Saturday, January 16, 2016

ロシアは、シリアでのトルコのゲームをいかに壊すのか? How Russia is shattering the Turkish game in Syria


ロシアは、シリアでのトルコのゲームをいかに壊すのか?
 How Russia is shattering the Turkish game in Syria By ペペ・エスコバル、2015,12,3, Counter Punch

それにしてもワシントンのアメリカ政府はなぜISIS/ISIL/Daesh(イスラム国)がシリアから盗んだ石油(トルコに積出しのルートを見出した)を売っていることを…事実上、永遠に認めようとなかったのだろうか?
それはなぜならすべてに先んじる彼らの優先事項とは騒がしいが眼に見えない「穏健な叛乱勢力」に対して武器を供給する「鼠小路(Rat line)」作戦というものを、CIA影ながら遂行させることだったからだ。

Daesh(イスラム国)による行為と同様に─少なくとも今までは、イラクのクルド自治政府のバルザーニ大統領の配下のよた者たちが、アメリカ政府の監視の眼の許にはいったことなど一度もなかった。クルド自治政府(KRG)による、トルコ向けの石油輸送事業とは、バグダッドの立場にたって見る限り、政府が所有する石油を盗んだものであり実質的に非合法なのだ。

Daesh〔イスラム国〕の盗んだ石油を、シリア政府の支配する地域を経由しては不可能だ。それはイラクのシーア派支配地域も通れず、東方のイランと輸送することもできない。それはトルコをとるか、あるいはゼロか…二者択一なのだ。トルコとは、NATOの東の端の腕でもある…そして、アメリカとNATOはトルコを「サポート」している。それ故に…この場合アメリカとNATOは、結局、Daeshをサポートしていたと訴えることも可能だ。
そして、確かなことは─Daesh.の非合法な石油とKRGの非合法な石油とが、長年にわたってゲームをプレイしてきた常習犯たちにとってのエネルギー権益に、同一のパターンでフィット〔適合〕していた、ということだ。

…そして、そこにはトルクメンの火薬もある。

トルコ政府がトルクメンの叛乱分子のジハーディストらをつうじて行ってきた、シリアとの一連の影の取引に対しては…アメリカ政府は常に、厳かに無視をきめてきたのだが─その最大の理由とは、CIAの「鼠小路(ラットライン)」というものがまさに、トルクメン山地と呼ばれる地方を横切っていたからだ。
トルコ政府の「人道援助の」輸送コンボイから(援助)物資の供給を受けてきたこうしたトルクメン人の勢力は、アメリカ製のTOW-2Aをも手に入れて、彼らの役目である武装密輸の主要ルートの維持という務めを全うしてきた。そうした彼らのアドバイザー達というものは、予測に違わず…Xeアカデミー(元・傭兵会社ブラックウォター)タイプの人間たちである…偶然にも、そうしたすべての詐欺的行為を見つけ出したロシアは、トルクメンへの空爆をはじめた。かくして、スホーイ24は撃墜されたのだ。

トルクメンの第五列(裏切り者分子) 

  いまや、CIAは神のミッションを遂行中だ─シリア・アラブ軍(SAA)の地上勢力と、ロシアの空軍勢力から、躍起になってその鼠小路(ラット・ライン)を防衛しようとして。 それ同様の絶望的な戦いが、Aleppo-Azez-Killis(アレッポ~アゼズ~キリス)に至るルートでも展開されている─それもまた、トルコにとってはあらゆる密輸のメインルートなのだ。

 ”4+1同盟”(ロシア、シリア、イラン、イラク+ヒズボラ)の進撃勢力にとっては…これら、二つの回廊地帯を再び制圧するための障害となりうるような、捕虜住民は誰もいない。

そしてそれは、トルコ政府の焦燥についても説明する─ご主人様の声による助け(His Masters' Voice)もほとんど得られぬままに─シリア政府軍とロシア空軍がこに到達する前に…もっか、シリアのクルド人の支配下にあるAfrinを通って設置されようとしている、まったく新たな鼠小路/回廊地帯というものに対抗すべく…。

 そしていま、再び思い出すべき重要事項というのは─トルクメンの姿をした勢力が、トルコ政府のシリア北部でのフィフス・コラム(密かに外部に忠誠を誓う兵隊の列)である─ということだ。

 トルクメンとは、その多くがクルド族地域に住んでいる…そしてここに、究極の複雑化の要因がある─大多数が、現状IS支配下にあるジャラブルス地方に居住しているのだ。そのエリアとはまさに、クルドの二つのカントン(canton, 隔離された居住地、州)、つまり、Kobaniと、Afrinの地理的な連繋を断つエリアでもある。

 それゆえに、シリアのクルド人がトルコとシリアの国境のすべての地域において…支配と、自治と回廊としての活動を維持するさまを想像してほしい。トルコ政府にとっては、これは最低の悪夢だ。

トルコ政府の戦略とは、そのトルクメンの駒に、ジャラブルス地方全域の「穏健派反乱分子」を加えて動かす(操作する)、ということだ。そうした口実とはイスラム国を地図から抹消させるものだ。その本当の理由とは…クルド族の二つのカントンAfrinとKobaniの合併を阻むことなのだ。

 そして、いま再びトルコ政府は、ロシアとの直接対決を強いられる。 

ロシアの戦略とは、シリアのクルド人とのと間のとてもよい関係に基づいている。ロシア政府は、シリアのクルド人のカントンの統合を支持するだけでなく、それを新たなシリアでのTakfriの排除の重要なステップとしても評価している。

ロシアは、PYD(クルド;統一人民党)すらも公認して、彼らの代表部を国内においているのだ。 トルコ政府はPYDと、その私兵勢力であるYPGをPKKの分派とみている。ロシア政府と米国政府が、ともにYPGをISIS/ISIL/Daeshへの対抗勢力と捉えている状況をみるにつれて、それはますます奇妙で(興味深い)ものにもみえる…。

 予測通りに、アンカラの完全なフリークアウト(きちがい)がスルタン・エルドアンの形をとって現れるとき…、彼は、「ユーフラテスをYPGへの防衛線の”レッドライン“とする」、と宣言する。もしも、彼らがIS<と戦うべくジャラブルスから進撃しようとして西に進むなら、トルコ軍は攻撃に出るだろう。トルコにとって、JarablusAfrinの間の支配とは絶対要件なのだ─なぜなら、そこには「安全地帯」となるべき場所(実質的な飛行禁止区域として)が含まれるからだ─トルコ政府は、難民を住まわせるためにEUからもぎ取ったばかりの30億ユーロを投じ、そこで(飛行禁止区域を)実現すると同時に、北部シリアをも支配したい…と夢見ている。

The case for UEBA UEBAのケース

それ故にトルコ政府とは、少なくとも、トルクメンが大いに関与する二つの非常に不愉快なシナリオを目にしている。
トルコ政府の道具にされてきたトルクメンは、クルドの力を監視するゲートキーパーになるよう、望まれてきた─それは、トルコ政府がもくろんだ悪しき宗派分裂のシナリオであり、そこでの最大の敗者とは、国の統一を失うシリア国家にほかならない。 


一方で、SAAとロシアの空軍勢力は、トルクメン山脈の全面的支配権を握る間際にある。このことは、"4+1"が「征服軍(*有志連合のこと)と呼ばれる物と、その双頭のトカゲとしてのアル・ヌスラ(即ち、シリアのアルカイダ)とアフラール・アル・シャム(彼らは、トルコとサウジ、カタールにすっかり武器援助されている…)との、より深刻な戦いに突入することを許すのだ。

 4+1の断固とした進撃は、余剰的ベネフィットも生み出す─つまり、その地域の「鼠小路(ラットライン)」の終焉と…そして、フメイミムHmeimim*)のロシア空軍基地にとっての脅威がもう存在しなくなる、ということだ。 ロシア政府がスルタン・エルドアンに最大の痛みを与えることを、確実にせねばならない。 
(*Hmeimim Airbase: シリアのLatakiaにあるロシアの空軍基地。現在ロシア軍がIS空爆の拠点とす
https://en.wikipedia.org/wiki/Khmeimim_airbase  

 Bogazici 大学の Abbas Vali教授は、「PYDはロシアのシリア介入を喜んでいる。PYDとロシアの連携は避けがたい。ロシアによるイスラム過激派地上勢力への空爆は、PYDの作戦に大きなインパクトを与えるものだ…」とトルコ紙「Radikal」で述べている

 我々がどちらの道を支援しようと、トルコとロシアはシリアでの深刻な衝突に向かっている。ロシアはシリアのクルド人たちを支援し、彼らが北シリアで統一Rojavaを打ち樹てるための3つのクルド地域の統一を支援しようとしている

ワシントンの「戦略」に関していえば─それは今や、CIAが新たな「鼠小路」を必要とするという状況へと煮詰められてしまった。それは、トルクメンとクルドが戦い抜く様子を武装して「傍観する」という状況だ…それによって、トルコ軍による介入の開始をもたらし…そして、ロシア空軍が防衛にはいる…という、違いなく(手の付けられない戦争が勃発)する状況を傍観する…ということだ。 

 スルタン・エルドアンが、CIAに安全に守られた鼠小路を必死に求めているという事実は変わらない─彼の第五列(フィフス・コラム)トルクメンを武装するためのみならず、チェチェンやウズベキスタンの勢力、そしてウイグルの勢力をも武装するために。そして、ビラル・エルドアン(すなわち、エルドアンの自我のジュニア)は、新たな石油の密輸ルートと、2隻ほどの新たな石油タンカーを渇望している…。

そしてまた、ロシアは彼らのすべての動きを監視している。 ロシア防衛省からの最新のニュースにはまるで、火山の噴火のような趣きがある─つまり、エルドアン・ファミリーのならず者が、「犯罪者」との烙印を押されている)。ロシア政府は、彼らの蓄えたすべての証拠のわずかな一部分を「アピタイザー(アペリティフ)」のごとく開陳しているだけなのだ。) ─かくして、我々はアフガンのヘロインの鼠小路をもっていた、そしてリビアの石油の秘密取引(いまや終わりを迎えた)ももっていた。ウクライナのファシストの鼠小路、…リビアとシリアの武器の鼠小路、…シリアの盗まれた石油の取引と北部シリアの鼠小路…これらのことをUEBAと呼ぼうではないか─「規制をうけない例外主義者によるビジネス活動(Unregulated Exceptionalist Business Activities)」だと─そうだ、とはいえない理由が、どこにある?…戦争ほど、いいビジネスは存在ないのだ。