Tuesday, January 10, 2012

シリアの影の戦争 The shadow war in Syria - By Pepe Escobar

(Demonstrators surrounded Arab League observers)

シリアの影の戦争  By ペペ・エスコバル (12/2, Asia Times Online)

 シリアをターゲットに据えよ─その戦略的な褒賞とは、リビアをも凌ぐだろう。ステージはもう、用意されたのだ。それに対する賭け金は、これ以上なく跳ね上がっている。リビアの「バージョン2.0」は、シリアになるのだろうか?…それはむしろ、「リビア・バージョン2.0のリミックス版」になることだろう。同じ「R2P(responsibility to protect)のポリシー」 (*)の根拠のもとで、爆撃されて「デモクラシーへと」追い込まれる一般市民らの姿を主人公に据えながら。…そこには国連安保理の決議はない(ロシアと中国が拒否権を行使するだろうから)その代わりに、トルコが光り輝きながら内戦の戦火を煽ることだろう。*responsibility to protect:〔記事末尾註参照〕

 米国の国務長官のHillary( 「我々は来たり、我々は見たり、彼は死んだり」 の)Clinton(*)は、数週間前にインドネシアのTVで、シリアに「内戦が」勃発するだろう、との予言を発した─政府軍からの大勢の逃亡兵が詰めかけている…潤沢な資金を施されて、「よく武装された」反政府勢力の光景を映し出しながら。 (*カエサルの勝利の言葉「我来たり、我見たり、我征服せり」“veni, vidi, vici.”のもじりを、筆者がヒラリーのミドルネーム風に挿入。勝ち誇った調子でシリアには内戦が起きると発言、また同じ11/8のインタビューで「アサドはもう死んだも同然」、と発言したことを茶化している?)
 そして今やその実現は、NATOGCCの手にかかっている。「NATOGCC」とはもちろん、今や、北大西洋条約機構の選抜メンバーとしての英・仏と、そして湾岸協力会議(Gulf Cooperation Council)から選抜された石油王国すなわちカタールとUAEのような「湾岸反革命クラブ」(Gulf Counter-revolution Club)との間で、充分に達成された共生関係のことをさしているのだ。

 それゆえあなたも、いまひとつの傭兵のパラダイスが放つ輝きを自由に浴びてみるがよい。

"NATOGCC戦争" The NATOGCC war

 Mustafa Abdul NATO(Jalil という名でも知られる)を議長としたTNC(Transitional National Council リビアの国家暫定評議会)との間の露骨な同意のもとで、かつて反乱勢力として知られていたリビア人たち─カダフィ体制を転覆させたばかりの、600人のフレッシュな、高い動機に導かれた兵士たちは、FSA(シリア自由軍Free Syria Army)たちと共に戦うべく、すでにシリアにむけて送り出された…トルコを経由して。これに続いて、イスタンブールではTNCとシリアの「反乱勢力」の間に、秘密のミーティングがもたれた─シリア国民評議会(Syrian National Council)という新しいブランド名のもとで。

 Trigger-happyな(むやみに銃を撃ちたがる)リビア人たちは、カダフィ政権の武器庫の中の豊富な武器へのアクセスを得るか、またはNATOとカタールから紳士的に「寄贈された」武器を入手した。こうした美味しい状況というのは、1980年代にサウード家に起きた状況にも相似した状況だ─彼らが(サウジ国内の)筋金入りのイスラム主義者らに対して、アフガニスタンに(ソ連の侵攻勢力と)戦いに行くことに青信号を出したときの状況に。

 TNCにとっては、北アフリカで地獄のような状況を生み出すよりも、こうした闘争ホルモン一杯の失業中の戦士たちを遠い中東に送り、自分たちからは遠ざけておくべきなのだ。そしてNATOのメンバー国のトルコにとって戦争の不在(彼らは厄介者のロシアと中国に文句を言ううがいい)という状態のなかで、次なるベスト・オプションとは、その仕事を傭兵に任せてしまうことなのだ。

 そうしたプレッシャーは、絶え間なく執拗なようだ。ブリュッセルの外交官たちは、本紙(Asia Times)に対してNATOGCCの工作員たちがトルコのHatay県のIskenderunに司令センターを設立したとの情報を確認した。シリア北西部のかなめの都市であるAleppoはトルコ・シリアの国境に非常に近い。この司令センターの名目的なストーリーとは、シリアに通じる「humanitarian corridors 人道援助のためのルート」を設けるということなのだ。

 こうした「人道主義者たち(人道援助活動家)」とは、NATO加盟国の米国、カナダ、フランス、そしてGCC加盟国のサウジ・アラビア、カタール、UAEなどの国々から来るのだが、彼らは単なる「innocent monitors無邪気な監視要員たち」に過ぎなくて、NATOの一部ではない。こうした人道活動家たちとは、言うまでもなく陸上・海上・空上の援助部隊および技術的な専門家によって構成される。彼らのミッションとは:北部シリア…特にIdlib、Rastan、Homs の地域に浸透することだが、こうしたなかでは特に、少なくとも人口2千5百万人(その大多数がスンニ派とクルド人)を有するシリア最大の都市Aleppoに浸透することだ。

 このニュースがブリュッセルからもたらされる前でさえ、フランスの風刺的な週刊誌Le Canard Enchaineや(同様にトルコの日刊紙Milliyetもまた、)フランスの諜報部と英国のMI6とが、南トルコのHatayと北レバノンのTripoliにおいてFSAに都市ゲリラ戦技術の訓練を施していると暴露していた。こうした武器は─ショットガンからイスラエル製のマシンガンとRPG(携行式ロケット弾)にいたるまで─大量に密輸されてきたのだ。

 シリアにおいては─サラフィ派から軽犯罪者に至る─武装ギャングたちが、反政府運動の初期段階から、正規軍兵士や警察官、一般市民に対してすら攻撃をしかけてきたことは公然と知られている。過去7ヶ月間におよそ3千500名の人々が殺され、そのうち多大な数の一般市民と1,100名の軍兵士らがこうしたギャングらに殺されている。

 そしてまた、そこには軍の脱走兵らもいる。そのために、Assadが現状におけるシリアの悲劇の大方が、高給を得た、よく武装された兵士たち(傭兵たちは勿論のこと)によって、外国勢力からの脅威のもとに煽りたてられたのだ、と主張するとき、それは本質的に正しい。

 Homsのローカルな情報筋が本紙に伝えたところでは、FSA(シリア自由軍)というものは「それはちょうど犯罪者たちに、メディアの報道上で都合のいいカバーを与えたに過ぎない。」彼らはBaba Amirでの彼ら自身のビデオを持っているが、そこで彼らは完璧なばか者(complete idiots)のように見える。(ここにそのリンクがあり、便利なキャプションもついている!:http://www.youtube.com/watch?v=5tC3RebQ2hc
 しかし、こうした少年らや男たちが誰だろうと、彼らはスンニ派の国民からの多くの支持を得ている。さらに、彼らはコミュニティ内部にコネクションをもっている。さらにまた、コミュニティ内部でも支持をうけている─金持ちからも貧乏人からも。

 Homsのすぐ郊外にある、大多数の生徒がスンニ派の某私立学校で教えるキリスト教徒の女性が、ギャングたちに車を止められて車を盗まれたという。彼女はHomsに着いた時に何本かの電話をかけ、そしてその後彼女の車は戻ってきたという。それゆえに、市の境界線の外で車を盗んだ者は誰でも、市の中・上流階級の人々とのコネをもっており、彼らというのは車を返却させることができるのだといえる。このことは私に、Homsに革命へのドグマ(教義)というものが浸透していることを示唆する。FSAの「コンセプト」とは充分に支持されているし、Baba AmrやBayada,Khalidiyyaのような貧困地域の人々もFSAを、自立的に(自主的な意思で)支持できるのだ。

いつもの票をかきあつめろ Round up the usual votes

 リビアにおけるのと同様、アラブ連盟はNATOGCCのためにそのドアマットの役割を期待通りに果たし、シリア政府の資産の凍結やその中央銀行との取引停止、アラブ諸国からの投資活動の停止を含む、厳しい制裁措置に賛成票を投じた。端的に言えば:経済戦争(economic war)の宣言だ。レバノンの新聞L'Orient Le Jour は、それを慇懃に「政治的な婉曲語法」と呼んだ。アラブ連盟の22の加盟国メンバーのうちの、19カ国がこれに賛成した─シリアは既に一時的停止状態におかれた。イラク(政府の大半がシーア派の)と、レバノン(ヒズボラが政府の一角をなす)だけが、賛成票を投じなかった。

 そんななかで、椅子取りゲームの、意地の悪い日和見主義者たち(nasty opportunists)…そのシリア版…もまた相変わらずその力を維持している。シリアの国家評議会(The Syrian National Council)とそのイスラム主義者(イスラミスト)仲間の一団は、Bashar al-Assad政権との間のいかなる対話をも拒否した。シリアのムスリム同胞団の理事長(secretary-general)、Riad Chakfiは、「リビアの反乱分子」を引き入れ、トルコ軍に対し、北部シリアに侵攻して緩衝地帯(buffer zone)をつくるように懇願した。前の副大統領Abdelhalim Khaddam(彼はパリに亡命した)─や、他の副大統領Rifaat al-Assad(スペインに亡命した)─のような危なっかしい国外亡命者たちは、ムスリム同胞団(それは「新生シリア」の権力のトップに着くことだろう)が、彼らに権力の座に着くことを許すだろう、という幻想を抱いている。

 これは完全にばかげている─なぜなら、「新生」シリアでのゲームの名前は、サウード家(The House of Saud )となるだろうから。サウード家は、エジプトのムスリム同胞団(彼らは、権力の掌握にどんどん近づきつつある)や、トルコのAKP党(本質的にムスリム同胞団の小型版だ)、そしてシリアのムスリム同胞団との、決定的なつながりを持っている。サウジ人たちは、トルコへの決定的な投資家勢力でもある。彼らは彼ら自身を、エジプトの主要投資家であると捉えている。そして彼らは「新生」シリアの主要投資家になることを、死ぬほど願っている。

 するとここに、トルコの演じるゲームに関する、重要な疑問が沸く。シリアの関係情報書類においては、トルコはもはや仲介者ではなく─彼らはすでに、政権交代のがむしゃらな主唱者になった。テヘラン-ダマスカス-アンカラの協約のことは忘れたまえ…それはつい最近、2010年までは現実だったのだが。ソフト・パワーと、外務大臣Ahmet Davutogluが発案して、盛んに喧伝された「我々の近隣諸国との問題をゼロにする」("zero problems with our neighbors")という外交ポリシーのことも、忘れたほうがいい。

 Davutoglu自身は、トルコ自身によるシリアへの制裁措置(─アラブ連盟のそれの再演としての、政府の金融資産凍結と中央銀行との取引停止)を宣言した。Davutogluはトルコ国境に沿ったシリア国内への軍事的緩衝地帯の設置は「アジェンダ(課題項目)にはない」と主張したが、しかしそれはまさに、こうしたNATOGCCの影の「人道主義的モニターたち」の方針しだいだ。11月中旬以来トルコのメディアは、北部シリアの飛行禁止区域(no-fly zone)と前述の緩衝地帯をAleppoまで広げて設置する詳細なプランを、興奮した論調で書きたてていたのだ。

 その動機だって?…「預言者」のHillary Clintonに聞いてみるがいい、─内戦を煽るための動機を。

決戦は、地中海クラブ・スタイル Showdown, Club Med style

 トルコ型の政治モデルの、アラブ世界のスンニ派多数派地域への売り込みに必死に狂奔しながら(GCCは未だにそれを買ってはいないが)、トルコはロシアとイランとの決定的関係について、深刻な計算間違いをしているのかもしれない。トルコのエネルギーの70%前後は、ロシアと、イランから輸入されているのだ。勿論ロシアとイラン両国は、トルコがNATOのプレッシャーに屈してミサイル防衛の一部としてのレーダー中継局の国内設置を許すことに対し、憤っている。

 ロシアは、シリアのシナリオに対して、明確な考えを持っている。ロシアの外務省はここ何週間もあからさまに言い続けている、「我々は、シリアへの軍事的介入を絶対に受け容れない」と。

 先週、モスクワで行われた新興BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の外務大臣代理の会議では、間違いはあり得なかった。 BRICS諸国は本質的に赤線を引いた。シリアへの外国勢力の介入は許さない…「シリアの内政問題への、国連の許可のない、いかなる外部勢力による干渉も、排除すべきである」と。「イランを爆撃しろ("bomb bomb Iran")」ではない。その代わりに、対話と交渉を主張しているのだ。そして、これ以上の制裁措置は「逆効果」なので、課さない。BRICSは明確に、リビアのシナリオがゆっくりと「NATOGCCの戦争」に形を変えていくことを看て取っている。(*アメリカの保守派、John McCainが大統領選キャンペーン中につい言ってしまい物議をかもした言葉)

 外部的情報を加えるなら、戦艦空母のAdmiral Kuznetsov(核ミサイルを搭載した)は、駆逐艦Admiral Chabanenkoと小型快速船LadnyとともにすでにMurmanskを出て、東地中海に向かっている。同艦隊は1月中旬にはシリアのTartus海軍基地に到着して、黒海にいる他のロシア艦隊と落ち合うだろう。ロシアの国防省からの600人の軍部要員・技術者を駐留させているTartus基地は、ロシアの黒海艦隊のメンテナンスと給油の中心地点なのだ。ロシアが空母George H W Bushの攻撃グループ(…これも今東地中海にいる)のメンバーとバレーボール・マッチをするかどうかは、スリルのある見物だ。

  シリアの大衆はAssad政権以外の何かを望んでいる、という議論は、公平な見方だろう─しかしそれは「人道主義的な空爆」の変化形(varient)だとか、ましてや内戦などでは、勿論ありえない。彼らはリビアに、NATOの遺産(レガシー)をみている─国中のインフラは実質的に破壊され、都市は空爆で灰燼に帰し、何万人もの人々が死傷し、アル・カイダ系の狂信主義者たちがTripoliで勢力をふるい、民族(部族)間の憎悪は、広汎に広がっている。彼らは、新たなブランドの虐殺(massacre)を望まない。しかし、NATOGCCは望んでいる。
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/ML02Ak01.html
註:*R2P(responsibility to protect)
 「独立国家の主権は必ずしも特権ではないが責任であり、国家はその国民を、民族虐殺、戦争犯罪、人道に対する犯罪、エスニック・クレンジング(これらをMass Atrocity Crimes─大規模残虐犯罪と総称する─)から守る責任がある」との見地の元に…独立国家がこれを守れない場合、国際社会がその遂行を援助しなければならないとする考え。そのRtoPとは、国際社会にとってのノーム(規範)であって法ではない。国際社会は経済的、政治的、社会的手段によって現状の危機に対処し、外交的または強硬な手段、あるいは軍事介入をその最後の手段とし、犠牲となった人々の安全と正義の再建、大規模犯罪の起因の解明をはからねばならない…とする。
  〔…ルワンダ虐殺が阻止できななかった際、当時のコフィ・アナン国連事務総長が嫌疑を唱えたのが端緒。2000年には、カナダ政府がInternational Commission on Intervention and State Sovereignty(介入と国家主権に関する国際委員会、ICISS)を設立、翌年に報告書「The Responsibility to Protect」をリリース。アフリカ連合(AU)は、これを組織理念にもりこんでいる。2006年には国連安保理が国連決議1674の一部として採択。2009年に国連事務総長藩基文が新たな報告書を発表し、これを更に推進させている。(出典:http://en.wikipedia.org/wiki/Responsibility_to_protect)
ウェブサイト:http://www.responsibilitytoprotect.org/

活動家らが非難、「シリアへの監視団は誤解を呼んでいる」((1/5, AP通信、Al-Jazeera)
─アラブ連盟の監視チームは殆どが、Assadに忠実な地域へと案内された、と反対勢力。政府は政治犯釈放を宣言─

 活動家らは、シリア政府がアラブ連盟の監視団らを政府に忠実な地域に連れて行き、道路の表示を変えて彼らを混乱させ、政府支持者らを反政府的な地域に送って偽の証言をさせた、と政府を非難。

 12月27日に始まった1ヶ月に及ぶ監視団のミッションは、9ヶ月に及ぶ政府の弾圧が、5,500人の人々を殺害したと国連が伝える国の内部への稀な視察を行っている。しかしそこでは、政府に忠実な者達が監視のプロセスを修正不可能なほど損ねたという怖れがもたれている。

 水曜日までにはアラブ連盟はコメントしていないが、シリアの外務省スポークスマンはこれを否定。「我々はミッションの仕事の妨害をしていない」とAP通信に語った。彼は政府のエスコートが監視団には必要だったと語った。

反政府勢力による主張

 反政府側の活動家らはなかでも、政府に忠実な者達が軍用車両を警察の車両に見せかけるため、青く塗り替えたとも主張。この方法により、政府が反乱分子への弾圧を終わらせるために、軍隊をアラブ連盟のプランにしたがって人口密集地域から撤退させた、という主張を許すことになる。同プランは政府が治安勢力と重武器を市街道路から撤収させ、反乱勢力のリーダーらや、解放された政治犯らと対話をはじめることをも要求している。

 シリアはこれに12月19日に合意し、監視団の入国を許可。約100名の監視モニターが現在、政府がこの件にしたがって殺戮を止めているかどうかを調査している。

 人道活動家らは12月21日以来、400名程度の人が亡くなったとしている。…アラブ連盟の理事長Nabil Elarabyはカイロで、同地域の組織機関はシリアへの監視団のミッションの短縮は考えていないと述べた。火曜日にはあるアラブの外交官が、シリアで殺戮が続いているので、22カ国からなる同連盟の監視団を撤退させると述べた。殆どの外国メディアの取材も禁じられているのでこれらの情報の確認が不可能となっている。

 アラブ連盟は都市からの政府側の重火器の撤収、何千人もの政治犯の釈放など、監視団の存在によるいくつかの勝利があったとする。

「誤ち」が認識される

 シリアでの弾圧を調査すべく派遣されたアラブ連盟の監視団は「過ちを犯した」と、クウェートの国営報道機関がカタールの首相Sheikh Hamad bin Jassim Al Thani(アラブ連盟のシリア・タスクフォースの議長でもある)の言葉を報じた。その「過ち」については詳しく明らかにされていないが、彼は国連からの「技術的支援(technical help)」を求めているという。

 シリア政府側では、木曜日に政情不安に関与して拘留されていたが(その手を血で汚していない)、552名の収監者を解放した。また国営SANA通信社は、11月に2,645名の収監者が解放されたと報じた。人権グループと国連は、3月中旬以来の反政府運動で数千人が逮捕されていたと推定。
http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2012/01/201215101052888818.html

 アラブ連盟監視団のモニターが、嫌悪感を表明しシリアでのミッションを中止(1/11, Reuters, ArabNews)

 アラブ連盟監視団メンバーの一人が、─「恐ろしい光景の数々」を目撃しつつも彼はそれを阻止することが出来ず、シリアに送られた監視団は独立して行動出来なかった、としてシリアを退去した。「私は自分自身が(シリアの)政権に加担していることに気づいたため、去ることにした」、とAnwar Malekは未だに監視団のオレンジ色のベストを身に着けたまま、Al Jazeera TVに語った。

 「どのように私が政権に協力したかって?私は政権に、彼らが殺戮を続ける大きなチャンスを与えて、そして私はそれを防げなかったのだ」。アルジェリア出身の彼は、カタールのAl Jazeeraの本部で語った…Malek氏は彼が止めた理由について述べた、「最も重要なことは、ヒューマニティに基づいて人間的な感情を持つことだ。私はHomsで15日以上を過ごしたが…私は恐怖の光景の数々、焼かれた遺体…をみた。私はこんな状況で私のヒューマニティを捨て去ることは出来ない」

 Malek氏はアラブ連盟のミッションのリーダー、スーダン人のGeneral Mohammed Al-Dabi についての批判を述べた─彼のこの監視団での役割についてはDarfur紛争における彼の過去の役割と関連して、人権団体から疑問が表明されていた。「ミッションのリーダーはシリアの公権力や他のどんな勢力をも怒らせないために、中間的なコースに舵を取りたがった…」とMalek氏はいう。彼は、シリアにいる時点からすでに、Facebookに批判的な投書をして注目を浴びていた。

 ある国連幹部(米国国連代表Susan Rice)は火曜日に安保理に対して、シリアはアラブ監視団の到着後、反対派に対する殺戮をさらに加速させたと語った。「アラブ監視団の到着後、推定400名前後の人々が新たに殺害され、一日平均で40人が殺されている。その数は、監視団派遣前よりもはるかに増加している」、とNYで国連大使Susan Riceは報道陣に語った。その死者の数はシリア当局が発表した、先週のダマスカスでの自爆テロによる26名の死者の数は含んでいないという。
http://arabnews.com/middleeast/article561817.ece

関連記事
http://www.asahi.com/international/update/0108/TKY201201080183.html
ロシア艦隊がシリア基地入港 アサド政権支持示す (1/8, Asahi.com)
 シリア国営通信などは8日、同国西部の地中海岸タルトスのロシア海軍基地に、空母など複数の艦船からなるロシア艦隊が入港したと伝えた。6日間ほど寄港するという。ロシアが改めてアサド政権支持の姿勢を示し、政権打倒に傾く米仏やトルコなどを牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。 ロシアは旧ソ連時代からシリアと友好関係にあり、タルトスの基地はロシアが地中海で持つ唯一の基地だ。反体制デモでアサド政権が倒れて基地を失えば、世界戦略に大きな影響が出るため、ロシアは同政権への支持を続けている。
http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2012/01/201211023919735848.htm
シリアは殺戮を激化させている、と国連
 国連安保理15カ国によるシリア情勢に関する密室会議で、米国国連大使Susan Riceは、(「シリア政府はこの(監視団派遣の)機会を暴力の終結と(アラブ連盟との)約束の履行のために活用せず逆に暴力をステップアップさせている」と語った。シリア政府国連大使Bashar JaafariはこのRiceの訴えを拒絶し、同国での暴力は「テロリストたち」と「武装グループ」によって引き起こされ、彼らは外国諸国からの支援を受けているとのべた
http://www.latimes.com/news/nationworld/world/la-fg-syria-observers-20111229,0,5093581.story
アラブ連盟監視団の団長はダルフール紛争での問題人物
 国際的人権団体は、監視団の団長Gen.Mohammed Ahmed Dabiはもとスーダン軍の諜報部チーフで、国際的な戦争犯罪法廷による召喚(Omar Al-Bashir大統領の)に従わなかった人物で、人選には問題があると批判 http://www.nytimes.com/2011/11/27/opinion/sunday/Friedman-in-the-arab-world-its-the-past-vs-the-future.html アラブ世界では、それは過去vs.未来の戦い(トーマス・フリードマン)  ─チュニジアやエジプト、リビアが革命勢力に震撼させられたとき、それらの国は「内側に破裂(implode)した」。しかしシリアが革命勢力に震撼されると、それは「外側に破裂(explode)するかもしれない」。 

 「シリアやエジプトの勇敢な若者は銃撃を怖れず立ち上がったが、シリアはより内戦になる恐れが強い」
  「なぜなら、シリアはレバント地域のキーストーン(要石)だからだ。シリアは多くの国々、宗派、民族グループと国境線を接しバランスを保っている。もしも内戦が起きたなら、シリアのすべての隣国がシリア国内の何れかの異なる勢力を支持したり、それらから影響力を及ぼされたりするだろう─スンニ派、アラウィ派、クルド族、ドゥルース派、キリスト教徒、親イラン勢力、親ヒズボラ勢力、親パレスチナ勢力、親サウジ勢力…等が、シリアを彼らの方向に傾かせようとする。トルコ、レバノン、ヒズボラ、イラク、イラン、ハマス、ヨルダン、サウジアラビア、イスラエルが皆、誰がダマスカスを支配するのかに権益をもち、そして彼らが皆、シリア国内での代理勢力に影響力を行使する方法を見出すだろう─それは大きな、レバノンのような内戦になるだろう」