Friday, October 16, 2009

カルザイ政権の腐敗を許すな!/ Not Good Enough - By THOMAS L. FRIEDMAN

米国流の民主主義を信じるオプティミストのフリードマン
Karzai政権に最後通牒を…と提案?


「十分に好く」はない! ─ By トーマス・フリードマン (10/14、NYタイムス)
 

 もしもオバマ大統領が…米国をベトナム化への途に陥らせないために、アフガニスタンとパキスタンを安定化するのに必要な兵力バランスの厳密な数を導きだせたならば、むろん彼はノーベル賞に値する──物理学分野で。

 私は、大統領がその計算のために時間をとることには、何ら問題はない。我々と彼とはその決定と長い間、共に過ごさねばならないのだから。だが私の財布の具合からみると…私には、あとどの位の追加兵力を派遣するか、を今日語り合うよりも、どのようなアフガン政府をパートナーとして持つかに焦点をあてて語ってほしいのだ。

 なぜなら、対反乱勢力の作戦を進める場合、ローカルな政府というものは、我々の兵力増派と我々の目標とするゴールの間の、決定的な橋渡しをする存在だからだ。もしも、その政府が腐敗していたら、あなたの事業のお先は暗くなる。

 独立した選挙監視機関のモニターたちによれば、8月20日の投票では3分の1程度の票が腐敗に汚れた票で、Hamid Karzai大統領は明らかに大規模な不正に最も手を染めていた、という。それでも彼は、米軍の兵力増派と我々にとっては、アフガニスタンの安定というゴールへの橋となると思われている──それはありえない。

 私は、アフガニスタンとパキスタンの安定化は大きな賭けだ、と理解している。その地での我々の最高司令官で、何千もの兵力の追加をリクエストしているStanley McChrystal中将が、もしもアフガニスタンをタリバンに明け渡した場合には沢山の悪いことが起こる、という時、彼はまちがってはいない。しかし、私は自分自身に問い続けたい:我々はどうやってそのような汚れた政府をパートナーにできるのか、と?

 私はJefferson(建国の父)は投票で選ばれたのではなかった、と知っている。しかしそこで “good enough (十分に好い)”といった状態と、機能不全に陥って腐敗している、ということの間には大きな相違がある。われわれがどう考えようと、我々のパートナーのKarzaiと彼のチームは率直なところ最悪だ(awful)、と多くのアフガン人がいっている。

 そのことは我々が単に追加兵力を送るだけでは十分でない、ということの理由だ。もしも我々がアフガンへのコミットメント(介入)を更新するのなら、我々はアフガンの人々に対して、我々はKarzaiとは違うタイプの政権を望んでいる、と目に見える形で示すか、または誰が治めようともそのような政権と共にあることは拒絶する、と示さねばならない。それはスイスである必要はない、しかしそれならば十分に好ましいだろう──それは、アフガニスタン人たちが喜んでその元で生活するような政府だろう。それなくしては、より一層の兵力派遣による戦略は、ただ敗北を引き伸ばすだけだろう。

 私にはワシントンが──タリバンによる反乱運動が加速的にKarzai政権の態度に反抗するものになりつつある(同政権が国際的パートナーとして手を組む諸国の宗教や文明に対抗するのではなく…)ことを、十分理解しているのかは疑問だ。そして、あまりにも多くのアフガン人がいま、我々がその政府を創り維持し続けていることに苦情を唱えている。

 Karzaiはすでに、この不正な選挙への国際的な投票検査の公正さを傷つけようとし、いかなる決選投票の実施も拒んだ。月曜日に彼のElectoral Complaints Commission(選挙苦情委員会)の協力者である Mustafa Barakzaiは“外国による妨害があった”として辞職した。そのことはKarzaiが、彼の汚した選挙をクリーンアップしようとする我々に対して、アフガンの国民を反目させようとする試みだ。

 アフガニスタンの専門家たちと…カブールで、ワシントンで、そしてベルリンで話すとき、その構図は見えてくる: Karzai政府にはマフィアの政府との共通性がたくさんあると── “正常な”政府は国民から税金のかたちで収入を得て…ローカルなまたは地域的機関に予算配分や支援金の形で資金を分散するが、このアフガン政府は、逆の形で運営されている。その金は、地方の田舎から上に上がってくる─公共のオフィスがcrony(親友、旧友、仲間)に対して行った購買への支払いや、cronyからの“gifts(贈り物)”に対する支払いの形で。

 専門家たちがいうには──カブールから流れるものは、足かせのない(拘束を受けない)抜き取りと、役人達がシステムに反抗したり、一線を超えたりした場合の、告発や処罰からの保護だ。“Karzai World”のなかでは、組織の中のslot(位置や仕事)は、利潤のためにそれを買う人たちによって売買され、またはcronyたちにタダで与えられ、ライバル勢力を追い払うための贈与金とされる。

 我々は、そうしたシステムの実行者だと思われないように、とても注意を払わねばならない。

 去る7月にアフガニスタンを訪れたときに私は、すべての米国の役人が、彼はアフガニスタンでベストで、誠実な人物だ、と教えてくれた重要な県知事にも面会したが──彼らはこう付け加えた、“我々はKarzaiが罷免されないように、Karzaiと戦わねばならない”と──それはKarzaiのシステムに抵抗する人間たちに起こっていることなのだ。

 これはクレージーだ。我々はKarzaiと対処するとき、あまりにも礼儀正しく、植民地勢力のようにみられまいと心配しすぎている。私はもしこの男が大統領職に選ばれたなら、彼が彼の政府をアフガンの人々の尊敬を得られるように目にみえる形でクリーンアップするまで、一人の追加の兵力たりとも送りたくない。

 もしもKarzaiがノーといったなら、そこにある答えはたった一つだ: “友人よ、君一人でやってくれ。どうぞ、タリバンとよい人生を。我々は、マフィア・ファミリーのように振るまう政府のもとに、これ以上の米国人の血や、財産を費やすことはできない。もしも我々がこの国を去らないと思うなら…これを見よ” (ヘリコプター部隊にキュー)

 だから、お願いだから、今日アフガニスタンとパキスタンがどんなに重要かを私にレクチャーするのを少し控えてほしい。私はすでに賭け金を払っている。しかし我々は、この国自身の大統領以上の、誠実なアフガニスタンを望むことはできない。もし我々がそれを期待するなら、我々は、国民からの国家への忠誠心を維持できる真のローカル・パートナーを得ることはできず、そして我々にとっての成功はありえない─たとえ兵力増派によっても、より一層の無人偵察機や、資金の投資によっても。
http://www.nytimes.com/2009/10/14/opinion/14friedman.html

*10/20に、結局Karzaiは決選投票受け入れを表明し、翌日ライバルのAbdullah候補もこれを受け容れた。このフリードマンのコラムが毎度ながら、効果あったのだろうか?──

*とはいえフリードマンは、去る9月30日のコラムで、オバマ大統領をめぐるたった今の空気は、「イスラエルの故ラビン大統領暗殺前夜の空気にそっくり…」などと書いて、一部の批評家から顰蹙を浴びていた。 

*「機能する政府」というのはオバマの大きな政府論の公約のキータームとか…これもパロディとしていっているのか?

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