イスラエルのリベラル紙が、ハマスとガザの近況を描写している…
ハマスは穏健派ではないかもしれないが、過激派を弾圧している - By アヴィ・イサチャロフ(12/4、Ha'aretz)
イスラエルの批評家たちがいうには、ハマスは最近、ガザ地区の人々に示せるその達成の実績が少ないために、Gilad Shalit[ハマスが人質に捉えているイスラエル兵]の解放に関するイスラエルとの交渉を完遂したいと願っているという。
しかし、多くのパレスチナ人批評家たちはこう指摘する──ハマスは最近、その慈善事業ネットワークでガザの失意の人々を援助できる能力のお陰で、イスラム主義運動としては平静になっているようだと。そして、今日ハマスにとっての本当の脅威はイスラム過激派の方向から来る、と指摘する人々がいる…それが今後の数年間に、ハマスの支配体制にとっての最も顕著で、深刻な挑戦となるのだ、と。
イスラエル軍は先週の金曜日、ガザ地区の北部でカッサムロケットを発射していた男たちへの攻撃を行った。ひとりのパレスチナ人が殺され、他の3人が負傷した。多くの筋の推測によれば、その男たちはJaljalat運動と呼ばれるイスラム過激派の活動家のセルに属しているという。
この何ヶ月か、彼らやその他の小さな組織グループが運動の勢いを増していた。ハマスの側では、彼ら過激派を内に抱え込み、法に従って行動するように説得すべく試みていた(…これらの3つの派閥を包含することが、人々のハマスへの支持に害を与えるとしても…そして特に彼ら過激派はハマスを、ジハードの本質を忘れたイスラエルの協力者だと捉えていたとしても)──例えば、多くのJaljalatのメンバーたちは元ハマスの活動家たちだったが、ハマスが余りに穏健になりすぎたと感じて組織を出た者たちだった。彼らは今や、イスラエルに関するより過激なポリシーの先鋒となろうとしている。
こうした過激なグループのなかには、the Army of the Nation、the Armyof Islam, Jund Ansar Allah, そして Hizb ut Tahrirなどがいる。
過激派の小グループとハマス政府の間の緊張は、数週間ほど前にJund Ansar Allahの活動が活発化しているRafah地区で発生したモスク乗っ取り事件などで特に明瞭に示された。しかしガザをコントロールするのはいまだにハマスで、その支配は2007年7月の彼らによるクーデター以来さらに、より堅固になっただけだった。ファタハの方は最近、ガザでの公有の組織(Public domain)としては殆ど存在を止めているに近い。そして同時にハマスは──たとえばイスラム銀行や、ハラル製品(イスラムの戒律に即した製品)を監督する企業、といった有益性の高い機関を設立することで、過激派に対する人気の高まりを押しとどめようと絶大な努力をしている。
慎み深さと、マネキン人形
ハマスは、官公庁でおこなう午後の宗教レッスンを提供しており、また民事の訴訟費用でシャリア法にもとづいた法廷裁判を行うことを奨励している。学校や大学では宗教的カリキュラムが拡大されている。ガザの全土でイスラム和解委員会が業務を行い、家族間や個人間の争いごとの仲裁をしている。金曜日には今や多くの市場や商店が仕事を休み、海岸では男性と女性が別々に離れたエリアで座っている。ハマスの政府は学校での不謹慎な衣服の着用を禁じ、生徒たちが制服を着用することを好んでいる。
そしてさらに、ハマスのメンバーのみで構成されるガザの議会は最近、シャリア法式の刑罰(たとえば盗人の手を切り落とすといった)の実施について議論しているが、未だにその決断は下していない。結婚していないカップルが一緒に車に乗ったり、孤絶した場所にいることも禁じられ、若い女性たちは“非モラル的な会話”から遠ざかるようにと求められる。ハマスはまた、インターネット・カフェのオーナーたちに、問題のあるウェブサイト(例えばポルノグラフィックの様な)への人々のアクセスを許さないようにせよと警告している。女性はオートバイに乗ることを禁じられている。ハマスの宗教大臣はガザ地域全土にポスターを掲示し、女性は慎ましい服装をし…ヒジャブ(ヘッドスカーフ)だけでなくロングドレスを着用するようにと奨励している。
商人たちは、商店のウィンドウの女性のマネキン人形に慎ましさを欠く衣類を着せないよう、また人形の頭部は取外すように要求されている。そのようなリクエストは公式命令ではないようにみえるが、推奨的事項とされている。このようにしてハマスは、政府が市民に対して、厳格にイスラム的であれと命じているわけではない、との言い訳が可能になる。
先週のId al-Adha(犠牲祭)の前夜にハマスの代表たちは3万軒以上の家々(約250万人の人々が居住する)を訪問し、貧困の度合いを査定する調査をおこなった。貧困の発生率はガザ地区で新記録を更新し、最近では北部へと拡大しつつある。
ガザでの社会福祉活動をおこなっているのは慈善事業を行う組織であり、それがハマス政府である必要はない。昨今、そうしたグループとして一層目立つのは、2001年に活動を始めたAl Falahというグループだが、それはハマスの有名な人物Ramadan Tanburaに率いられている。こうした慈善事業は政府の補完部門であり、その足元を堅固にすべく助けている。ハマスはたとえば多くの資金を、相互扶助のためのAl Takaful program──失業中の労働者たちに数多くの仕事口を与えているプログラム──に投じている。
ハマスはRafah地区でのトンネルの運営により、イスラエルによるガザ地区の封鎖を改善(緩和)することに成功した。イスラエルの攻撃や、トンネルの崩壊事故で発生した100人以上の死者も密輸活動には影響していない。そして無論、地下のネットワークは中央のシステムと、第2のトンネルへと拡張されている。
いずれにしても(ガザの)封鎖は外部から完全に密封されたものではない。イスラエルは、Id al-Adha(犠牲祭)を前に何千匹もの羊を地区に入れてもよいと許可し、また花を外に輸出することも許可した。今年は、1万5千人の外国人がガザを訪れている。外国の組織により持ち込まれた物資は、昨年の何百%にも増加した。同時に、ハマスの幹部たちは、Gilat Shalitの解放への合意が、結果としてガザの封鎖の解除を容易にし、そしてガザの経済に計り知れないほどの改善をもたらすことを期待している。http://www.haaretz.com/hasen/spages/1132553.html
*下右:Gilad Shalitは3年以上前からハマスの人質。イスラエルのパレスチナ人人質100人余とマルワン・バルグーティの身柄との引換え交渉が実りそうだとか…
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イスラエルの批評家たちがいうには、ハマスは最近、ガザ地区の人々に示せるその達成の実績が少ないために、Gilad Shalit[ハマスが人質に捉えているイスラエル兵]の解放に関するイスラエルとの交渉を完遂したいと願っているという。
しかし、多くのパレスチナ人批評家たちはこう指摘する──ハマスは最近、その慈善事業ネットワークでガザの失意の人々を援助できる能力のお陰で、イスラム主義運動としては平静になっているようだと。そして、今日ハマスにとっての本当の脅威はイスラム過激派の方向から来る、と指摘する人々がいる…それが今後の数年間に、ハマスの支配体制にとっての最も顕著で、深刻な挑戦となるのだ、と。
イスラエル軍は先週の金曜日、ガザ地区の北部でカッサムロケットを発射していた男たちへの攻撃を行った。ひとりのパレスチナ人が殺され、他の3人が負傷した。多くの筋の推測によれば、その男たちはJaljalat運動と呼ばれるイスラム過激派の活動家のセルに属しているという。
この何ヶ月か、彼らやその他の小さな組織グループが運動の勢いを増していた。ハマスの側では、彼ら過激派を内に抱え込み、法に従って行動するように説得すべく試みていた(…これらの3つの派閥を包含することが、人々のハマスへの支持に害を与えるとしても…そして特に彼ら過激派はハマスを、ジハードの本質を忘れたイスラエルの協力者だと捉えていたとしても)──例えば、多くのJaljalatのメンバーたちは元ハマスの活動家たちだったが、ハマスが余りに穏健になりすぎたと感じて組織を出た者たちだった。彼らは今や、イスラエルに関するより過激なポリシーの先鋒となろうとしている。
こうした過激なグループのなかには、the Army of the Nation、the Armyof Islam, Jund Ansar Allah, そして Hizb ut Tahrirなどがいる。
過激派の小グループとハマス政府の間の緊張は、数週間ほど前にJund Ansar Allahの活動が活発化しているRafah地区で発生したモスク乗っ取り事件などで特に明瞭に示された。しかしガザをコントロールするのはいまだにハマスで、その支配は2007年7月の彼らによるクーデター以来さらに、より堅固になっただけだった。ファタハの方は最近、ガザでの公有の組織(Public domain)としては殆ど存在を止めているに近い。そして同時にハマスは──たとえばイスラム銀行や、ハラル製品(イスラムの戒律に即した製品)を監督する企業、といった有益性の高い機関を設立することで、過激派に対する人気の高まりを押しとどめようと絶大な努力をしている。
慎み深さと、マネキン人形
ハマスは、官公庁でおこなう午後の宗教レッスンを提供しており、また民事の訴訟費用でシャリア法にもとづいた法廷裁判を行うことを奨励している。学校や大学では宗教的カリキュラムが拡大されている。ガザの全土でイスラム和解委員会が業務を行い、家族間や個人間の争いごとの仲裁をしている。金曜日には今や多くの市場や商店が仕事を休み、海岸では男性と女性が別々に離れたエリアで座っている。ハマスの政府は学校での不謹慎な衣服の着用を禁じ、生徒たちが制服を着用することを好んでいる。
そしてさらに、ハマスのメンバーのみで構成されるガザの議会は最近、シャリア法式の刑罰(たとえば盗人の手を切り落とすといった)の実施について議論しているが、未だにその決断は下していない。結婚していないカップルが一緒に車に乗ったり、孤絶した場所にいることも禁じられ、若い女性たちは“非モラル的な会話”から遠ざかるようにと求められる。ハマスはまた、インターネット・カフェのオーナーたちに、問題のあるウェブサイト(例えばポルノグラフィックの様な)への人々のアクセスを許さないようにせよと警告している。女性はオートバイに乗ることを禁じられている。ハマスの宗教大臣はガザ地域全土にポスターを掲示し、女性は慎ましい服装をし…ヒジャブ(ヘッドスカーフ)だけでなくロングドレスを着用するようにと奨励している。
商人たちは、商店のウィンドウの女性のマネキン人形に慎ましさを欠く衣類を着せないよう、また人形の頭部は取外すように要求されている。そのようなリクエストは公式命令ではないようにみえるが、推奨的事項とされている。このようにしてハマスは、政府が市民に対して、厳格にイスラム的であれと命じているわけではない、との言い訳が可能になる。
先週のId al-Adha(犠牲祭)の前夜にハマスの代表たちは3万軒以上の家々(約250万人の人々が居住する)を訪問し、貧困の度合いを査定する調査をおこなった。貧困の発生率はガザ地区で新記録を更新し、最近では北部へと拡大しつつある。
ガザでの社会福祉活動をおこなっているのは慈善事業を行う組織であり、それがハマス政府である必要はない。昨今、そうしたグループとして一層目立つのは、2001年に活動を始めたAl Falahというグループだが、それはハマスの有名な人物Ramadan Tanburaに率いられている。こうした慈善事業は政府の補完部門であり、その足元を堅固にすべく助けている。ハマスはたとえば多くの資金を、相互扶助のためのAl Takaful program──失業中の労働者たちに数多くの仕事口を与えているプログラム──に投じている。
ハマスはRafah地区でのトンネルの運営により、イスラエルによるガザ地区の封鎖を改善(緩和)することに成功した。イスラエルの攻撃や、トンネルの崩壊事故で発生した100人以上の死者も密輸活動には影響していない。そして無論、地下のネットワークは中央のシステムと、第2のトンネルへと拡張されている。
いずれにしても(ガザの)封鎖は外部から完全に密封されたものではない。イスラエルは、Id al-Adha(犠牲祭)を前に何千匹もの羊を地区に入れてもよいと許可し、また花を外に輸出することも許可した。今年は、1万5千人の外国人がガザを訪れている。外国の組織により持ち込まれた物資は、昨年の何百%にも増加した。同時に、ハマスの幹部たちは、Gilat Shalitの解放への合意が、結果としてガザの封鎖の解除を容易にし、そしてガザの経済に計り知れないほどの改善をもたらすことを期待している。http://www.haaretz.com/hasen/spages/1132553.html
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