Sunday, July 9, 2017

「ザ・ダーラン・プラン」-ハマスも、アッバスもなしで?-The Dahlan Plan: Without Hamas and Without Abbas By Zvi Bar'el

モハメッド・ダーランをガザのリーダーに据えて、「ミニ・ステート」を作るのが企みなのか?
─パレスチナ難民の帰還権を受けいれない国家をつくるのが目的


「ザ・ダーラン・プラン」─ハマスも、アッバスもなしで─

そうだ、このプランはハマスにガザの治安を司る任務を維持させても、彼らの武装解除は行わない…しかし、モハメッド・ダーラン(*)によって、イスラエルはガザに和解を支持するパートナーを得る─ By ズヴィ・バレル(2017/6/29, Ha’aretz)   (*より正確には、ムハンマド・ダハラーン)

イスラエルが、200万人のガザ住民に電力を供給する、日々のわずかな割当て時間を勘定している間に、UAEとエジプト、ガザ、イスラエル政府のあいだではでっちあげめいた複雑な取決めが行われつつある。その目的とは、モハメッド・ダ-ランMohammed Dahlan(パレスチナ大統領でガザ政府の長マフムード・アッバスの政治的ライバル)に働きかけて、(エジプトとイスラエルが設置した)ガザ地域のほとんどの検問所の閉鎖を解くとともに、UAEの資金によってエジプト領側のラッファに新たな発電所を作り、その後、港も建設させるということにある。

もしもこの政治的実験が成功すれば、アッバスは暗い隅に追いやられて、ダ-ランが彼の地位を奪う動きに出るだろう─選挙によるか、あるいは彼がすでに持っている実質的なリーダーシップを追認する形で。エジプトはすでにディーゼル油を市販価格でガザに送ったが、パレスチナ自治政府が課した関税を支払うことはなかった(*アッバス政府が既に無視され税金も不払いとなった?)UAEは発電所の建設に15億ドルの予算割当てを確保している、そしてエジプトはまもなく、人々や物資が往来するラッファの国境をじょじょに開放するだろう。

このプランが完全に実施されるのかどうか…そして、アッバスとダ-ランの長年の不和対立のなかで、ハマスがダ-ランをガザ政府の長に据えること(そしてガザだけを西岸から分断する第一歩に出ること)に同意するのかどうか…を見積もるというのはいまだに時期尚早だ。その一方、もしもこのプランが実を結ぶのなら、イスラエル-エジプト両者が描いた夢の実現が可能となるかもしれない。

エジプトにとってこのプランとは、シナイ半島で暗躍するテロ・グループとハマスの協力関係を終わらせる可能性を秘めるとともに、ガザとの国境が閉鎖された状況を抜け出して商品をガザの市場へと開放する可能性ももたらものだ。そしてベンヤミン・ネタニヤフのイスラエル政府にとって、このプランのキー・ポイントとはダ-ランの指名だ─「ガザ州」の”長”としての彼は、防衛大臣のアヴィグドール・リーバーマンとも親しいのだ。 しかし、ダ-ランは今や、ファタハの古参勢力の抱く彼への敵対心からはすっかり転換した、ファタハの新リーダーシップ・コミッション(主導委員会)からの支持を得ているのだ。25日の報道では、ファタハの古参リーダーたちが、ガザで新たなコミッションに対する告発を行った─彼らが、反マフムード・アッバスの運動に対する掌握強化を狙うダ-ランに好意的な取りきめをした、として。アッバスへの手紙の中で、彼らはこれを一種の叛乱だと呼んだ─そして現今のリーダーシップ・コミッション(主導委員会)が政権の座について以降に生じているファタハの組織的な枠組の「完全な崩壊」に関し、警告を発した。ファタハの首脳たちは、コミッションが外部勢力とリンクしており、外部のアジェンダに沿って行動しているとだと非難している。

もしも彼が指名されたならば、それは、ガザと西岸地域の分断を確実にするだろう─それにより、その(パレスチナ国家への)未来の領土交渉は非常に困難になる。しかし、イスラエルは、ガザ地域に現状とは異なる合法的なパートナーを持つことになる。ガザの封鎖の解除とは、(エジプトがラッファの国境閉鎖を解いた場合は、余り意味をもたなくなるものの)イスラエルに対する国際社会からの圧力を減じるかもしれない…という新たな外交上の配当金をももたらす(それは特に、米国からの圧力を減じ…また、たとえ部分的でもイスラエルにとっての交渉の進展も可能にする。)

かくして、この状況にあらゆる相当の注意を払いつつ…我々はもしも、このプランが実施されれば、すべての側にメリットをもたらすだろうとも言える─アッバスと、国家の樹立を願うパレスチナ人たちを除けば。そうだ、このプランはハマスによる治安維持体制を温存し、彼らの武装解除はしないが、イスラエルはガザにイスラエルとの和解を支持するパートナーを得ることになる。ガザ地域へのカタールとトルコの影響力は排除されるが、エジプトとUAE(=イスラエルの新たな友)は、もしも合意が破られそうになったときには、強化(テコ入れ)にまわるだろう。

外交的な解決に関して、「経済第一(“the economy first”)」の考えを支持する者たち(たとえば、NetanyahuネタニヤフやLibermanリーバーマン、交通相のYisrael Katzなど)なら、誰もが、この合意に賛成するだろう。しかし、これまでにイスラエルからの音沙汰は何もない。同国の政府は、すでにガザの電力危機への自らの責任を逃れられないことを認識している─彼らは、ハマスに都合の良いことはすべてイスラエルには都合が悪く、ガザの住民を助けることはハマスを助けることになる…という既に失敗(誤り)とされた考えに取り憑かれてきた。イスラエルはむしろ…(もしも彼らが何も先んじてやる必要がないのなら、あるいはハマスに支配させるよう静観しているようにみられたくないなら…)この夏の次なる暴力的な衝突に備えるべきなのだ─イスラエルは随分前に、ハマスによるガザ支配とそれによるアドバンテージを認めていたのだとはいえ。

このプランによれば、イスラエルは、ガザに樹立される新たなる政府を承認する必要すらない(*ガザはイスラエルの「州」となり、パレスチナ自治領?ではなくなるから)…そして、それゆえにアッバスの立場を心配しているようにふるまう必要もない。ちょうど10年間(全占領期間の5分の1に相当する)が経過した現在、ガザは封鎖されている。今やそこには、ガザ住民を最も重要視するということ(ハマス主導者のステータスや、イスラエルの威光などではなく)のようなコンセプトの転換と、新しい戦略実行のチャンスがあるかもしれないのだ。

*<<読者コメントからの(抜粋)>>
・ベアー・クレイン:
そして、ハマスは自由に武器輸入できることになる。彼らは依然として銃やロケット砲を持っていられる。ダーランはこの記事の馬鹿な筆者を含めて、誰も皆、だますってわけだ。
・エドガーG.
UAEが15千万ドルの予算を、発電所を建設すべく確保した→
 どうせ6か月で故障して操業できなくなる。アラブ人はじきにパイプを盗み、銅線を盗み、バスルームの設備を盗むよ。

・ベアー・クレイン:
その通り。相手側に潜在的な友がいるように見える、というのは怖い状況だ。それは、あらゆる譲歩がなされる…という以外の可能性が、何ら考えられないという場合なのだ。譲歩することは現実で、全面戦争以外にそれを元に戻すこともありえない。外交努力はすべて蜃気楼か煙幕か鏡像にすぎず、今はそれがみえても次の瞬間にはみえなくなる。今やアラファト時代と同じなのだ。「アラファトをチュニジアから戻すな」というのが賢いスローガンだとされる…これが2度目のときだ。

・アハマッド・アミリ:
イスラエルは、彼らの諜報部門のエージェントに他ならない人間にガザを任して、パレスチナ人の間に内戦を起こすことがお望みなのだろう。

・ロバート・スキナー:
イスラエルは、自分たちが望む政府をガザに設置している。ロシアとイスラエルは、自分たちが望む政府をアメリカに設置している。我々はアメリカが、人民のための人民によるアメリカであるために投票せねばならない、イスラエルによってではなく、イスラエルのためにではなく、ロシアのためにロシアによるのではなく。76名の上院議員をグーグル検索すれば、彼らが悉くイスラエルへの忠実なサインを送っていることが解る。我々はアメリカのために働く人々を大統領オフィスに持たねばならない。イスラエルの不法占拠者とは、不法占拠者であって入植者ではない。イスラエルの入植地は違法であり、ジュネーブ協定に違反している。犯罪を支持してはいけない。
http://www.israpundit.org/the-dahlan-plan-for-gaza-without-hamas-and-without-abbas/

「イスラエル、UAE、エジプトが、ダーランをガザのリーダーに据えることを画策」
...ハーレツ紙曰く、このプランは、カタールとトルコの影響力を無力化することにある
(Al Jazeela 2017/6/29)

イスラエルのハーレツ紙の編集局員(ズヴィ・バレル)によれば、イスラエルとエジプト、UAEがモハメッド・ダーラン、55歳の元・ファタハ高官をガザのリーダーに据えるよう画策している。
ズヴィ・バレルは木曜日のコラムで、そのプランの目的はダーランにマハムード・アッバスとファタハ運動(イスラエル占領下の西岸地区の支配政党)及びPLO(パレスチナ解放機構)と交代させることにあるというが…ハマスが、かつてPA(パレスチナ自治政府)の治安維持勢力の長だったダーランを拒否する可能性もあるので、全面的な実現の可否は未だわからないという。
 
しかしもしも実現すれば、エジプトはラッファの国境を開放してガザの包囲を緩め、UAEは同国境のエジプト側での発電所建設に出資するという。
ダーランを長に据えることで「ガザ州」の実現が現実となる可能性がある…それは、イスラエルのネタニヤフ首相の政府にとって「その計画のキーポイント」なのだ、とバレルは言う。
バレルによればその目的は、ガザにおけるカタールとトルコの役割を無力化することでもあるという。

しかしこのダーラン・プランとは─「とりわけ、アッバスとダーランの長年の対立からみれば」、ガザを西岸から完全に分離させることになるともいう。
ダーランは、2011年にアッバスの転覆を図った容疑でファタハの支配勢力から追放され、2012年以来UAEに亡命している。彼はパレスチナ人の間では人気がない。アッバスは、PLOの事務局長(secretary general)であり、彼の実質的No.2でもあったYasser Abed Rabboを、ダーランと繋がっていたとして解任した。

The controversial Mohammed Dahlan By Neville Teller
論議を呼ぶ人物、モハメッド・ダーラン By ネヴィル・テラー(2016/8/9, Jerusalem Post)

 何年もにわたって、論議を呼ぶ人物、モハメッド・ダーランの周囲には陰謀や反・陰謀の噂が渦巻いていた─パレスチナのカリスマチックな政治家で、自治政府の大統領マフムード・アッバスの最大の敵である彼は、アッバスにとって代わる可能性も大いにある。

この数週間、状況はどちらかといえば悪化している。たとえば、ダーランの名前はトルコでRecep Tayyip Erdogan大統領の政権転覆をもくろんで起きた、クーデター未遂事件に関与したとして挙げられた。その仮説とはすなわち─そのクーデターが、エルドアンがみずから大統領の専制的権力を獲得しようと、不正な手段による政敵の粛清を正当化すべく画策した─といった説への反論として主張された。

ダーランを、その陰謀に結びつける証拠は間接的なものでしかないが…2016年月には、事実トルコの新聞Gercek Hayat  紙が─ダーランがエルドアンに対してもくろまれた多国籍の陰謀(UAEが主導し、ロシアとイランが支援するという)を監督superviseしていたと報じた。

そして当時、7月27日のトルコ側のメディア報道によれば、トルコは、ダーランがクーデターに何らかの役割を果たしていたかどうか捜査していた。トルコの与党、正義進歩党(AKP)の党首Ahmet Varolは、ダーランがエルドアンの宿敵である米国在住の説教師でクーデターの首謀者とされた、Fethullah Gulenの追随者らと密接な繋がりがあった、と主張した。AKPの党首は、ダーランの関与の物的証拠はないが、捜査は進行中であるとし、「我々は我々の国に害を与えようとした者の処罰には躊躇はしない」、とも述べた。

ダーランがこの特別なパイのなかに指を突っ込んでいたかはさておき、彼のもつ、遠大な国際的影響力というものに疑いはなかった。ダーランは、長年UAEに住み、アブ・ダビのMuhammad Bin Zayed皇太子のアドバイザーも務めている。彼はモンテネグロのMilo Djukanovic首相・セルビアのAleksandar Vucic首相の「友人」だとされる。2010年にダーランが妻と共にモンテネグロの市民権を取得した際、Djukanovicは議会で彼について、アブ・ダビの王家とのあいだの橋渡しをする友人であり、結果として、この国に目覚ましい投資を呼び込んでいる、と述べた。その後、ダーランは2013年にはセルビアの市民権を手にしたが─その際には、セルビアに対してUAEからの何百万ドルもの投資を約束していた。

パレスチナの政界で広く抱かれる見方では、ダーランの外交への関与とは彼がPA大統領マフムード・アッバスの明らかな後継者としてのステータス強化の戦略の一貫だとみられている。ハマスの前首相Ismail Haniyehの政治アドバイザー、Ahmed Youssefによれば、「ダーランにはパレスチナで誰よりも高いポジションにアクセスする一層のチャンスがあるかもしれない。これはイスラエルが、彼と彼の持つUAEやエジプト、サウジ、ヨルダン、シリアの反政府勢力等との特別な繋がりというものに(比較的)満足していることを考慮している。パレスチナ政府関係者の国際的な繋がりは彼がリーダーシップへの梯子を登らせることを許す可能性がある」という。

ヨルダンのAl-Mustaqabal紙のエディター、Shaker al-Jawhariは、ダーランは地域の広汎なアクターたちから支持を得ている、と信じている。「彼の影響力というものは、彼が彼の支持者らに分配している資金のお陰で、レバノンやヨーロッパ諸国にまで及んでいる。このことは、彼の力を強め、アブ・マゼン(マフムード・アッバス)の真の競合者ならしめている」という。

 “Middle East Eye”のウェブサイトは、ダーランが主謀したとされる、もう一つの陰謀の噂にも信憑性を与える。それはエジプトとヨルダン・UAEが、ダーランをPA自治政府の次なるリーダーに据えようとするプランに関わり、ハマスもダーランとの長年にわたる歴史的な不和を不問に付すことへの用意がある、と論ずる。(彼は、1995年から2000年にかけ、ガザの治安担当相だった折に、イスラエルに対する武力作戦に関与した、として何百名ものハマスのメンバーを逮捕していた)。アッバス後(ポスト・アッバス)時代の計画とは、彼の仇敵であるダーランにパレスチナの大統領と、PLOとPAの首長の座を与えるというものだ。UAEはイスラエルとの間でダーランを政権に据える戦略を討議し、主役である3カ国は最終的な形態の合意に達した際、サウジ・アラビアにそれを通知することになっている。

6月24日、ハマスの政治局長のハリド・メシャルは、ドーハのホテルで記者会見を開いた。彼は、「この地域には、陰謀が存在している…外部から誰かを、ガザとラマッラーにパラシュート降下させる…という陰謀だ」と宣言した。その場にいたジャーナリストたちは、彼がモハメッド・ダーランの事を話しているのだ、とわかった。5月30日に、アヴィグドール・リーバーマンがイスラエルの新たな防衛大臣に任じられて以来、この陰謀に関する噂が広がっている…ダーランをパレスチナの次のリーダーにすることとは…それは或いは、共謀なのか?

パレスチナとイスラエルの情報筋によれば、2015年1月に、当時の外相・リーバーマンが、パリでダーランと「PA政府の件を話し合うべく」、秘密裡に会合したという。リーバーマン=ダーラン合意─その真偽は不明だが、それはダーランに汚名を着せて、彼のライバルに攻撃の弾薬を与えるのに十分だし、彼らがそれを躊躇することはあり得ない。

ガザでは、ダーランのハマスとの関係が…彼がエジプトのアブデル・ファタハ・アル・シーシ大統領とあいだに培った繋がりのお陰でめざましく改善した。ガザを拠点とする運動のリーダーたちはダーランが、アル・シーシと彼らの関係修復のために助力してくれるよう期待した。彼らはまた、ダーラン基金からのガザへの資金流入(開発や貧困層対策に用いる)を歓迎した。
ガザのハマスのリーダーたちは、たとえダーランがスポンサーでも、気前のいい財政援助を拒否する余裕はない。このような国家的プロジェクトが、彼がパレスチナの政治マシーンの主導権を握るチャンスを鼓舞し、確実化するのは明らかだ。

ダーランのもっとも手ごわい障害物とはファタハの古参勢力だ。2011年6月にダーランは、会計上の腐敗と殺人の容疑でファタハの支配層から追放された─アッバスは、彼をパレスチナのリーダーだった故ヤセル・アラファト殺害の容疑で告発した。ダーランは腐敗の容疑で、PAの欠席裁判で裁かれた。
 
果たしてこの賭けで、ダーランの強さは彼の弱点に打ち勝つことができ、彼はアッバスの後継となりうるのだろうか?─噂の通りの恐るべき外部の利権勢力に支援されて…勿論、そのシリアスな賭けが実現すれば、西岸地域とガザで行われる来るべき地方選挙が、ダーランの政治的未来への価値ある示唆を与えてくれることだろう。
http://www.jpost.com/Blogs/A-Mid-East-Journal/The-controversial-Mohammed-Dahlan-463624

*パレスチナ専門家N教授による見解
CIAとエジプト現政権、イスラエルがグルになって、そんな計画を企むこともありえるが、実現性は僅かだろう。ダーランは信用が置けないが、相当な「やり手」なのは事実。
CIAとつながりが強いと以前から噂され、アラファート毒殺に関与、また、ガザ地区でクーデタを企て、ハマースが予防的に彼の治安警察部隊を粉砕したと言われる。
彼がパレスチナ治安警察のなかにかなりの支持者を持っていたのは、過去の話。ガザ地区のイスラーム教徒は、彼の治安部隊がデモに発砲して多数を死傷させたことを忘れてはいないだろう。

関連情報 :「ザ・ダーランプラン」 の記事中のイスラエルがガザに計画中の「港」に関して)

■イスラエル交通相がガザ沖人工島構想■

同日のロイター通信によると、イスラエルのイスラエル・カッツ情報・交通相が
ガザ地区沖に構想している人工島計画が関心を集めている。

カッツ交通相の計画では、人工島は陸から約5キロ沖で、面積 252ヘクタール、
ガザ地区とは橋で結ばれる。人工島には、旅客・貨物港、貨物集積場、都市ガス
や電気の関連施設、さらにはレジャーボート用のマリーナを設置。将来の空港用
地も用意される。
人工島の周辺海域はイスラエルが管理するが、人工島とこれに通じる検問所の警
備は、国際部隊に委ねるというもの。
人工島構想を説明するビデオは、今月、イスラエルの閣議で公開され、閣僚の多
くが賛意を示したが、リーベルマン国防相は否定的だった。
ハマースのサミ・アブー・ズフリ報道官は、カッツ交通相の構想には直接言及し
なかったが、「ガザに港をつくることは、封鎖を終わらせ、住民の生活改善に役
立つ」とコメントした。(6/29 Reuters

   ─パレスチナ最新情報-JSRメルマガ20170706 より─
 
 
「ダーランとハマス高官がカイロで密約を交わした」(6/27)
リーク文書によれば、モハメッド・ダーランがガザのリーダーになる Leaked document says Muhammad Dahlan to become leader in Gaza Stripk (抜粋)(2017/6/27, Maan News)
 
ハマスと、ファタハの支配するPAとの紛争が高まるなかで、Ma’an Newsが入手したリーク文書によれば─ハマス高官とモハメッド・ダーランとがエジプトのカイロで会談した結果、ダーランがガザの長に指名される可能性が高まったという。
 
その文書は“A National Consensus Document for Trust-Building”と題され、ハマスのリーダーYahya Sinwarと、ダーランがエジプトが仲介した会談で作成された。ハマス政府高官らは、パレスチナ自治政府(PA)に政治的に対抗するフロントラインを張るべく、ダーランと協力関係を結んでいる。
 
2006年のパレスチナの選挙において、ハマスの手強い敵だったダーランは、ハマスによる政権獲得後に長引くファタハとハマスの内紛が続くなかでは、ハマスと政治的同盟を結ぶことなど考えられなかった。しかし、政治アナリストたちはダーランとハマスが共に西岸でアッバスの率いるPAを拒絶する─という共通利益によって同盟を結んだのだ、と指摘する…
     
アル・シーシ大統領の仲介でPAとHamas の高官がエジプトで会談
 
エジプトとパレスチナのリーダーらが、予想されるガザの動揺を前に会談

Egyptian, Palestinian Leaders Meet Amid Likely Gaza Shakeup


カイロのエジプト政府とイスラム武装勢力・ハマスの和解の兆候のただ中で、エジプトとパレスチナのリーダーらが日曜日(7/8)にカイロで会談した─この動きは、ガザの政治的風景を動揺させ、パレスチナの現・大統領を脇に追いやる可能性がある。

マフムード・アッバスに近い高官らは、パレスチナのリーダーがアル・シーシ大統領と会い…浮上しつつある、ガザのハマス支配層と亡命中のアッバスのライバルでガザの元有力者モハメッド・ダーランとのパワー・シェアリング(権力分担)の合意の明確化を話し合ったとみられる。
 
この合意の元で、ハマスはガザの治安担当を継続するが、ダーランは最終的にガザに戻り、外交関係を担うという。

カイロでは会談後いずれのリーダーもメディアには口を閉ざし、エジプト大統領のスポークスマンも大まかな一般論に終始したが─二人のリーダーはパレスチナの国家設立への最近の進展と和平交渉について討議したという。
 
ダーランは、2006年に議会選挙でのハマスの勝利後に生じた、ハマス対ファタハの街頭での武力衝突の背後の主要人物だった…。その1年後にハマスのグループはガザの支配権を暴力的に奪取した。

ダーランとハマスは不倶戴天の敵だったが、この何か月かは両者が共通の利害を抱きはじめている。ダーランが抱く…いつの日か亡命から帰国してアッバスの後任となるという野望が─アッバスがガザに対する財政的圧力を増大している現在、ハマスの抱くアッバスへの絶望感の高まりとも偶然に一致している。
 
(中略)
エジプトは長らく、ハマスがシナイ半島北部の過激派勢力にサンクチュアリを提供してきたと非難してきたが…このところ、エジプトとハマスの関係性は雪解けに至っている。ハマス高官曰く、両者はガザ-エジプトの国境線の治安対策について交渉を行った。エジプトは、シナイ半島のイスラム過激派がこれ以上、ガザを避難所にせぬよう、望んでおり…これに応じてハマスはエジプト国境付近にバッファーゾーンを作ることになった。その見返りにエジプトは、ガザの政権に発電所のための燃料を送り、ガザで住民の不満を募らせている長引く電力危機を緩和するという。
 
エジプトによる燃料輸送は、アッバスがハマスにかける「財政的圧力」の効果を弱めるかもしれないが、しかしアッバスはそれを望んでいる…のみならず彼は─ガザの電力料金支払いのための補助金を削減し、支払い(の肩代わり)も控えることで(電力危機を生じさせ、)ガザの民衆のハマスに対する支持を徐々に失わせ、ハマスにガザ地域の委譲を促そうとしている。
 
アル・シーシとアッバスのカイロ会談に先立ってあるエジプト外交官は語った─
シーシは、エジプトはいつまでもガザの封鎖を続けられない、とアッバスに訴えると思われる、また、アッバスに対しては権力の委譲後も、ガザでSenior role(上級顧問などの役)に就かせることを約束するだろうと。
 
ダーランは、アッバスのファタハ勢力の元リーダーであり、2010年にパレスチナの大統領に追放されて亡命した─それ以後、彼はアラブ首長国連邦とエジプトに対して強い繋がりを持っている。
政府高官らは、彼らが聞いた話をこう語った… この交渉の最初のステップとしてダーランは5000万ドルを2005-6年のハマスーファタハの市街戦の犠牲者の遺族に対して支払う計画だという─その補償金支払い業務は、ダーランの部下であり、同じく亡命していたガザの元ファタハのリーダーSamir Masharawiに手がけさせるという。
http://hosted.ap.org/dynamic/stories/M/ML_EGYPT_PALESTINIANS?SITE=AP&SECTION=HOME&TEMPLATE=DEFAULT
Mohammed Dahlan(ウィキペディア)
https://en.wikipedia.org/wiki/Mohammed_Dahlan
 

 

 



Saturday, July 8, 2017

ガザの電力危機の責任とは?Palestinians also to blame for Gaza electricity crisis By Amira Hass

アッバスの政府がイスラエルへの電力料金支払いを停止し、暫く前から、ガザ地区の電力供給は1日3時間程度なのだとか。アッバスは何故、自らの国民を犠牲にするのだろうか

ガザの電力危機は、パレスチナ人にも責任がある
─ ガザの人々を犠牲にして、シニカルに衝突する、パレスチナの2つの対立するリーダーシップを許すべきでない ─ By アミラ・ハース (2017/6/26Ha’aretz

我々は、パレスチナの2つの「政府」というものが、ガザ地区を闇に突き落とした責任について論じたい。この記事はイスラエルを、彼らが現在ひき起こしている危機への責任…この破滅的な恐ろしい災難の連鎖への責任から解き放とう、というものではない。イスラエルは、事実上のこの地域の支配者なのだ。イスラエルによるガザの包囲というものは、海沿いのこの地域を未曽有のレベルの貧困に陥れた。イスラエルは、発電所の変圧器や燃料タンクを破壊し、発電所を含めた電力施設の迅速な復旧や修理に必要とされる建設用資材や、原材料の搬入をも制限した。
しかし我々は、パレスチナでガザに住む自らの人民を犠牲にしつつ、ライバルとしてシニカルに対立しあい暴力的に衝突している2つのリーダーシップの責任を問わないわけにはいかない。この不快な喧嘩のなかで、電力の問題は特に複雑化している。以下に、その主要な問題点を列挙しよう:

電力の口座料金の徴収:
ガザはラマッラーのパレスチナ自治政府の国庫(財務省)に未払い電気料金の債務を負っている。イスラエルの包囲は、ガザのほとんどの住民を貧困に陥らせ、その8割の住民の暮らしを公的補助金に依存させた。イスラエルの包囲により、多くの者たちが単純に支払い不能になった。しかしそこには、騒ぎに便乗して支払いを怠る者たちがいる─それはつまり、ハマスの公的機関や、自治体やモスク、そしておそらくこの包囲を生き延びているいくつかのビジネス事業者たちだ。

ラマッラーの自治政府は、すべてを吸収できる裕福な叔父さんなどではない。イスラエルが西岸地域に課していた、移動や開発の自由の制限は、その地域の経済的発展を大いに阻害した。ハマスの当局者たちは、彼らが望むなら住民たちからどうやって複数の名目で税金を徴収できるかを、よく知っている。彼らはなぜ、ガザ地区の電力料金徴収と支払いのために、ラマッラーの政府の国庫から移動すべき金の獲得にもっと努力しないのだろうか。

課税:
 パレスチナ自治政府は、ガザの民間発電所の操業に必要なディーゼル油を輸送しているようだが、しかし彼らは過去に約束していた燃料油に対する全面的免税の措置を行っていない。ガザの住民たちは、彼らの貧困状態が全面的な免税措置を正当化するとも主張する。ハマス当局は、課税による収入はラマッラ―の政府の国庫に行ってしまうとも主張する。

ラマッラーの政府は、彼らが、ガザ地区の公共部門の職員の給与や、健康福祉サービスのための費用を多大な割合で負担している、という。その地域開発のための予算は、大きな割合(国際援助に頼る割合は減少し続けているが)で、ガザに割当てられている。彼らは、ガザでは税収や同地域への輸入品にイスラエルが賦課する関税の収入が、いずれにせよラマッラーの国庫に集められ、届くと主張する。パレスチナ自治政府はハマス政府が、これ以外にも更なる税金を商業者や輸入業者らから徴収している、と主張する。
 
ガザ地域では数年にわたり、電力料金の請求金額がガザに赴任するラマッラー政府の公務員給与の源泉から差引かれていたということは明言する価値がある。

リマインダー(確認事項)
彼らはその地で、働かないことを条件に給与を得ていた─それは、自治政府のマフムード・アッバス大統領が、失敗に終わった試みに伴って冒した致命的な過ち─ハマス政府を引き摺り下ろすために冒した、多くの過ちのうち最初のものだった)。 http://www.haaretz.com/middle-east-news/palestinians/.premium-1.797751


ガザ電力危機で、国連特使がハマース幹部と会談(関連情報)
【6月29日(木)】
ガザ電力危機解決のため、国連のニコライ・ムラデノフ特使は、ガザでイスマ
イール・ハニーヤ元首相らハマース幹部と会談した。アル・ハヤート紙によれば、
同特使は、ガザの火力発電所稼働のための4項目提案を示した。
 
この提案は、(1)発電所用燃料にパレスチナ自治政府が課している各種の税
EUが負担する、(2)電力会社による料金徴収率(現在、30%)を改善するため、
新たな役員会を任命する──など。(6/30 Times of Israel

<注> ガザ地区唯一の火力発電所を経営する電力会社、パレスチナ自治
政府(ラーマッラー政府)と事実上のガザ政府という3者の間には、複雑な関係
があり、この関係が、電力危機解消のネックになっている。電気料金の低い徴収
率は、ガザ地区住民の貧困率の高さとも相関関係があると考えられる。なお、こ
の発電所は、燃料油切れのため4月から稼働を停止している。

ガザ地区へエジプトからディーゼル油
ガザ地区石油委員会責任者、ハリール・シャクファによると、エジプトとハマー
スの間の会談で、エジプトからのディーゼル油70万リットルの輸入が決まった。
燃料油はラファハ検問所から搬入され、石油スタンドと火力発電所に供給される。
6/24 Maan News
  ─パレスチナ最新情報-JSRメルマガ20170706 より─