Thursday, June 25, 2009

イラン改革派の挑戦/Iran's streets are lost, but hope returns By Pepe Escobar


独立系メディア、Asia TimesのPepe Escobalのコラム、最後まで読んだことは少ないけれど…たまには読んでみては?

イランの街頭運動が敗退しても、希望は戻る By ペペ・エスコバル

歴史の天使はイランに住んでいる。…米国在住のイラン人、それがどんなにプログレッシブなマニ教信者のイラン人の類いであっても、このイランの民衆蜂起は米国のCIAが画策した”カラー・レボリューション”の一つだとしか考えようがない、と主張する。

これに対して、イラン人ジャーナリストや、パリ在住のイラン人ディアスポラ(離散イラン人たち)…テヘランから着いたばかりの人びとを含めて…は困惑してこういう:最高権力者のアヤトラ・ハメネイが調停者であることを止め、クーデターを正当化して、イランの体制を全体主義の方向に舵取りするなんて、どうして信じられよう?「イスラム共和国」から「共和国」の意味をうち棄てて…ブレヒト的に捻った言葉でいうなら、実質的に民衆を”廃止”するなんて?

ある、テヘランとパリの間を往復するイラン人ビジネスマンはこういう。「イランの政治闘争がリベラル派v.s.保守派の争いではなく、保守派v.s.聖職者階級を統合するファシスト的傾向との戦いだ、ということを西欧の人々は理解してない、そしてこの”国家の中の国家”という存在とは、Pasdaran(イラン革命防衛隊)のことなのだ。核開発計画もミサイル開発計画も、ともに、Pasdaranのコントロール下にある。そして、彼等とは一体誰だ?彼らはイラン・イラク戦争(1980年代の)の戦士であり、宗教警察だ…彼らは全てを支配している…彼らは全ての建物、全ての道路、全ての近隣地域に密告者をもっている…まるで1930年代ドイツのナチスのように。」

ミルホサイン・ムサヴィ …チャネル(導管、水路)の役目を負う、という地位に、歴史の天使から(首の骨を折るような)危険な速さで、彼自身も知らぬ間に投げ込まれた彼は今、立ち去ることを拒否している─彼自身考えられないことを行ったのだとしても─イスラム共和国的な言い方をすれば、つまり最高指導者に公然と挑戦したのだとしても。

核開発問題の前の交渉担当者で、最高指導者の部下の1人であったAli Larijaniは、彼の立場を翻した:彼は護憲評議会(Guardian Council)の、再選された大統領アフマディネジャドに対する偏向を批判した。聖都QomのCouncil of Experts(聖職者エキスパート評議会)も同様に態度を翻すかもしれない。しかし、パリ在住のイラン人ジャーナリストたちは、前大統領のAkbar Hashemi Rafsanjaniが、(最高指導者ハメネイと)ハイレベルなコネクションをもつとはいえ、護憲評議会に腹心の部下達を配しているハメネイの行いに関して、捜査を強いるのに充分な賛成票を得られるとは思っていない。

この最高の権力を持つIRGC(イスラム護憲評議会)は、決して決定を翻さない。彼らは徹底して、IRGCの戦略センター前主任であるGeneral Ali Jafari<彼は、最高指導者ハメネイ師により、西欧諸国が裏工作した可能性のあったカラー・レボリューション(改革派の革命運動)の暗号メッセージ粉砕の仕事に2007年に任命された>─の命令のもとにしたがう。暴動鎮圧のための特殊部隊─ al-Zahra部隊 (*革命防衛隊の設立当初からのバックボーンで2500名の女性からなるといわれる)とAshura 部隊(*同、300-350の男性からなるといわれる)はBasijの私兵との混成部隊だが、とにかく街頭を制圧しようとする。その抑圧はとても大きなものだ。最近到着したイラン人達がいうには、首都では誰も息すら出来ないという。

注目すべきコメンテーターのMasoud Behnoudは彼のブログの中で、彼のいつもの皮肉の矢を射ることすらできない。彼はこう書いている、「護憲評議会は事態の悪化を和らげられたかもしれない。問題なのは、すべてを彼らの首領であるアヤトラ・[Ahmad] Jannati─に頼っている事だ。そうだ、彼は20年以上ものあいだ、原理主義者の権利の追求の途をたどってきた人物だ…」イランの漫画家、 Nikahang Kowsar は、2009年のイランを1989年の天安門事件のREMIXとして永遠化したいという民衆の意識を読んでいる。

ハメネイ、新たなるサダム
ワシントンに本拠を置くResearch Institute for Contemporary Iran(現代イラン・リサーチ研究所)の代表、Mohsen Sazegaraは、1979年のイスラム革命直後、早い時期に、IRGCの創立者の1人だった。彼は遠慮なくはっきりという─ 彼からみれば、ハメネイは「人生最大の間違いを犯した」、「彼は、革命防衛隊と内務省があれば国を征服できると考えた」。Sazegaraは強調する、「過去120年の間で初めて、イラン人は宗教による助けと、宗教による動機づけなしに自ら行動を起こしたのだ。」

イラン政権の抑圧のマシンについて彼は指摘する、「反対派を殺害する者たち、我々が”白シャツ”と呼ぶ者たちは、革命防衛隊だ。彼らは諜報部門の特殊部隊に属している[彼は上記の Ashura 部隊について言及している]。彼らは、一般市民のようにみえるが、ナイフや鉄棒、武器を持っている。
Sazegaraは、12万人近い革命防衛隊について「軍隊であり諜報員であり、巨大な組織体だ。ハメネイはその創立者たちや革命の英雄たちの幾人かを端に追いやって、自分の腹心たちに取って代わらせた。」IRGCがどの程度民衆の支持を得ているかの推測は困難だ。Sazegaraは7人の軍人達の逮捕に関するしつこい噂を聞いた。彼の友人の1人はやはり軍人だったが、IRGCの大半はイラン人の大半が「クーデター」だと呼ぶものに関して、その呼び方に同意していない、と彼に語ったという。

Sazegaraがいうには、ハメネイ政権は「すでに自らの安全を守る事に心を奪われ、軍事化している。そうした暴力的な政権が、元に戻ることはない。先週の金曜日の礼拝の日に、彼は国中の彼の支持者たちの動員をはかった。自分は50万人の支持者を予測していたが、我々の友人の情報によれば、5万人以下しか現れなかったという。彼の党派の支持者は今回、中立的立場を守っているか、または(行動することを)恥じている。もしも彼がイランの民衆を抑圧しようとするなら、彼はサダム・フセインのような軍事独裁者になり、墓場の王者になるだろう。」

今年フランスで刊行された、「Les Mysteres de Mon Pays (わが祖国のミステリー)」の著者のReza Baraheniは、政府と民衆のあいだの対立は彼にデジャ・ヴの感を与えるという。然し彼は楽観的にこういう、「息子たちの世代は、父親たちの世代に対決している。前の世代たちが、シャーの手から力を奪い取ったように、イスラムの力がこうした反抗者たちの手に移るのに長くはかからない。しかし、これらの(新旧の)ふたつの体制の残忍さは同一のものだ─彼らが、デモクラシーによって体現される近代性に自らを同化する能力をもたないことも、そして彼らが支配する国の異なる未来に抱く恐怖感も同じものだ。

トロント大学の哲学者Ramin Jahanbeglooは、この危機の根は「人々の抱く国や社会の民主化への渇望と、保守派のリアクション」の間にあるという。ムサヴィとカルビは「イスラムのノーメンクラトゥーラは改革が必要な幾つかの部分を残している」と信じている、という。しかし、「反抗者たちは革命者ではない。こうした若者たちが思い出させるのは、この国の一枚岩(monolithic)なイメージというものが、必ずしも、人口の70%が30才以下である国民の大多数の意思の反映ではないことだ。国と民衆の分裂が、これほど大きかったことはないのだ。」という。

それだからこれは、「イランの共和国政体と、その宗教的寡頭政治家たちの間の政治的争いだ。共和国的な直感は、ほとんど公共空間での法的な正当性に対してだけに注意を注ぐが、宗教的な権威は公衆のオピニオンによる法的な正当性の判断に一歩たりとも譲歩することを拒む。」 ‥ゆえに、「イランは、その政治的歴史のなかで先例のない、法的正当性の危機にさらされている。」

パリ第7大学の教授Azadeh Kianは、ムサビの運動組織の構成を強調する、「彼らは組織された社会的グループに所属する、特に中産階級、労働者、トレーダー、そして企業家…他の誰よりも、政治的な目的が経済を独占することにより被害をこうむっている人々…とくに27%から30%のインフレ率、高い失業率(特に、30から50%に達すると見積もられる若年層の失業率)、そしてイランの資本と外国資本が海外に逃避していくことにより被害をこうむっている層だ。毎年イランの労働市場に加わる800万人の若者には何の仕事も用意されていないのだ。

Kianはいかに「イランの中央銀行の、先に辞任した2人の前総裁を含む多くのエコノミスト」が「アフマディネジャドが国を台無しにした」と確信しているか、を指摘する。彼はハタミ政権が蓄積していたすべての貯えを浪費し尽くした;そのいくらかは貧乏な者への給付金として…彼のマシンが田舎の、失業中の若者たちをBasij(革命防衛隊の下部組織の私兵、平服の宗教警察)へとリクルートしている間に。

Kianは、「保守派と彼らの伝統的な中産階級、大いなるバザール商人、そしてQomの大多数の聖職者達は大統領とはもはや同盟を結ばない」という。新しく到着したイラン人たちも、アフマディネジャドは今や、とても辛い状況にある、としてその言葉を裏づけようとする…(以下略)
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/KF25Ak02.html
*の注釈はWikipediaより
(ビデオ)ペペ・エスコバル自身がイラン情勢を解剖するトーク!
Struggle within Iranian elite

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