Sunday, March 8, 2009

オバマに求められる対イラン政策/"Plunging into the Middle East" - By David Ignatius

ダボス会議での不公平なモデレーターとしてトルコのエルドアン首相を立腹させた、デヴィッド・イグナチウス… やはり、イスラエルとパイプのある保守派のコラムニストなのだろうか?

「オバマに求められる中東への急降下」By デヴィッド・イグナチウス http://www.denverpost.com/viewpoints/ci_11854422

原則的には、米国とその中東の敵対的国家との間の「対話推進」のポリシーは、広範な支持をうけている。オバマ政権は対話を求める、としており、イランやシリアの高官もこれと同様なことをいっている。しかし、ここに複雑な事態が始まる。

その対話とはゆっくりと忍耐強いものであるべきなのか、もしくは緊急のタイムテーブルで行うべきものなのか?米国は前もってそのキー・イシューに関して、譲歩を示すべきなのか?または、その使節たちはいかなる事前の設定条件もなく交渉の席について、討議を開始するべきなのか?そのレトリックとはどんなものになるのか?

─イランの最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師が先週、”バラク・オバマは前任の大統領と同じ「歪んだやり方」を踏襲していた”とか、”イスラエルは「がん細胞」だ”などと述べた今、イランは本当に米国と交渉を開始することなど想像できるのだろうか?

これは対話を開始する、というよりも停止するためのレシピ(方策)に他ならない。イランでの、米国とどう対峙するかに関する集中的な議論のレポートを読むにつけ、これはハメネイ師が意図して行ったことに違いないと思う。

シリア人による食糧強奪に関するイランの挑発的なレトリックにも関わらず、イランの政権は依然として対話を望んでいる。先週、ヒラリー・クリントンがイランに招待され、アフガニスタンとの会議に参加したことは、その最新のシグナルでもある。しかし米政府高官はイランとシリアの外交ポリシーを省みて、交渉課程の進展を形成すべき幾つかのキーイシューにも焦点をあてている。

まずはイランから始めよう。最初のチャレンジは「TWO CLOCKS(二つの時計)」の問題というものだ。

米政府高官はゆっくりした時計の進行を望んでいる─それは彼らが、直接的対話の持続のためには注意深いプロセスを好むからだ。しかし彼らは、同時にイランの核開発ではより速い時計が時を刻んでいると感じており、彼らは来年までにイラン人は核爆弾を製造するに充分な核燃料を得るだろうと実感している。

イスラエルのスパイ機関モサドの前チーフであるエフライム・ハレヴィーは、最近、私にくれたメールの中で、この問題を強調してみせた。「(米国とイランの)対話戦略は、イラン人が、この世界でのすべての時間において対話をもつことが可能なわけではない、と知る事によってのみ成功するだろう─」と。彼は米国がこの対話をほんの短い1,2ヶ月だけに限定するべきだ、と論じている。「あるイスラエルの高官も、先週のインタビューで同じ事をいっている:もし対話がしたいのなら、今やるがいい、確実な日程で─と。」
しかしオバマ・チームは、対話に特定の時間的期限をもつことを好んでおらず、また政府高官たちはイランが時間的プレッシャーを和らげるためにも自ら行動を開始すべきだ、と信じている。「もし彼らがより気ままな対話プロセスを望むならば、彼らはその時計を止めるための、幾つかのステップを踏む必要に駆られるだろう。」とある米政府高官は言う。オバマ政権はこうしたステップがどんなものになるかを決めてはいない、しかし彼らはそれをIAEAの要求、つまりイランに核開発への新規の査察を受け入れ、より透明性を高めることへの要求に協力させる事から始めるかもしれない。

この2つの時計の問題以上に、核問題の交渉の場では、決めるべきより大きな事項がある。1,2年前まで、米国とイスラエルは、イラン人が核燃料の精製に成功する前に核開発プログラムをストップさせたいと願っていた。しかし最後の1、2ヶ月の間にその努力は失敗したようにみえた。この後退的な立場において出来る事は、イラン人が核兵器製造の敷居をまたがぬように命じる事、そして彼らがIAEA査察官をしてイランのウラニウム精製が低レベルな平和利用目的に適合したものだ、と証明させる事である。

あるイスラエル高官によれば、この敷居のオプションは、テヘランのアリ・アクバル・ヴェラヤティ(前・外務大臣で現在はハメネイ師のシニア・アドバイザーを勤める)を含めたある一派によっても、支持されているという。

しかしその高官はイスラエルは(これは代わりにイランのテクノロジー開発の巻き返しをもたらす、として)このアプローチに反対している、という。

シリアでの交渉の道はより複雑でもある、しかし同国も同じように段階的に進行する事柄に直面している。シリアのアサド大統領は、シリアがイスラエルとの直接交渉に出るより前に、イスラエルがゴラン高原を返還するだろうとの確信を得たいと願っている。
米国とイスラエルもまた、シリアが「ゴラン高原カード」を用いる前に、そのハマスとヒズボラへのサポートを穏健化(軟化)させてくれる事への確信を得たいと願っている─ 両サイドが、相手側の好意的な態度表明を待ち望んでいるのだ。

オバマは先週、この対話のプロセスを開始するために、アサド大統領と対話すべく2人の特使を派遣した。シリアでの道における戦略的な理念とは、ダマスカスをテヘランから分離させ、年長者の親分国としての米国に接近させる事である。

米政府高官は、この件が米国による対話の「開始点」ではない、と警告しており、そして「シリアが西欧との接触にベネフィットがあると思った場合は、時間的流れの中ではテヘランとの決裂も起こりえる」、としている。こうした外交戦略の微妙さは重要でもあるが、余り考えすぎても仕方がない。

「時間は我々のサイドにはない。」とある政府高官はいう─ もしもオバマが対話を望むなら、現実問題として、彼は近々に急降下を決める必要がある─ そしてそのプロセスがどこに行き着くかを、見とどける必要がある。

No comments: