米国の今後の兵力増強に際し、パキスタンとアフガニスタンのタリバンが歩み寄り(要旨)
http://www.nytimes.com/2009/03/27/world/asia/27taliban.html?_r=1&hp
米国がパキスタンで1万7千の兵力を増強しようという今、パキスタンのタリバン勢力とアフガンのタリバン勢力が両者の相違を超えて歩み寄ったもようだ。数名のタリバンへのインタビューによれば、彼らはすでに米軍を迎えるべく、道路沿いの爆弾と自爆テロをステップアップする準備をしている。
この再結束は隠遁するタリバンの指導者オマール師がパキスタンに使者を送ったことでなされた…
パキスタンのタリバンはアフガニスタンのタリバンの子供のようなもので、アフガニスタンのタリバン(アフガンでの戦いのベテラン)が国境地帯から送る指示によって率いられている…
…同時に米国政府関係者が語ったところでは、パキスタンの軍事諜報部はいまだにアフガンのタリバン勢力に資金と物資を援助しており、─米国がアフガンを離れた際にそこに友好的な政府がつくられるよう工作をしている…
…パキスタンのタリバンは3人の有力な司令官に率いられる─ Baitullah Mehsud, Hafiz Gul Bahadur とMaulavi Nazir 、彼らはパキスタンの国境地帯の部族エリアの中心地・ワジリスタンの北部と南部に拠点をもち、彼ら自身の間でしばしば衝突も繰り返している。
オマール師は12月末と1月の初めに、6人の使者をパキスタンに送った、と南ワジリスタンに程近いDera Ismail Khan地域のタリバンは語った…
…ワジリスタン地方の最大の有力者、ハカニ氏と彼の父親のジャラルッディン・ハカニ は、アル・カイダとパキスタン諜報部の両者に密接な繋がりを持っている、と米国関係者は言う。彼らは北ワジリスタンの拠点から東アフガニスタンのタリバン勢力に指示を送り、アフガニスタンの首都カブールにおける、ますます複雑化している攻撃作戦に関する指示も送っている。
タリバン政権時代に前線司令官だった ザキール師(Mullahザキール)は2001年に北部アフガニスタンで米軍に拘束され2007年に開放されるまでグアンタナモ基地に拘留されていた、と電話取材先のアフガンのタリバンメンバーは語った。
Sunday, March 29, 2009
Saturday, March 28, 2009
D.ブルックス、アフガンに入る”Combat and Community” By David Brooks
NYTコラムニストD.Brooksが、アフガンのワルダック県を訪問・レポートした。
http://www.nytimes.com/2009/03/24/opinion/24brooks.html?pagewanted=print¥
戦争とコミュニティ(要旨)
(アフガニスタン、ワルダック県)それはぼろを着た子供の多い、家々もまばらなダウンタウン、老人の姿はほとんどまれな、平均年齢45歳の地域… チェックポイントにいる背の低い迷彩服の兵士は、子供かと思えば米軍の女性兵士が笑っている…
”The U.S. has just increased troop levels tenfold in Wardak."
─米軍はちょうど、この地に派遣する兵力を10倍に増強したところだ。駐車場には無骨な装甲車両がひしめく…
…米軍兵士の詰める合板でつくられた部屋で25名のアーミー・レンジャーに会う。(フットボールのラインバッカー系の、クルーカットの男が沢山、会議をしている。唯一日焼けして髭を蓄えたMoses大佐はイラク戦争で反乱軍と戦ってきたベテラン)
”As they talk, it becomes clear that aside from killing bad guys, they’re also trying to figure out how to reweave Afghan society.
(彼らはただbad guysを掃討するだけでなく、アフガン社会の'再縫合'を試みようとしている)”
"Before the Soviet invasion in 1979, Afghan towns had three parallel authority structures: the tribal elders, the religious clerics and the government representatives. The Soviets decimated the tribes and the indigenous government. That left only the mullahs, and their sudden unchecked prominence helped explain the rise of the Taliban.”
(’79年のソビエトの侵攻前、アフガンの街には3種類の権力者が同時に存在していた─ 部族の年長者たち、宗教的な聖職者たち、そして政府の代理人たち。ソビエトは部族の組織と土着的な政府を殲滅した。そして宗教者たちだけが残り、彼らのノーチェックの優勢さがタリバンの勃興を生んだ…)
(…しかしテロリズムとタリバンの崩壊は宗教者たちの力もそいだ。2002年に米国の同盟軍がきたとき彼らの社会はずたずたにされ、社会資本は壊滅していた。その無秩序が反乱軍の隆盛を生んだ。
2002-05年に米・同盟国とアフガン人たちは社会の再建を協議して─戦争領主の存在と内戦発生の恐れが最大の脅威だと考え、中央集権的政府を建設した。それはある程度は成功し、政府軍はアフガニスタンで最大の信頼できる組織になったが、彼らの手では村レベルでの社会の復興はできず、無法状態と偏在する政治腐敗は誰にも防げなかった)
─そのため「国家統合プロジェクト」の名のもとに、村々ではいまや「地域社会振興会議(コミュニティ・ディベロップメント・カウンシル)」を選出しようとしている。ここに西欧の支援団体は2万3千の地方の村々の再建のために最高6万ドルを寄付しようとしている。
─ ワルダック県の知事、モハメド・ハリム・フィダイと木製の部屋の男達は、Afghan Public Protection Programを作成している。─ この計画のもと、村々ではもはや、治安維持のためカブールから送られる国家の警察組織だけに頼ることはない。今後は村々独自で警察組織を雇い、学校や橋や、近隣の地域を守る。この県では国が派遣した26名の警察官のほかに、250名の地域住民のA.P.P.Pが組織される。
─こうした組織に地方の militias や warlordism(戦争領主と私兵勢力)の跋扈の再来を恐れる声もあるが、アフガニスタンの安定には地方の治安組織が必要だ。対話とコンセンサスのある社会制度の確立が必要だ。そしてそれが中央政府とつながり協力し合う必要がある。これが今、武装したHumveeのひしめくparkng lotと、日々の攻撃の脅威の中で始まっていることだ…
http://www.nytimes.com/2009/03/24/opinion/24brooks.html?pagewanted=print¥
戦争とコミュニティ(要旨)
(アフガニスタン、ワルダック県)それはぼろを着た子供の多い、家々もまばらなダウンタウン、老人の姿はほとんどまれな、平均年齢45歳の地域… チェックポイントにいる背の低い迷彩服の兵士は、子供かと思えば米軍の女性兵士が笑っている…
”The U.S. has just increased troop levels tenfold in Wardak."
─米軍はちょうど、この地に派遣する兵力を10倍に増強したところだ。駐車場には無骨な装甲車両がひしめく…
…米軍兵士の詰める合板でつくられた部屋で25名のアーミー・レンジャーに会う。(フットボールのラインバッカー系の、クルーカットの男が沢山、会議をしている。唯一日焼けして髭を蓄えたMoses大佐はイラク戦争で反乱軍と戦ってきたベテラン)
”As they talk, it becomes clear that aside from killing bad guys, they’re also trying to figure out how to reweave Afghan society.
(彼らはただbad guysを掃討するだけでなく、アフガン社会の'再縫合'を試みようとしている)”
"Before the Soviet invasion in 1979, Afghan towns had three parallel authority structures: the tribal elders, the religious clerics and the government representatives. The Soviets decimated the tribes and the indigenous government. That left only the mullahs, and their sudden unchecked prominence helped explain the rise of the Taliban.”
(’79年のソビエトの侵攻前、アフガンの街には3種類の権力者が同時に存在していた─ 部族の年長者たち、宗教的な聖職者たち、そして政府の代理人たち。ソビエトは部族の組織と土着的な政府を殲滅した。そして宗教者たちだけが残り、彼らのノーチェックの優勢さがタリバンの勃興を生んだ…)
(…しかしテロリズムとタリバンの崩壊は宗教者たちの力もそいだ。2002年に米国の同盟軍がきたとき彼らの社会はずたずたにされ、社会資本は壊滅していた。その無秩序が反乱軍の隆盛を生んだ。
2002-05年に米・同盟国とアフガン人たちは社会の再建を協議して─戦争領主の存在と内戦発生の恐れが最大の脅威だと考え、中央集権的政府を建設した。それはある程度は成功し、政府軍はアフガニスタンで最大の信頼できる組織になったが、彼らの手では村レベルでの社会の復興はできず、無法状態と偏在する政治腐敗は誰にも防げなかった)
─そのため「国家統合プロジェクト」の名のもとに、村々ではいまや「地域社会振興会議(コミュニティ・ディベロップメント・カウンシル)」を選出しようとしている。ここに西欧の支援団体は2万3千の地方の村々の再建のために最高6万ドルを寄付しようとしている。
─ ワルダック県の知事、モハメド・ハリム・フィダイと木製の部屋の男達は、Afghan Public Protection Programを作成している。─ この計画のもと、村々ではもはや、治安維持のためカブールから送られる国家の警察組織だけに頼ることはない。今後は村々独自で警察組織を雇い、学校や橋や、近隣の地域を守る。この県では国が派遣した26名の警察官のほかに、250名の地域住民のA.P.P.Pが組織される。
─こうした組織に地方の militias や warlordism(戦争領主と私兵勢力)の跋扈の再来を恐れる声もあるが、アフガニスタンの安定には地方の治安組織が必要だ。対話とコンセンサスのある社会制度の確立が必要だ。そしてそれが中央政府とつながり協力し合う必要がある。これが今、武装したHumveeのひしめくparkng lotと、日々の攻撃の脅威の中で始まっていることだ…
Wednesday, March 25, 2009
米国、アフガンで民兵団を組織?"U.S. and Afghans Plan to Recruit Local Militias " By DEXTER FILKINS
★昨年Xmasに、イラク戦争報道のベテラン、フィルキンズがアフガニスタン情勢をレポートした…
米国およびアフガン政府が、地方民兵組織を計画 By デクスター・フィルキンズ
(カブール 12/24)イラクでの実験の成功をもとに、いまや、米軍の司令官らとアフガンのリーダー達は地方的な民兵組織(ローカル・ミリシア)を武装化しようとしている─ふたたびび力を取り戻しつつあるタリバンに対抗するためのこの計画は、希望も喚起するが、新たな武装兵力の出現がこの国をより深い流血の淵に押し出すのではという恐怖感も生んでいる。
こうした民兵組織は、山々が連なるこの国のはるか隅々にまで分散する、米軍とアフガニスタンの治安部隊を助けるべく配置されるだろう。このような地方の自衛のための武装組織は、来年の初頭にもワルダック県で組織されようとしている- ワルダック県は首都カブールのすぐ外郭にあり、最近、タリバンが多くの政府機関を蹂躙した地域だ─ もしも、この実験に成功のきざしがあるなら、同様な民兵組織が国中で早急に組織されるだろう、とアフガン政府幹部はいっている。
アフガンの民兵組織は、イラクにおいて同様の組織が果たしてきた仕事を引き継ぐだろう─イラクの元反政府勢力のメンバーであった10万人のスンニ派武装勢力が、政府の給与支払いのもとに、おこなってきたような仕事を ─そうした組織は「覚醒部隊(The Awakening Council)」として知られ、米国関係者は彼らがイラクでの暴力の画期的な減少をもたらす触媒となったことを認めている。
そうした計画は、多くのアフガニスタン人に大きな不安も与える──パシュトゥーン族が支配する民兵組織には、やがて政府による統率もきかなくなり、彼らは地方住民を脅かし、政府に反抗するのではないかと。アフガン政府は米国のサポートのもとに2001年以来数回にわたり、地方領主の民兵に対する野心的な試みとして、武装の解除と、武器の押収をおこなってきた。昨秋には、地方的な民兵組織を政府が組織するという提案はアフガニスタン議会で否決された。
「こうしたことで、パシュトゥン人と非パシュトゥン人のあいだの闘争が起こるだろう」、と、アフガニスタン議会のタジク族出身の議員、サリ・モハマド・レジスタニ(Salih Mohammad Registani)はいう。レジスタニは、アルバーキ(Arbaki)という民兵団の怖ろしい幻影について語る─それはパシュトゥーン人を主体に20世紀初頭に組織されたが、他のアフガン人との連携を断って勝手放題をはじめた組織だった。「Civil war (内戦)はすぐに勃発するだろう」と彼はいう。
しかし今月カルザイ首相によって承認された民兵組織の計画は、アフガニスタンで悪化をたどる治安を回復するため、いずれにせよ推進されることだろう。
軽度な訓練のみを受けた民兵軍団をどの程度配備するかは─、9・11のテロ攻撃以来、権力の座から追われつつも近年また顕著に勢力を回復しているタリバンとの戦いをとりまく緊急の感覚を反映している。
米軍の司令官たちは、アフガニスタンの(正規の)軍とその警察組織を使いたがるが、それは単純にいって不可能だ。 「我々には充分な警察の組織がない。」とアフガンの米軍司令官代理Michael S. Tucker大佐はいう。「我々には、警察勢力を準備しているような時間などない。」
<The International Council on Security and Development>のある調査によれば、現在、アフガニスタンの国土の72%で(1年前には54%だったのに対し)、タリバンが恒久的な勢力拠点を設置しているという。
最近タリバンは、カブールの西側ワルダック県を含む首都周辺各県にもあらたに勢力を伸ばした。アフガン初の地方民兵組織の設立だけでなく、米軍司令官たちはこの県に数百名の米軍部隊を配備する計画で、その先遣部隊はすでに到着している。ワルダック県はナショナル・ハイウェイで二分されており、そこではタリバンの反政府勢力が、物資輸送コンボイへの数知れぬ待ち伏せ攻撃をおこなってきた。
民兵組織の計画は米軍のデビッド・ペトラエウス大佐の到着とも時を同じくする─ 彼はイラクで反政府勢力の攻撃削減を監督してきたが、今、アフガニスタンとその周辺地域における米軍司令官に就任したのだ。
米軍は来年、アフガニスタンにすでに駐留する米・NATO軍の7万の兵力に加えてさらに2万から3万の追加兵力を増派する予定だ。オバマ次期大統領は米国のこの地での軍事的努力を倍増すると宣言している。
こうした民兵組織の設立とは、向こう12ヶ月間に、米軍司令官たちがどうやってタリバンからイニシアティブを奪取するかの少なくとも部分的な回答だ。米国の次期政府高官たちは、米国人とアフガニスタン人が協力してタリバン内部の亀裂の利用を試みるという─米軍はフレッシュな新規兵力増派ともあいまって…タリバン内部で未だに彼らの側との和解が可能なグループに対し、タリバンから分離させようと試みる。これはタリバンを圧搾疲弊させることが彼らの主要課題であるということを示唆する。
米国とアフガン政府は、アフガニスタン各県に100名から200名のその地域出身者からなる武装民兵を組織したいという。実際ワルダック県には、8つの行政区がある。
そのような武装民兵各自の信頼性を増すため、米国とアフガン政府は地方のリーダーたち─部族長やイスラム宗教者の力を借りて民兵メンバーの選出をおこなうという。
こうした民兵は、短期間のトレーニングを受けると同時に、攻撃用ライフルや手榴弾ランチャーなどの武器、通信機器などを支給される、とアフガン防衛大臣Abdul Rahim Wardakはいう。
イラクでの米軍の司令官達はほぼ独占的に部族リーダー達の力を借りて、スンニ派武装勢力を自由な手足の如く使ってきた。しかしアフガニスタンでは、30年にわたる内戦が各地方の部族を蹴散らし、その組織を弱体化させてしまった。米国とアフガンのリーダーたちはそれらに代わり、より広範に部族のリーダーたちを寄せ集め、つぎはぎしたカウンシル(連合体)の設立を試みるという。
─彼らはそうした民兵組織をコントロールすることに自信を示し、またそうした民兵組織が数々の義務を果たすことを期待している─例えば米軍とアフガン軍がそれに頼って行動すべく、タリバンの動静を伝える諜報活動もおこなわせるという。
「我々には悪い奴らがいつ街にやってくるかはわからない」とTucker大佐はいう、「しかしローカルな人々は知っている。彼らは何でも知っているのだ。」
ワルダックのある部族リーダーがいうには、タリバンは彼らの地方の住民たちの間ではひどく不人気な状況にあり、地方的な民兵組織はより事態を悪化させるのではないかと人々は懸念している。
あるインタビューで、ヌリ族の部族リーダー、モハメド・ナイム・ハクマルはこのように言う──ワルダック県の約80%を支配下におくタリバンは、県内各地区(district)の中心部以外を全て実質的に支配していた。タリバンは自由に歩きまわり、チェックポイントを設立し、カブールからカンダハルへとハイウェイで抜ける米軍のコンボイを破壊する爆弾を仕掛けていた。
しかし結局のところ──タリバンは、ワルダック県の地元の人々が通常の暮らしをおくることを妨害するため、地元では人気を失ってきた。2ヶ月前にJajatooという村で タリバンが地方の道路を封鎖し、米軍に攻撃を仕掛けようとしたとき、地域住民のグループが反乱を起こした。タリバンはそうした村人たちに銃を向け、5人の村人が殺された。
「タリバンは戦うことを好むが、それは地域の人々との間に問題を生む。」とハクマル氏はいう。「人々は、彼らの生活をつづけたいと思っているのだ。」
ハクマル氏は、政府の支援する民兵組織が成功をおさめる可能性にも疑いを表明する。なぜなら、アフガン及び米国政府の担当者はこれまで、伝統的な地域のリーダーたちの頭をとび越えて、彼らと何も協議しようとしてこなかったからだという。これまで、彼らはその地であまり信頼のない人物ばかりを域共同体のリーダーに選んできた。
さらに、民兵組織が政府から適切なサポートやガイダンスを得ることができず、そして最終的にはタリバンのメンバーとの間での部族的な反目が噴出していくのでは、と懸念するという。
「我々は既にアフガニスタン軍と、警察をもっている─彼らがタリバンのことに対処すべきだ。」とハクマル氏はいう。
ワルダック県のあるタリバン指揮官は(彼は攻撃される恐れがあるとして匿名で語った)、もしもタリバンがすでにその地で根を張っているなら、政府の雇用する民兵組織がその地域に根をはるのは難しいだろう、という。
「我々は、村々の中の地区に住んでいる──我々は、山中に住んでいるのではないのだ、」とあるタリバンの長はいう。「そして、人々は我々とともにあるのだ。」
http://www.nytimes.com/2008/12/24/world/asia/24afghan.html?hp
米国およびアフガン政府が、地方民兵組織を計画 By デクスター・フィルキンズ
(カブール 12/24)イラクでの実験の成功をもとに、いまや、米軍の司令官らとアフガンのリーダー達は地方的な民兵組織(ローカル・ミリシア)を武装化しようとしている─ふたたびび力を取り戻しつつあるタリバンに対抗するためのこの計画は、希望も喚起するが、新たな武装兵力の出現がこの国をより深い流血の淵に押し出すのではという恐怖感も生んでいる。
こうした民兵組織は、山々が連なるこの国のはるか隅々にまで分散する、米軍とアフガニスタンの治安部隊を助けるべく配置されるだろう。このような地方の自衛のための武装組織は、来年の初頭にもワルダック県で組織されようとしている- ワルダック県は首都カブールのすぐ外郭にあり、最近、タリバンが多くの政府機関を蹂躙した地域だ─ もしも、この実験に成功のきざしがあるなら、同様な民兵組織が国中で早急に組織されるだろう、とアフガン政府幹部はいっている。
アフガンの民兵組織は、イラクにおいて同様の組織が果たしてきた仕事を引き継ぐだろう─イラクの元反政府勢力のメンバーであった10万人のスンニ派武装勢力が、政府の給与支払いのもとに、おこなってきたような仕事を ─そうした組織は「覚醒部隊(The Awakening Council)」として知られ、米国関係者は彼らがイラクでの暴力の画期的な減少をもたらす触媒となったことを認めている。
そうした計画は、多くのアフガニスタン人に大きな不安も与える──パシュトゥーン族が支配する民兵組織には、やがて政府による統率もきかなくなり、彼らは地方住民を脅かし、政府に反抗するのではないかと。アフガン政府は米国のサポートのもとに2001年以来数回にわたり、地方領主の民兵に対する野心的な試みとして、武装の解除と、武器の押収をおこなってきた。昨秋には、地方的な民兵組織を政府が組織するという提案はアフガニスタン議会で否決された。
「こうしたことで、パシュトゥン人と非パシュトゥン人のあいだの闘争が起こるだろう」、と、アフガニスタン議会のタジク族出身の議員、サリ・モハマド・レジスタニ(Salih Mohammad Registani)はいう。レジスタニは、アルバーキ(Arbaki)という民兵団の怖ろしい幻影について語る─それはパシュトゥーン人を主体に20世紀初頭に組織されたが、他のアフガン人との連携を断って勝手放題をはじめた組織だった。「Civil war (内戦)はすぐに勃発するだろう」と彼はいう。
しかし今月カルザイ首相によって承認された民兵組織の計画は、アフガニスタンで悪化をたどる治安を回復するため、いずれにせよ推進されることだろう。
軽度な訓練のみを受けた民兵軍団をどの程度配備するかは─、9・11のテロ攻撃以来、権力の座から追われつつも近年また顕著に勢力を回復しているタリバンとの戦いをとりまく緊急の感覚を反映している。
米軍の司令官たちは、アフガニスタンの(正規の)軍とその警察組織を使いたがるが、それは単純にいって不可能だ。 「我々には充分な警察の組織がない。」とアフガンの米軍司令官代理Michael S. Tucker大佐はいう。「我々には、警察勢力を準備しているような時間などない。」
<The International Council on Security and Development>のある調査によれば、現在、アフガニスタンの国土の72%で(1年前には54%だったのに対し)、タリバンが恒久的な勢力拠点を設置しているという。
最近タリバンは、カブールの西側ワルダック県を含む首都周辺各県にもあらたに勢力を伸ばした。アフガン初の地方民兵組織の設立だけでなく、米軍司令官たちはこの県に数百名の米軍部隊を配備する計画で、その先遣部隊はすでに到着している。ワルダック県はナショナル・ハイウェイで二分されており、そこではタリバンの反政府勢力が、物資輸送コンボイへの数知れぬ待ち伏せ攻撃をおこなってきた。
民兵組織の計画は米軍のデビッド・ペトラエウス大佐の到着とも時を同じくする─ 彼はイラクで反政府勢力の攻撃削減を監督してきたが、今、アフガニスタンとその周辺地域における米軍司令官に就任したのだ。
米軍は来年、アフガニスタンにすでに駐留する米・NATO軍の7万の兵力に加えてさらに2万から3万の追加兵力を増派する予定だ。オバマ次期大統領は米国のこの地での軍事的努力を倍増すると宣言している。
こうした民兵組織の設立とは、向こう12ヶ月間に、米軍司令官たちがどうやってタリバンからイニシアティブを奪取するかの少なくとも部分的な回答だ。米国の次期政府高官たちは、米国人とアフガニスタン人が協力してタリバン内部の亀裂の利用を試みるという─米軍はフレッシュな新規兵力増派ともあいまって…タリバン内部で未だに彼らの側との和解が可能なグループに対し、タリバンから分離させようと試みる。これはタリバンを圧搾疲弊させることが彼らの主要課題であるということを示唆する。
米国とアフガン政府は、アフガニスタン各県に100名から200名のその地域出身者からなる武装民兵を組織したいという。実際ワルダック県には、8つの行政区がある。
そのような武装民兵各自の信頼性を増すため、米国とアフガン政府は地方のリーダーたち─部族長やイスラム宗教者の力を借りて民兵メンバーの選出をおこなうという。
こうした民兵は、短期間のトレーニングを受けると同時に、攻撃用ライフルや手榴弾ランチャーなどの武器、通信機器などを支給される、とアフガン防衛大臣Abdul Rahim Wardakはいう。
イラクでの米軍の司令官達はほぼ独占的に部族リーダー達の力を借りて、スンニ派武装勢力を自由な手足の如く使ってきた。しかしアフガニスタンでは、30年にわたる内戦が各地方の部族を蹴散らし、その組織を弱体化させてしまった。米国とアフガンのリーダーたちはそれらに代わり、より広範に部族のリーダーたちを寄せ集め、つぎはぎしたカウンシル(連合体)の設立を試みるという。
─彼らはそうした民兵組織をコントロールすることに自信を示し、またそうした民兵組織が数々の義務を果たすことを期待している─例えば米軍とアフガン軍がそれに頼って行動すべく、タリバンの動静を伝える諜報活動もおこなわせるという。
「我々には悪い奴らがいつ街にやってくるかはわからない」とTucker大佐はいう、「しかしローカルな人々は知っている。彼らは何でも知っているのだ。」
ワルダックのある部族リーダーがいうには、タリバンは彼らの地方の住民たちの間ではひどく不人気な状況にあり、地方的な民兵組織はより事態を悪化させるのではないかと人々は懸念している。
あるインタビューで、ヌリ族の部族リーダー、モハメド・ナイム・ハクマルはこのように言う──ワルダック県の約80%を支配下におくタリバンは、県内各地区(district)の中心部以外を全て実質的に支配していた。タリバンは自由に歩きまわり、チェックポイントを設立し、カブールからカンダハルへとハイウェイで抜ける米軍のコンボイを破壊する爆弾を仕掛けていた。
しかし結局のところ──タリバンは、ワルダック県の地元の人々が通常の暮らしをおくることを妨害するため、地元では人気を失ってきた。2ヶ月前にJajatooという村で タリバンが地方の道路を封鎖し、米軍に攻撃を仕掛けようとしたとき、地域住民のグループが反乱を起こした。タリバンはそうした村人たちに銃を向け、5人の村人が殺された。
「タリバンは戦うことを好むが、それは地域の人々との間に問題を生む。」とハクマル氏はいう。「人々は、彼らの生活をつづけたいと思っているのだ。」
ハクマル氏は、政府の支援する民兵組織が成功をおさめる可能性にも疑いを表明する。なぜなら、アフガン及び米国政府の担当者はこれまで、伝統的な地域のリーダーたちの頭をとび越えて、彼らと何も協議しようとしてこなかったからだという。これまで、彼らはその地であまり信頼のない人物ばかりを域共同体のリーダーに選んできた。
さらに、民兵組織が政府から適切なサポートやガイダンスを得ることができず、そして最終的にはタリバンのメンバーとの間での部族的な反目が噴出していくのでは、と懸念するという。
「我々は既にアフガニスタン軍と、警察をもっている─彼らがタリバンのことに対処すべきだ。」とハクマル氏はいう。
ワルダック県のあるタリバン指揮官は(彼は攻撃される恐れがあるとして匿名で語った)、もしもタリバンがすでにその地で根を張っているなら、政府の雇用する民兵組織がその地域に根をはるのは難しいだろう、という。
「我々は、村々の中の地区に住んでいる──我々は、山中に住んでいるのではないのだ、」とあるタリバンの長はいう。「そして、人々は我々とともにあるのだ。」
http://www.nytimes.com/2008/12/24/world/asia/24afghan.html?hp
Thursday, March 12, 2009
ミシェルは腕を隠すべきか?"Should Michelle Cover Up?" -- Michelle Obama と Maureen Dowd..
*2月の末、オバマ大統領が”初の合衆国議会演説”を披露した日、傍聴席のミシェル夫人は意表をつくノースリーブ・ドレスを纏っていたが…それはVougue誌の表紙を飾ったものと同じ粋な衣装にもみえ…
全米のメディアは一抹の戸惑いも表した
*NYTimesのblogでは…ミシェル夫人が真冬の会議場で露出した'muscular'な二の腕が、彼女のジムでの1年間のトレーニングの賜物で …彼女が、娘たちが小さかった頃、ガールフレンドと二人で個人トレーナーへの報酬を割り勘にしてトレーニングを始めたこと、最近では娘たちの起きる前や土曜日にも心肺やウェイトのトレーニングを行い、夫もまた同じトレーナーについている、ことも明かした─そのblogでは特別、非難めいたことは書いていなかったが…
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2009/02/25/michelle-obama-goes-sleeveless-again/?scp=5&sq=Michelle%20%20&st=cse
全米のメディアは一抹の戸惑いも表した
*NYTimesのblogでは…ミシェル夫人が真冬の会議場で露出した'muscular'な二の腕が、彼女のジムでの1年間のトレーニングの賜物で …彼女が、娘たちが小さかった頃、ガールフレンドと二人で個人トレーナーへの報酬を割り勘にしてトレーニングを始めたこと、最近では娘たちの起きる前や土曜日にも心肺やウェイトのトレーニングを行い、夫もまた同じトレーナーについている、ことも明かした─そのblogでは特別、非難めいたことは書いていなかったが…
http://thecaucus.blogs.nytimes.com/2009/02/25/michelle-obama-goes-sleeveless-again/?scp=5&sq=Michelle%20%20&st=cse
"Michelle Obama Goes Sleeveless, Again"
*東海岸で発行される、ある新聞メディアは、ミシェルの二の腕の鮮烈な印象が「シカゴから来た火打石のよう」だとも書いた。
一方、オバマ夫妻の地元の新聞、Chicago Tribuneでは、何人かの女性ライターがそれぞれ別のコラムで、一斉に皮肉や悪口を連発していた…彼女の季節外れのノースリーブは「皆を立腹させたし、下品だ…」、「彼女のナマ腕がシカゴの火打石だなんて、とんでもない」など─。同じシカゴに住むメディア・ピープルの女性らがミシェルのパフォーマンスに過大な関心や、変な老婆心などを抱いても不思議はないのだが…
*NYTのコラムニストのMaureen Dowdが先週、彼女の腕に触れたコラムは注目だった。モニカの事件でヒラリーを無茶苦茶にこき下ろしてセレブ・コラムニストになった彼女が珍しく同性のミシェルを絶賛しているとは…ミシェルはDowdにすっかり気に入られたのだろうか?
"Should Michelle Cover Up?" By MAUREEN DOWD 「ミシェルは腕を隠す必要があるのか?」By モーリーン・ダウド (抄訳)
冒頭略 (先日、英国のゴードン・ブラウン首相が米国のオバマ大統領を訪れた際)、サラ・ブラウン首相夫人はオバマ大統領の娘たちに、英国で一番人気のショップのドレスとネックレスをプレゼントした。しかし、Solipsist(唯我主義者)なミシェル・オバマ夫人はブラウン首相の息子たちに、Marine One<合衆国大統領を運ぶ専用ヘリ>の模型を贈っただけだった─
<中略> …記者会見に行く際、私はタクシーの中で(同僚のコラムニストの)デビッド・ブルックスに、ミシェルの驚くべきあの腕をどう思うか、尋ねてみた。彼は、彼女はそろそろあの腕を隠すべきではないかと思う、と言った。「彼女はすでにポイントをアピールしたからね。これからは、雷と稲妻は隠すべきだよ。」─でも私は、このことに関する <嘆くべきこと>は別の点にあると思った。「誰かがミシェルに、ワードローブを時々シャッフルして、ちゃんとカバーアップするようにアドバイスすべきよ」、とは先週、The Daily Beastのサンドラ・マックェルウェインも書いていたことだ。
ワシントンという土地は、スタイルの過剰や、セクシュアリティの露出過剰には人々がいつも疑問を抱く土地だ。あまりお洒落な身づくろいに精を出していると、夜遅くまで温暖化ガス排出権のキャップ・アンド・トレード制度の勉強などはしていないのだと察せられる。
デビッドは、ミシェルが、夫が議会演説をしている時に着ていた茄子型でVネックのノンスリーブ・ドレスによって打ち負かされたりしてはいなかった─ある共和党議員はあのときそれに関して、同僚に「ベイブ」と囁いたともいわれるが。
彼は、この地で政策を審議している聴衆たちがあのドレスを、これ見よがしでけばけばしい、と思う可能性もあるという。「ワシントンでは肉感的なものは回避される。この街のガリ勉連中は頭脳的なものが好きだ。彼女は彼女の特定の体の一部などのフィジカルな存在感で、人々に認知されるべきではないな。」 デビッドは、オバマ夫婦がワークアウト狂である話を持ち出した。「僕は時々オバマが大統領選に出馬した理由は、ミシェルが彼女の二頭筋を見せびらかせる場所(platform)を得るためだったんではないかと思うよ。」
選挙キャンペーンの期間中にも、オバマ陣営の上層部では、ミシェル夫人がノンスリーブのドレスを着ないように…彼女がその筋肉と影響力のあるパーソナリティとで他人に威圧感を与えないように、といった討議がなされていたのだ。
あーよかった!彼女はその議論を無視した。私が好きなのは彼女のデザイナー物のドレスからカジュアルなJ-Crewまで着こなすグラマラスな魅力だ。そして彼女が平日におこなっているスープキッチンへの訪問や、市内の学校、軍人の家族などへの訪問活動だ。ミシェルの直感(ひらめき)は、大恐慌時代にもジンジャー・ロジャース(*'40年のアカデミー賞女優)が、羽毛とラメの衣装で滑るように動き回っていたことに対する我々の不況の時代が提案する答えだ。
彼女の腕、そして彼女自身の肌への完璧な自信は、アメリカ人がそれに専心すれば、何でもできるということを思い出させてくれる。
─彼女はヒラリーとは違い(ヒラリーは、彼女の嫌いなファーストレディーの仕事のなかで肌を擦りむいていたのだが…)、ローラとも違い(ローラは長らく姿を現さずに、単なる配偶者、としての役目に引っ込んでいたのだが…)、ミシェルは毎日飛び回っている。その仕事の幅を広げて、寛大な魂と自信にあふれた気質、そしてよくトレーニングされた肉体には何が達成できるかを、我々に示してくれながら。
私は彼女がまた、キャップ・アンド・トレード取引(環境問題・Co2排出権の)等についても、その気軽さと、堂々とした*威勢のよさ(*panache..羽飾りと同意語)とで語ってくれることに疑いはないと思う。
http://www.nytimes.com/2009/03/08/opinion/08dowd.html
++++++++
*Mo Dowdが触れている彼女の「スープキッチンへの訪問」とはこの記事だ… ミシェルの行動は人々を元気にしてくれる。
http://www.nytimes.com/2009/03/11/dining/11lady.html?scp=1&sq=Michelle%20Obama%E2%80%99s%20Message%20-%20Eat%20Fresh%20Food&st=cse
”Michelle Obama’s Agenda Includes Healthful Eating”
*ワシントンで先週、ミシェルはこのノン・プロフィットの店 Miriam’s Kitchenを訪れ、この店が提供するヘルシーで栄養バランスの取れたメニューを礼賛した。ホームレスのためのイベントで数人のホームレスの男女のためにランチをサーブした。
*ミシェルはホワイトハウスに入るや否や第1週目に、彼女が健康づくりのチャンピオンで、ヘルシー・リビングが彼女の主要なアジェンダであることを示した。彼女がこのコミュニティがもつベジタブル・ガーデンを賞賛し、健康な食事にこだわって娘たちに食事を提供する彼女自身のキッチンをメディアに公開し、彼女の食へのポリシーについて語った。
*この国では肥満が蔓延しており、過剰な甘さや・過剰な塩辛さへの嗜好などの対決すべき課題も多い中で、ミシェルが唱えるのは、「Freshで栄養のある食べ物とは、お金持ちだけが楽しめる贅沢ではなく、ごく普通の家族、貧しさと闘う家族などの暮らしにとっても重要なコンポーネントなのだ」というメッセージだ、という。
*東海岸で発行される、ある新聞メディアは、ミシェルの二の腕の鮮烈な印象が「シカゴから来た火打石のよう」だとも書いた。
一方、オバマ夫妻の地元の新聞、Chicago Tribuneでは、何人かの女性ライターがそれぞれ別のコラムで、一斉に皮肉や悪口を連発していた…彼女の季節外れのノースリーブは「皆を立腹させたし、下品だ…」、「彼女のナマ腕がシカゴの火打石だなんて、とんでもない」など─。同じシカゴに住むメディア・ピープルの女性らがミシェルのパフォーマンスに過大な関心や、変な老婆心などを抱いても不思議はないのだが…
*NYTのコラムニストのMaureen Dowdが先週、彼女の腕に触れたコラムは注目だった。モニカの事件でヒラリーを無茶苦茶にこき下ろしてセレブ・コラムニストになった彼女が珍しく同性のミシェルを絶賛しているとは…ミシェルはDowdにすっかり気に入られたのだろうか?
"Should Michelle Cover Up?" By MAUREEN DOWD 「ミシェルは腕を隠す必要があるのか?」By モーリーン・ダウド (抄訳)
冒頭略 (先日、英国のゴードン・ブラウン首相が米国のオバマ大統領を訪れた際)、サラ・ブラウン首相夫人はオバマ大統領の娘たちに、英国で一番人気のショップのドレスとネックレスをプレゼントした。しかし、Solipsist(唯我主義者)なミシェル・オバマ夫人はブラウン首相の息子たちに、Marine One<合衆国大統領を運ぶ専用ヘリ>の模型を贈っただけだった─
<中略> …記者会見に行く際、私はタクシーの中で(同僚のコラムニストの)デビッド・ブルックスに、ミシェルの驚くべきあの腕をどう思うか、尋ねてみた。彼は、彼女はそろそろあの腕を隠すべきではないかと思う、と言った。「彼女はすでにポイントをアピールしたからね。これからは、雷と稲妻は隠すべきだよ。」─でも私は、このことに関する <嘆くべきこと>は別の点にあると思った。「誰かがミシェルに、ワードローブを時々シャッフルして、ちゃんとカバーアップするようにアドバイスすべきよ」、とは先週、The Daily Beastのサンドラ・マックェルウェインも書いていたことだ。
ワシントンという土地は、スタイルの過剰や、セクシュアリティの露出過剰には人々がいつも疑問を抱く土地だ。あまりお洒落な身づくろいに精を出していると、夜遅くまで温暖化ガス排出権のキャップ・アンド・トレード制度の勉強などはしていないのだと察せられる。
デビッドは、ミシェルが、夫が議会演説をしている時に着ていた茄子型でVネックのノンスリーブ・ドレスによって打ち負かされたりしてはいなかった─ある共和党議員はあのときそれに関して、同僚に「ベイブ」と囁いたともいわれるが。
彼は、この地で政策を審議している聴衆たちがあのドレスを、これ見よがしでけばけばしい、と思う可能性もあるという。「ワシントンでは肉感的なものは回避される。この街のガリ勉連中は頭脳的なものが好きだ。彼女は彼女の特定の体の一部などのフィジカルな存在感で、人々に認知されるべきではないな。」 デビッドは、オバマ夫婦がワークアウト狂である話を持ち出した。「僕は時々オバマが大統領選に出馬した理由は、ミシェルが彼女の二頭筋を見せびらかせる場所(platform)を得るためだったんではないかと思うよ。」
選挙キャンペーンの期間中にも、オバマ陣営の上層部では、ミシェル夫人がノンスリーブのドレスを着ないように…彼女がその筋肉と影響力のあるパーソナリティとで他人に威圧感を与えないように、といった討議がなされていたのだ。
あーよかった!彼女はその議論を無視した。私が好きなのは彼女のデザイナー物のドレスからカジュアルなJ-Crewまで着こなすグラマラスな魅力だ。そして彼女が平日におこなっているスープキッチンへの訪問や、市内の学校、軍人の家族などへの訪問活動だ。ミシェルの直感(ひらめき)は、大恐慌時代にもジンジャー・ロジャース(*'40年のアカデミー賞女優)が、羽毛とラメの衣装で滑るように動き回っていたことに対する我々の不況の時代が提案する答えだ。
彼女の腕、そして彼女自身の肌への完璧な自信は、アメリカ人がそれに専心すれば、何でもできるということを思い出させてくれる。
─彼女はヒラリーとは違い(ヒラリーは、彼女の嫌いなファーストレディーの仕事のなかで肌を擦りむいていたのだが…)、ローラとも違い(ローラは長らく姿を現さずに、単なる配偶者、としての役目に引っ込んでいたのだが…)、ミシェルは毎日飛び回っている。その仕事の幅を広げて、寛大な魂と自信にあふれた気質、そしてよくトレーニングされた肉体には何が達成できるかを、我々に示してくれながら。
私は彼女がまた、キャップ・アンド・トレード取引(環境問題・Co2排出権の)等についても、その気軽さと、堂々とした*威勢のよさ(*panache..羽飾りと同意語)とで語ってくれることに疑いはないと思う。
http://www.nytimes.com/2009/03/08/opinion/08dowd.html
++++++++
*Mo Dowdが触れている彼女の「スープキッチンへの訪問」とはこの記事だ… ミシェルの行動は人々を元気にしてくれる。
http://www.nytimes.com/2009/03/11/dining/11lady.html?scp=1&sq=Michelle%20Obama%E2%80%99s%20Message%20-%20Eat%20Fresh%20Food&st=cse
”Michelle Obama’s Agenda Includes Healthful Eating”
*ワシントンで先週、ミシェルはこのノン・プロフィットの店 Miriam’s Kitchenを訪れ、この店が提供するヘルシーで栄養バランスの取れたメニューを礼賛した。ホームレスのためのイベントで数人のホームレスの男女のためにランチをサーブした。
*ミシェルはホワイトハウスに入るや否や第1週目に、彼女が健康づくりのチャンピオンで、ヘルシー・リビングが彼女の主要なアジェンダであることを示した。彼女がこのコミュニティがもつベジタブル・ガーデンを賞賛し、健康な食事にこだわって娘たちに食事を提供する彼女自身のキッチンをメディアに公開し、彼女の食へのポリシーについて語った。
*この国では肥満が蔓延しており、過剰な甘さや・過剰な塩辛さへの嗜好などの対決すべき課題も多い中で、ミシェルが唱えるのは、「Freshで栄養のある食べ物とは、お金持ちだけが楽しめる贅沢ではなく、ごく普通の家族、貧しさと闘う家族などの暮らしにとっても重要なコンポーネントなのだ」というメッセージだ、という。
Monday, March 9, 2009
アビグドール・.リーバーマンの鉄面皮/”Avigdor Lieberman's Chutzpah- The right to return cannot confer the right to expel” By Christopher Hitchens
*イスラエルでは先月17日の選挙で中道派カディマが第一党の座についたが、政局はいまだに紛糾しているようだ…極右リクード党と、狂信的なリーバーマンの右翼政党の連合しかないのか?
「アビグドール・リーバーマンの鉄面皮 ─ 帰還権と追放権の両立はありえない」 By C.ヒッチンズ
私のある信頼すべき友達で、同僚でもある人物が誓っていうには、彼は2年ほど前にイスラエルの占領地帯において、確かに次のような光景を目にしたという。
─ 緊急を要する通行許可を求めていた1人のパレスチナ人の内科医が、急いで隣町に入るために、検問所の所に立つ兵士を説得しようとしていた。
─ その石のような表情の警備兵にむかって彼は、この地の多くのアラブ人が流暢に話せる言葉であるヘブライ語で話しかけようとしたが、何の返事もなかった。そのため、彼は次に英語で話しかけた(英語はこの地域では一種の共通語のような物だ)、しかし、やはり何の効果もなかったという。
相互のコミュニケーションが絶たれた不快な瞬間が経過した後、そのイスラエル兵の知っている唯一の英語の単語が「ノー」であり、また彼の喋れる唯一の言葉はロシア語であることが判明した。
「占領」や、「強奪・奪取」という言葉はとても自由に囁かれているが、あなたの近隣の友好的でない警察官が、あなたの知るいかなる言葉も話さないばかりか、彼が就務する国の言葉すら喋らないような占領下の地域での生活の姿がどんなものか、想像してみてほしい。
ところで、その兵士がユダヤ人ですらない確率は非常に高かったし;またイスラエルでは、何万ものロシアからの移民が存在すること、彼らが偽の「帰還権」を行使するため、出生国を偽る書類を偽造していることはオープン・シークレットでもある。
そのため、曽・曽・祖父母がパレスチナで生まれたような人々にとって、苦難だけを強いられるような生活のみならず、さらに繰り返される侮辱が存在している。
しかし、あなたがもし、旧ソ連のモルドバに生まれて用心棒をしていたアビグドール・リーバーマンのような男であるなら─、あなたは聖なる国(Holy Land )に来て当然な権利のように住みつき、「忠誠の誓い」といった制度(イスラエルにいるアラブ系住民に誓うのではなく、自ら非シオニストだと宣言する正統派ユダヤ教セクトの全メンバーに対して誓うというもの)を提案するような政党のリーダーになることもできる。
そしてこのグロテスクな政党、「Israel Beiteinu」または「イスラエル我が家」と名乗る政党は、いまや権力のブローカーで、そのリーダーはイスラエルの選挙のキングメーカーなのだ。
彼はかつて、イスラエルの移民として短い時期、ユダヤ教ラビのメイア・カハネが率いるヒステリカルなグループ Kachのメンバーだった─ Kachはアラブ人たちの性生活に関して病的な妄想を描き、その集団的「排斥(expulsion)」、またはよくある婉曲表現でいう「移送(transfer)」を唱えたグループだ。(*1)
彼はいまやその地位をより洗練させて、領土と人々の交換を主張しているが、その主張とはほとんど、領土の分割(separation)、または2国家並立案(two-state solution)に近いものといえる。しかしそのような提案を行っても、今だに大量のアラブ人住民をイスラエルの主権のもとに─ 西岸か、あるいはイスラエルの「本土」の中にとり残すことになってしまう。
私は、リーバーマンが「平和のための土地(land for peace)」という交渉を本当に真剣に考えているのかと、疑問に思う─彼はガザからの撤退について、アリエル・シャロンとさえ口論した。そして、もしもそれが彼の自由になるなら、彼は恐らくガザの土地に依然としてイスラエルの入植者を踏みとどまらせるだろう。
彼は、アラブ系イスラエル人(パレスチナ側に住む従兄弟のアラブ人とは違い、イスラエルの旗の下で暮らす特権として市民権を付与され、投票権も持っている)の存在について問いを発しようと決め、議論全体のトーンを変えた。
このとても面白く、かつ看過されたコミュニティについて書かれた最もよい本は、イスラエルの小説家デビッド・グロスマンが1993年に書いた、「有刺鉄線の上で眠る(Sleeping on a Wire)」(*2)だ。その本は啓蒙的なミクロの閃めき─ 例えば、ユダヤ系アメリカ人よりも、より多くのアラブ系イスラエル人がヘブライ語を話すという可能性や、文学や文化の言葉への反映や言葉との関係性についての、啓蒙的な閃きなどを書いている。我々はマイモナデス(Maimonides*中世のユダヤ人哲学者・12世紀スペインに生まれた)が流暢なアラビア語で彼の著作を書いた事もよく知っているが、恐らくこのことはあまり知られていない:
パレスチナ系イスラエル人との日々の会話は、聖書やタルムードからの表現、BialikやRabbi Yehuda Halevy 、そしてAgnonなどの書いた表現も閃かせていた。詩人のNaim Araidehはこんな言葉をほとばしらせている;「あなたはわたしにとって、ヘブライ語で書くことがどういう意味のあることか知っているだろうか?世界が創造されたときの言葉で書くということがどういうことか?」
これ以上この件については深く語りたくないだろうが、我々はアラブ系イスラエル人の作家で、マルクス主義者のエミール・ハビビ(古典的小説「The Pessoptimist」の著者)の小説が、イスラエルの年間のベスト・ヘブライ語小説賞を受賞したことも思い出す。
ハマスやヒズボラのロケット弾は、ジャッファやその他の街で、こうした人々の上にも降りかかることを付け加えるべきだ─ドゥルーズ系イスラエル人や、アルメニア系イスラエル人などの上にも降りかかるのと同様に。
パレスチナの土地への相矛盾した領土所有を主張する者たちを、何層にも重ねあわせて埋め込み、それらを統合しようとする幾筋かの糸は強く繊細で、古くそしてモダンなものだ。これはグロスマンが彼の本の最後で、なぜそれほど彼のその発見に失望したかの理由でもある─ 1948年に起きたことの記憶はいまだに、ほとんどの成功した裕福なアラブ系イスラエル人にとっても鮮明に残っているという─ ゆえに彼らは未だに身の安全を感じられず、新たな退去令で追放されることを密かに恐れている。1993年には、彼はこのことについてある程度、彼らに何かを再度保証してやれるように思えたという。
今、われわれは凶漢が現れたのをみる─ 彼がイスラエル議会の選挙で選ばれたアラブ人議員たちに関して、彼らがもしハマスに会うなら処刑すべきだとの考えを好み、デマゴーグを流すのをみる。彼は収監中のパレスチナ人政治犯を死海に溺れさせよと要求したことがあり、その支持者達は集会の場で「アラブ人に死を」のスローガンを叫び、ユダヤ人の国に最も長く継続的に滞在するアラブ人たちにとって最悪の恐怖を具現化しようとしている。
しかし、アビグドール・リーバーマンの本質的に全体主義的で宗教審問のようなスタイルは、彼が非シオニストのハレディム(正統派ユダヤ教徒)や、または敬虔なユダヤ人に対しても要求していること─ 市民権の剥奪か、または、忠誠の誓いのいずれかを選択せよ、といっているその主張のより明確なマニフェストでもあるだろう。これはユダヤ人がエルサレムに記憶にないほど遠い昔から存在し、その結果としての彼らの権利はいかなる国やイデオロギーによっても奪われず、それらに依存することもないという考えの根源に対し、斧を振るうものだ。リーバーマンとたとえ一時的といえども同盟を結ぼうとするベンヤミン・ネタニヤフは恥を知れ。「帰還権(離散パレスチナ難民全ての帰還権)」がすでに問われるべきなのと同じく、「追放権」というものが存在するかどうかも、問われるべきものなのだ。
http://www.slate.com/id/2211915
*************************************************************
*1) Kachは違法な過激派グループだという http://www.haaretz.com/hasen/spages/1061172.html
Avigdor Lieberman said to be ex-member of banned radical Kach movement
*2) "Sleeping on a Wire: Conversations with Palestinians in Israel" (Paperback)
http://www.amazon.com/gp/product/0312420978?ie=UTF8&tag=slatmaga-20&link_code=as3&camp=211189&creative=373489&creativeASIN=0312420978
「アビグドール・リーバーマンの鉄面皮 ─ 帰還権と追放権の両立はありえない」 By C.ヒッチンズ
私のある信頼すべき友達で、同僚でもある人物が誓っていうには、彼は2年ほど前にイスラエルの占領地帯において、確かに次のような光景を目にしたという。
─ 緊急を要する通行許可を求めていた1人のパレスチナ人の内科医が、急いで隣町に入るために、検問所の所に立つ兵士を説得しようとしていた。
─ その石のような表情の警備兵にむかって彼は、この地の多くのアラブ人が流暢に話せる言葉であるヘブライ語で話しかけようとしたが、何の返事もなかった。そのため、彼は次に英語で話しかけた(英語はこの地域では一種の共通語のような物だ)、しかし、やはり何の効果もなかったという。
相互のコミュニケーションが絶たれた不快な瞬間が経過した後、そのイスラエル兵の知っている唯一の英語の単語が「ノー」であり、また彼の喋れる唯一の言葉はロシア語であることが判明した。
「占領」や、「強奪・奪取」という言葉はとても自由に囁かれているが、あなたの近隣の友好的でない警察官が、あなたの知るいかなる言葉も話さないばかりか、彼が就務する国の言葉すら喋らないような占領下の地域での生活の姿がどんなものか、想像してみてほしい。
ところで、その兵士がユダヤ人ですらない確率は非常に高かったし;またイスラエルでは、何万ものロシアからの移民が存在すること、彼らが偽の「帰還権」を行使するため、出生国を偽る書類を偽造していることはオープン・シークレットでもある。
そのため、曽・曽・祖父母がパレスチナで生まれたような人々にとって、苦難だけを強いられるような生活のみならず、さらに繰り返される侮辱が存在している。
しかし、あなたがもし、旧ソ連のモルドバに生まれて用心棒をしていたアビグドール・リーバーマンのような男であるなら─、あなたは聖なる国(Holy Land )に来て当然な権利のように住みつき、「忠誠の誓い」といった制度(イスラエルにいるアラブ系住民に誓うのではなく、自ら非シオニストだと宣言する正統派ユダヤ教セクトの全メンバーに対して誓うというもの)を提案するような政党のリーダーになることもできる。
そしてこのグロテスクな政党、「Israel Beiteinu」または「イスラエル我が家」と名乗る政党は、いまや権力のブローカーで、そのリーダーはイスラエルの選挙のキングメーカーなのだ。
彼はかつて、イスラエルの移民として短い時期、ユダヤ教ラビのメイア・カハネが率いるヒステリカルなグループ Kachのメンバーだった─ Kachはアラブ人たちの性生活に関して病的な妄想を描き、その集団的「排斥(expulsion)」、またはよくある婉曲表現でいう「移送(transfer)」を唱えたグループだ。(*1)
彼はいまやその地位をより洗練させて、領土と人々の交換を主張しているが、その主張とはほとんど、領土の分割(separation)、または2国家並立案(two-state solution)に近いものといえる。しかしそのような提案を行っても、今だに大量のアラブ人住民をイスラエルの主権のもとに─ 西岸か、あるいはイスラエルの「本土」の中にとり残すことになってしまう。
私は、リーバーマンが「平和のための土地(land for peace)」という交渉を本当に真剣に考えているのかと、疑問に思う─彼はガザからの撤退について、アリエル・シャロンとさえ口論した。そして、もしもそれが彼の自由になるなら、彼は恐らくガザの土地に依然としてイスラエルの入植者を踏みとどまらせるだろう。
彼は、アラブ系イスラエル人(パレスチナ側に住む従兄弟のアラブ人とは違い、イスラエルの旗の下で暮らす特権として市民権を付与され、投票権も持っている)の存在について問いを発しようと決め、議論全体のトーンを変えた。
このとても面白く、かつ看過されたコミュニティについて書かれた最もよい本は、イスラエルの小説家デビッド・グロスマンが1993年に書いた、「有刺鉄線の上で眠る(Sleeping on a Wire)」(*2)だ。その本は啓蒙的なミクロの閃めき─ 例えば、ユダヤ系アメリカ人よりも、より多くのアラブ系イスラエル人がヘブライ語を話すという可能性や、文学や文化の言葉への反映や言葉との関係性についての、啓蒙的な閃きなどを書いている。我々はマイモナデス(Maimonides*中世のユダヤ人哲学者・12世紀スペインに生まれた)が流暢なアラビア語で彼の著作を書いた事もよく知っているが、恐らくこのことはあまり知られていない:
パレスチナ系イスラエル人との日々の会話は、聖書やタルムードからの表現、BialikやRabbi Yehuda Halevy 、そしてAgnonなどの書いた表現も閃かせていた。詩人のNaim Araidehはこんな言葉をほとばしらせている;「あなたはわたしにとって、ヘブライ語で書くことがどういう意味のあることか知っているだろうか?世界が創造されたときの言葉で書くということがどういうことか?」
これ以上この件については深く語りたくないだろうが、我々はアラブ系イスラエル人の作家で、マルクス主義者のエミール・ハビビ(古典的小説「The Pessoptimist」の著者)の小説が、イスラエルの年間のベスト・ヘブライ語小説賞を受賞したことも思い出す。
ハマスやヒズボラのロケット弾は、ジャッファやその他の街で、こうした人々の上にも降りかかることを付け加えるべきだ─ドゥルーズ系イスラエル人や、アルメニア系イスラエル人などの上にも降りかかるのと同様に。
パレスチナの土地への相矛盾した領土所有を主張する者たちを、何層にも重ねあわせて埋め込み、それらを統合しようとする幾筋かの糸は強く繊細で、古くそしてモダンなものだ。これはグロスマンが彼の本の最後で、なぜそれほど彼のその発見に失望したかの理由でもある─ 1948年に起きたことの記憶はいまだに、ほとんどの成功した裕福なアラブ系イスラエル人にとっても鮮明に残っているという─ ゆえに彼らは未だに身の安全を感じられず、新たな退去令で追放されることを密かに恐れている。1993年には、彼はこのことについてある程度、彼らに何かを再度保証してやれるように思えたという。
今、われわれは凶漢が現れたのをみる─ 彼がイスラエル議会の選挙で選ばれたアラブ人議員たちに関して、彼らがもしハマスに会うなら処刑すべきだとの考えを好み、デマゴーグを流すのをみる。彼は収監中のパレスチナ人政治犯を死海に溺れさせよと要求したことがあり、その支持者達は集会の場で「アラブ人に死を」のスローガンを叫び、ユダヤ人の国に最も長く継続的に滞在するアラブ人たちにとって最悪の恐怖を具現化しようとしている。
しかし、アビグドール・リーバーマンの本質的に全体主義的で宗教審問のようなスタイルは、彼が非シオニストのハレディム(正統派ユダヤ教徒)や、または敬虔なユダヤ人に対しても要求していること─ 市民権の剥奪か、または、忠誠の誓いのいずれかを選択せよ、といっているその主張のより明確なマニフェストでもあるだろう。これはユダヤ人がエルサレムに記憶にないほど遠い昔から存在し、その結果としての彼らの権利はいかなる国やイデオロギーによっても奪われず、それらに依存することもないという考えの根源に対し、斧を振るうものだ。リーバーマンとたとえ一時的といえども同盟を結ぼうとするベンヤミン・ネタニヤフは恥を知れ。「帰還権(離散パレスチナ難民全ての帰還権)」がすでに問われるべきなのと同じく、「追放権」というものが存在するかどうかも、問われるべきものなのだ。
http://www.slate.com/id/2211915
*************************************************************
*1) Kachは違法な過激派グループだという http://www.haaretz.com/hasen/spages/1061172.html
Avigdor Lieberman said to be ex-member of banned radical Kach movement
*2) "Sleeping on a Wire: Conversations with Palestinians in Israel" (Paperback)
http://www.amazon.com/gp/product/0312420978?ie=UTF8&tag=slatmaga-20&link_code=as3&camp=211189&creative=373489&creativeASIN=0312420978
Sunday, March 8, 2009
ハリリ暗殺事件の特別法廷の近況とは?/”Lebanese split over Hariri tribunal” By Andrew Coombes
ハリリ元大統領暗殺事件をめぐる捜査の結果はどうなっているのか?
「ハリリ暗殺事件の特別法廷をめぐるレバノン人の分裂」 By アンドリュー・クームズ (3月5日、Al-Jazeera)
2005年2月14日にベイルートの海岸沿いで爆発した爆弾は、同時に内戦後のレバノンの歴史上に最も震撼すべき転換点をもたらした。
レバノンの前の首相で、有力なビジネスマンでもあったラフィク・アル・ハリリは、他の22人の人とともにこの大爆発で亡くなった。この暗殺の後、ハリリの何千もの支持者がベイルートで集会を行い、シリアを指差してののしった。ダマスカスは何千もの兵力とセキュリティ・エージェントをレバノンに送っていたが、レバノンのナショナリストであったハリリは、このシリアと仲違いをしたのだといわれる─ 彼の暗殺へのシリアの関与は道理に適っている。
レバノンの民衆からの大きな圧力の中で、シリアは29年にわたって継続した、軍と諜報機関のレバノン駐留を終わらせた。そのすぐ後に、国連はハリリの暗殺に関する調査の実施を要求した。
法廷の役割
それから4年近くたった今、この調査の一環として国際特別法廷がハーグで召集されている─しかしこの法廷の果たすべき役割については、意見の相違がある。
ダマスカスのシリア政府は、米国がこの国連の徹底的な調査活動を通じて、シリアのこの地域への影響力を削ごうとしているのだろう─ シリアの暗殺関与への説得性のある証拠がないにも関わらず─ と主張している。
レバノンでは、政治家たちが3月14日連合(反シリアの政党連合)の名の下に集まり、ハリリの暗殺について、シリアを非難すべきだと訴えている。
しかし一方で、レバノンでシリアの援助を受けているシーア派イスラム教徒のグループ:ヒズボラは、この国際法廷の実施に対して反対を唱えているのだ。
カリフォルニア州立大の政治学教授アサド・アブ・カリルは、レバノンにおける国際法廷への見方には、宗派や政治勢力のラインによって大きな分裂がみられる、という。
─「<3月14日連合>の内側では、"我々はシリアが確かにハリリの暗殺の背後にいることを知っている。まずは、国際法廷が何を言うかをみてみよう"、とのメッセージを発しているのだが、これは、この事態全体の裏に何らかの政治的なものがあることを意味している、と私には思われる」─とアブ・カリルはいう。
─「もしも、あなたがシーア派の地域を訪れたなら、ハリリの暗殺の後ですら多くの人々がこういっていたのをみたことだろう… "我々は、何百万のレバノンの納税者の思いとして、これは単に鬱陶しいと感じるだけなのだ─ 他の多くのレバノン人もイスラエルによって殺されているのに(ハリリが殺された時ほどに注目を浴びる事もなく)、単にハリリ暗殺の犯人を見つけ出そうという事ばかりに、努力が注がれるという状況に対して…。"」
政治的な次元
国連の調査は完全に独立性を有しているから、"<3月14日連合>は、国連法廷がハリリの暗殺にシリアが関与した事を肯定しようと否定しようと、その判決を支持するだろう"、とラフィク・ハリリの息子、サアド・アル・ハリリは述べている。
しかし外交アナリストは、この裁判がいずれにしても政治的な局面(次元)のあるものだとしている。
「多くの人々、特に、ブッシュ政権にいた人々(ハリリが殺されたとき政権の座にあった人達)たちが、この点に期待を抱いている」、とオクラホマ大学の中東研究センターのディレクター、ジョシュア・ランディスはいう。
「ワシントンのネオコン達は、この裁判がシリアとの対話の再開への努力を阻んでくれる事を望んでいる。」
国連のIIIC(独立調査委員会)の最初のレポートは、”シリアが国家テロリズムに関与していた”というブッシュ政権による従来の主張を支持しているようにみえる。
この暗殺事件のキーは2人の目撃者、フサム・フサムとモハメッド・シディクの行った証言である─ 彼らはシリアとレバノンの政府関係者がハリリの車列への攻撃を計画したといっている。
リークされた報告書
しかし(IIICの初代コミッショナーだった)メフリスが個人的に、シリアがこの爆発に関与していたことを確信したのは、2005年10月のレポートの電子版をみたときだという。
この電子版のレポートを見たジャーナリストは、ワープロのページ上で「Undo」のオプション・ボタンをクリックした時、そこに暗殺に関与されたと噂される数人のシリア高官の名前が現れたのをみつけたという。
しかし国連の発行したオフィシャルなレポートには個人名はなく、その理由も未だに不明だという。
メフリスによるリークが意図的なものであろうとなかろうと、それは国連の調査が、シリアの暗殺へのアクティブな役割関与の証明に迅速に向かっていた事を示している。しかし2005年10月の内部向けレポートが公式に発行されるまでの幾週間かの間に、フサムとシディクの証言は信用に足らないとされた─ フサムはその情報をレバノンの報道メディアに売ろうとしたが故に彼自身の信頼性を失った─またシディクはIIICによって偽証罪で逮捕された。
「もしもデトレフ・メフリスの時代に出されたレポートを読んだなら、あなたはその男がしばしば拙速な結論を導くくクセがあると知っただろう」とアブ・カリルはいう。(*メフリスはそのことで非難追及された)
「特に面白いのは、彼が違う方向に向かって沢山のダーツの矢を放っていることだ。例えば一つは、メフリスがレバノンのPeople's Front for the Liberation of Palestine-General Command(レバノンの殆どのパレスチナ難民キャンプで堅固に組織されているグループ)を名指ししたりもしたが、後には彼らは関係ない、ともいっている。彼はこうして法廷の信頼性を損ねてしまった。」
低姿勢なアプローチ
セルジュ・ブランメルツが2006年1月に設置した調査委員会に加え、国連はより熟考の伴う、熱心な活動を継続している。
この喚問でのベルギー人調査担当者のマネージャーは、メフリスよりも低姿勢なアプローチをとっている。時間の経過とともに、シリアは、ICCのメイン・フォーカスから消えつつあるようにみえる。
「ブランメルツと他の人間達がのちに訪れたとき、彼は彼のストーリー(語り口)を繰り返そうとはしなかった─彼らは多くの目撃者の証言に基づく証拠を消した─ハリリに近い関係のあった者達からの指導を受けた彼らからの証言を。」とランディスはいう。
「それがわれわれにシリア人たちの主張したストーリー(語り口)から離れさせた。それに続いて、我々は国連の人間たちがこういい始めたのをみた…彼らはある種の犯罪ネットワークの存在を否定するための証拠をうち立てているところだと。」
非-政治化
米国のシリアとの関係性についてのInternational Crisis Group (ICG)のレポートによれば、調査法廷の側は昨今、徐々に非・政治化しようとしているという─ レバノンが国連によって命じられた調査義務を完遂しつつあることの結果として。
ブッシュ政権が元々、ハリリ暗殺事件の件をダマスカスへの圧力行使のために利用しようとしたという明白な認識により、ある匿名の米国高官がICGに対して語ったのによると:<3月14日連合…レバノンにおける米国の同盟者たち>にとっては、同法廷がこれ以上シリアの暗殺の陰謀への共犯性を自動的に弾劾するということを考えることは不可能になったという。
「昨年この事件を検証した人間たちは、"ハリリ暗殺事件"とイスラム原理主義グループのリンクに焦点をあてた調査活動への転機が訪れたという考えを抱いた。」とアブカリルはいう。「もしもそれが本当なら、それは<3月14日連合>のあり方と信頼性に大きな打撃を与えることになるだろう。」
シリアが調査に対して抱く不信
国連の特別法廷において、ドラマチックな公的声明を出して影響力を行使しようとしたことが批判されているのは、米国と<3月14日連合>だけではない。
シリアは最近、サウジアラビア(米国と<3月14日連合>との緊密な同盟者)との友好関係回復に向かっているが、そんななかでダマスカスは国連特別法廷を政治化しようとしている、とアナリストは言う。
「シリアのオフィシャル・メディアが、国連の調査への不信感の喚起を狙ったということは顕著な事実だ─ 彼らはメフリスの母親に関する勝手に作ったストーリーを流布し、偽の目撃者たちなどもうちたてた。」と、ロンドンのMiddle East and North Africa programme at Chatham Houseのナディム・シェハディはいう。
「レバノンの親シリアの野党は、暗殺事件に関して最初にイスラエルの責任を追及し、そして国際法廷の設置には暴力的に反対して、2008年3月に首都ベイルートの道路を占拠した。シリアが事件に関与したという結論が出される可能性が強まるにつれ、レバノンではこうした暴力行為への心配がより高まった。」とシェハディはいう。
しかし、ランディスは、特別法廷がシリアの高官たちをハーグの法廷室に出頭させるべく試みるなら、シリアには使うべきカードがある、とする。
「この法廷のキーは、IIIC委員会の調査官達が持っていた権限を持たないだろうということだ。
彼らはシリアの個人が証言するように命令することはできる。今、シリアがもし、何らかの非倫理的行為(犯罪性)があるとみるなら、シリアが自らその国民を裁判にかけるだろう」と彼は言う。そしてダマスカスは法廷に対し、シリア人はハーグに出頭する義務はもたない、と告げたという。
ランディスは、ダマスカスが協力を拒むなら、国連とハーグの調査官は国連の安全保障委員会を動かしてシリアに協力を命じ、経済制裁を課すための国連決議を行うべき申し立てもできるだろうと信じている。「然しそれはとても困難になるだろう─ 何故なら我々はブッシュ政権下での政治的環境とは異なる環境にいるからだ。」と彼はいう。
残る緊張と挑戦
法廷が調査によって発見した事項を検討している間、<3月14日連合>そしてその国際的同盟者達と、ヒズボラ、そしてシリアの間には緊張が続く。レバノンは<3月14日連合>とヒズボラの率いる野党との何ヶ月もの政治的不和の後、6月に議会選挙を迎える─そうした選挙は時々暴力沙汰を招く。
法廷はこうして数多くの挑戦に直面している。それは、そこに影響力を及ぼそうとする勢力に阻害されてきたことへの非難を軽減(帳消しに)しつつ、独立した信頼性のある裁定を下さねばならない。同時に、法廷で働いてきたものは最後の裁定がレバノンの多数の勢力を危険な衝突に導く可能性をも、深く考慮しなければならない。
「私は法廷が独立的に、プロフェッショナルなやり方で行動することを望んでいる。それ以外の全ての懸念払拭して。」とジョージタウン大学のダウド・ケイララ教授はいう。
「この法廷が、それを創設した者達の政治的な手先機関であるのではと疑っている人々がいる。告発のレベルでも裁判のレベルでも、関係者全てはこのことに注目せざるをえず、完全に独立性と競合性をたもち、正義だけを唯一の目的にすべきなのだ…。」
http://english.aljazeera.net/focus/2009/03/2009337554205393.html
*******************************************************************
★先日ベイルートでは、ハリリ大統領の追悼セレモニーが開かれた─
その地を訪れた クリストファー・ヒッチンズは「ハムラ・ストリート」で夜半、
「酔いのあまりに」親シリア政党 SSNP のポスターにイタズラな落書きをし、袋叩きに
あって負傷したというのだが
Christopher Hitchens on Beirut attack: 'they kept coming. Six or seven at
first'
http://www.guardian.co.uk:80/media/2009/feb/19/christopher-hitchens-beirut-attack
...when the controversial author, journalist and broadcaster defaced a
political poster on a visit to Beirut last week, he found himself at the
wrong end of a bruising encounter that has left him walking with a limp and
nursing cuts and bruises.
Bizzare Beirut
http://christopherhitchenswatch.blogspot.com/2009/02/bizzare-beirut.html
「ハリリ暗殺事件の特別法廷をめぐるレバノン人の分裂」 By アンドリュー・クームズ (3月5日、Al-Jazeera)
2005年2月14日にベイルートの海岸沿いで爆発した爆弾は、同時に内戦後のレバノンの歴史上に最も震撼すべき転換点をもたらした。
レバノンの前の首相で、有力なビジネスマンでもあったラフィク・アル・ハリリは、他の22人の人とともにこの大爆発で亡くなった。この暗殺の後、ハリリの何千もの支持者がベイルートで集会を行い、シリアを指差してののしった。ダマスカスは何千もの兵力とセキュリティ・エージェントをレバノンに送っていたが、レバノンのナショナリストであったハリリは、このシリアと仲違いをしたのだといわれる─ 彼の暗殺へのシリアの関与は道理に適っている。
レバノンの民衆からの大きな圧力の中で、シリアは29年にわたって継続した、軍と諜報機関のレバノン駐留を終わらせた。そのすぐ後に、国連はハリリの暗殺に関する調査の実施を要求した。
法廷の役割
それから4年近くたった今、この調査の一環として国際特別法廷がハーグで召集されている─しかしこの法廷の果たすべき役割については、意見の相違がある。
ダマスカスのシリア政府は、米国がこの国連の徹底的な調査活動を通じて、シリアのこの地域への影響力を削ごうとしているのだろう─ シリアの暗殺関与への説得性のある証拠がないにも関わらず─ と主張している。
レバノンでは、政治家たちが3月14日連合(反シリアの政党連合)の名の下に集まり、ハリリの暗殺について、シリアを非難すべきだと訴えている。
しかし一方で、レバノンでシリアの援助を受けているシーア派イスラム教徒のグループ:ヒズボラは、この国際法廷の実施に対して反対を唱えているのだ。
カリフォルニア州立大の政治学教授アサド・アブ・カリルは、レバノンにおける国際法廷への見方には、宗派や政治勢力のラインによって大きな分裂がみられる、という。
─「<3月14日連合>の内側では、"我々はシリアが確かにハリリの暗殺の背後にいることを知っている。まずは、国際法廷が何を言うかをみてみよう"、とのメッセージを発しているのだが、これは、この事態全体の裏に何らかの政治的なものがあることを意味している、と私には思われる」─とアブ・カリルはいう。
─「もしも、あなたがシーア派の地域を訪れたなら、ハリリの暗殺の後ですら多くの人々がこういっていたのをみたことだろう… "我々は、何百万のレバノンの納税者の思いとして、これは単に鬱陶しいと感じるだけなのだ─ 他の多くのレバノン人もイスラエルによって殺されているのに(ハリリが殺された時ほどに注目を浴びる事もなく)、単にハリリ暗殺の犯人を見つけ出そうという事ばかりに、努力が注がれるという状況に対して…。"」
政治的な次元
国連の調査は完全に独立性を有しているから、"<3月14日連合>は、国連法廷がハリリの暗殺にシリアが関与した事を肯定しようと否定しようと、その判決を支持するだろう"、とラフィク・ハリリの息子、サアド・アル・ハリリは述べている。
しかし外交アナリストは、この裁判がいずれにしても政治的な局面(次元)のあるものだとしている。
「多くの人々、特に、ブッシュ政権にいた人々(ハリリが殺されたとき政権の座にあった人達)たちが、この点に期待を抱いている」、とオクラホマ大学の中東研究センターのディレクター、ジョシュア・ランディスはいう。
「ワシントンのネオコン達は、この裁判がシリアとの対話の再開への努力を阻んでくれる事を望んでいる。」
国連のIIIC(独立調査委員会)の最初のレポートは、”シリアが国家テロリズムに関与していた”というブッシュ政権による従来の主張を支持しているようにみえる。
この暗殺事件のキーは2人の目撃者、フサム・フサムとモハメッド・シディクの行った証言である─ 彼らはシリアとレバノンの政府関係者がハリリの車列への攻撃を計画したといっている。
リークされた報告書
しかし(IIICの初代コミッショナーだった)メフリスが個人的に、シリアがこの爆発に関与していたことを確信したのは、2005年10月のレポートの電子版をみたときだという。
この電子版のレポートを見たジャーナリストは、ワープロのページ上で「Undo」のオプション・ボタンをクリックした時、そこに暗殺に関与されたと噂される数人のシリア高官の名前が現れたのをみつけたという。
しかし国連の発行したオフィシャルなレポートには個人名はなく、その理由も未だに不明だという。
メフリスによるリークが意図的なものであろうとなかろうと、それは国連の調査が、シリアの暗殺へのアクティブな役割関与の証明に迅速に向かっていた事を示している。しかし2005年10月の内部向けレポートが公式に発行されるまでの幾週間かの間に、フサムとシディクの証言は信用に足らないとされた─ フサムはその情報をレバノンの報道メディアに売ろうとしたが故に彼自身の信頼性を失った─またシディクはIIICによって偽証罪で逮捕された。
「もしもデトレフ・メフリスの時代に出されたレポートを読んだなら、あなたはその男がしばしば拙速な結論を導くくクセがあると知っただろう」とアブ・カリルはいう。(*メフリスはそのことで非難追及された)
「特に面白いのは、彼が違う方向に向かって沢山のダーツの矢を放っていることだ。例えば一つは、メフリスがレバノンのPeople's Front for the Liberation of Palestine-General Command(レバノンの殆どのパレスチナ難民キャンプで堅固に組織されているグループ)を名指ししたりもしたが、後には彼らは関係ない、ともいっている。彼はこうして法廷の信頼性を損ねてしまった。」
低姿勢なアプローチ
セルジュ・ブランメルツが2006年1月に設置した調査委員会に加え、国連はより熟考の伴う、熱心な活動を継続している。
この喚問でのベルギー人調査担当者のマネージャーは、メフリスよりも低姿勢なアプローチをとっている。時間の経過とともに、シリアは、ICCのメイン・フォーカスから消えつつあるようにみえる。
「ブランメルツと他の人間達がのちに訪れたとき、彼は彼のストーリー(語り口)を繰り返そうとはしなかった─彼らは多くの目撃者の証言に基づく証拠を消した─ハリリに近い関係のあった者達からの指導を受けた彼らからの証言を。」とランディスはいう。
「それがわれわれにシリア人たちの主張したストーリー(語り口)から離れさせた。それに続いて、我々は国連の人間たちがこういい始めたのをみた…彼らはある種の犯罪ネットワークの存在を否定するための証拠をうち立てているところだと。」
非-政治化
米国のシリアとの関係性についてのInternational Crisis Group (ICG)のレポートによれば、調査法廷の側は昨今、徐々に非・政治化しようとしているという─ レバノンが国連によって命じられた調査義務を完遂しつつあることの結果として。
ブッシュ政権が元々、ハリリ暗殺事件の件をダマスカスへの圧力行使のために利用しようとしたという明白な認識により、ある匿名の米国高官がICGに対して語ったのによると:<3月14日連合…レバノンにおける米国の同盟者たち>にとっては、同法廷がこれ以上シリアの暗殺の陰謀への共犯性を自動的に弾劾するということを考えることは不可能になったという。
「昨年この事件を検証した人間たちは、"ハリリ暗殺事件"とイスラム原理主義グループのリンクに焦点をあてた調査活動への転機が訪れたという考えを抱いた。」とアブカリルはいう。「もしもそれが本当なら、それは<3月14日連合>のあり方と信頼性に大きな打撃を与えることになるだろう。」
シリアが調査に対して抱く不信
国連の特別法廷において、ドラマチックな公的声明を出して影響力を行使しようとしたことが批判されているのは、米国と<3月14日連合>だけではない。
シリアは最近、サウジアラビア(米国と<3月14日連合>との緊密な同盟者)との友好関係回復に向かっているが、そんななかでダマスカスは国連特別法廷を政治化しようとしている、とアナリストは言う。
「シリアのオフィシャル・メディアが、国連の調査への不信感の喚起を狙ったということは顕著な事実だ─ 彼らはメフリスの母親に関する勝手に作ったストーリーを流布し、偽の目撃者たちなどもうちたてた。」と、ロンドンのMiddle East and North Africa programme at Chatham Houseのナディム・シェハディはいう。
「レバノンの親シリアの野党は、暗殺事件に関して最初にイスラエルの責任を追及し、そして国際法廷の設置には暴力的に反対して、2008年3月に首都ベイルートの道路を占拠した。シリアが事件に関与したという結論が出される可能性が強まるにつれ、レバノンではこうした暴力行為への心配がより高まった。」とシェハディはいう。
しかし、ランディスは、特別法廷がシリアの高官たちをハーグの法廷室に出頭させるべく試みるなら、シリアには使うべきカードがある、とする。
「この法廷のキーは、IIIC委員会の調査官達が持っていた権限を持たないだろうということだ。
彼らはシリアの個人が証言するように命令することはできる。今、シリアがもし、何らかの非倫理的行為(犯罪性)があるとみるなら、シリアが自らその国民を裁判にかけるだろう」と彼は言う。そしてダマスカスは法廷に対し、シリア人はハーグに出頭する義務はもたない、と告げたという。
ランディスは、ダマスカスが協力を拒むなら、国連とハーグの調査官は国連の安全保障委員会を動かしてシリアに協力を命じ、経済制裁を課すための国連決議を行うべき申し立てもできるだろうと信じている。「然しそれはとても困難になるだろう─ 何故なら我々はブッシュ政権下での政治的環境とは異なる環境にいるからだ。」と彼はいう。
残る緊張と挑戦
法廷が調査によって発見した事項を検討している間、<3月14日連合>そしてその国際的同盟者達と、ヒズボラ、そしてシリアの間には緊張が続く。レバノンは<3月14日連合>とヒズボラの率いる野党との何ヶ月もの政治的不和の後、6月に議会選挙を迎える─そうした選挙は時々暴力沙汰を招く。
法廷はこうして数多くの挑戦に直面している。それは、そこに影響力を及ぼそうとする勢力に阻害されてきたことへの非難を軽減(帳消しに)しつつ、独立した信頼性のある裁定を下さねばならない。同時に、法廷で働いてきたものは最後の裁定がレバノンの多数の勢力を危険な衝突に導く可能性をも、深く考慮しなければならない。
「私は法廷が独立的に、プロフェッショナルなやり方で行動することを望んでいる。それ以外の全ての懸念払拭して。」とジョージタウン大学のダウド・ケイララ教授はいう。
「この法廷が、それを創設した者達の政治的な手先機関であるのではと疑っている人々がいる。告発のレベルでも裁判のレベルでも、関係者全てはこのことに注目せざるをえず、完全に独立性と競合性をたもち、正義だけを唯一の目的にすべきなのだ…。」
http://english.aljazeera.net/focus/2009/03/2009337554205393.html
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★先日ベイルートでは、ハリリ大統領の追悼セレモニーが開かれた─
その地を訪れた クリストファー・ヒッチンズは「ハムラ・ストリート」で夜半、
「酔いのあまりに」親シリア政党 SSNP のポスターにイタズラな落書きをし、袋叩きに
あって負傷したというのだが
Christopher Hitchens on Beirut attack: 'they kept coming. Six or seven at
first'
http://www.guardian.co.uk:80/media/2009/feb/19/christopher-hitchens-beirut-attack
...when the controversial author, journalist and broadcaster defaced a
political poster on a visit to Beirut last week, he found himself at the
wrong end of a bruising encounter that has left him walking with a limp and
nursing cuts and bruises.
Bizzare Beirut
http://christopherhitchenswatch.blogspot.com/2009/02/bizzare-beirut.html
オバマに求められる対イラン政策/"Plunging into the Middle East" - By David Ignatius
ダボス会議での不公平なモデレーターとしてトルコのエルドアン首相を立腹させた、デヴィッド・イグナチウス… やはり、イスラエルとパイプのある保守派のコラムニストなのだろうか?
「オバマに求められる中東への急降下」By デヴィッド・イグナチウス http://www.denverpost.com/viewpoints/ci_11854422
原則的には、米国とその中東の敵対的国家との間の「対話推進」のポリシーは、広範な支持をうけている。オバマ政権は対話を求める、としており、イランやシリアの高官もこれと同様なことをいっている。しかし、ここに複雑な事態が始まる。
その対話とはゆっくりと忍耐強いものであるべきなのか、もしくは緊急のタイムテーブルで行うべきものなのか?米国は前もってそのキー・イシューに関して、譲歩を示すべきなのか?または、その使節たちはいかなる事前の設定条件もなく交渉の席について、討議を開始するべきなのか?そのレトリックとはどんなものになるのか?
─イランの最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師が先週、”バラク・オバマは前任の大統領と同じ「歪んだやり方」を踏襲していた”とか、”イスラエルは「がん細胞」だ”などと述べた今、イランは本当に米国と交渉を開始することなど想像できるのだろうか?
これは対話を開始する、というよりも停止するためのレシピ(方策)に他ならない。イランでの、米国とどう対峙するかに関する集中的な議論のレポートを読むにつけ、これはハメネイ師が意図して行ったことに違いないと思う。
シリア人による食糧強奪に関するイランの挑発的なレトリックにも関わらず、イランの政権は依然として対話を望んでいる。先週、ヒラリー・クリントンがイランに招待され、アフガニスタンとの会議に参加したことは、その最新のシグナルでもある。しかし米政府高官はイランとシリアの外交ポリシーを省みて、交渉課程の進展を形成すべき幾つかのキーイシューにも焦点をあてている。
まずはイランから始めよう。最初のチャレンジは「TWO CLOCKS(二つの時計)」の問題というものだ。
米政府高官はゆっくりした時計の進行を望んでいる─それは彼らが、直接的対話の持続のためには注意深いプロセスを好むからだ。しかし彼らは、同時にイランの核開発ではより速い時計が時を刻んでいると感じており、彼らは来年までにイラン人は核爆弾を製造するに充分な核燃料を得るだろうと実感している。
イスラエルのスパイ機関モサドの前チーフであるエフライム・ハレヴィーは、最近、私にくれたメールの中で、この問題を強調してみせた。「(米国とイランの)対話戦略は、イラン人が、この世界でのすべての時間において対話をもつことが可能なわけではない、と知る事によってのみ成功するだろう─」と。彼は米国がこの対話をほんの短い1,2ヶ月だけに限定するべきだ、と論じている。「あるイスラエルの高官も、先週のインタビューで同じ事をいっている:もし対話がしたいのなら、今やるがいい、確実な日程で─と。」
しかしオバマ・チームは、対話に特定の時間的期限をもつことを好んでおらず、また政府高官たちはイランが時間的プレッシャーを和らげるためにも自ら行動を開始すべきだ、と信じている。「もし彼らがより気ままな対話プロセスを望むならば、彼らはその時計を止めるための、幾つかのステップを踏む必要に駆られるだろう。」とある米政府高官は言う。オバマ政権はこうしたステップがどんなものになるかを決めてはいない、しかし彼らはそれをIAEAの要求、つまりイランに核開発への新規の査察を受け入れ、より透明性を高めることへの要求に協力させる事から始めるかもしれない。
この2つの時計の問題以上に、核問題の交渉の場では、決めるべきより大きな事項がある。1,2年前まで、米国とイスラエルは、イラン人が核燃料の精製に成功する前に核開発プログラムをストップさせたいと願っていた。しかし最後の1、2ヶ月の間にその努力は失敗したようにみえた。この後退的な立場において出来る事は、イラン人が核兵器製造の敷居をまたがぬように命じる事、そして彼らがIAEA査察官をしてイランのウラニウム精製が低レベルな平和利用目的に適合したものだ、と証明させる事である。
あるイスラエル高官によれば、この敷居のオプションは、テヘランのアリ・アクバル・ヴェラヤティ(前・外務大臣で現在はハメネイ師のシニア・アドバイザーを勤める)を含めたある一派によっても、支持されているという。
しかしその高官はイスラエルは(これは代わりにイランのテクノロジー開発の巻き返しをもたらす、として)このアプローチに反対している、という。
シリアでの交渉の道はより複雑でもある、しかし同国も同じように段階的に進行する事柄に直面している。シリアのアサド大統領は、シリアがイスラエルとの直接交渉に出るより前に、イスラエルがゴラン高原を返還するだろうとの確信を得たいと願っている。
米国とイスラエルもまた、シリアが「ゴラン高原カード」を用いる前に、そのハマスとヒズボラへのサポートを穏健化(軟化)させてくれる事への確信を得たいと願っている─ 両サイドが、相手側の好意的な態度表明を待ち望んでいるのだ。
オバマは先週、この対話のプロセスを開始するために、アサド大統領と対話すべく2人の特使を派遣した。シリアでの道における戦略的な理念とは、ダマスカスをテヘランから分離させ、年長者の親分国としての米国に接近させる事である。
米政府高官は、この件が米国による対話の「開始点」ではない、と警告しており、そして「シリアが西欧との接触にベネフィットがあると思った場合は、時間的流れの中ではテヘランとの決裂も起こりえる」、としている。こうした外交戦略の微妙さは重要でもあるが、余り考えすぎても仕方がない。
「時間は我々のサイドにはない。」とある政府高官はいう─ もしもオバマが対話を望むなら、現実問題として、彼は近々に急降下を決める必要がある─ そしてそのプロセスがどこに行き着くかを、見とどける必要がある。
「オバマに求められる中東への急降下」By デヴィッド・イグナチウス http://www.denverpost.com/viewpoints/ci_11854422
原則的には、米国とその中東の敵対的国家との間の「対話推進」のポリシーは、広範な支持をうけている。オバマ政権は対話を求める、としており、イランやシリアの高官もこれと同様なことをいっている。しかし、ここに複雑な事態が始まる。
その対話とはゆっくりと忍耐強いものであるべきなのか、もしくは緊急のタイムテーブルで行うべきものなのか?米国は前もってそのキー・イシューに関して、譲歩を示すべきなのか?または、その使節たちはいかなる事前の設定条件もなく交渉の席について、討議を開始するべきなのか?そのレトリックとはどんなものになるのか?
─イランの最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師が先週、”バラク・オバマは前任の大統領と同じ「歪んだやり方」を踏襲していた”とか、”イスラエルは「がん細胞」だ”などと述べた今、イランは本当に米国と交渉を開始することなど想像できるのだろうか?
これは対話を開始する、というよりも停止するためのレシピ(方策)に他ならない。イランでの、米国とどう対峙するかに関する集中的な議論のレポートを読むにつけ、これはハメネイ師が意図して行ったことに違いないと思う。
シリア人による食糧強奪に関するイランの挑発的なレトリックにも関わらず、イランの政権は依然として対話を望んでいる。先週、ヒラリー・クリントンがイランに招待され、アフガニスタンとの会議に参加したことは、その最新のシグナルでもある。しかし米政府高官はイランとシリアの外交ポリシーを省みて、交渉課程の進展を形成すべき幾つかのキーイシューにも焦点をあてている。
まずはイランから始めよう。最初のチャレンジは「TWO CLOCKS(二つの時計)」の問題というものだ。
米政府高官はゆっくりした時計の進行を望んでいる─それは彼らが、直接的対話の持続のためには注意深いプロセスを好むからだ。しかし彼らは、同時にイランの核開発ではより速い時計が時を刻んでいると感じており、彼らは来年までにイラン人は核爆弾を製造するに充分な核燃料を得るだろうと実感している。
イスラエルのスパイ機関モサドの前チーフであるエフライム・ハレヴィーは、最近、私にくれたメールの中で、この問題を強調してみせた。「(米国とイランの)対話戦略は、イラン人が、この世界でのすべての時間において対話をもつことが可能なわけではない、と知る事によってのみ成功するだろう─」と。彼は米国がこの対話をほんの短い1,2ヶ月だけに限定するべきだ、と論じている。「あるイスラエルの高官も、先週のインタビューで同じ事をいっている:もし対話がしたいのなら、今やるがいい、確実な日程で─と。」
しかしオバマ・チームは、対話に特定の時間的期限をもつことを好んでおらず、また政府高官たちはイランが時間的プレッシャーを和らげるためにも自ら行動を開始すべきだ、と信じている。「もし彼らがより気ままな対話プロセスを望むならば、彼らはその時計を止めるための、幾つかのステップを踏む必要に駆られるだろう。」とある米政府高官は言う。オバマ政権はこうしたステップがどんなものになるかを決めてはいない、しかし彼らはそれをIAEAの要求、つまりイランに核開発への新規の査察を受け入れ、より透明性を高めることへの要求に協力させる事から始めるかもしれない。
この2つの時計の問題以上に、核問題の交渉の場では、決めるべきより大きな事項がある。1,2年前まで、米国とイスラエルは、イラン人が核燃料の精製に成功する前に核開発プログラムをストップさせたいと願っていた。しかし最後の1、2ヶ月の間にその努力は失敗したようにみえた。この後退的な立場において出来る事は、イラン人が核兵器製造の敷居をまたがぬように命じる事、そして彼らがIAEA査察官をしてイランのウラニウム精製が低レベルな平和利用目的に適合したものだ、と証明させる事である。
あるイスラエル高官によれば、この敷居のオプションは、テヘランのアリ・アクバル・ヴェラヤティ(前・外務大臣で現在はハメネイ師のシニア・アドバイザーを勤める)を含めたある一派によっても、支持されているという。
しかしその高官はイスラエルは(これは代わりにイランのテクノロジー開発の巻き返しをもたらす、として)このアプローチに反対している、という。
シリアでの交渉の道はより複雑でもある、しかし同国も同じように段階的に進行する事柄に直面している。シリアのアサド大統領は、シリアがイスラエルとの直接交渉に出るより前に、イスラエルがゴラン高原を返還するだろうとの確信を得たいと願っている。
米国とイスラエルもまた、シリアが「ゴラン高原カード」を用いる前に、そのハマスとヒズボラへのサポートを穏健化(軟化)させてくれる事への確信を得たいと願っている─ 両サイドが、相手側の好意的な態度表明を待ち望んでいるのだ。
オバマは先週、この対話のプロセスを開始するために、アサド大統領と対話すべく2人の特使を派遣した。シリアでの道における戦略的な理念とは、ダマスカスをテヘランから分離させ、年長者の親分国としての米国に接近させる事である。
米政府高官は、この件が米国による対話の「開始点」ではない、と警告しており、そして「シリアが西欧との接触にベネフィットがあると思った場合は、時間的流れの中ではテヘランとの決裂も起こりえる」、としている。こうした外交戦略の微妙さは重要でもあるが、余り考えすぎても仕方がない。
「時間は我々のサイドにはない。」とある政府高官はいう─ もしもオバマが対話を望むなら、現実問題として、彼は近々に急降下を決める必要がある─ そしてそのプロセスがどこに行き着くかを、見とどける必要がある。
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