hayat紙によると、イラク政府は「バース党とアル・カイダの連合組織」を犯人として訴えているようだ。しかしテロリストのセルはそのようには動かないものだ。6つのコーディネートされた爆破テロには、セル同士の細密で硬い結束と、親密な指令系統、コントロール系統が必要だ。つまりこれは2つの組織のどれか一方によるものだろう。軍事的な熟練度と作戦遂行の精密さをもってしても、私は旧バース党のオフィサーたちが関与しているとは思えない…彼らの現在でのイデオロギーはどうあろうと、また彼らが世俗的だろうとなかろうと。

 また、財務省と外務省の爆破は、爆破の規模や死傷者の数でも最大のものだった点でみても、これは先週の北部イラクのスンニ派アラブ人都市Mosulの郊外の2つのクルド人の村、ShabakとYazidi で起きた爆破事件の継続なのだろう。Mosulはアラブ・ナショナリズムや、バース党主義、スンニ派原理主義などの中心地だ。

Ilaf紙は私と同様に推測する:
 Ilaf紙は─これらの爆破テロは、スンニ派アラブ人のコミュニティが、シーア派とクルド人が支配する現イラク政府と和解していないことの証明だろう、という。 この問題は、分州制や民主主義で解決できることではない、と同紙はいう。スンニ派のアラブ人はいかなる国土分割(たとえ緩い分割であろうと)からも利益しない、なぜなら彼らの地域に開発済みの天然資源がないから、そして議会はシーア派多数派の支配するたったひとつの議会場のある議会しか作らない。 それゆえ私が示唆したようにこの爆破事件が旧バース党や新バース党員、あるいはスンニ派アラブのナショナリスト全般の手によるものだというのは賛成できない。現在あまりに多くのバース党オフィサーやリーダーたちがダマスカスに亡命し、そこに隠遁している.
 
 Al-Watan [The Nation]紙も伝えているが、イラクのal-Maliki首相は今週初めに、シリアを訪問していた。彼はその訪問中、シリアのバシル・アサド大統領にシリアに潜伏している筈のイラクの指名手配犯のリストを手渡していた(その多くはバース党の役人か、旧サダム政権の役人たちだ)それと引き換えに彼は、シリアに対し経済振興策の提案を行った─たとえば、イラクの原油を譲歩価格で売るといったことだ。またイラクの治安担当者も、ダマスカスでシリア人と米国側の担当者と会い、彼らと国境の治安改善について話し合っていた─ (後略) http://www.juancole.com/2009/08/whodunnit-in-baghdad.html

★イラクのイランとの内情について、D. Ignatiusが 興味ぶかいコラムを書いた。
…彼には、イラク諜報部と個人的なコネがあるのだろうか?

Iraq's Iran Connection -Behind the Carnage in Baghdad -
バグダッドの大虐殺の陰に… By David Ignatius (8/25, WashingtonPost)  

 バグダッドの治安が悪化するにつれて、そこにまた新たな心配の種が生じている: 米国が訓練してきたイラクの国家諜報機関・INIS 〔Iraqi National Intelligence Service 〕の長官が、Nouri al-Maliki首相との間の長い口論をつづけた末に、辞職してしまった──これによって同国から宗派間テロと対決してきたそのリーダーが奪われた。

 2004年以来、イラクの諜報部門の長官を務めていたGen. Mohammed Shahwaniは、今月辞職した…その理由は、Maliki首相が彼の組織の努力をないがしろにし、イランのスパイたちに活動の自由を与えた、と彼が考えたからだ。Shahwaniが1990年代に国外亡命していた際に何百万ドルもの金をINISメンバーのトレーニングに費やすために密接に協力していたCIAは、彼の辞職に明らかに驚いているという。

 Shahwaniの辞職をうながしたイラクの混乱の状況は、最近の数件の出来事に彩られている──米国によるサポートの増強なくしては、イラクの権力者たちは圧力に対して絶望的なほど弱く、特に隣国イランの圧力には弱い、ということをそれらの事件は示唆した。

 先般、それに関する警告となったのは、7月28日にバグダッド中心部で起きた、国営銀行Rafidain Bankへの明らかにイラクの治安部隊メンバーによる厚かましい強盗事件だ。ガンマンたちは銀行に押し入り、約5,600万イラク・ディナール(約5 百万米ドル)を盗んだ。戦闘の末に8人が死亡、強盗たちは副大統領の一人、Adel Abdul Mahdiの経営する新聞社に逃げ込んだ。  一時期は米国のお気に入りだったこともあるAdel Abdul Mahdiは、泥棒の一人が彼の護衛隊の一人だと認めたが、個人的な関与は否定した、とイラク紙はいっている。盗金の一部はとり戻されたが、残りは何人かの強盗メンバーと一緒にイランに運ばれたと考えられている。

 Shahwaniの2つ目の懸念は、彼の組織での6,000名を数える職員に対する脅迫だ。Malikiの政府は180人のイラク人諜報職員に逮捕状を出したのだ──その罪状への訴えとは、Shahwaniによれば、彼が彼の仕事を遂行していることに対する政治的な反撃だという。INISは2004年に正式に設立されたが、その職員の多くはイランの諜報組織のターゲットにされ290名が殺害された。

 Shahwaniの辞職により、同諜報機関の長官は前のSaddam Husseinの空軍のパイロットだったGen.Zuheir Fadelに引き継がれた。しかし、Fadelの主要な部下たちは安全のため、ヨルダンやエジプト、シリアに逃亡したといわれる─イラクに残った場合に、イランの暗殺部隊のターゲットとされる事を怖れて。

 イラクの秩序の破壊は、100人の死者と500人の負傷者を出した8月19日のトラック爆弾による財務省、その他の省庁機関の爆破で最も劇的なものに達した。ここで再び、政府の治安部隊がテロリストを援助していた可能性がみえる。

 “私は、治安部隊が協力していた可能性を排除しない”、と外務大臣Hoshyar Zebariは事件の後に述べた。“我々は真実に直面する必要がある。過去2ヶ月間、明らかに治安情勢は悪化をみせていた。”

 この大虐殺の犯人とは誰なのか?今日のイラクでは、宗派間の争いにまつわる陰謀説が全開で語られている。Malikiのシーア派主導政府は先週の末、スンニ派のバース党員Wisam Ali Khazim Ibrahimの告白を放送したが、彼が言うにはトラック爆弾による爆破計画はシリアで育まれ、彼はチェックポイントの護衛ガードに1万ドルを払って、そこを通過したのだという。

 しかしShahwaniに近い諜報ソースによると、科学的犯罪捜査による証拠はイランの関与を示唆している、という。彼は爆破の現場で見つかったC-4火薬の残余物にあったサインは、KutやNasiriyah, Basraその他の都市で2006年以降に発見されていた、イラン製爆薬にあったものと同一だったという。

 イランのMalikiとの関係性は密接なものだとイラクの諜報ソースはいい、同首相はイラン人クルーの乗ったイラン製ジェット機を公務の旅行の際にも用いるという。イラン人たちはMalikiが彼の政府で彼らの望む政策上の変更を行えば、彼のダワ党が1月の選挙で少なくとも49議席をとることを約束した、という。  
 イラクで治安状況が分解する中で、米軍はほとんど傍観者の立場にいる。al-Qaedaの分子が有力に残るMosulなどのエリアでさえ、米国人はほとんどコントロール能力をもたない。逮捕されたスンニ派テロリストは、イラク人が最高10万ドルの賄賂と引き換えにすぐさま保釈する、とイラクの情報筋はいう。

  米国人は秩序の回復を試みるべきだろうか?イラクのトップの諜報ソースは、それに関してたぶん“関わらないことが安全のためによいだろう”、と悲しげに答える。米国の助力なしに、5年以内にこの国がどう変わっているだろうか、とさらに詰問すると彼はぶっきらぼうにこう答える、「イラクはイランの植民地になるだろう」。
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/08/24/AR2009082402491.html

イランの濃縮核燃料の“不純物”について/A Hitch in Iran's Nuclear Plans?- By David Ignatius


Ignatiusの書いた、イランの核開発に関する情報が話題を呼んでいる…

それは、イランの核問題への“引っかかり”となるのか?
By David Ignatius (10/16, Washington Post)


 あなたはたぶん“Nucleonics Week”という業界誌の定期的読者ではないだろうから、私は、その10/8号に出ていた記事を要約してみたい。その報告では、イランが低濃縮ウラン──つまり核兵器製造を可能にする原材料…を供給する際に、彼らがそれを核兵器づくりにグレードアップすると遠心分離機を故障させかねないような一種の“不純物”が発生したといっている。

 今や“それ”は興味深いことだ──10月1日のジュネーヴでの交渉でのブレークスルーとなった合意──そこでイランは彼らの推定1,500キログラムの低濃縮ウランの大半を、さらなる濃縮工程のため海外に送ることについて同意したのだが──それは、みかけ通りの出来事ではなく、イランの遠心分離機が機能しないため、濃縮工程には外国の協力を得る以外に途がなかった、ということなのかもしれない。

 “不純物とは、ある種のフッ素結合した金属物質だが、それは遠心分離機での濃縮を阻むかもしれない”と、イランのNatanzの核施設において同ニュースレターのボン市の特派員のMark Hibbsが報告している。

 このニュースには、私は爆撃を受けそうに思えた。もしもNucleonics Weekの報告が精確ならば(専門家たちが、その汚染の問題がどの程度深刻か、への不確実さを感じていたとはいえ)イランの核開発は大半のアナリストたちが考えるよりずっと悪い状態にあるわけだ。彼らの製造した汚染された核燃料は、核兵器には全く使いようがない。爆弾を作るのに十分な燃料を製造するには、イランは初めから再度やり直さねばならない──今回は不純物を出さぬようにして。

 でも、あなたはそれをイラン人たちの手に委ねなければならない…悪しき状況のなかでベストを得るために: ジュネーブでなされた提案で彼らは西欧諸国にその燃料の汚染を除去させる約束を得たのだが──それをしなければその燃料は、彼らが常にその目的として主張する平和的な核利用にのみ使用可能な低濃縮の燃料にすぎなくなるのだ。
 
 “イラン人がそのように核燃料の供給で国際的な協力を喜んで受ける譲歩を装った態度を、レバレッジに使ったのはずうずうしいことだ”、とカーネギー平和財団の核不拡散プログラムのディレクター、George Perkovichはいう。

 10月1日になされたその仮合意は、イランが3.5パーセントの低濃縮ウランをロシアに送ると誓約したことで賞賛を浴びた──ロシアではそれをさらに、イランが医療用のアイソトープに使用する研究用原子炉の運転に必要な、19.75パーセントのレベルまで濃縮するという。ジュネーヴでの仮合意ではまた、フランスが核燃料合成のためより高濃度なウランへの濃縮を申し出た。

 “このことで得られる可能性のあるアドバンテージとは、もしそれが実行されたら、イランはLEU(低濃縮ウラン)の備蓄量を一気に削減できることだ───それは中東その他の地域での心配の種になっているものだが”…と、ジュネーヴの会議の後で、米国の政府高官は記者たちに熱狂して答えた。イランとの再度の会談は月曜日にウイーンで、詳細事項の決定のため開かれる。

 しかし交渉者たちよ、喜びに沸くのは少し待って、技術的スタッフのいうことに立ち戻ろう。“もしもイランのウラン燃料に濃縮前の汚染除去が必要なら…それはイランが近い将来には脅威とはなりえない、というブレークアウト(突破口)のシナリオを意味するのではないか”とHibbsはレポートする。“なぜならば、イランがNatanzで汚染除去をせずに濃縮した場合、LEUの再濃縮は遠心分離機を壊しかねないからだ”…Nucleonics Week のストーリーによると、フランスのAreva社がウラニウムの転化の技術とその装置を持っており、それがイランのLEUの汚染除去のために使えるという。

 そのような不純物がなぜ最初にウラン原材料に混入したのだろうか?それは興味深い疑問だ。その問題は、伝えられるところではイランで原料ウランを遠心分離機で濃縮可能な気体に変換しているIsfahanのプラントで発生したという。Isfahanのプラントはモリブデンその他の不純物を適切に除去できなかったと、Nucleonics Weekは2005年に報告している。

 そして、そのIsfahanの転換プラントでの故障が発生した装置とは、どこから来たのか?イラン人たちがそのことを心配していた可能性は大きいだろう。もちろんイラン人たちはおそらく、彼らの誇る核開発施設が他のどこに故障がありうるかを心配したに違いない。

 そしてそれはイラン人たちをパラノイアに陥らせるには十分ではなかったろう───彼らにはまだ、Qomの近くの革命防衛隊基地周辺の山岳の地下に隠された秘密の核濃縮工場が存在する、という情報もリークされているのだから。もしも米国がそれを発見したなら、それ以外に偉大なサタンの知るどんな事柄があるだろう?

 そして結論はこうだ: イランの核開発の時計にはアナリストたちが怖れていたよりまだもっと時間がある。イラン人たちが懸命に製造を試みる核燃料のストックは、核爆弾を製造しようとすると、彼らの遠心分離機にダメージを与えてしまう可能性がある。イランと彼らの国外における核燃料の濃縮に関して契約をすることには意味がある──国際社会が、それらがどこでどのように使用されるかをモニターすることができるし…またそこに秘密の備蓄があるかどうかも知り得るからだ。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/15/AR2009101502761_pf.html