Thursday, December 30, 2010
「グラウンド・ゼロ・モスク」はいま?- "GZ Mosque" Updates..
GZモスク問題は未だに紛糾…モスクを移転する、しない、でムスリムのグループの間でも意見が異なる?
グラウンド・ゼロ・モスクの支持者たちは、
─”モスクの計画地をSt. Vincent'sに移す、という提案の件で、彼らにコンタクトをとった者は誰もいない”、と語る… (New York Dailynews, 12/19)
GZモスクの支持者たちは、サウジのアブドラ国王が、論議を読んでいるモスクの計画地をグリニッジ・ヴィレッジの閉鎖されたSt.Vincent's 病院に移そうとしている、と報じた日曜日の報道を否定した。
モスク計画のアドバイザーを務めるDaisy Khanによれば、”そのことに関して、私や夫にコンタクトをとってきた人は誰もいない”という。彼女とその夫のImam Feisal Abdul RaufはParkPlaceのグラウンド・ゼロの2ブロック北側の、1億ドルをかけた祈祷所とコミュニティ・センターの建設に関与している。
"私は、多宗教のためのコミュニティセンターのローワー・マンハッタンでの創設というアイディアにコミットし続ける”、とImamは述べた。
同モスクの予定地は、計画されているParkPlaceのサイトから動いたりはしないと、モスクのデベロッパー、Sharif el-Gamalはいった。そしてSt. Vincent's病院の売却に関わる市の上級ヘルスケア担当者は、彼の周囲にも、倒産した病院の大半の施設を再オープンしモスクを建てるという、報道されていたサウジ王族の提案について、聞いたものはいないという。"それは嘘だ”と彼はいった。
病院の施設買取りの交渉に当たっているデベロッパー・Rudinのマネージャーは、そこにアパートメントと健康施設を建てるつもりだという。
"RudinのファミリーはSt. Vincent'sと交渉中で、グリニッジ・ビレッジの人々にヘルスケアを強化することを通じ債権者たちとコミュニティーの利益となる解決策としての再開発を模索している”、とRudin社の幹部John Gilbertはいった。
*写真はモスク予定地の左数件隣、G.ゼロ北東端斜向かいのアーミッシュマーケット
http://www.nydailynews.com/ny_local/2010/12/19/2010-12-19_ground_zero_mosque_backers_say_no_ones_contacted_them_about_moving_mosque_to_st_.html#ixzz19h0Uoixp
ムスリムのグループが、タイムズ・スクエア広告を公開 (NY Metro, 12/16)
グラウンド・ゼロモスクの移転を支持する"Muslims for Peace"というグループが、イスラム教の寛容性に関するメッセージを発する、タイムズ・スクエアのビルボード(広告看板)を今日公開する。42丁目と7thアベニューの交差点に設置された520平方フィートのビデオ広告では、“Muslims for love, loyalty and peace; 1-800-WHY-ISLAM”という文字と、ハートのマーク、米国旗、鳩のイメージが表示される。そのビデオは1月17日まで、毎時間流される。
"イスラムのメッセージは過激主義者たちによってハイジャックされてしまった”と、 "穏健派"イスラムを自称するグループ、Ahmadiyya Muslim Community USAのスポークスマンWaseem Sayedは述べる。"暴力を濫用する人々が、世界中のパブリシティを握ってしまった、それはイスラムのメッセージが平和的なものだと信じる我々の間の人間にとって、より困難なことだ”、と彼はいう。
Sayedは彼のグループが、大きな論争を呼ぶグラウンド・ゼロ近くのモスクとイスラム・センターの場所を移転することを支持する、と述べた。
*写真は彼らが春に行ったバス広告
http://www.metro.us/newyork/local/article/722359--peace-lovers-unveil-times-square-ad
米国のグループが、イスラムの平和的イメージをプロモーション展開 (VOAニュース、12/21)
http://bcove.me/s7nyy5dw (ビデオ)
(タイムズ・スクエアでの、15秒間のビデオ広告に加えて、アクティティビストたちは同スクエアと米国全土で、リーフレットを通行人に配る。そこでは、Muslim for Peaceは1世紀以上前に設立された平和的なムスリム組織Ahmadiyya Muslim Communityの一部だと説明している。その創立者であるインドのMirza Ghulam Ahmadは、信奉者たちに、剣ではなくペンで語るようにと求めた。同組織は15000以上のモスクと、何千万人もの信奉者を有している─)
http://www.voanews.com/english/news/usa/Group-Launches-Campaign-to-Promote-Peaceful-Image-of-Islam-112281309.html
ムスリム・グループたちがNYシティのモスクを支持、敵対的意識を非難
(AP + USAトゥデイ、9/2)
グラウンド・ゼロ近くのモスク計画に反対することは、“非倫理的で、挑発的で非人間的なことだ─”と、50以上の主要なムスリム組織が、米国の宗教的な非寛容の兆候について集中討議を行うに際して、声明を発した。
そんな今、プロジェクトの背後にいるイマームは、米国の納税者たちの資金で行った中東ツアーからの帰国を準備している。彼は、その旅先での討論は“単なる一つの敷地の問題”より以上のものだったと語る。
ニューヨーク都市部の、多彩なイスラム教徒組織の評議会Majlis Ash-Shuraのリーダーらは、市庁舎に集まり、宗教的な非寛容を廃止し、グラウンド・ゼロから2ブロック北でのセンターの建設の権利を確保することを求める声明を発した…(中略)
…一方、Quinnipiac Universityの火曜日の世論調査では、71%のニューヨーク市民がモスクの移転を求めている事が明らかになった…(中略)
…イマームRaufは米国国務省がスポンサードしたinterfaith tour(宗教間の交流を求めるツアー)で数週間、中東を訪れていたが、現在はUAEにいると国務省スポークスマンのP.J.Crowleyはいう。彼はワシントンでの記者会見で、Raufは木曜日に帰国の予定と語った。
Imam Raufは火曜日にドバイで、大学教授や政策研究者たちを含むグループに対し、モスクに関する論議が今や、”単なる一つの建設用敷地の問題を超え、米国でのイスラム教のあり方や意味についての論議へと拡大している”と語った。
Raufは、最近結成されたモスクのプロジェクトの資金集めのための非営利組織のディレクターに(モスク用地の不動産を所有するディベロッパーたちのコア・メンバーたちと共に)就任した。デベロッパーたちは市に対し、同不動産に関する22万5千ドル以上の減税と税金還付を求めている。
グラウンド・ゼロのイスラム・センターの当初プランではスイミングプールと、一般公開の911のメモリアル(施設)、そして祈祷所スペースが計画されている。
http://www.usatoday.com/news/religion/2010-09-03-mosque02_ST_N.htm
NY市職員が、グラウンド・ゼロ・モスク計画に関する手紙の草案を代作していた!
(New York Post, 12/24)
ブルームバーグ市長の側近たちと、グラウンド・ゼロ近くに計画中のモスクのデベロッパーたちとの間で交わされた数十通のEメールは、すっかり打ち解けた雰囲気にあるとはいわないまでも、誠心誠意の間柄を示しており、その計画を市のトップレベルの役人たちが援助しようとしている度合いを暴露している…。彼らは、コミュニティ・ボード(地元の評議会)からの支持を求める手紙の草案までも書いており、その送り先としての、彼らのFax番号まで明らかにしている。
あるやりとりの中では─地元評議会が計画を支持する評決を行う準備をしていた時期に─(市の)コミュニティ・アフェアーのコミッショナーのNazli Parviziが、Daisy Khan(Park51又は、コルドバハウス・プロジェクトとして知られる同計画のキースポンサー)から、コミュニティの第1評議会議長のJulie Meninに宛てた手紙の草案を書いている。
Parviziの書いた手紙の草案では、Meninに対し、その頃までには全米のフラッシュポイントともなっていたそのモスクとカルチャー・センターの計画に対して、寛い心を抱いてくれていることに感謝の意を述べている。
Parviziはその草案をDaisy Khanと彼女の夫のImam Feisal Abdul Raufにメールで送り─その文の最後は、“Best, Daisy,"(デイジーへ、最善をつくしました、)との挨拶で結んでいるが─それは彼女が、Khanの手紙を市の機関に差し出すための準備をしていたことを示している。
彼女はそこにファックス番号とCB1(第1評議会)の住所も記している─彼らは最終的に5月に計画支持の評決を下し、そして更なる計画への援助も申し出ている。
その手紙─Meninがいうには彼女は一度も受け取っていない─は彼女に対して、“我々の、マンハッタンのコルドバ・ハウスのヴィジョンを共有していただける人々(audience)を提供してくれたこと”への、個人的な感謝を述べている。
昨日市長のオフィスが公表した5月14日付のEメールによれば─ “私たちは、この計画とは何なのか、それは誰のためのものなのか、に関するメディアの歪曲に信じられないほど驚かされた”、…とParviziは書き続けている。
このことに、計画の反対者たちは激怒した。
“市長はしつこく勧誘をしており…皮肉なことに、政府がこの地域の事柄に関与していないために…市長の側近たちがモスクとイスラム・センターのPRキャンペーンに対し、ここに助力をしているというわけだ”、と…Debra Burlingame(彼女の兄は911でハイジャックされた旅客機の内の一機の機長だった)はいう。
彼女は、"私はこれはとても不適切なことだと思う”、と語った。
http://www.nypost.com/p/news/local/manhattan/city_hall_ghostwrote_gz_mosque_letter_9TOPirWwwDLyQ4bKSvQThP#ixzz19fyHCKaL
*ムスリムの中には、タイムズ・スクエアの看板広告で" GZモスクの移転"を主張するグループまで出現…一方、ブルームバーグ市長が多民族都市政策に熱心なNY市は、密かにモスク計画を支持しているのだろうか?
…これに対し、ブルームバーグ市長が12月24日、ラジオ番組で見解を述べた
Mike、市のモスクへの援助を擁護(12/25, NYpost)
昨日のラジオ番組で、ブルームバーグは… コルドバ・ハウスまたはPark51…と呼ばれる論議を呼ばれるプロジェクトについての市の立場が、”最初から操作されていた”という指摘を拒否した。“彼らは我々に助けをを求めた。ローマ法王がこの街に来たときも、カトリックのNew York教皇区(Archdiocese)も助けを求めた。そして我々は同じ事をした”。と市長はラジオ番組のホストに語った。
..ブルームバーグはさらに、Bryant Parkに正統派ユダヤ教徒のグループがsukkah を建てたいと申し出たときも、市は援助をし、そしてそうした努力をビジネス・コミュニティに対する行政のサポートと同じものだと語る。
”それは市の仕事なのだ。我々は、特定のえり好みをしない、そして、誰かがビジネスを始めたいといったなら、我々はBeurocracy(官僚的な制限要素?)を極力減らすべく、懸命に努力しているのだ" と彼は言う。”我々はレストランをオープンさせるため、劇的に時間を短縮している”
http://www.nypost.com/p/news/local/manhattan/it_in_good_faith_X1pKuOXHmSeOApisfWHxrL#ixzz19yYLYnd6
*Imam Raufは1月15日から、モスク計画への理解を得るため、北米で最大のムスリム人口を有するDetroitでの遊説を手始めに全米ツアーに出るという…http://www.nypost.com/p/news/local/imam_behind_ny_islamic_center_will_pVKVISxOCciOxcp8FDvuSI#ixzz19yWksbrJ
Imam behind NY Islamic center will tour nation
*写真は8/21付NYpost・ "Ground Zero Imam" RaufのMiddle Eastツアーの記事
記事url:'Ground Zero' imam on Mideast tour to make Islam 'Americanized'
http://www.nypost.com/p/news/international/zero_imam_mover_sheik_er_Saqw4jTP8glUr79BDxahqM#ixzz19ySs7wOG
Wednesday, December 29, 2010
暮れのマンハッタンで拾った、ユダヤ系新聞から/ Wikileaking Mideast Truth- Arab States' fear of Iran outweighs their hostility toward Israel - By Abraham Foxman
エスニックなタブロイド新聞 "MANHATTAN JEWISH SENTINEL"。
トップには、A.フォックスマン氏による中東情勢の解説記事が。
中東の真実をウィキリークする/アラブ諸国のイランへの恐怖は、イスラエルへの敵対心も超える(By Abraham Foxman, "MANHATTAN JEWISH SENTINEL," Vol.16 #46 Dec. 10-16, 2010)
ウィキリークスによる米国の何百万もの外交ケーブルのリークは、将来の外交を一層困難にし…特に米国に対する信頼を損ねる、不穏なものだ。しかしこうした文書の暴露は、イスラエルとその他中東地域の脅威に対して、アラブ諸国が何十年も行ってきたダブルゲームを終わらせる事ができるだろう。
私は1981年に、イスラエルがオシラーク(Osyrak)のサダム・フセインの核反射炉を破壊したときのアラブ諸国の反応を昨日のことのように思い出す。彼らはいっせいに、イスラエルには攻撃的で領土拡大主義的な目的があるとの非難の声をあげた。そんな中で、現在は活動していないThe Washington Star紙のEditorialがほんとうの状況を書いた。同紙はこういった、「アラブ世界は昼間はイスラエルを非難し、夜は安心して寝ている」、イスラエルの行った行為のために…と。
こうした言葉は中東地域の現実の歴史に立派に要約されているし、我々の現今の世界情勢よりも、これほど我々にとって重要な現実はない。
アラブ世界は毎日、絶えず中東での大いなるシオニストの脅威のことを口にするが、彼らの行為は長らく、それとは全く違うより合理的な怖れによって裏切られてきた。アラブ諸国が、他の者たちと同様1960年代からイスラエルが核兵器をもつと信じていることを想起しよう(イスラエルはそれを肯定も否定もしていないが…。)「領土拡大主義者のイスラエル」というような全てのプロパガンダ、つまり核武装したシオニストがアラブにとっての最大の脅威で緊急の問題だという考え方が発展して、彼ら自身の核兵器開発を促してきた。しかし、こうした時期すべてを通じて、二人のアラブの「狂人」…サダム・フセインとモハメド・カダフィのみを例外とした他のいかなるアラブ諸国も核兵器開発に乗り出す必要性は感じなかった:彼らの潤沢なオイルマネーがあれば専門家や核兵器材料をいくらでも雇ったり、入手できたにも関わらず。
そのことは、大声で語る言葉より、行動が全てを示す、という事のクラシックな例で…足で投票する(実際にそれに参加するか、否かで賛否を示す)ということでもあった。悪意をこめて語る彼らのレトリックにも関わらず、アラブ諸国はイスラエルの意図するものは理解していたし、核武装したイスラエルなどに深い怖れなど持っていなかったのだ。
しかし今日では、イランのイスラム共和国が核兵器所有にむけて動くなかで、少なくともサウジアラビアとエジプトが核開発を開始したことが、くり返し報告されている。ワシントン・スター紙の同様の解説記事では、アラブ諸国によるイランの核開発への高まる懸念が浮上しているものの、それは相変わらずアラブ諸国による否定とパレスチナ問題への話題のすり替えで、ごまかされているともいっている。
ここで、外交ケーブルのリークの話題に戻ろう。サウジアラビアのアブドラ国王は、米国に対してくり返し、イランの指導者に関して「蛇の頭を切り落とすように」と呼びかけている。UAEのMohammad bin Zayed皇子は2009年に、「アフマディネジャドはヒットラーだ」としてイランとの和解策の危険性を主張して、米国のイランへの対抗策を要請している。
これらの仮定ともまけず劣らず イスラエルがアラブ諸国とパレスチナ問題の敵だという仮定もアラブ諸国の外交にとっては必要不可欠なものだ。これらのどれもアラブのユダヤ国家への敵対心を否定するものでも、パレスチナ問題解決の必要性を否定するものでもないが、ただ状況を見定めているものだといえる。
こうした文書から明白にいえることは、我々のうちの何人かがずっと言い続けてきたものの、しばしばそれは単なるイスラエル流の見方だと批判されてきたこと、つまり核武装したイランは無論、文明の最大の敵だ、という主張だ。こうした文書に反映されたアラブ諸国の怖れは─もしも世界がイランの核開発を止めることができなかったら、アラブ世界をして二つの相矛盾する、しかし危険なステップを踏ませることだろう。
シリアスな核開発プログラムの進展は、最終的な悪夢のシナリオを招くことを避けがたくする…中東での核兵器の拡散という、最終戦争へのフォーミュラだ。そして、同時にアラブ世界は、もしも米国がイランの抑止に真剣さをもたないなら、我々アラブは彼らと共存する方法を探す」との考えの下に、イランとの和解の途を模索する。そしてイランの脅威は拡大する。
これらすべてが新たなウェイクアップ・コールなのだ。国際社会は過去1年、強くなった国連などによるイランへの制裁を通じて、バラク・オバマ大統領への信頼感のもとに、より効果的に反応してきた。これらの対応策は影響力をもちはじめたが、大方の専門家はイランの核開発プログラムを停止させるほどの素早い効果は発生させないだろうという。
アラブ諸国自身が、国連のより強固なイラン制裁策を求めているなら、今は、イランの体制により強い圧力をかけるべき時期だろう。イスラエル・パレスチナ問題の進展はそれ自体が重要な問題であり、進展させられるべきだ。我々はしかしそのことを…この地域の全ての人々(イランのテロリストの同盟者たちだけでなく)が平和と安全への真の脅威と認めるものに、焦点を当てることを拒む口実、として使う余裕はない。
*英語版タブロイド紙”Jewish Sentinel"にはマンハッタン版とニュージャージー版があり、内容は殆ど同じ。WEB版はないらしい。
*A. Foxman氏は、昨今”GZモスク”の計画にも批判を唱えて物議をかもした、ホロコースト・サバイバーのユダヤ人団体(ADL)のご意見番だ…
*別ページでは5番街のライトアップされた"最大のHanukkah オーナメント" の前で、ジョン・リウ氏がNYのユダヤ人不動産業者やラビ達と写真に写っていてびっくり?(彼はNY市の会計監査役だったのでは)
Friday, December 10, 2010
ジュリアン・アサンジは、自首すべきだ Turn Yourself In, Julian Assange-The WikiLeaks founder is an unscrupulous megalomaniac with a political agenda
自首せよ、ジュリアン・アサンジ
ウィキリークスの創立者は政治的なアジェンダをもつ,
節操のない誇大妄想狂だ
By クリストファー・ヒッチンズ(12/6、Slate.com)
私は、私の最新刊の自伝のなかで、1976年にバグダッドの英国大使館から英国外務省に送られたケーブルのなかの言葉を幾つかとりあげている。それはイラクの新しいリーダー(*サダム・フセイン)に関するものだった。そこには、彼の行った静かなるクーデターを再確認するように「1958年以来、初めてのスムーズな権力の移行がなされた」、と描写されていた。公的文書のオフィシャルな文面らしく、スタイリッシュな控えめな表現が求められたとはいえ、そこには「軍事的な強化策というものが、船をより堅固にするために必要になるかもしれない、サダムがひるんだりすることはなかろうから」、とも付け加えられていた。…もちろん、こうした公電の言葉では、「スムーズな移行」なる言葉が、(当時)バース党メンバーの半数を処刑させていたようなサダムのパーソナリティーをも視野にいれて拡大されるよりも以前に、用いられていたに過ぎない。しかしサダムはその時にはすでに、暴力の行使や抑圧にふけっていたのだ。
私は数年前にこのケーブルが公開された後にこれに出会い、それを再度公表した… なぜならそれが、私がその当時イラクを訪れた際に英国の外交官たちから聞いていた事実を非常に精確に反映していたからだ。…私は自分自身に問いかけてみた:もし、それらが最初に書かれたその時点で、それを手にする事ができていたなら、自分は一体どうしていたか?と。私自身の名前で特ダネにしたかも知れないだけでなく、私は英国外務省が…専制君主を陳腐な決まり文句や婉曲表現で覆って描写する、その政治的なメンタリティは歴史上初めてではない事を露呈している、などと論じたかもしれないのだ。
しかし、そのような高潔なる野心(あるいは、野心的な高潔さ)はさておいて、私はそんな事をもくろむべきだったのだろうか?民主的に選出された英国議会は、Official Secrets Act(公的機密条例…私はそれを破ったとみなされたかも知れない)というものを制定していた。私は、私の信条のために、告訴を受けるべく、勇敢にも出頭すべきだったのだろうか?(私はその後、この抑圧的な条例に別件で抵触したために、収監される恐れにさらされたことがあった…それは私がファースト・アメンドメント[合衆国憲法修正第1条・言論の自由、信教の自由…] を有している国に移住しようと決意した理由の一つでもあった)「市民としての秩序の遵守」civil disobedienceというものの道徳的な「もう片方の半分」とは、そうした事柄での歴史的な英雄たちが示すとおり、その行動の結果として起こる事をストイックに受けいれる、ということでもある。すると、そこに外交政策というものが存在しうる。市民文明というものの最古で最良の考えの一つとは、全ての国々がお互いの首都のなかに主権をもつ小さな飛び領を設立して、平和的な決議に基づいた、それらの特別な外交特権を有する領土に投資をする、という事だ。そうしたものの必要性には、高度なプライバシーが含まれるべきなのは言うまでもない。こうした古典的な伝統へのたった一度の侵害すら、好ましからぬ、意図せぬ結果を生む可能性があるものだし、そして我々はその深刻な侵害というものを、適切な怖れを持って眺めているわけだ。我々は、アヤトラ・ホメイニと彼のイデオロギーについて我々が知るべき事柄を、彼が外交官達を人質にとったその時には、すべて発見していたわけだ。
ジュリアン・アサンジの狡猾な戦略とは、彼が全ての者を米国の外交政策の破壊工作を試みるという彼自身の個人的な決断の共犯者に仕立てていることだ。あなたがあなた自身を─ 連邦政府で働く全ての者にウィキリークスの文書のダウンロードまたは閲覧を禁じた─ オバマ政権のヒステリックで愚かな決断に捉われていると思わない限り、あなたはごく最低でも、ある程度は罪悪感のある楽しみに耽ることができるだろう。二つほどの大きな暴露に関しては、この情報公開は我々のなかの筋金入りの「政権交代マニア」にとって、偉大な価値があるだろう。より多くのアラブ諸国政権が、ワシントンがイランのアフマディネジャド大統領を受けて立つことを、誰もが想像する以上に、緊急に望むだろう。私は20年後よりもむしろ、今、このことを知りたい。イランは北朝鮮から幾らかのミサイル軍備能力を獲得するということが可能だったし、それは我々がサダムをその地位(彼が「Boxの中に」と呼んでいた地位)に残した場合には、サダムにとっても同様だった。我々はすでに今や、サダムの代理人たちが…北朝鮮のミサイル商人とダマスカスで会っていた、という事も知っている。同盟国による(イラクへの)介入がそうした武器商人たちを、慌ててピョンヤンに帰国させる前のことだ─最近のリークの内容は、そうしたある重要なケースの重要なパートを完璧化した。
一般大衆が知る権利と、我々の秘密諜報機関の信頼性に関していうなら、全米のリベラル派がこぞって、不細工で実りのない例の告発(アサンジも恥じ入るほどのモンスター並みの自惚れ性の人物と結婚した、比較的マイナーなCIA職員に関する、救いようのないほど大袈裟なドラマ仕立ての暴露事件…)をコンセンサスをもって賞賛してから、まだ間もないという状況だ。ロバート・ノバク及びリチャード・アーミテージによって、バレリー・プライム(CIA職員)の職務の内容が明らかにされたとき、彼らはまたアサンジと同様に米政権のイラク戦略に対して反対を唱えていた。それ以来、すべてが暴露されてきたのに伴い、左派と右派の分子がまるでその立場を入れ替えているかのようだ。
アサンジへの訴追の試みは、私の予想では、軽すぎるかまたは遅すぎるか、その両方か、あるいはそれよりも悪くなるに違いなかろう。1917年のスパイ法がこれほど錆び付いて、使われていない響きがある事には十分な理由がある。それはウィルソン主義者が戦争に対してヒステリーになっていた時期のパニック対策として成立した法律だったし、その条文には、サイバーワールドで効力を発するものは一つもない。それにしても、法曹界ではインターポールという言葉は何十年にも亘って笑いの種だったし、そして私にはアサンジは信奉者たちに囲まれたカルト的リーダーである事もよくみてとれ、彼への性犯罪容疑も彼らにとってはレイプに該当せず、でっち上げと捉えられているように見える。彼らはアサンジが人々の共感を求めたり、自首するよりは姿を晦ますように勧めているのだ。
そしてもちろん、訴追の有無が、彼のなすべき最も重要なところだ。もしも私が1976年に英国当局の恥をさらそうと決意していたら、私は裁判所で彼らに対面するという挑戦か、さもなくばその事がもたらす結果に直面する事を受け入れていたろう。私は私自身が秘密書類を幇助したり、外交政策の私的な調停役になったり、その進行の最中に姿を消したり、リタイアしていたとは想像しがたい。アサンジについて知るべき事は全て、John F. Burnsによる彼のプロフィールのなかに、そしてそれに対する彼のショッキングなほど悪漢めいた返答のなかにあるのだ。この男が、少しばかりの几帳面さ(があるとすれば)と隠しきれないアジェンダ(政治的信条)を抱いた小っぽけな誇大妄想狂であることは、一目瞭然だ。私は以前にも書いたが、彼が、彼の目的を、「二つの戦争を終わらせること」だというとき、彼の言う「終わらせる」とはどういう意味なのかを、一時に知る事になる。彼は彼のファンタジーのなかではある種のゲリラ戦士なのだろうが、現実の世界では彼は、彼を育てた市民社会を怒らせるミドルマン(仲買人、仲介業者)、行商人に過ぎない。この月曜日に、New York Timesは2つの別々のニュース記事のなかで、彼の小さな陰謀を、「反秘密(anti-secrecy)」 「内部告発whistle-blowing」の装いがあると呼んだ。そうした間抜けな是認をするのは…最低でも─たとえ我々が皆、彼が不正手段で得た品物の市場を我々自身で助けてしまうにせよ─ 愉快犯のジュリアンには控えられるべきだ…。
http://www.slate.com/id/2276857/
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