Sunday, November 15, 2009

ブルームバーグNY市長、僅差で勝利の後に周囲との仲直りをはかる?/Mayor Mends Fences After Slim Victory

(パート2:選挙後)
ブルームバーグ市長が僅差で勝利の後、周囲との関係の綻びを繕う─ By マイケル・バルバロ&デビッド・チェン (11/4, NYタイムス)
 
  Michael R. Bloomberg氏は、その任期制限法にまつわる堕落*や、選挙資金の法外な濫費への人々の怒りを暴き出した投票結果の痛みに晒されたが…水曜日には敏速に、対立候補を支持した民主党陣営にアプローチをはかる、懐柔的なトーンをうち出した。

(…*Bloomberg氏は選挙戦直前、市長の3選を禁じた任期制限法を自ら改正した)

 側近たちが…わずか5%以下の得票差での勝利は、脅かされていた敵議員らを勇気づけるのではと懸念していた一方で、市長は民主党リーダーたちとの会合や電話のなかで、彼のラフな(粗野な)選挙キャンペーンが人々の機嫌を損ねていたことは理解する、と表明していた。

 しかしBloomberg氏は、さらに目に見えるジェスチャーで、側近たちとともに新たなメッセージを発していた: 我々はまだ在任中なのだ、と。

 これまでは相手方への謙遜さを知らなかったBloomberg氏が、念入りに彼らへの尊敬の念を表わしたことで、忽ち情勢が変わったということの顕著な兆しが現れた。彼のスタッフは、彼とPublic Advocate(市長に次ぐNY市の役職)に選出された民主党員Bill de Blasio議員のミーティングを、非常にひとの眼にふれやすいマンハッタンのレストランで行うようアレンジした。数週間前に市長は、全市にまたがる市のオフィスが…“すべての人々にとっての金の浪費”だとしてその撤廃を要求していたのだが。

 特に意味ありげだったのは、Bloomberg氏が会計監察官に選出された民主党議員John C. Liuと会おうとしたとき、それは滅多にない軽視的な態度だが──Liu氏はスケジュールがあけられない、と彼に告げた。
 その後、Liu氏は報道記者たちにこういった: “もうずっと前に、ニューヨークの人々は、ニューヨーク市に王様や君主は要らない、と決めている…”

 市の評議会の議長で、いま一人の民主党員であるChristine C. Quinnは、水曜日に市長と交わした会話で彼はこういっていたのだという…、 “今が動き出すべきときだ(It's time to move on..)” と。

 Bloomberg氏は彼が立候補することに対して、人々の抱いたフラストレーションを知っている。その怒りが市の有権者の約半数をして彼のライバル候補たちに票を投じさせたと思うか、ときかれて、Bloombergは答えた:“まあ、そうだな…そうした人たちもいることは確かだろう─”

 しかし、ブルックリンの地下鉄の駅で彼は、ニューヨーカーたちが未だに彼を愛していると話し、そして彼がパレードで現れたときに受けた歓迎について語った。
 “多くの群衆が手を振り、そしていった、'グッドジョブ!市長’とね”… “私がNYマラソンのルートを車で走ると、マラソンが通過するすべてのコミュニティーで驚くべき歓迎を受けたよ。人々が声援し、笑顔を送り、手を振ってくれたんだ”

 しかし、選挙の結果は、彼と彼が治める市民との間の、より一層複雑な関係を暴き出したようだ。最終的に9千ドルにのぼるキャンペーン費用の支出にも関わらず、Bloomberg氏は市の大きなひと塊の地域からの支持を、William C. Thompson Jr氏に明け渡した: …最も人口の多いブルックリン地区と最も貧困層の多いブロンクスで、彼は敗北したのだ。

 インタビューの中で民主党議員たちは、市長が市の評議会員と州議会議員たちから…特に彼の支持の低迷した地域のメンバーからより多くの反対を受けるだろうと語った。

 “確かに沢山の評議会メンバーが、彼と対立しようとしている”、とThompson氏を支持した評議会議員のDavid I. Weprinはいう。 “多くの人の憤りがある”
 民主党コンサルタントだが市長を支持したDan Gersteinは、評議会の一握りのうるさい蝿をかつては毎年叩いてきた市当局が、今や、“あまり過激でない市民からの山積する反対に準備しなければならなくなるだろう”、という。

“ブロンクスなどの地域での支持票の数をみてみるがいい──市の評議会メンバーは彼らを見てこういうべきだ、'ワオ!投票者達は本当に何か物をいっている様だ、’と…。

 De Blasio氏と Liu氏はともに市評議会委員で、市長による3選禁止法の書きかえ法案に対抗する彼らのキャンペーンの事務所を全市域に拡げ、それらを民主主義の前線、と呼んでいた”

 彼らはともに、任期4年の市長候補と目されていたが…Bloomberg氏の立場が弱まるに従って、彼らの同僚たちは、De Blasio氏もLiu氏も市政権の3選に関するアジェンダの各要素に、力づくで反対するものと見ていた。De Blasio氏の前任者(前のPublic Advocate)Betsy Gotbaumは、公けに市長に挑戦したことは殆どなかったのだが。

 “以前に比べてそれは、より一層辛らつになるだろう”とBloomberg氏を支持したブロンクスの評議会委員、G. Oliver Koppellはいう。

 新しい政治的な雲行きに関する検証(テスト)は、市の予算が50億ドルの不足に直面しているなかで、市長が予算案作成に着手せねばならない…来たる数週間のあいだに行われるだろう。

 Bloomberg氏は、Thompson氏と会うための基礎準備もしている。市長は多くの人物からの祝福の電話を受けたが…そのなかには財務長官のTimothy F. Geithner、Abyssinian Baptist ChurchのRev. Calvin O. Butts牧師や、ニュージャージー州知事に選出されたChristopher J. Christie、モンタナ州上院議員のMax Baucus、ニューアーク市長のCory Bookerなどもいたのだ。

 市長は水曜の夜にキャンペーン・スタッフたちに会い、彼らの努力に対する感謝の意を示した。その裏では──至極ネガティブだった選挙戦の広告戦略に個人的な疑問を呈していた側近たちの間で──僅差の得票という事実が後づけの批判や、鋭い反省を招いていた。

 市の政治家たちすべてが、市長の自信過剰なキャンペーンの美辞麗句(レトリック)と、得票数に現れた実体とのギャップの理由を理解しようと、努力していた。 
  Bloomberg氏の側近たちは、市長が…彼ら自身は違う見方をしていたにも関わらず…選挙戦では負けるわけがない、と容赦なく訴求し続けたのだが、それは彼らにとって民主党の政治家たちが Thompson氏の旗の下に一同に集結することを阻止する唯一の方法だったからなのだ…といっている。

 Bloomberg氏のトップアドバイザーの一人は、内部的ディスカッションの機密保持の為、匿名を条件に語った: “もしも得票数の差が5ポイント以内になっていたら、Barack Obamaがこの街に飛んできて、そして「全米教師連盟」がThompson氏の支持にまわり、Mike Bloombergは今日、市長にはなってはいなかっただろう…”

 投票日の当日、このアドバイザーはこういった: “誰もがみな、朝起きて、我々が見たものと同じものを見たが…我々がそれを最初に見られたことは、ラッキーだった。”

*写真上:レストランで会合するブルームバーグ市長とビル・デ・ブラシオ氏(…市庁舎に程近いNassau Street沿いの店とか)
中:Concession speech をするウィリアム・トンプソン・ジュニア氏。僅差による敗北での記者会見は確信にみちた雰囲気だった 
下左:民主党候補者、左からジョン・ルー(John liu)氏、 トンプソン氏、デ・ブラシオ氏。  デ・ブラシオ氏はイタリア系だが奥さんが黒人とか(blog「ハーレム・ジャーナル」http://nybct.jugem.jp/?eid=554による…写真もここから拝借)…この3人はいかにも、多民族都市NYの代表のようだ? 
下右: ブルームバーグ市長と、左に立つ'Friendly foe(友好的な敵)'デ・ブラシオ氏。
*NYPostの記事によると、市の監査官に選ばれたジョン・ルー氏はデ・ブラシオ氏と共にブルームバーグ氏自らの任期制限撤廃に声を上げて反対していた…彼は市長からの会談要請を受けて、単なるプレス用の写真のネタ目的でなく、何かもっと実質的な中身のあるミーティング(substantive meeting)をしたいと、選挙後の早急の面会を断った。

http://www.nypost.com/p/news/local/brooklyn/john_liu_elected_to_city_comptroller_OLUrAFDBUkKCteW56mI6bN
*ジョン・ルー氏は唯一のアジア系のNY州議会議員、(台湾生まれでNY育ち、Flushing、Qeensの代議員。今回アジア系ではじめてNY市の会計監察官Comptrollerに選ばれた)

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