Sunday, December 28, 2014

今回のイスラエルとパレスチナの対立 ─はなぜ、いつもとは異なるのか Why Israel vs. Palestine Is Different This Time Around

Palestinians look at rescue workers as they search for victims under the rubble of a house

Why Israel vs. Palestine Is Different This Time Around
今回のイスラエルとパレスチナの対立─はなぜ、いつもとは異なるのか

  (8/11, By John McLaughlin)


イスラエル対パレスチナの対立が再燃した─それは、まるで古いニュースのようにも感じられる。

遠目に眺めれば…現在のイスラエル・対・ハマス(=パレスチナの小さいが人口密集したガザ地域の支配勢力)─の戦いというものは、この地域で何十年にもわたってよく知られた敵対感情にも似ている。

しかし、今回のそれは異なる─なぜなら、いまや周辺の中東地域が全面的な動乱状態に陥っているというなかで、両者の勢力が戦争状態にあるからだ。そして、全てが鎮静化すれば、両勢力はさらに─未だかつてないほど、合意からはほど遠い状態となるだろう。

ネタニヤフにとってのジレンマとは─過激派勢力が勝利のために勝利する必要がない、ということ─つまり、彼らにとっては負けさえしなければいい…という点にある。

この戦いの奔流は、3週間前に始まったものだ─これまでに、ガザでは1000人以上のパレスチナ人が死亡して、イスラエルは50名以上の兵士を失った…誰が、それを開始したのか?イスラエルは、ハマスが2012年の休戦協定を破って、3人のイスラエル人のティーンエージャーを誘拐し殺害した、と非難した。ハマスは、イスラエルが西岸地域で50人以上のパレスチナ人の収監者たちを拘束した(…その幾人かは、2011年の囚人交換によってパレスチナに送還された者たちだった)、と非難した。

両国が最後に戦ったのは、2012年のアラブの春の勃発の前に、地域での不穏な情勢がエスカレートしはじめた、その後だった─しかしそれは、イラクの状況が粉砕されはじめて、シリアに過激な分子が台頭し始める以前…そして、今や信任を失ったムルシ政権がエジプトの政権に就くよりも、ずっと前だった。言いかえれば、イスラエルとパレスチナは以前も戦ってはいたが─中東において、今日のような形で戦ったことは一度もなかった、といえる。

…それが意味するものとは、つまり─

もはやこれは…全ての紛争を終わらせる紛争ではない
This is no longer the conflict to end all conflicts


Palestinians carry Mohammed Abu Shagfa, seven years old, during his funeral in Gaza City
つまり、その問題というものはすべて─平たく言えば、その状況をより一層、悪くするような近隣地域へと降りかかっていくものだ。それに関しては、もはや信頼のできる議論(米国やその他の国々が何十年も唱えてきた議論…イスラエルーパレスチナ紛争が中東での「ゲーム・チェンジャー…ゲームの流れを変えるものとなるなどと論ずる議論)は、行いようのない状況なのだ。アメリカとアラブ諸国とは…日常習慣のごとく、こう主張してきた─この紛争の解決とは、グローバルなテロリストたちの主張(ナラティブ)を崩すために役立つものだと…、そして、それはアラブ諸国とイスラエルの間の敵対感をも減じさせて、イランのごとき過激勢力の政権による影響力も、阻むものになるのだと。私は、永年にわたり、そのことをアラブ諸国の政府官僚から常に聞かされてきた。

しかし、今や、この地域全体が余りにも大きなトラブルに見舞われて、誰も(米国でさえも)が、イスラエル・パレスチナ紛争に対し…それがかつて求めていたような注目を浴びせなくなった。そして、米国政府の官僚たちは、この問題の解決が中東全域にポジティブな余波を与えるだろう、といった議論も交わさなくなった。

This isn’t the same Palestine anymore
もはや…これは今までのパレスチナではない


パレスチナのコミュニティの内部における関係性とは、より複雑化している。過去2回の戦争の間(それは2009年と2012年だった)に、パレスチナの行政機構は、ガザの過激派勢力・ハマスとより穏健な西岸地域のパレスチナ自治政府とに分裂した。

しかし、6月以降には、二つの勢力は権力をわけあう連立政府での、落ち着きのない同盟を樹立した。それはパレスチナ自治政府を─その、ガザ地域での最小限のプレゼンスというものにも関わらず─より一層、紛争というものに直接的に引き込んだ。同時に米国は、パレスチナ人たちと直接交渉ができなくなった─なぜなら、我々はハマスをテロリスト組織と規定していたからで、我々はテロリストとは交渉しないからだ。

そして、さらに、パレスチナ人たちのなかの穏健勢力も、今やハマスを支援せざるを得ない…と感じている─彼らのことを、逸脱した同胞仲間と扱うよりは(…むしろ、せいぜい、直接的ではないやり方によってでも)。このことは、米国や他の国々にとってこれまでのような交渉を困難にするものだ─パレスチナ自治政府の穏健派の官僚たち自身も、〈欧米との〉交渉に距離を置きはじめ、あるいはまた、イスラエルとの妥協に軽蔑感を抱きはじめているなかで。

The neighborhood’s going to the dog
近隣地域は退化を辿る

周辺地域における優先事項(プライオリティ)や、連帯関係もまた変化した。その結果生じた最も重大な要素といえば─エジプトだ。1979年のキャンプ・デービッド合意で保証されていたイスラエルとの和平も、今やパレスチナ人〈特にハマス〉との交渉においては同じ影響力を維持してはいない。かつて米国は、パレスチナ人たち側に影響力を及ぼすべく、エジプトの助けをあてにできた。事実、廃位させられたムスリム同胞団のモハメッド・ムルシ大統領は、2012年の停戦交渉では道具として使われた(ハマスとは、同胞団の支部であって…彼らにとってファミリーの一部だ、という理由で。)
しかし、今やエジプトのアル・シーシー大統領が、同胞団をテロリスト・グループとして非合法化したために、今回の交渉において、エジプトの存在感はとても希薄になった。

そんななかでハマスへの最も目立った支援とは、同グループのリーダーを匿っているカタール、そして、トルコによるものだ。…どちらの国も、イスラエルとの関係は冷えている。そしてハマスの永年の支援者のイランも、ごく最近その立場を逆転させている。イランのシーア派のリーダーたちは、ハマスがスンニ派のシリア人反政府勢力に対する忠誠を誓っているのを理由に、ハマスへの支援を取りやめた─しかしイランは明らかに、こうしたイスラム内部における内戦問題が山積するなかで、ムスリム世界に対してガザに武器を送るよう呼びかけたようなのだ。

Kerry is riding the struggle bus
ケリーは、苦闘を満載したバスに乗り込んだ


最後に、米国の国務長官ジョン・ケリーは、解決を探るために巨大な努力を支払っているが、この地域で米国の影響力が縮小したというのは、シンプルな真実だ。アラブ世界と米国との、このより辛辣さを増した関係性の原因とは何なのだろうか?まず、エジプトとシリアから始めよう。中東人たちは(それがアンフェアだろうが、なかろうが)米国が2011年のエジプト革命の間に、永年の同盟者だったホスニ・ムバラクに背を向けた行為の素早さを指摘し、そして米国のシリアに対する軍事力非行使の決断というものも挙げる─オバマ大統領は(軍事攻撃の)意志があると宣言していた…という事実にもかかわらず。端的にいえば、中東は米国の関与(コミットメント)に疑念を抱いていたといえる。

The brother of Israel Defense Forces Sgt. Daniel Kedmi reacts during his funeral.

There’s a trudging path ahead
眼の前には、辿るべき小径がある

こうしたことの全ては、米国が今や死に体となった「和平交渉」─つまり、米国の外交にとって何十年ものあいだ間断的な執着の念(オブセッション)でありつづけたもの…の再開への期待を、ゼロにする。

停戦が行われた際に、我々が期待できる最大のものとは、(長らく…とても長らくそう思われてきたのだが)和平交渉の再開への条件を設定しはじめるというプロセスだった。しかし、その時が至るまでに、我々にはどちらの側の民衆も、相手側との交渉に臨めるほど状況を温めていない…という確信を得る。

ごく最近の暴力行為については─イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスによるイスラエルへの攻撃(ロケット攻撃によろうと、ハマスの武装戦士たちを秘密裏にイスラエル領に運ぶ、悪名高きトンネルによろうと…)を止めさせよう、との決意を固めているようだ。そしてイスラエルの民衆の90%以上は、戦争を大々的に支持している。ネタニヤフにとってのジレンマとは、ハマスやイランの支援を受けたヒズボラなどの過激派と闘う際に、世界のリーダーたちが、いつも直面するジレンマでもある。つまり、過激派たちにとっては─過激派の勢力が勝利のために勝利する必要がないこと─彼らにとって、必要なのは負けることを阻止するということだけである点だ。言い換えれば、もしも彼らがいまだに戦いの終わりに立っているなら、彼らはイスラエルと闘うべく立ちあがったと訴えながら、次なる闘いの日のために次なる兵士らのリクルートを呼びかけるだろうことだ。

http://www.ozy.com/pov/why-israel-vs-palestine-is-different-this-time-around/33037

John McLaughlin is the former deputy director of the CIA. He writes a regular column on OZY called “The Spy Who Told Me” and teaches at the Johns Hopkins University’s School of Advanced International Studies (SAIS).

Monday, November 24, 2014

エルサレムのシナゴーグ複合施設(Synagogue Complex)で4人が殺害さる Four Killed in Jerusalem Synagogue Complex


エルサレムのシナゴーグ複合施設で、4人が殺害さる By Jodi Rudoren and Isabel Kershner(11/18, NYタイムス)

エルサレム発。イスラエル警察は─火曜日の朝に、銃とナイフ、斧で武装した二人のパレスチナ人が西エルサレムの超正統派ユダヤ人地区のシナゴーグ複合施設を襲撃し、朝の祈りのさなかの4人のラビを殺害した─と発表した。
 
現場での銃撃戦の末警察は襲撃者を殺害したものの、警官一人は重傷。過去3年間でも最悪の、イスラエル市民への攻撃で、エルサレムでは2008年以来でも、最悪のものであ。目撃者やイスラエルの指導者たちは宗教的儀式の衣装を纏う人間たちを殺害し、祈祷書を血で染めた攻撃が、宗教的な音色を有 していることに震撼している。 「テフィリン(祈祷者のストラップ)を身につけて、タリット(祈祷用のショール)に包まれたユダヤ人が、血の海のなかに斃れた光景に、自分はホロコースト のシーンをみるような気がする」宗教的危機対応チームのベテランリーダーYehuda Meshi Zahav いう、「それは祈りをささげるユダヤ人の虐殺だ…」と。 
 
Har Nof地域のコミュニティ・ライフの中心だったシナゴーグ複合施設への、午前7時の襲撃は、パレスチナ人との関係の緊張と暴力が高まっているこの時期、イ スラエルの安全の意識をも粉砕した。主に、旧市街の宗教的聖地(イスラム教徒は「高貴なる聖地」、ユダヤ人は「神殿の丘」と呼ぶ)を巡る紛争に喚起さ れた、この襲撃よって…赤ん坊と兵士、国境警察の警官を含む6人がVehicularと、ナイフの攻撃で殺された。 4人の犠牲者とは全員ラビで、その1人は英国生まれだった…3人は米国生まれで─そのなかにはハシディム派の祝福された王朝の一翼Moshe Twersky(59歳)も含まれていた。 
 
襲撃犯たちは、従兄同士のOdai Abed Abu Jamal(22歳)と、Ghassan Muhammad Abu Jamal(32歳)であることを親族が確認した。彼らの動機とは、アル・アクサ霊廟(Al Aqsa Mosque) と岩のドームを擁する崇敬される台地に対する脅威(と彼らがみるもの)だった。イスラエルのネタニヤフ相は繰り返し、この敷地(非・イスラム教徒は訪 問できる、オープンに祈祷はできない)よいうものの現状を変える気などない、と断言しているが─パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス大統領は、パレスチナ人たちにそのエリアを守る事を要請し…もしも、それがユダヤ人たちによって「汚染」されたなら「聖戦」を挑めよ、と警告している。 
 
 「彼らはこの行為(作戦)というものを、心のなかに燃える炎ゆえに実行した─彼らは抑圧と…抑圧と…抑圧のもとにあり続け、それが熟したある瞬間に爆発がおきた」 「私はこの1ケ月間…これがネタニヤフの始めた宗教戦争なのだと言ってきた」、「それは我々の望んでいる方向で終わりを迎えることだろう…」 ネタニヤフ氏は火曜日の攻撃をアッバス氏とパレスチナ人の軍事部門ハマスによる「扇動の直接的な結果」だと呼「祈祷に訪れたユダヤ人が暴力的に殺害され、蔑むべき殺人者らに排除された事には鉄拳をもって応える」と誓った。 米国の国務長官ジョン・ケリーもまた、この攻撃を「扇動の純然たる結果」と呼んだ。 
 
ケ リーは、ロンドンでのネタニヤフとの電話会談後、「パレスチナのリーダーたちはこの事を非難すべきだ」、と述べた。「…彼らは他の人々に扇動された会話 から彼ら自身の会話を区別する真剣な一歩を踏みださねばならない時なのだ─そして、この地域をこれまでとは異なる途に載せるため、必要なリーダーシップを 振るうべきなのだ」、とも述べた。 
 
アッバス氏はケリー氏の要求に応え、昨今(緊張の)エスカレートのなかで攻撃を行った、すべてのパレスチナ人に対して彼の最初の非難を表明した。 彼はパレスチナの公式ニュース通信社Wafaで声明を発し、「我々は、どちらの側 によるものろうと、市民の殺害を非難する」、と述べた─「我々は、エルサレムのシナゴーグにおける祈祷者の殺害を非難し、それがいかなるソース(源泉)に よるものだろうと、暴力的行為を非難する」と。 だが、ガザ地域と西岸地区の一部では、攻撃の実行後に祝福なさていた─パレスチナの他のリーダーたちは、聖地への脅威(とみなされるもの)や、最近エルサ レムで起きたパレスチナ人のバス運転手の死に対するレスポンスとして行われたこの攻撃を称賛した。日曜の夜に首吊り遺体で発見されたバス運転手Yousef al-Ramouniの親族や友人は、彼がユダヤ人たちにリンチされたと主張してるが─イスラエル警察は月曜日の現場検証を通じて、その死が自殺だと断定していた。 
 
ガ ザ市では人々が空に向かって祝福の銃弾を放った。襲撃の直後にはモスクの拡声器から…神と襲撃者に対する称賛が流れ出ていた。その後には甘いお菓子を 配る人々もおり、勝利の歌を歌いながら通りをパレードした。パレスチナのTV局は、ベツレヘムや西岸地区でも同じ様に歓喜の感情が爆発している状況を放 映した。 
 
パレスチナ解放機構の中央委員会メンバーMustafa Barghoutiは、火曜日の早暁アル・ジャジーラを通じて─シナゴーグ施設への攻撃とは「イスラエルの抑圧に対するノーマル(正常)なリアクションだ」とも述べた。 ハマスのスポークスマン・Mushir al-Masriは、Facebookに投稿し「我々の民衆と、我々の聖地へのシオニストの犯罪行為に対抗する新たな作戦とは、英雄的で自然なリアクションだ。我々は可能な手段を通じて、我々の殉教者たちの流した血への報復を行うことの十分な権利がある」と述べた。 パレスチナ解放人民戦線(The Popular Front for the Liberation of Palestine)のループ襲撃を行った事を認めたが、イスラエル警察のスポークスマンMicky Rosenfeldは、 当局が未だに攻撃者らの関与する組織を捜査中である旨を述べた。 昨今、エルサレムで歩行者たちの群れに車を突っ込ませた二人の男や…神殿の丘でユダヤ教の祈祷運動のリーダーを射殺した男…そして、火曜 日の襲撃者たちとは、イスラエルの身分証明書カードを持つ東エルサレムのパレスチナ人住民であり…イスラエル国内を自由に旅行することもでき、たびたびユダヤ 人地区で働いたこともあった。 
 
Rosenfeldは記者会見で、「我々は彼らが何故このシナゴーグを狙ったのか、彼らがこの近隣に詳しかったのかについても調べている」と語った。襲撃から2時間以内には、数十名のイスラエル治安部隊の兵士が…この襲撃者ら住んでいたと思われる、東エルサレムのパレスチナ人地区Jabel Mukaberへと乗り込み、彼らの家族の家とオリーブ畑の丘に催涙ガスを撒き散らした。 
 
親族によれば襲撃者のうち年少の男の両親と3人の姉妹、男兄弟一人が逮捕された…そして年上の男(彼は6歳、5歳、3歳の3人の子供があった)の妻と母親、5人の兄弟たちもまた逮捕されたのだという。「私はOdai とGhassanの英雄的な行為への敬意を表明する」と従姉のHuda Abu Jamal(46歳)は述べた。
攻撃されたシナゴーグ複合施設における目撃者は、彼らがジーンズとTシャツを纏って、マスクはかぶらず、内部で行動を暴発させつつ、アラビア語で「神は偉大なり」と叫んでいたという。 
 
 殺害されたのは(1997年に死去したハーバード大の学者で、ボストンの著名なラビだった)Isadore Twerskyの息子、Rabbi Twersky(1993年に死去した正統派の哲学者で教師Joseph Dov Soloveitchikの孫)に加え…警察と地元メディアによれば…英国生まれで(6人の子の親の)Rabbi Avraham Shmuel Goldberg(68歳)、Rabbi Aryeh Kopinsky(43歳)、Rabbi Kalman Levine(55歳)だった。 
 
Har Nof の静かな通りに面するKehilat Bnei Torahの 複合施設(それは数グループの祈祷グループと、大きなコミュニティ・ホールを擁する)の攻撃では、少なくとも1ダースほどの祈祷者たちが負傷そのうち数名は重傷 である。数名の住人によればその建物は東欧系ユダヤ人の生活の中心で、結婚式場や映画館、スピーチなどに使われる人気のあるホールもある。 
 
同シナゴーグで祈っていたYossef Pasternakは、イスラエル・ラジオに対して、朝の祈りの最中に銃声を聞いたと証言した。
「私が後ろを振り返ると、ピストルを持った男が隣りにいる人々を滅茶苦茶に撃ちはじめていた」とPasternak氏はいう。「その直後に、肉切り包丁タイプのナイフを持った別の男が入ってきた。そしてその男もまた、盲滅法(ランダムに)周りに斬りつけ始めた」…Pasternak氏は、椅子の下に隠れたという。
Rabbi Shmuel Pinchasは─彼の13歳の孫も同様に隠れた…という。「彼が椅子の下に屈むと、彼の前に座っていた人物の血が彼に降りかかって、彼は気絶した」と彼は述べる。「人々は祈りの真っ最中だったために応戦できなかった。シナゴーグは全方向の(出入り口が)閉ざされていたため、逃げ場がなかった」。
 
Har Nofに住む医師のJoyce Morelは、現場で背中を斧で打たれ、さらに銃でも撃たれた男性と、頭を撃たれた警官を治療した、という。もう一人の男性は足を滑らせて血の海のなかに転び、階段から転落して足を骨折していたという。
「近隣住民たちはことごとく、ショック状態だ」、とDr. Morelは述べる。「私の義理の息子はそこで日頃からいつも祈っていたし、彼の父親もそこで祈り、私の孫たちしばしばそこを訪れ、私の夫は毎日、道路を渡った向かいの場所で勉強している。そこは本当にコミュニティーの心臓部なのだ」。 
 
シナゴーグから数ブロック先に住むボランティアの救急医療スタッフAvi Nefoussiは、銃撃の終わる前に現場に到着していた。彼は、何人かの担架に乗った怪我人の避難も助けたのだという。「すると不運なことに我々はフロアにある何人かの遺体を目にした」。
その遺体の一つは、良く知っている顔だった。それはRabbi Kopinsky─Nefoussiが個人的によく知っている人物だった…という。 
 
その男性は他の人たちと同様に(結婚式のキャノピーや、時には葬式の覆いにも使われる)祈祷用の伝統的なフリンジのついたtallitを身につけていた。Nefoussi氏は、そのtallitを遺体にかけた後その場を去った。
http://www.nytimes.com/2014/11/19/world/middleeast/killings-in-jerusalem-synagogue-complex.html?_r=0&module=ArrowsNav&contentCollection=Middle%20East&action=keypress&region=FixedLeft&pgtype=article



Sunday, November 9, 2014

コバニの謎掛けThe Kobani riddle- By Pepe Escobar


コバニの謎掛け The Kobani riddle By ペペ・エスコバル (10/24, Asia Times)
シリアのクルド人らがISIS/ISIL/Daesh (* Daeshはイスラム国のアラビア語名、al-Dawla al-Islamiya fi Iraq wa ash-Shamの略)との間で絶望的な戦いを展開している、コバニ(Kobani)の勇敢な女性たちは、「国際社会」によって裏切られようとしている。…こうした女性戦士たちとは、カリフ・イブラヒム(*ISISのリーダー・バグダディのこと)のごろつき集団との闘いの一方で、米国・トルコや、イラク領クルド族の地域の行政府がもくろんだ裏切りのアジェンダとも闘っているのだ…それなら、コバニでの本当の交換取引とは何なのだろうか? 

ロジャヴァのことから始めよう。ロジャヴァ(北部シリアの…クルド族の優勢な三つの県にまたがる地域)という地名の意味は、収監中の活動家、Kenan Kirkayaによる、このトルコ語メディアの(社説のなかでも伝えられている。彼は、ロジャヴァというのは、「資本家や国民国家の制度(capitalist, nation-state system)」による覇権に挑戦する、「革命的モデル」の本拠地以外の何物でもないといい─その地域のクルド人や、シリア人、あるいは、クルディスタン地域 にとっての意味というものをはるかに超越しているものだ、ともいう。

PKKのリーダー、Abdullah Ocalanを注意深く調べ上げた書物、Democratic Confederalismは、こうしたテロリストとスターリン主義者の同一視というものが、でっち上げ(虚偽)だと暴露した。(Ocalanは、1999年以来、イムラリ島の刑務所に服役している)

PKKPYDが獲得しようと苦闘しているのは、「リベタリアン主義による行政体制」なのだ。実際のところ、それはロジャヴァが 試みてきたものとも全く同じものだつまり、柱となる幾つかの評議会や、人民会議、労働者によって運営されるコオポラティブなどを通じた、直接民主主義 を求める自治的コミュニティであり、そこでは、防衛も人民軍が行う。それが、ワールド・ワイドなコオポラティブの経済、民主主義運動のヴァンガード(前衛)としての、ロジャヴァのポジショニングだ。その究極のターゲットとは、国民国家システムをバイパス(迂回)することなのだがこうした実験とは、北部シリアだけで起きているのではない軍事的なタームでいうなら─Mt.Siniar山で、ISIS/ISIL/Daeshに包囲された何千何万ものYazidiの人々を、どうにか救出したのはPKKPYDだったのであって、作為的な政治的言説(スピン)がそういったような米軍の爆弾ではない。そして、今やPYDの共同大統領、Asya Abdullahが(ここに)詳しく述べているように、必要なのはカリフ・イブラヒムのごろつき集団に包囲されたコバニの包囲を破るための「回廊(corridor)」なのだ。

スルタン・エルドアンのパワー・プレイ  
そんななかで、アンカラのトルコ政府は、まるで、「近隣地域とのあいだで、問題が山積する状態」という政策の継続を意図しているかのようにみえる。
トルコの防衛相、Ismet Yilmazにとっては、「ISISの〈運動の)主な動機とは、シリアの政権の問題なのだ」、という。そして、首相Ahmet Davutoglu(彼は、いまや機能しない「近隣地域との問題ゼロ(ゼロ・プロブレム)」のドクトリンを発明した人物だ)は繰り返し、アンカラの政府はもしも、米国が「アサド後のプラン」を提案したときにだけ、クルドを防衛すべくコバニに地上軍を送ると言っている >するとそこに、(実際よりも偉大な英雄のようにみえる)Tayyip Erdogan…またの名をスルタン・エルドアンが現れ出でてくる。

スルタン・エルドアンの指令とは、周知のものなのだ。シリアのクルド人たちは、その(質の悪いフィクションのごとく再構成された)自由シリア軍によ る指令のもとで、ダマスカスの政権と闘いあるいは、サウジアラビアじゅうの地域で訓練されねばならない彼らは、いかなる自治(の概念)も忘れねばならな い彼らは、トルコが米国政府に対して、シリア上空に飛行禁止地域を創り、さらにシリア国境の「安全確保」を図るよう、リクエストした事も、従順に受け入 れねばならない。PYDと米政権とが、共に、こうした要請を拒絶したことに疑いはない。
スルタン・エルドアンはPKKとの和平交渉の復活に目をすえてそして彼は、それを力のポジションでリードしたいと考えている。現在までの彼の唯一の譲歩とは、イラクのクルド族のペシュマルガを北部シリアに進軍させ、PYDPKKの私兵勢力のカウンター・バランスとすることでそれを通じ、反トルコのクルドの枢軸の強化を阻止する事なのだ。
同時にスルタン・エルドアンは、ISIS/ISIL/Daeshがすでに1000人に近いトルコのパスポート保持者をリクルートした事も知っているそして、それを頼みにしている。
彼にとって補足的な悪夢とは、「Syraq」に廃棄物をふり撒いている、有毒な醸造液が溢れだして、遅からず、トルコ国境の内側にも強力に浸透してくることなのだ


戸口の野蛮人たちを見張れ Watch those barbarians at the gates 


カリフ・イブラヒムのごろつきたちはすでに、彼らがコバニの全市民を虐殺するか、奴隷にするという意図を発信した。そして、いまだに、コバニ自体はISIS/ISIL/Daeshにとって、何の戦略的価値も持たないのだ(それは、先週米国の国務長官、ジョン・ケリー自身が述べたことだ)。しかし…そのことで、彼は予想どおり─彼自身を露呈しもした。しかし、(この、酷く説得力のあるPYDの司令官This very persuasive PYD commander)とは、ISIS/ISIL/Daeshの脅威については非常によく理解している。


コバニとは、デイル・エッゾール(そこにはDeir ez-Zor・シリアのアラブ人軍隊の補給基地の空港がある)やハサカ(Hasakah・シリアのアラブ軍に支援されたクルド人らが統制支配する油田がある)に比べれば、あまり重要ではない。

一方、コバニの陥落とは、〈すでにとても滑らかに進展している〉カリフの事業Caliph enterpriseにとっては、さらなる、大いにポジティブなPR効果を発するものになる─それは、新たなEUのパスポートを所持する可能性のある志願応募者たちにとっては、「勝軍」という見方を拡大し、同時にトルコ国境への至近距離における、確固たる拠点の確立にも繋がる

本質的に、スルタン・エルドアンは(長期的には)ダマスカスの政府と、(中期的には)クルド族の双方の軍と闘いつつも、現実にはSIS/ISIL/Daeshへの〈短期的な〉フリーパスを与えている。トルコのジャーナリスト、Fehim Tastekinのいうことは正しい─つまり、存在しない「穏健な」シリアの反政府勢力non-existent "moderate" Syrian rebels というものに(おお、なんと民主的な)サウジアラビアという国で、軍事トレーニングを施すことは、トルコを未来のパキスタンにすることでしかない─すなわち、1980年代のアフガン・ジハードの時期に演じられたシナリオという素材の、リミックスにしかならない。


もしも、それがいまだに、ゲーム・チェンジャーの上で十分な混乱に至っていないというなら─そして、その「テロリスト」のドグマを裏返しにしている、というなら─ワシントンの政権は今や、PYDに対する英仏協商(entente cordiale維持している、といえる…そのことは、スルタン・エルドアンのさらなる頭痛の種ともなる。 この、ワシントンとPYDの間のギブ・アンド・テイクは、いまだに容易に手に入れられるものだ。しかし、地上でのいくつかの事実が、このことを詳しく物語る─つまり、米軍による一層の空爆や、一層の〈武器の〉空中投下(武装したてのほやほやの部隊 がカリフのごろつきになり果てて失敗に終わった地域での、大きな空中投下をも含めて)というものが。


カギとなる事実は看過されるべきではない。PYDが、多かれ少なかれ米政府に「認知され」たその時、PYDのリーダー、Saleh Muslimは直ちに、狡猾なクルドの地方政府(KRG)リーダーの、Masoud Barzaniに面会に行った。それが、PYDロジャヴァの運営に関して、「パワー・シェアリング(力の分担)をBarzaniのペシュマルガ軍と約束したときだった。 


コバニを放棄するよう強いられて、自らトルコに避難〈亡命)し(そしてPYDを支持した)シリアのクルド人たちは、シリアには戻れない─しかし、イラクのクルド人たちは〈郷里との間を〉行き来することができる。この怪しげな〈不確かな〉取引とは、KRGの諜報部長官、Lahur Talabaniによって仲介されたのだ。KRGは最終的に、アンカラ(のトルコ政府)とはとてもうまく付き合ったのだ。
そのことは、エルドアンのゲームに、さらに光を当てる─彼は、ペシュマルガ(PKKのどう猛なる敵)たちにISIS/ISIL/Daeshに対する(防波堤の)前衛となってほしいと考え、かくして、PYDPKKの間の同盟を損なっている。ここでまた、トルコは再び、クルドとクルドを敵対させているのだ。

ワシントン側が望むことは、コバニを、「人道的」な(“R2P“風の文脈で)完全に合法化〈正当化〉するべく、操作することだ─それが彼らの、ISIS/ISIL/Daeshに対する十字軍なのだ。こうしたことのすべては、ワシントンの嘘に充ちた(幽霊のように存在しない)スピン(偽の政治的言説)というものの、雨あられ…つまり、コラサン・グループが新たな911のテロを準備している、といった…)からはじまったことだ。コラサンの話題とは、予想通り、ニュース・サイクルからは完全に姿を消してしまった。


長期的には、米国のパワー・プレイとは、ロジャヴァの直接民主制の実験にとっての深刻な脅威となる─その実験は、ワシントンにとっては解釈しえないことだ─彼らは、それを〈神よ、許したまえ!〉共産主義の再来としか解釈できないのだ。
それゆえ、コバニとは今や…米国政府と、トルコ政府と、イルビルのクルド政府による非情のゲームというものの、決定的な駒として操作されている。こうしたアクターたちのいずれもが、コバニと、ロジャヴァで直接民主主義の実験が進展、拡大して、グローバル・サウスの全域で認知されるということを望んでいない。


コバニの女性たちとは─もしも奴隷化されないにせよ、酷い裏切りという死の恐怖に晒されている。

そして、コバニでの ISIS/ISIL/Daeshの劇というものが、本質的に陽動作戦であり、オバマ政権への罠である…とみられるときに、それは、一層不吉なものになる。カリフのごろつきたちが、本当に目指す目標とは、イラクのアンバール県(すでに、彼らが広汎に支配している)なのであり、そして究極的には、バグダッド・ベルト地帯なのだ。野蛮人たちは、戸口にいる…コバニだけでなく、バグダッドにおいても…。


;http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/MID-01-241014.html