Sunday, November 29, 2009

動かぬ証拠…ハサン少佐に関する7つの顕著な事実/ Hard Evidence‐Seven salient facts about Maj. Nidal Malik Hasan - By C. Hitchens


ムスリムの軍医ニダル・マリク・ハサンが、フォートフッド基地のクリニックで銃を乱射し、仲間を殺害したのは何故か。
西欧代表のコラムニストも怒りと戸惑いに混乱しているようだ…

動かぬ証拠…Nidal Malik Hasan少佐に関する7つの顕著な事実 
(11/16 By Christopher Hitchens)


性急な判決を下したり、結論を急いだりしないように諌めるのは、公平で分別のあるかのごとく聞こえるだろうが…大統領が政治家らしい分別でそれを叫んだなら、そのアドバイス自体がすでに結論も中ば…というより、殆ど判決を下しているのも同然だ。今回のケースでも最も平明にいえることは、Nidal Malik Hasan少佐の行為が、彼のイスラム教的信念に関わっていたと意味づけるようなどんな仮定もすべきではない、ということだ。

少佐の、たぶん混乱した意識における完璧に個人的な知識が何だったのか私には分からない、でもそれは危機管理部門のコメンテーターたちにも分からないし、これまで好き勝手なやり方で物事を理解してきたFBIの奴らにも、わからないだろう。しかし、背後のコネクションが存在しないと証明するために、次のような事実を比較的ランダムに、または補助的に観察することが必要だろう。

1)Hasanは有名な暴力の伝道者であるAnwar al-Awlaki師*(そのAl-Qaedaの教えと行動への熱心さが研究者や諜報機関によく知られた人物…)と直接的な連絡をとっていた。《*911のテロ犯たちと関係があったとされるイエメンのイスラム聖職者》

2)彼は(軍の)診療所で治療を待っていた非武装の兵士たち…彼自身が人間としての責務のみならず、(軍の)内科医という職務上の責任をも負っていたこうした人たちに対する残虐な攻撃を図るだいぶ以前から、彼自身のために武器を購入していた。

3)彼は一斉射撃を放つ前に、ジハード戦士の叫びとしては世界共通の… "Allahu akbar!"(または、神は偉大なり)の叫びを上げた。(その行動を目撃した者たちの言うことは、最初は疑いの目でみられていたが、特に彼らのうち何人かはその言葉の意味が分からないために、音を描写しただけの報告をしていた。)彼のビジネス上の名刺では、彼は彼自身を"SOA" 、または "slave"、 あるいはおそらく "soldier of Allah."(アラーの戦士)と称していた。それらの何れも、この文脈上では再確認されていない。

4)彼は繰り返し、彼の所属するメリーランド州ベテスタのUniformed Service Universityの修士課程のクラスを、イスラム教への改宗の勧誘活動目的にもちいていたが、そのようなヴァージョンのイスラム教というものは少なくとも、“平和の宗教”と誇張されるべきものではない。



5)彼は口頭で、または書いたもののなかで、死や、殉教して聖戦士となること(あるいはsuicide murder…殺人自殺というべきもの)に魅惑されると表明していたが、それはビン・ラディン主義の中心的概念だ。

6)彼は、多くの帰還兵士たちの痛ましい(悲惨な)ストーリーに憤りを感じていた…我々のうちのとても多くの者が経験していたのと同じように…そして、彼が繰り返し表明していたアフガニスタンのタリバンや、イラクのアルカイダ組織との戦争への圧倒的な反感は、それが“イスラムとの戦争”(a war on Islam)”だからだという。これは、タリバンがイスラムの代表者だといえ…そしてつまりイラクとアフガニスタンの現在の政府はそうではない、ということ…これが、takfirの教義を信奉する純粋なイスラム主義者(教徒)たちが、そのようなイスラム教徒を他の異教徒と同じ嘘つきとして破門し、彼らを聖なる殺戮に値するとみなす信念の中心だ。

7)彼は特に、信心深いイスラム教徒がキリスト教徒やユダヤ教徒と連帯することを禁ずるコーランの訓戒に、とりつかれていたように見える。


上のリストは徹底したものではないが、しかし私は7つの項目のうちの5項目(1項目目と最後の4項目)は、彼が軍の任務上で不断の監視下に置かれたり、解任される根拠となるのに十分だったと思う。たとえば、制服を着た状態で改宗を勧める活動は既に軍の規則で禁じられている。米軍はその人員を"inclusive"に扱う(包括的にまとめる)ために、それに反する者は除外するか、教練を施す必要がある─これは勿論、全ての(異宗教の)狂信的信者にも適用され、それが常に適用されるとは限らないとか指摘することには意味がない。Hasanの残虐行為はそうした適用のより緊急な必要性を増大させるのだが…。

Hasanの、ナイフの刃の縁のような精神状態を強調するのはどうか?…うぅむ、それは不安定だったかも知れないが、Anwar al-Awlaki師の怒れる教義に染まっても改善されるものではなかっただろう。私は全ての女性嫌悪や反ユダヤ主義、サドマゾヒスティックな自殺テロによる犠牲などの教義を教える説教師たちを、気狂いだとはいわないが…しかしそうしたこと自体を教えていることが気狂い沙汰だと思う。同様に私は、全てのイスラム教徒はテロリストだとはいわないが、テロリストたちのうちの驚くべき割合がイスラム教徒なのだ。偏執症で鬱病的な人物は…我々自身の中にも何百万もいるが…彼らがみな宗教的なスローガンを叫びつつ、仲間たちを殺戮しながら死に至る必要はない。しかしジハード主義の "精神的指導者(spiritual leader)"と恒常的に接している偏執病的、鬱病的な人物たちは、殺人と引きかえにパラダイスが与えられる、というレディーメイドのスクリプトを与えられているのだ。

…よろしい、それならば、大胆なるHasan少佐は悪い扱いや虐待に晒されていたのだろうか?現在までに、彼の両親がパレスチナの難民キャンプからこの国に来て、生活を打ち建てることに成功したことを考えれば、彼は意識的に全て志願兵のみからなる軍に志願し、昇進を得て(それは彼自身に保証された本当の能力より早かったようだが)そして、他の宗教を信じる仲間への極端に有害な考え方を吹聴しつつ、彼を受け容れ育んだ国に対しては何も語らなかった。
彼はたまに嘲られたりしたこともあったには違いない、でもあなたがそれを避けたければ、制服を着ているあいだは軍の仲間の兵士たちへの軽蔑を表明すべきではない。米国の黒人はかつて差別的扱いを受けていた。ユダヤ人の新兵も無慈悲に苛められていた…ゲイかも知れないとみなされた男や女が苛められたのと同様に。しかし彼らのうちにそれらへの返答として大量殺人を図った者がいるだろうか?彼らのうちの誰かが、黒人やユダヤ人、またはゲイのイデオロギーを自己正当化のために振り回したろうか?
彼らがもしそれをしていたなら、共感や理解を得られただろうか?安っぽい“プレ・ストレス性障害”派のストーリーが出来あがるまで、Hasan少佐は単なる悪いイスラム教徒、として無罪放免されていたわけでもない。彼は悪い行いをして居ながらさえも、何となく非難を免れていた。

これは単によくある、FBIや他の治安組織が…彼ら自身が探知していてさえ…早い時期の警告の受け入れを拒むばかげた事例なだけではない。これは軍の一体性や統合 ─それは我々の社会の基本的組織のひとつで、民族的・宗教的統合の原動力だ─ への直接的な挑戦なのだ。米兵が彼ら・彼女らのイスラム教徒の同僚の信頼性に疑問を感じた場合、彼らは“イスラム嫌い”なわけではない。(Phobia=“xx嫌い”というのは非理性的で、コントロール不能の恐怖だ…)
もしもHasan少佐が彼の、理解するにたる…下士官としての悩みをもっと広汎に広めていたら、彼は彼の狂信的な聖職者の友人に考えられる最大のサービスをしていただろう。しかし彼の行為とは彼の過ちであり、そして彼が公然と長い間そのリハーサルをしていたことも彼の上官の過ちであって、それを指摘する私に責任はない。

私は何年か前に、暗殺部隊タイプのイスラム教徒の3つのもっとも顕著な特徴は、自己正当化、自己憐ぴん、そして自己嫌悪であると書いた。彼の威嚇的な物腰にしばしばとても意気消沈させられていた彼の同僚のシュリンク(精神分析医)たちに囲まれ、Hasan少将はこの3つの特徴の全てを何とか自分のものにした…神学的なレトリックを公然ともちいつつ…そしてまるで彼の現実世界が”トラブルにみまわれていた”かのように、扱われながら。セラピーだけでこうしたことに対抗しようというオフィシャルな試みとともに、こうした3つの兆候に再度まみえる準備をしたほうがいい。聖なる戦士たちは少なくとも彼らは自殺しようとしているのだと知っている。
http://www.slate.com/id/2235760/pagenum/all

*hasan少佐はバージニア州アーリントン生まれだ
http://en.wikipedia.org/wiki/Malik_Nadal_Hasan

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