Trump’s advisers want a new civil war ? we must not let them have it By Paul Mason
(2017/2/6, The Guardian)
Dangerous men ... Steve Bannon and Newt Gingrich |
スティーブ・バノンとニュート・ギングリッチの二人は、米国の歴史に対する危険なファンタジーを抱いている─彼らの抱く未来への恐ろしい結論
米国では、論議を呼び、分裂を醸し出す大統領が選ばれた。幾つかの州政府は、彼の意志に対し反抗している。人々の間の不満感の高まりが、数箇所の州で低レベルの暴力行動を生じさせている。…そして今や、何が起こるのだろうか…?
我々は以前にも、ここに来たことがある。1861年には、新たに選ばれた大統領、エイブラハム・リンカーンが、ボルチモアを迂回して(就任演説を行うべく)ワシントンDCへと向かう隠密の列車の車内で意気軒昂(わくわく)としていたことだろう。彼が、権力の座につくや否や…まもなく5年に及んだ南北戦争が始まったのだ。(*リンカーンは就任直前、北東部各都市を遊説して回っていたが、暗殺の陰謀の噂されたボルチモアを迂回し、ワシントンに向かった。彼の大統領就任とともにアメリカ南北間に溜まっていた膿が南北戦争という分裂に発展─戦争終結数日後に彼は暗殺された)
アメリカの内戦では敗北を喫したものの、米国のレイシストの南部勢力は、何十年にもわたって狂気じみた「オルタナティブな歴史」を描いた小説を読みながら、自らを癒してきた…その中では、物事が異なる展開を遂げていた。今や、「タイム」誌はホワイトハウスにおけるドナルド・トランプの首席補佐官で、最も親密な側近でもあるスティーブ・バノンが、アメリカの次なる歴史のフェーズが1861年~65年の紛争の時代と同様に、破滅的でトラウマチックなものとなる…とも信じていることを暴露した。
スティーブ・バノンが、ホワイトハウスを支配している─それは、恐るべき事態なのだ。
彼が選ばれたこと…その事に関する吟味はなされず、確定も行われていないが…その力は強大なものなのだ─すべては、経験不足で気もそぞろな、ドナルド・トランプのお陰で起きたことだ。
南北戦争に関する、「もしも…だったならどうなっていたのか?」といったストーリーは1950年代に、ポピュラーな文学作品となって出現した─それは、アパルトヘイトのジム・クロウ法の制度が黒人抵抗勢力からの挑戦を受け始めた時期だった。ワード・ムーア(Ward Moore)の1953年の小説 " Bring the Jubilee”では、南部同盟が南北戦争に勝利するのだが、(同時に)奴隷たちも開放する。それは、小説“South Had Won the Civil War(南部は戦争に勝利した)”においても同じだ…それは、左翼的作家、McKinlay Kantorが1960年に出版したものだ。
こうした小説や…南部同盟の勝利というファンタジーを描いた20世紀の他の小説では…南部は勝利するが、彼らは産業資本主義を解き放つために奴隷制を停止することも強いた。そのサブテキスト(背後の意味)というものを解き明かすのは難しい事ではない─それは、白人のアメリカ人の兄弟同士の戦いは無意味なものだったし、経済的発展というものはいずれにせよ、奴隷制の問題を解決するに違いがなかった、という考え方だ。
しかしながら、80年代以降には新しい米国の右翼が物事を異なる目で見ていた。当時、上院の議長だったニュート・ギングリッチとは今やトランプの親密な支持者だが、ビル・クリントンの弾劾への流れを止めさせ、南北戦争に関する…極度に不吉な代替的な歴史を描いた3つの小説を、共著で著していた。ギングリッチがウィリアム・フォルスチェンとアルバート・ハンサーと共作した3部作の最終章、「Never Call Retreat(退却を決して求めるな)」では北軍は戦争に勝利するのだ」が、それとなく、南軍が和解を取りつけたことが暗示される。シャーマンの北部連邦軍がアトランタを破壊すべく立ち止まった時、南軍の司令官ロバート・E・リーは南軍に降伏するよう説得する…空想的に描かれたこのリーは「わが敵方の軍の忍耐は限界に至りつつある」…と南部同盟政府に告げる。「我々は我々の国を未来の何世代にもわたって傷つける恐ろしいつむじ風を刈りとった」、と。…そして、リンカーンはゲチスバーグでの演説を行い、奴隷の所有者らと彼らの信奉する白人至上主義のイデオロギーとも和解したことが暗示される。
あなたが今日の状況との相似性に考えをめぐらしている間に、2015年12月にバノンが、彼のラジオ・ショーのなかで(彼が運営する)Breitbartのウェブサイトの世界観というものを説明した、この言葉についても考えてみてほしい─「戦争だ、戦争だ、我々はそれに耐えている…米国は戦争している、米国は戦争状態にある。我々は戦争状態なのだ…」。
そして、バノンとギングリッチ─この両人の抱く米国の歴史のダイナミックスに関する思想が、危険極まりないたわ言としか言いようのない─この二人の男が、世界最強のオフィスに影響力を及ぼしているのだ。バノンは文化的戦争を本当の戦争に変えよう、という夢想を抱き、ギングリッチは未破壊の南部のサバイバルを夢想している。彼らと比較したなら、トランプの抱く夢想とは、女性と金(gold)と高層ビルをめぐって回っているだけにみえて、その想像力ははるかに危険性が少ないものだ。
Breitbart のスター(記者・キャスター)Milo Yiannopoulos に反対するUCバークレー校での暴動の握り潰しや、白人至上主義者と反トランプ支持者の間で繰り返される衝突などによって、事態のエスカレーションへの潜在的可能性が明らかになっている。ミシガン州の共和党職員、Dan Adaminiはこうツイートした、「左翼の反対派デモの群衆に対しては"Kent州"方式の解決法がとられるべきだ」─それはつまり、1970年にオハイオ州の州警備隊が行ったように彼らを射殺せよ…ということだ。
反対派の新世代が、ポスト-1968年時代の神話を持ち出すとき、そこには大きな相違があると指摘するのは、意義のある事だ。…つまり、今回我々は、ケント州の4人の学生を殺害して政治的危機を招いたような、既存の秩序を擁護する冷血な保守派に立ち向かっているのではない。今回、我々は、米国の制度機構が爆発することを望んでいる人々に直面している。…それがすなわち、バノンのような輩が信じている、「第4の展開理論(Forth Turning theory)」といわれるもののなかで起こっていることだ。
それを認めるのは恐ろしいことだが、我々はそうすべきだ─アメリカの右翼の広汎な勢力は、新たな南北戦争を望んでいる。彼らは何年もの間、そのための武器を集積してきた、そして彼らのそうした選択を指し示すもの…ハンティング(狩猟)目的というカモフラージュ…が、彼らが何を考えているかの大きな手がかりにもなる。こうした状況で、アメリカの左翼やマイノリティ、あるいは女性にとっての選択肢とは…抵抗することだ…しかし、彼らが欲しがっている物を、彼らに与えてはいけないのだ。
先週、トランプ陣営から起こったもっとも大きな叫び声とは、反モスリムのビザ発給禁止令に対する司法省の停止命令に触発されたものだ。もしも、進歩的勢力が運営する州や都市が彼らの憲法上の権利を駆使して、トランプに逆らい始めたならば、依然として、もっと大きな叫び声が引き起こされることだろう…サン・フランシスコ警察がFBIの対テロ作戦への協力を停止したように。
トランプに対する平和的な不服従行動の大衆的広がりはリアリティなのだ。司法による憲法の擁護と下院での決然たる抵抗とが結合したなら…それはホワイトハウスを、こうした空想家たちのためのPadded cell(衝突を緩和するクッション防護壁付の部屋)にすることができるだろう─南北戦争バージョン2.0の司令部の掩蔽壕(command bunker)ではなく。
https://www.theguardian.com/commentisfree/2017/feb/06/some-of-trumps-advisers-want-a-new-civil-war-we-must-not-let-them-have-it
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