Sunday, October 25, 2009

イランの濃縮核燃料の“不純物”について/A Hitch in Iran's Nuclear Plans?- By David Ignatius


Ignatiusの書いた、イランの核開発に関する情報が話題を呼んでいる…

それは、イランの核問題への“引っかかり”となるのか?
By David Ignatius (10/16, Washington Post)


 あなたはたぶん“Nucleonics Week”という業界誌の定期的読者ではないだろうから、私は、その10/8号に出ていた記事を要約してみたい。その報告では、イランが低濃縮ウラン──つまり核兵器製造を可能にする原材料…を供給する際に、彼らがそれを核兵器づくりにグレードアップすると遠心分離機を故障させかねないような一種の“不純物”が発生したといっている。

 今や“それ”は興味深いことだ──10月1日のジュネーヴでの交渉でのブレークスルーとなった合意──そこでイランは彼らの推定1,500キログラムの低濃縮ウランの大半を、さらなる濃縮工程のため海外に送ることについて同意したのだが──それは、みかけ通りの出来事ではなく、イランの遠心分離機が機能しないため、濃縮工程には外国の協力を得る以外に途がなかった、ということなのかもしれない。

 “不純物とは、ある種のフッ素結合した金属物質だが、それは遠心分離機での濃縮を阻むかもしれない”と、イランのNatanzの核施設において同ニュースレターのボン市の特派員のMark Hibbsが報告している。

 このニュースには、私は爆撃を受けそうに思えた。もしもNucleonics Weekの報告が精確ならば(専門家たちが、その汚染の問題がどの程度深刻か、への不確実さを感じていたとはいえ)イランの核開発は大半のアナリストたちが考えるよりずっと悪い状態にあるわけだ。彼らの製造した汚染された核燃料は、核兵器には全く使いようがない。爆弾を作るのに十分な燃料を製造するには、イランは初めから再度やり直さねばならない──今回は不純物を出さぬようにして。

 でも、あなたはそれをイラン人たちの手に委ねなければならない…悪しき状況のなかでベストを得るために: ジュネーブでなされた提案で彼らは西欧諸国にその燃料の汚染を除去させる約束を得たのだが──それをしなければその燃料は、彼らが常にその目的として主張する平和的な核利用にのみ使用可能な低濃縮の燃料にすぎなくなるのだ。
 
 “イラン人がそのように核燃料の供給で国際的な協力を喜んで受ける譲歩を装った態度を、レバレッジに使ったのはずうずうしいことだ”、とカーネギー平和財団の核不拡散プログラムのディレクター、George Perkovichはいう。

 10月1日になされたその仮合意は、イランが3.5パーセントの低濃縮ウランをロシアに送ると誓約したことで賞賛を浴びた──ロシアではそれをさらに、イランが医療用のアイソトープに使用する研究用原子炉の運転に必要な、19.75パーセントのレベルまで濃縮するという。ジュネーヴでの仮合意ではまた、フランスが核燃料合成のためより高濃度なウランへの濃縮を申し出た。

 “このことで得られる可能性のあるアドバンテージとは、もしそれが実行されたら、イランはLEU(低濃縮ウラン)の備蓄量を一気に削減できることだ───それは中東その他の地域での心配の種になっているものだが”…と、ジュネーヴの会議の後で、米国の政府高官は記者たちに熱狂して答えた。イランとの再度の会談は月曜日にウイーンで、詳細事項の決定のため開かれる。

 しかし交渉者たちよ、喜びに沸くのは少し待って、技術的スタッフのいうことに立ち戻ろう。“もしもイランのウラン燃料に濃縮前の汚染除去が必要なら…それはイランが近い将来には脅威とはなりえない、というブレークアウト(突破口)のシナリオを意味するのではないか”とHibbsはレポートする。“なぜならば、イランがNatanzで汚染除去をせずに濃縮した場合、LEUの再濃縮は遠心分離機を壊しかねないからだ”…Nucleonics Week のストーリーによると、フランスのAreva社がウラニウムの転化の技術とその装置を持っており、それがイランのLEUの汚染除去のために使えるという。

 そのような不純物がなぜ最初にウラン原材料に混入したのだろうか?それは興味深い疑問だ。その問題は、伝えられるところではイランで原料ウランを遠心分離機で濃縮可能な気体に変換しているIsfahanのプラントで発生したという。Isfahanのプラントはモリブデンその他の不純物を適切に除去できなかったと、Nucleonics Weekは2005年に報告している。

 そして、そのIsfahanの転換プラントでの故障が発生した装置とは、どこから来たのか?イラン人たちがそのことを心配していた可能性は大きいだろう。もちろんイラン人たちはおそらく、彼らの誇る核開発施設が他のどこに故障がありうるかを心配したに違いない。

 そしてそれはイラン人たちをパラノイアに陥らせるには十分ではなかったろう───彼らにはまだ、Qomの近くの革命防衛隊基地周辺の山岳の地下に隠された秘密の核濃縮工場が存在する、という情報もリークされているのだから。もしも米国がそれを発見したなら、それ以外に偉大なサタンの知るどんな事柄があるだろう?

 そして結論はこうだ: イランの核開発の時計にはアナリストたちが怖れていたよりまだもっと時間がある。イラン人たちが懸命に製造を試みる核燃料のストックは、核爆弾を製造しようとすると、彼らの遠心分離機にダメージを与えてしまう可能性がある。イランと彼らの国外における核燃料の濃縮に関して契約をすることには意味がある──国際社会が、それらがどこでどのように使用されるかをモニターすることができるし…またそこに秘密の備蓄があるかどうかも知り得るからだ。

http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/10/15/AR2009101502761_pf.html

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