Friday, October 9, 2009

マクリスタル中将にホワイトハウスが立腹?/White House angry at General Stanley McChrystal speech on Afghanistan


「McChrystal中将の語った戦略に関するコメントで──オバマ大統領と、アフガニスタンのNATO軍司令官が厳しい緊張関係に」??

ホワイトハウスが、マクリスタル中将のアフガン戦略のスピーチに立腹… (10/5, By Alex Spillius in Washington, The Telegraph UK)

 米政権に近い情報筋によると、McChrystal中将(米軍・NATO軍のアフガン総司令官)が先週、ロンドンで無遠慮なスピーチを行ったことが、大統領のアドバイザーたちにショックを与え、彼らを立腹させた。
 そのスピーチの翌日、彼は大統領に呼ばれ、シカゴでのオリンピック開催のプロモーション(不首尾に終わったものの)のためコペンハーゲンのTarmacについたオバマ大統領と、エアフォース・ワンのなかで25分のあいだ差し向かいでぎこちなく話をした。

 明らかに司令官に対する非難の意を表わしながら、国防長官のRobertGatesはこういう、「一般市民であろうと軍の関係者であろうと、こうした“熟慮”に関わる我々のすべては、大統領に対して自分のできるベストなアドバイスを率直に、しかし、個人的に伝えなければならない」、「理想的にいえば、軍事的なことがらに関するアドバイスは、命令系統に従って伝えられるべきだ」

 大統領が、McChrystal中将に対して発言をトーンダウンすべきだといったかどうかについて尋ねられて、彼(Gates国防相)はCBSにこう答えた、「自分はそこにはいなかったので質問には答えられない。しかしそれは、彼らにとってお互いによりよく知り合う機会になったことだろう。私は、彼らが直接的に見解を交換し合っただろう、と思う」

 オバマ政権のあるアドバイザーはこういう、「人々は、McChrystalがナイーブな人間なのか成り上がり者なのか判断しかねている。私の目には、彼がワシントン流の“厳しいやり方”(ハードボール)に慣れているとはみえないし、たぶん、彼は単に考えを率直に開陳しすぎたのだと思う」

 アフガニスタンで10万のNATO勢力と並び、6万8千の米軍兵力を統率しているMcChrystal中将はロンドンで、対アル・カイダの作戦において無人偵察機(drone)による空爆と特殊部隊の作戦行動に、一層依存度を高めようという提案をきっぱりはねつけた。

 彼はIISS(the Institute of International and Strategic Studies)に対して、副大統領のJoe Bidenにも支持されたそのような方法は、アフガニスタン・パキスタンを“Chaos-istan…《混乱のStan…》”に導くものだ、と述べたのだ──彼はその方法を支持するかと訊かれて、「私の短い答えは“ノー”だ」、といった。

 彼はそしてこう続けた、「待っていても好ましい結果が長続きするというわけがない。そのような努力には、無限に続く勝ち目などないのだ、そして世論の支持を得られるものでもない」

 この言葉は、オバマ政権の一部からは、ホワイトハウスでの論議がスローペースなことへの辛らつな批判とも受け取られた。McChrystalは大統領の求めに応じ、8月31日にアフガニスタンの情勢に関するレポートを提出したが、オバマはそれに対して先週彼の、2回目のプリンシパル・ミーティング(重要会議)を開いただけなのだ。

 彼は今週、少なくとももう一回は会議を開くだろうが、McChrystal中将の進言にどの程度したがい、4万の追加米軍兵力を送るかどうか、を決定する為にさらに数週間を要するだろう。ある軍事エキスパートはこういう、「彼らにはいまだに協力関係はあるが、現時点でそれはあまりよいものではない」
 コメンテーターのうちの幾人かは中将のロンドンでの発言を、上官に対する不服従の寸前にある、と評した。

 Yale大学の憲法学のエキスパートBruce Ackermanは、ワシントンポストに対してこういう、「司令官として、McChrystalはそんなパブリックな声明を発する立場にはない」
 彼はまた上級軍人がそのように、「大統領にたいしてパブリックな場で彼の戦略を受け容れるようにプレッシャーを与える」ということは、とても普通ではない、と付け加えた。

 ホワイトハウスと同中将との関係は、アフガニスタンでの同盟国のミッションについての、彼のインウツな情勢レポートが漏洩されて以来、気まずいものになっているという。その時以来、ホワイトハウスの側近たちは大統領に、中将の忠告とは反する内容のブリーフィングを続けているという。

 中将はその後、(ロンドンでの)スピーチ同様の率直なインタビューをいくつも行っている。彼はNewsweek誌に対して、アフガニスタンでの中途半端な戦略には、断固反対すると述べている。「建物の半分が焼けるのにまかせた後に、その火事が鎮められるわけがない…」

 軍とホワイトハウスの間の亀裂が深まるにつれ、軍の上級幹部たちは、ホワイトハウスが事態に迅速に対処できないことを批判し始めている。
 彼らは、McChrystal中将が進言する大きな地上兵力なしにはアフガンでのミッションは失敗に終わり、タリバン勢力が戻るだろうとの観測を隠そうとはしない。

 国防長官の前・アシスタントであるLawrence Korbは、「もしも事態が悪化した場合に、人々は自分らが何を頼んだかということをよく認識しておいてほしい、と彼等は望んでいる」、といった。

 批評家はまた、オバマ大統領がコペンハーゲンでの接触の前に、McChrystal中将には6月にたった一度しか会ったことがなかった、と批判している…
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/northamerica/usa/barackobama/6259582/White-House-angry-at-General-Stanley-McChrystal-speech-on-Afghanistan.html#

*McChrystal中将は元NFLのPat Tillmanのアフガンでの戦死事件(同僚の射撃によるフレンドリー・ファイヤで死亡した)に関する隠蔽疑惑で、米国民の間では就任当初から疑念をもたれているらしいhttp://tinyurl.com/yl2bdr5
*でも、このLeMondeの記事訳によると疑惑はそれどころではないようだ…これが真実なら、オバマが彼を何故起用したのかが疑問になる… http://tinyurl.com/yfy6y5j

Tuesday, October 6, 2009

ペトラエウス大将は何処に?/Voice of Bush’s Favored General Is Now Harder to Hear - By ELISABETH BUMILLER


アフガンついて兵力増派の議論が続き、なかなか答えが出ない今…
セレブリティな元司令官David Petraeus大将は、
このところどうしているのか?


[ミリタリー・メモ]:ブッシュのお気に入りの軍司令官の声を聴くのは一層困難になりつつある─(10月4日、NYタイムス)

 イラクでの「米軍増派戦略」の“顔”で、ブッシュ前・大統領のお気に入りでもあったDavid H. Petraeus大将は、先週ホワイトハウスの緊急対策室・Situation Roomでの大きなアフガン戦略会議の最中に、“数回にわたり”大声で話しだしたり、オバマ大統領から意見を求められたりもした…と会議のある参加者はいう─そして今週、彼はあと2つの会議にも参加する予定だという。

 しかし、大将の最も身近な側近によれば、表面的には良好な相互関係の裏で、このセレブリティ司令官はオバマ氏のホワイトハウスにおける新しい現実に直面しているという:彼はいまも会議のテーブルについてはいても、以前とはとても異なる席にいる。

 かつて、イラクとアフガニスタンの戦争を監督していたこの男は…ブッシュ前・大統領がその任期中に毎週1時間の定例会議中の20分間をさいて、バグダッドからのビデオ中継で彼に見解を述べさせていたのとは異なり…もはや、国防委員会の会議で最も大声で意見を述べる人間の一人ではない。ワシントンの報道エスタブリッシュメントでも、キャピトル・ヒルの重要連絡先やメール交換の網の目のなかで…もはや大佐は2007年の9月にメディアの爆発的な注目を浴びつつ行ったように議会での証言をしたり(註:2007年9月に彼がイラク情勢の動向と米軍増派の是非についての重要なPetraeus報告を行った…)、3日間で34本ものインタビューを受けたりする人物ではない。

 そうした変化はワシントンで、Petraeus大将が2012年の大統領選に出るか否か、についての憶測も焚きつけている…彼のアドバイザーは、それはばかげている、という──しかしごく間近な政策という意味では、それは現今のアフガニスタンに4万の増派兵力を送るかどうかの政権内での議論において、軍の立場をはっきり擁護できる人間が一人減ったことを意味する。

 Petraeus大将の側近たちは、今や彼をプライベートに“Dave the Dull”(うすのろデイブ)と呼んでいる…大将は今、ホワイトハウスとの対立をさけるため戦争に関してのパブリックな場での熾烈な議論から身を引いて沈黙を守っているのだ、といって─(ホワイトハウスは、彼ら軍のスーパースターたちからのプレッシャーを受けることを嫌っており、また特に大将の抱く野望については用心深くなっているのだ、とする─)

 大将の側近たちは、彼のホワイトハウスとの関係をより率直に語るには匿名で語らせてほしい、とリクエストした。
 「Petraeus大将は、政治家の人生に興味があるとは誰にも仄めかしたことはないし、実際に彼は多くの機会で、それには興味がない、といっている」と、オハイオ大学で軍史を教える退職陸軍大佐Peter Mansoorはいう(Mansoor氏はPetraeus大将がイラクにおいてトップ司令官だった際、彼のエグゼクティブオフィサーを務めていた)

 「彼の国民的な人気から、彼がよい大統領候補になるだろうという人々がいるが、そうした言い方をすることは、現政権が彼をやや疑いの目でみることを招くだろうと思う…」─ Petraeus大将のアドバイザーたちは、オバマ氏がみずから選んだ「アフガニスタンでの公的な顔」であるStanley A. McChrystal中将を任命した今日、Petraeus大将は一歩後ろに退いているのだという───McChrystal中将は、先週もCBSの番組“60 Minutes”のなかで、オバマ氏に大統領専用機エアフォース・ワンで会談し、彼がロンドンで行った”戦争の規模縮小については拒否する”という内容のスピーチの一部も使ったのだ─)

 ともあれ、McCrystal中将が公けの場で述べたコメントは、Petraeus大将がこの討論が続くあいだは慎重に後ろに退いている可能性がある──ことの証明なのかもしれない。日曜日には、CNNのJohn Kingが、ナショナル・セキュリティ・アドバイザーのJames L.Jones中将に、「制服姿の軍人が公の場で、オープンに兵力の増派を求める要請を行うことは適切なのだろうか?」とたずねたとき、James L.Jones中将は「…理想的には軍の命令系統に従ってなされることが、軍事的アドバイスとしてよりベターだろう」と述べていた。

 Petraeus大将の黙した声がどれほどオバマ氏の戦争への決断に影響を与えるかは不透明だが、彼と親しい人たちは、公けの場で声を上げないことが彼に、彼自身がディベートの内部から影響力をもつより大きな信頼性を与える可能性があるという。…別の人々たちはまた、彼の一層の影響力は単にミリタリー・アドバイザー・チーム(McChrystal中将と、Mike Mullen提督も所属する)の一員として行使するものになるという。

 これらの男たちは結束して、アフガニスタンでの米国の努力に必要なことが何か、を考えているが──しかしMcChrystal中将と近しい立場で仕事しているPetraeus大将が言うには、先週、McChrystal中将の行った兵力増派の要請への支持を彼はいまだに表明していないという。

 Petraeus大将とオバマ氏の関係について明白なことは、それが…昨秋Petraeus氏が、ワシントンの山々に一緒にサイクリングに出かけたブッシュ大統領との絆ほどのものではないということ、あるいは2008年の大統領選でオバマ氏と対立したMcCain候補(McCainの側近たちは一時期、Petraeus大将を、副大統領候補としてのランニングメイトに指名する可能性をもらしていた)との絆ほどではないということだ。

 ─その時期まではPetraeus大将は彼自身でも、自分が将来大統領候補として出る可能性について話していたのだ…そのことを未だに、ホワイトハウスの側近たちは心配している。

 しかしオバマ氏のトップアドバイザーたちによれば少なくとも、「大統領はそのようには考えていないし、副大統領もそうは考えていない」…ホワイトハウスの主任大統領補佐官、Rahm Emanuelはそういう。「大統領は、Petraeus氏が彼自身の洞察力で、8年目に入り看過されている戦争の状況を好転させてほしいと願っている」、のだと。

 Petraeus大将のアドバイザーたちは、軍事的に偏りのない視点を保つために彼は、2003年まで少なくとも(大統領選に)票を投じなかったのだという。そして彼は彼と彼の妻が所属するニューハンプシャー州の予備選挙に選挙人登録するかどうかも未だ決めていない。大将は昨年、New Yorker誌が掲載した長々しいプロフィールの記事でも共和党共和党員として描写されているが、彼と親しい軍の上級幹部は先週、彼の支持政党については特定できないとも語った。

 ところで、Petraeus大将は彼の自宅のあるTampaとワシントンのあいだを頻繁に往復していて、ワシントンで先週彼はアフガニスタンの外務大臣と会った。彼はまた現政権のアフガン・パキスタン戦略の特別代表Richard C. Holbrookeともディナーを共にした。また、大将はキャピトル・ヒルも訪問している。

 しかし、オバマ大統領が意思を決し、そしてPetraeus大将をそこに派遣するかどうかを決めるまでは、Petraeus司令官は頭を伏せていなければならない。「彼はこのような地雷原をどうやって渡るか、を知っている…」と軍の前副参謀のJack Keaneは言っている。
http://www.nytimes.com/2009/10/05/world/05military.html?_r=1&hp

Saturday, October 3, 2009

《8年目の911…50の問い》/Fifty questions on 9/11 By Pepe Escobar


9/11の未だに解決されない疑問点─
8年目の今、ペペ・エスコバルが新たにピックアップした!


9/11についての50の問い By ペペ・エスコバル (9月11日、AsiaTimes)
  
8年の月日を経たいま、9月11日が完全に再来している… ジョージ・W・ブッシュ政権は舞台から去った。そして“テロとのグローバルな戦い(global war on terror)”は続いている…バラク・オバマの政権によって、それは"海外での有事についての作戦 overseas contingency operations"と改名されたものの。

 オバマの“新戦略”─つまり戦争のエスカレーション(戦争を徐々に拡大する政策)─はAfPak(アフガン・パキスタン戦略)において展開中だ。Osama bin Ladenは死んだかもしれず生きているかもしれない。"Al-Qaeda"は全ての心を捉える幽霊のような存在だ。9月11日─ネオコンたちの"新しいPearl Harbor"─は、若い21世紀の最も暗いジグソーのままだ。

  米国の支配層メディアやエリート政治家たちが真実を明かすように要求したり、2001年9月11日の米国への攻撃について徹底調査を求めるよう、期待するのは無意味だ。ホワイトウォッシュ(誤魔化し、取り繕い)こそが標準のnormなのだ。しかし、いくら既存の権力が、Dr.ズビグニュー・ブレジンスキーの"大いなるチェスボード(Grand Chessboard")の議論《*註:米国のユーラシア大陸での国際戦略を描くブレジンスキーの著書の題》等に光を当てても、前の国家安全保障アドバイザーのブレジンスキーは、ポスト9・11の“対テロ戦争”に関し、米国議会が“歴史をまるで神話のように語っている…”と認めている。

 次に掲げた多くのパートからなる質問は──9/11調査委員会によってもほとんど完全に無視された点ばかりだが…9・11の巨大な氷山の一角に過ぎない。これは、911 truth.orgや、whatreallyhappened.comが根気よく行ってきた問題提起…9/11 truth運動を構成したアーキテクトやエンジニアたちによるもの、イタリアのドキュメンタリー“Zero”による9/11の調査、Asia Times Onlineの読者からのEメール、などによるものだ。

 これらの質問にはどれにも納得できる答えが出されたことがない…オフィシャルな語り口においては。それは米国の市民社会が、圧力を維持できるかどうかにかかっている。この事件から8年がたち、緊急に導かれる根源的な結論とは: 9/11のオフィシャルな証拠は受け容れがたい、という結論だ。

Fifty questions (50の問い…抜粋)

1) 生死不明のままのOsama bin Laden は、なぜ連邦捜査局(FBI)によって、9/11事件の責任ある犯人として未だに公式に訴追されないのか?それは米国政府が…FBI自身も認めるように…結論を導くことのできるひとつの証拠すらも得ていないからなのだろうか?

2) なぜ当局は、19人のかみそり刃のボックス・カッターを持つモスレムといわれた実行者たちの全員を、72時間以内に──犯罪の現場検証もされない内に犯人だと特定できたのか?

3) なぜその19人のうちの一人の名前すら、事件当日ユナイテッド航空とアメリカン航空によって公表された乗客リストのなかに載っていなかったのか?

4) なぜ、FBIの最初の“オリジナル”リストに載っていた人名のうち8人は、別の国で生存していることが偶然にも判明したのか?

5) なぜ、信心深いジハード戦士だったMohammed Attaは、飛行機操縦のビデオ・マニュアルとユニホームと、彼の最後のメモを(自爆ミッションに向かっていると知りつつ)、彼のバッグの中に残したのか?

6) なぜMohammed Attaは、6つもの米国海軍の訓練基地のハブ(中枢地点)にあるOpa Lockaでフライト・シュミレーションを学んだのか?

7) なぜMohammed Attaのパスポートが、フライト・レコーダーの1つも発見できなかったWord Trade Centerの瓦礫のなかから、魔法のように見つかったのか?

8) 誰が、これらの4つの航空便から姿を消したこの─破壊不可能な──8つのブラックボックスを持っているのか?

9) 米国内で出ていた、テロの可能性を示す複数の非常警報(レッド・アラート)のことを想起すれば─前国務長官コンドリーサ・ライスの悪名高き2001年6月のメモを含めて─ コンピュータ制御の空路をはずれてレーダーの追跡から逃れていた4機のハイジャック機がなぜ、米国の上空を1時間半以上も自由に飛びまわれたのか?─そのときペンタゴンの防衛システムを作動不能状態にしたことは言うまでもなく?

10) なぜ米国空軍長官だったJames Roche はWTCに衝突した2機の旅客機(ニュージャージーのMcGuire空軍基地から7分しか離れていない地点にいた)の阻止すらも試みず、またペンタゴン(McGuire基地からたった10分の距離の)への衝突も阻止しようとしなかったか?Rocheにはペンタゴンに旅客機が衝突するまで75分間以上も時間があったのに?

11) なぜGeorge W.Bushはフロリダの学校で "My Pet Goat"(私の山羊さん)の話を繰り返し、シークレットサービスによって即座に“逃亡”させられなかったのか?

12) ブッシュは、どうやって最初の飛行機がWTCにぶつかったのをライブで見ることができたのか─彼があとで、そうと認めたように?彼はそれについての事前知識があったのか…それとも彼は超能力者だったのか?

13) ブッシュは彼とAndrew Card が、当初、最初のWTCへの衝突は小型機の事故だろうと思ったと言った。FAAもNORADも、そのとき既にそれはハイジャックされた飛行機だと知っていたのに、それは何故なのか?

14) 4機の異なる飛行機の自動発信応答装置(トランスポンダー)のスイッチが殆ど同時に、同じ地理的エリア(国の権力の中枢ワシントンからの至近距離)にありながらオフだった奇妙な状況がなぜおきたのか、そしてなぜ誰もペンタゴンまたは報道メディアに我先にコンタクトをとらなかったのか?

15) 国防長官のDonald Rumsfeldは、アンドリュー空軍基地には出動可能な戦闘機がなかったと当初、メディアで報道され、その後の訂正で─空軍機はあったものの高度警戒態勢にはなかった、とされた理由を説明できるか?

16) なぜ、ワシントンのDC Air National Guard が9/11にはAWOL(無断欠勤状態)だったのか?

17 ) なぜ、ニュージャージーのMcGuire空軍基地のジェット機が、7分以内にそれが遂行可能だったにも関わらず、2機目のハイジャック機がWTCに衝突することを阻もうとしなかったのか?

18 ) なぜAndrews 空軍基地の空軍機はたった16キロしか離れていなかったペンタゴンに衝突する航空機を妨げなかったのか?そしてその件で、なぜペンタゴンはその衝突の全貌のビデオを公表しないのか?

19 ) 多くの熟練航空機パイロットたち─米国の同盟国、エジプトの大統領・元戦闘機パイロットのホスニ・ムバラクを含めて─が暴露しているように…、よほど優秀なパイロットしかあのハイジャック機の行ったような複雑な飛行はできないといい、また他の人々は、リモートコントロール以外では不可能だという。つまりそれは、ハイジャッカーたちがそうした熟練技術に達していたことを意味するのか?

20) なぜ多くの目撃者たちが、WTCの2つのタワーのなかで何回もの爆発があったのを目撃し、その音も聴いたと誓って証言するのか?

21) なぜ、多くの名声ある建築家や技術者たちが頑固に主張するごとく─「ツインタワー」の史上まれな崩壊、そしてWTCの7号棟の崩壊(航空機が衝突したわけでもないのに)が、オフィシャルになされている説明ではまったく説明できないのか?

22 ) WTCの建築監督だったFrank de Martiniによれば、「我々はこのビルをもう一機の航空機の衝突に耐える強さに設計した」という。2機目の航空機は、タワー1をほとんどかすめただけで、大半の燃料は同タワーの外で燃えた。しかしタワー1は最初に倒壊した─1機目によって「大穴をうがたれた」タワー2が崩壊する大分前に。ジェット燃料はすばやく燃焼し、タワーの主柱の6本の鋼鉄製チューブを傷めるほどの2000度の高温には達しない(その柱はボーイング707の衝突によっても倒壊しないように設計されていた。)707はかつてボーイング757や767(実際に衝突した機種)より多くの燃料を積んでいたのだが。

23 ) なぜ、市長のルドルフ・ジュリアーニはWTCの瓦礫をリサイクルせず、即座に中国とインドに送ることを許可したのか?

24 ) なぜ、ペンシルバニアで墜落した航空機の残骸は墜落地点から13キロ以内で発見されたのか?同機は実際に撃墜されたのか─チェイニー副大統領の命令によって?

25) アフガニスタンのパイプラインへの疑問──なぜ、米国大使 Wendy Chamberlainは2001年10月10日にパキスタンの石油大臣と電話で喋っていたのか?それは彼に、1990年代にタリバンによる道路通行料の要求に阻まれて放棄されていたUcnocal社のガス開発事業TAP(Turkmenistan/Afghanistan/ Pakistanでの)のビジネスが再始動したと話していたのか?(2ヵ月後に両国の間でそのパイプライン建設の合意が締結されたが)。

26) なぜ、前ロビイストでかつてブッシュのペットだったアフガン人のZalmay Khalilzadがアフガンに(米国のアフガニスタン大使として)赴任したのか?

27 )なぜ、パキスタンの前外相であるNiaz Niakは2001年の7月中旬に、米国はすでに10月までにOsamaBin Ladenとタリバンを攻撃すると語ったのか?その話題は、パキスタンの外交筋によれば、7月のジェノヴァでのG8サミットの場で秘密に語られたというが?

28) なぜ、当時駐イエメンの米国大使Barbara Bodineが、2001年7月にFBI捜査官のJohn O'Neill にAl Qaedaの資金供給に関する捜査を打ち切るようにと要請し──、その直後にO'Neill はWTCのセキュリティーに関する仕事に異動させられ、そこで彼が911に死んだのか?

28 )タリバンとパキスタンの諜報部(ISI)の関係を考えるに、そしてISIとCIAの関係を考慮した場合、いったいBin Ladenは生きているのか死んでいるのか?もしくは彼は、依然としてISIにとって、またはCIAにとっての価値ある存在なのか…あるいはその両方にとってなのか?

30) Bin Ladenは実際に2001年の7月4日に、パキスタンのクエッタからの空の旅の後、UAEのドバイのアメリカン・ホスピタルに入院して7月11日まで治療を受けていたのか?

31) Bin Ladenグループ は1980年代の対ソビエトのジハード戦の時代に、トラボラの洞窟(caves)をCIAとの緊密な協力のもとに作ったのか?

32) なぜトミー・フランクス将軍は、Bin Ladenが2001年の11月末にTora Boraに隠れていると確信できたのか?

34) なぜ、ジョージ・ブッシュはBin Laden Task Force(ビン・ラディン捜査タスク・フォース)を9/11以前に解散したのか?

35) なぜ、Bin Laden の偽造のホーム・ビデオ──彼がそのなかで9・11の実行犯だと“告白”する物──はそれが11月9日に制作されたたった2週間後の2001年12月13日に公開されたのか?それは本当にJalalabadで発見されたのか?(北部同盟も、米軍もまだそこに到達していなかったのにも関わらず?)誰が発見したのか?ペンタゴンはその最初の下手くそな翻訳版のあと、なぜ新しい翻訳版を出さねばならなくなったのか?

36) なぜISIのMahmud Ahmad主任中将は2001年10月8日、米軍がアフガニスタン空爆を開始した日に突然”退職”したのか?

37) Ahmadは9月11日の週にワシントンで正確には何の用事があったのか?(彼は9月4日にそこに到着しているが?)9月11日の朝、Ahmadはキャピトル・ヒルでBob GrahamとPorter Gossと朝食を共にした── 彼らは共に後に9/11 Commissionのメンバーとなったが、同委員会はこの2人のメンバーに関する調査をすっかり拒否している。Ahmadはまた、9月12、13日に国務省のRichhard Armitageと朝食をとり(パキスタンが”対テロ戦争”への協力について交渉していたとき)そして彼はCIAとペンタゴンの、全ての高級幹部たちに会っている。9月13日にはMusharraf首相が、Ahmadをアフガニスタンに送りタリバンに対しBin Ladenの引渡しを求めさせるつもりだと語っている。

38) ISIの内部の誰が、2001年夏にMohammed Attaに──インドの諜報部の主張によると…Ahmad自身の指示のもとで──10万米ドルを送金したのか? その人物とは本当に、ISIの工作員のOmar Sheikh…(BinLadenのITスペシャリストで、後に米国のジャーナリストDaniel Pearlをカラチで暗殺する作戦を遂行した人物…)だったのか?つまりISIは9・11に直接つながっていたのか?

39) FBIは、2001年の9月8日にニューヨーク市のヘルムズレイ・ホテルのHarry's Barで、Mohammed Atta とMarwan al-Shehhiに逢っていたという2人の影の人物について捜査したのか?

 ……以下略
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/KI11Ak02.html

*911の陰謀論を説く911Truth.Orgに熱心な人や未だにその疑問を論じ合う人は欧米のネット上でTruthersとかTroofersとか呼ばれている…この運動は2005,6年頃に盛り上がりを形成し米政府に再調査を要求したりした──このTrutherのサイトが、Escobarの上記リストの主なソースにもなっている。(疑問点がカテゴリー分けされていて、分かり易い─Van Jonesもこのサイトの声明に署名していたとのことで、解雇の理由にされた…)
  ↓
THE TOP 40(Tuesday, May 16 2006) - 

REASONS TO DOUBT THE OFFICIAL STORY OF SEPTEMBER 11th, 2001
http://911truth.org/article.php?story=20041221155307646

*Escobarは、翌週に幾問かの追加の問いをAtimesでさらに掲載している:
More questions on 9/11 By Pepe Escobar
http://www.atimes.com/atimes/Middle_East/KI18Ak02.html



Tuesday, September 29, 2009

ヴァン・ジョーンズと、“エコ・アパルトヘイト”とは?/Van Jones, "Eco-Apartheid"...and ACORN?


解任されたオバマの「グリーン・ツァール」 Van Jonesとはどういう人物?…
彼が保守派に攻撃された理由とは?

*FOXのグレン・ベックの番組が制作した、Van Jonesを批判する半生記ビデオ Glenn Beck Exposes Obama's Czars- Day 1- Green Czar Van Jones …スクリプトの翻訳

《前記事の続きです…》
http://www.youtube.com/watch?v=KTXOzAAqnho

Jones(演説シーン) 「もしも私が2日ほど前に行ったスピーチをお聴きいただけたなら… 私がそこにいたことはラッキーでした、私はそこで働いていたのです… でもその(スピーチは)本当に、溢れ出てきたのです(FU--!!)…グリーン・ジョ~ブ!(聴衆の歓声…)」

Jones(TVインタビュー)「私がやっているのは、いわば単純なことです。私は基本的にコミュニティ・オーガナイザーなのです…連邦政府のなかでの」
ナレーター 「まずイエール大学のロースクールの時代から始めよう…Van Jonesはコンバット・ブーツを履いて、ブラックパンサー党のブックバッグを抱えてこの大学に現れた。彼はその頃こう語った:“もし別の国に住んでいたら、多分自分はアンダーグラウンドのゲリラのセクトか何かに入ってただろう。だが私は、このようにアイビーリーグのロースクールに入った” … 彼はドロップアウトしたいとも思ったがここに留まった…代わりに大学で学位を得ることで公民権運動について発言する為の法的正当性を得ようと決心したのだ” …そして、それは後に、彼の十字軍的活動にとって重要なパートとなった…」

Jones 「これはもはや、リッチな人々や…裕福な人々の消費者としての選択といった次元の、ビジネス機会などではありません… それは人々の仕事へのサポートそのもの、人々の健康へのサポート、そうした機会を通じた低所得者層へのサポートなのです。そして私はナンシー・ペロシ議長が、彼女のクリーン・エネルギーに関するJOB法案への立場にも適用してくれることを望みます」
ナレーター 「彼にとっての大きな転換点が訪れたのは、1993年に彼がロドニー・キング事件(LAでの警官による黒人の殴打事件)において、キングの権利の擁護を主張して刑務所に収監された時だった。この刑務所で彼は、実に色々な肌の色の、若いラディカルな人々に出会った。それは本当に過激な人々…つまり、共産主義者やアナキストなどの人々だっだ …”私は彼らこそが自分が本当に参加すべき人々だと思った”、と彼は言う。

 …ロドニー・キングを殴打した警官への(無罪)評決がその年の4月下旬に下され、 Jonesは…8月までに自分は共産主義者になっていた、と言う。彼はその次の10年間をりっぱな共産主義者としてすごした。何よりもまず、彼はSTORM(Standing Together to Organize a Revolutionary Movement…) という名のグループを設立し、マルクス・レーニン主義の教えの勉強会を催した。そのグループの来歴を記し、革命をとなえるパンフレットによれば、”グループのメンバー全員が、マルクス主義革命運動への基本的理解と、コミットメントを有する。そして特に第三世界での歴史的な共産主義運動を重視する。そのグループは特に毛沢東を尊敬する”…〔歴史上、7千7百万の自国民を抹殺したといわれる毛沢東を。ヒットラーやスターリンが自国民を虐殺した数よりもはるかに多い数字だ〕 

 …STORMの初期の活動は、”若い有色人種たちを動かして、直接的な武装組織行動へと巻き込み…これを自分たちのコミュニティーの深い部分に根づいた組織と結合させること…を含んでいた。その大きな活動の一つは、警官殺しの罪で有罪宣告されていたムミヤ・アブ・ジマールの為に人々を動員することだった─

 …彼らの勉強会や組織での活動以外に、メンバーにはそれぞれサイド・プロジェクトがあった。たとえばJonesは1985年、STORMを、ベイエリアのポリスウォッチ(警察の行動の監視)のための活動にも連帯させ…この運動の延長は後にエラ・ベイカー・センターの人権運動(the Ella Baker Center for Human Rights, in Oakland CA )となった。この公民権運動のヒーロー…ベイカーは、共産主義者と密接に協力しており、その中には秘密の党員のスタンリー・ロビンソンもいた〔彼は長年、CPUSA(米国共産党)のトップの資金提供者(マネーマン)だった人物だ〕 …Jonesは警察の暴力監視運動の一部としてもその運動に大きなインパクトを与えた…Jonesは、誰も口にしないような事を言った、”ウィーリー・ブラウンの警察委員会(コミッション)が、黒人たちを殺している”、と。そして彼は99年に、WTO国際会議への抗議運動中に再び逮捕された…彼のSTORMは3年後に解散した。
 …彼はそれ以降、現在まで、彼のブラック・ナショナリズムの方向を変え、環境主義者としてのテーマに焦点を置いている」 

Jones 「私に向かって “お前はブラックなのに、どうして環境主義者になれる?"という人が居る。そうじゃない、私はアフリカンだ。どうして、その私が地球を愛さないで居られるだろうか?」
ナレーター 「彼はハリケーンカタリーナが襲来した際に起きたことに関して、政府への怒りを表明した。そして新しいグリーン・ジョブのブランドを叫んだ─ Eco-Apartheidの阻止に焦点をおいて。
そして社会正義の要素をグリーン・ジョブに追加していった…、”Prison EconomyからGreen Economyの間をつなぐパイプラインを建設しよう、” と。

彼は刑務所を出所した人間にリハビリのトレーニングを行い、ソーラーパワーによるエネルギー効率のいい未来を目指した建設作業につかせた」

Jones(ラップ調に) 「もし、あなたがこれを理解しなければ、地球温暖化をとどめることはできない:40%の温暖化ガスが石炭やビルディングからではなく、都市から来ていることを… 。そして75%のガス・エミッションも都市から来ていることを。あなたが、都市をグリーン化しなければ温暖化ガスをとどめられない。グリーンにしなければすべては実現しない。そして2009年に私はあなたにグリーンなジョブを与えたい」

ナレーター 「なぜこんな、深く革命思想にコミットした人物がオバマ政権で高い地位を占めたのだろう。そしてオバマのアドバイザーのひとりとなるとは?

彼のイーストベイ・エクスプレス2005に現れた大きなプロフィールでは、彼はいまだに革命家のつもりだ…それも更に熱心な。あるヒップホップの本(彼の共著した本)によれば、ヒップホップ研究のリーダーとしてJonesはこう言っている: ”我々はそろそろWHUPA(驚かせる物)にならねばならない。別の場所でF-Ingを十分やってきたものたち…彼らは名前と、仕事の明細をもっている。あなたはそうしたあなたの敵と対決する為に、クリエイティブにならねばならない。何故ならあなたが彼らの用語のままにやっていたら、結末はすでに見えているから」

Jones 「真の天才、それはバラク・オバマだ。何故なら彼は生まれながらの黒人大統領で、生まれながらのグリーン大統領だから。…君はこんなことを言う奴らに、勝つわけではない、”Fool White World"と!」

ナレーター 「Van Jones, そうだ。彼はいまだに革命家だ、そして今さらに情動的な…(そして私はこう言おう)よりパワフルな人間なのだ」

Glenn Beck 「我々は今日、White Houseにこのような質問を送りました…VanJones氏がこのように政治的にラディカルなバック・グラウンドを持つことを、White Houseは認知していたのか、と。そしてもし知っていたなら、White Houseに躊躇を与えなかったのかと?それに対して得た答えはこうです:“Jones氏のフォーカスは完全にひとつの政策的なゴールというものに向けられている。つまり、クリーンエネルギーのためインセンティブを設定し、再生可能な資源を利用しながら、エネルギー効率を高めることのできる21世紀の仕事を創造する、ということなのです”、と。
…おやまあ、これはこの質問に対する答えとは思えないのですが。あなたにはどうですか!?」

http://www.youtube.com/watch?v=KTXOzAAqnho&feature=player_embedded
...........................................................................................................................

*Van Jonesによるエッセイの抜粋:

エコノミー思考で考える:すべての人々にグリーンエコノミーの分け前を…エコ・アパルトヘイトを超えて(- By Van Jones) 

 2005年にハリケーン・カタリーナが襲来して、米国人たちはTVの前に座ったまま米国の街が水没する恐ろしい光景を目撃した。2006年にはAl Goreがあちこちの映画館で、温暖化防止の緊急の行動を訴えていた。やがて2007年に米国人たちは、温暖化防止に声をあげはじめた… 記者や編集者、学生たち、企業は環境問題をフロントページへと掲載しはじめ─民主党員も共和党員もこぞってグリーンの旗を振りはじめた…オタクの科学だった環境問題も、いまや政治・文化・経済の中心事項へと躍り出た… しかし新しく出現したこうした環境主義者たちは、誰をその道連れにして、誰を置きざりにしようとしているのだろうか?
 環境保護の活動家たちが、議会を「市場原理」にみあった理論によって説得することを我々は知っている(たとえばCO2の排出権取引…Caps&Tradeのように)。だがこうした活動家たちは、その影響力を拡大しても、ハリケーン・カタリーナの災禍を生き延びた人々を助けようという気があるのか?黒人や貧困層の人々は未だに住むところもなく…それを再建する手段すらもたないのに?
 温暖化防止の活動家たちは、政府からの補助金の確保や、クリーンエネルギー/省エネルギー市場へのサポートのために戦っている。だが彼らは、こうした新しい市場が、「エコ・エリート(エコ主義のエリート層)」以外の人びとにとってもアクセスが可能になると信じているのだろうか?…低所得層や有色人種層がそれによって仕事を創出したり、富を得たりする機会があると信じているのか?
 新しい環境主義者は、誕生しつつあるこのグリーン・エコノミーのなかで今、「eco-equity(エコロジー的な公正さ)」に向かって戦っているのか…それとも彼らはより安易な途を選んで─「eco-apartheid(エコロジー的アパルトヘイト)」の方向へいくのだろうか?

(環境主義の第1の波:Conservation=自然保護)
 これまでの環境保護思想で、人種差別やエリート主義と切り離されていた物はない。実際に、多くの環境保護運動は、人種的不平等を無視したり悪化させたりした。たとえば環境保護運動の最初にあった、 “Conservation"の波をみるがよい。 最初のConservationistは、ネイティブ・アメリカンだった。原初のアメリカ人は、大自然と調和を保って住むことの天才だった。ヨーロッパ人の到来以前には、この大陸全体が巨大な自然保護区だった。栗鼠たちは大西洋岸で樹に登っては、枝から枝へ…また枝へと、ミシシッピー河に到達するまで渡っていった。沢山の鳥たちは冬には雷鳴のように羽ばたきながら南方に渡り、その数は太陽をしみのように覆い隠していた…(中略)

…「ヨーロッパ人の到来以前に、アメリカは一つの巨大な自然保護区だった」
…「インディアン殺しのテディ・ルーズベルトは”レイシズム的な政策”を唱える、大方のConservationistの典型だった…だから彼は言った“さあ、我々が盗んだ土地を保護しよう”、と」


(環境保護の第2の波:Regulation=法制化)…「60年代にレイチェル・カーソンの書『沈黙の春』が話題となり、 過剰な工業化による環境汚染への問いに発した環境保護運動の成果として、70年代にClean Air Act、the Clean Water Actなどの規則が制定され、EPA が設立され、Earth Day も初めて実施された」
 しかしこれらの法制化 Regulationの波もまた、富裕層のためのLily Whiteなものだった。結果的にそれは、巨大な有毒物質汚染のブラインド・スポットを、褐色の肌の人たちの、貧困なコミュニティの中に集中的に残した。実際に有色人種の人々のあいだには、白人の環境汚染者たちと、白人の環境保護主義者たちが無意識に協力し合っているのでは?と疑う人々がいた。彼らは最悪の汚染物質や廃棄物を、ブラック、ラティーノ、アジアン、貧困者層の地区にさし向けていた…
…「80年代までの環境保護運動は、人種的に分断(隔離)されていた」 《中略》

(グリーン・ラッシュ=グリーンカラー・ジョブ?)
 カラード・ピープルの視線でみれば、グリーンな運動のより大きなテントを張ることは努力に値する。グリーンは、急激な勢いで新たなゴールド(金鉱)になりつつある。LOHAS(lifestyles of health and sustainability) の市場分野は、クレージーな速さで成長している:2006年には米国経済で2,290億ドルの市場を占め、垂直の成長を続けている。
 しかし不運なことに、LOHASの分野は米国経済の中でも、もっとも人種的に分断された市場だ─ その顧客の面から見ても、オーナーと被雇用者という面から見ても。…それを変えていくことがさらなる健康と、より多くの仕事を創造し、それらを欲するコミュニティの富を増加させる。
 たとえば、都会の若者がソーラーパネルの設置の仕事の訓練を受けられたなら、電気技師になれる。二重ガラスを設置して省エネルギーに貢献できるヤング・アダルトは、ガラス職人になれる。エコ・シックな竹を扱ったり、ハイブリッド・エンジンを調節できる者は、よい仕事をみつけられるだろう。 我々はグリーン・テクノロジーの訓練センターを、すべてのパブリック・スクールや職業訓練学校、コミュニティ・カレッジに設立することが必要だ。そして米国には、AmericorpsやPeace Corpsのような、Energy Corpsが必要だ…それによって何百万もの若者を訓練し、国の巻き返しを図るための力としていかなければならないのだ…
(後略)
http://www.greens.org/s-r/45/45-15.html


*このグレン・ベックの辛気臭いビデオをみた誰もが、Van Jonesを批判的にみることもないだろう。彼の左翼的な過激さは、米国の主流派ではタブーときまっているけれど?
*オバマやミシェルもシカゴのサウス・サイドの黒人地区でコミュニティ・オーガナイザーとして貧困層の自立の支援にあたっていた… JonesやACORNの趣旨と彼らの信念とが重なりあう面があったのだろう。
*ヴァン・ジョーンズは日本でも環境保護分野の訳書が出ている。知らないのは米国の保守派だけなのか?─ http://barbare.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-f9a5.html

 9月 7日 (月) NHK『グリーン・ニューディール──環境投資は世界経済を救えるか』でもJonesに触れていた…
*VanJonesと並び、このところ貧困層のための組織団体ACORNへの保守派の非難が激化:
「ACORNの売春業への擁護を、売春婦とポン引きに化けた保守派活動家が暴露?」CBSの英文記事 
http://www.cbsnews.com/blogs/2009/09/16/politics/politicalhotsheet/entry5315657.shtml
*保守派の日本人のBLOGがACORNに関する疑惑を解説
左翼メディアも無視できなくなった左翼市民団体ACORNスキャンダル(苺畑より)
http://biglizards.net/strawberryblog/archives/2009/09/acorn_2.html

ACORN:未成年売春斡旋者にローンと税金の手ほどき(9月12日)
http://mikerosstky.spaces.live.com/blog/cns!65DFD4754018BC2A!4472.entry

Tuesday, September 22, 2009

オバマのツァール “Obama's Czar” って何?


最近、米国のメディアをにぎわす、
オバマのツァールという言葉…
─Czarとは皇帝という意味だが、それは何? 誰のことなのか

…このことばを検索してみると、「オバマのCzar」を話題にしているのは、先日ワシントンの反オバマ・デモを大々的に扇動したような右翼メディア…、FOXテレビのGlenn Beckのような右翼コメンテーターたちだけではない。実際、ここ数週間、共和党議員たちが「オバマのCzar」と呼ばれる高官たちの役割や責任を明確にせよと議会でガンガン迫っているらしく、ネット上でも流行語となっている…
 
 Czarとはウィキペディアによると、米国・英国ではある種のハイレベルな政府担当者をあらわす非公式な肩書 とある。Political Czarとは、政府の各部門を運営し、特定のエリアの仕事に彼らの専門知識を生かす人々。米国では行政執行部の官吏で、一般には大統領が指名し、議会が承認するときもあるが、承認を得ないときも多い… ともある。

 このところ気になったのは、オバマの「環境問題担当顧問 Green Advisor(…Green Czarと呼ばれた)」として任命されたVan Jonesなる人が、数年前に反政府的な 911陰謀論サイト「911 Truthers」の声明に署名していたとのよしで、解任された事だ。Van Jonesという人には、YouTubeなどでも保守派の反撃が高まっていたが、それこそ「サンフランシスコの、左翼リベラルの黒人活動家」そのものではないか?「グリーンな仕事」を創造する会社をも設立し、貧困者の自立活動支援などを計画したオバマまがいの経歴も…。オバマの個人的信頼を得た西海岸の黒人リベラルなのだろうが、マルキシストだったことも解雇の理由…911Truthersの件はさておき、政府が雇うには、左翼的で過激な人にみえる(?)

 オバマ政権の医療保険制度改革など、連邦政府による統制拡大の傾向に国民の違和感がじわじわ増しているなかで、これまで全国的には無名だった人々が指名され、議会権限の枠の外の権限をもちかねない、「ツァール?」として恐れらているのだろうか。

 …あるいはオバマの政策を警戒する保守派が、オバマの尊敬すべきブレーンたちを悉く、前もってCzarと名づけ、彼らの名前がでるごとに非難の対象にしようというのか?(右翼コメンテーターたちが新たなオバマのブレーンを見つけては「あれもCzar、これもCzar…」とやっているらしい)

…本当はどういう人たちなのだろうか? 右翼メディアやブログに「Obama's Czars」のリストがある
http://dailythoughtpad.blogspot.com/2009/08/list-of-obama-czars_14.html

List of Obama's Czars
“…これは24人のツァールの写真だ。最新のカウントでは34人に近い。誰も彼らが誰なのかを知らない:彼らが何をするのか、それが何故なのかも!彼らは建国の父が定めたチェック・アンド・バランスの掟もう回していて、誰の信用もない…オバマ以外は。(怖い?もちろん絶対に。彼らはあなたを監視し、議会にも相談なく物事を決定する…)”

1. アフガニスタンCzar - Richard Holbrooke
2. エイズ問題Czar- Jeffrey Crowley
3. 自動車産業の労働者問題Czar - Ed Montgomery
4. 国境警備問題Czar - Alan Bersin
5. カリフォルニアの水資源問題Czar - David J. Hayes
6. 自動車産業(ベイルアウト関連)Czar - Ron Bloom
7. 中央地域(中東、ペルシャ湾岸地域、アフガニスタン、パキスタンおよび南アジア関連)Czar - Dennis Ross
8. 気候(温暖化)問題Czar - Todd Stern
9. 家庭内暴力Czar - Lynn Rosenthal
10.ドラッグ問題Czar - Gil Kerlikowske
11.経済Czar - Paul Volcker
12.エネルギーおよび環境問題Czar - Carol Browner
13.信念についての(宗教問題の?)Czar - Joshua DuBois
14.政府の行政パフォーマンスCzar - Jeffrey Zients
15.五大湖問題 Czar - Cameron Davis
16.環境保護に関わる仕事創造(Green Jobs)Czar - Van Jones
17.グアンタナモ収容所閉鎖 Czar - Daniel Fried....
(以下略…)

*しかし共和党の追及に民主党はこうも反論している:

“…民主党は、Czarという語を最初に使った大統領はオバマではないと明記する。ジョージ・ブッシュは47人のCzarを用いていた…そして、共和党の議員たちは彼らに関しては、文句を何一つ言わなかった。ホワイトハウスの広報官Robert Gibbsは、前政権でCzarたちをプッシュしていた筈なのに今オバマを批判している共和党議員たちは偽善的だとし、「今は、トーク・ショーのホストなどが大きな得をするから取りたてて言っているだけで、ニクソン大統領や前政権が8年間同じ事をしていた時にそれを言っても、彼らは何の得もなかったわけだ…」という。
 また民主党のB・ドーガン議員などは、「他の政権では、Czarを用いていても彼らの権限には制限が設けられていた。もしも一連の責任ある地位に人々をつけたいなら、議会の承認を付けるべきだ」としているという”
http://www.politico.com/news/stories/0909/27265.html
Democrats join GOP czar wars

*このCzarという言葉はオバマ政権自身が準備段階から、自動車業界ビッグ3の「構造調整」のために使った言葉らしいと、次の12月頃の記事からも伺える:

“ビックスリーCEO辞任の見通し ─オバマ氏らが経営責任追及/ 米政府と議会の民主党は米自動車大手3社(ビッグスリー)に対して、150億ドルの支援に踏み切る代償として、支援の執行や構造調整などを監督する「自動車ツァール(car tsar、tsarは皇帝の称号を意味する)」を新設する。またオバマ次期米大統領は勿論、米議会指導者らから、ビックスリー首脳陣の辞任や追加のリストラを求める声が高まっているため、一部のCEOの辞任は不可避であるとみられる。 米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙によると、ビックスリーを監督する政府機構は財務・商務長官などの閣僚5人と環境庁長で構成され、同機構の委員長が「自動車ツァール」のような役割を果たすことになるという…”(2008/12/9、財経新聞)http://www.zaikei.co.jp/article/biznews/081209/29323.html

*ユーチューブの投稿: これがオバマが次に任命するCzarだ! これがオバマのアメリカだ…とのコメントあり。
─サウス・カロライナの小さな街Wellfordの黒人女性市長、Sallie Peakeが勝手なきまりを作った─
もし、その街の警官が路上で犯罪者や怪しい人間を見つけた場合も、その容疑者が逃走したら「走って」追跡することを一切禁止する(…後に「車両で追跡」することも禁止とした)最近、警官たちが追跡中に事故に遭って怪我をすることが多く、何よりも多額の保険金の支払いが生じることが多く、小さな街の財政ではやっていけないからだ、とSallie Peakeはいう。警察署長やインタビュアーは、それでは治安上危険で、理不尽ではないか?と抵抗している! http://www.youtube.com/watch?v=OT8vBlfczYM

Who Is Van Jones?
http://www.youtube.com/results?search_query=Van+Jones&search_type=&aq=f

http://en.wikipedia.org/wiki/Van_Jones


Monday, September 21, 2009

ワシントンの反オバマ・デモ(2)/GOP Sees Protest As an Opportunity-'Taxpayer March' in D.C. Attracts Party Leaders, but Some Are Wary


9月12日の大掛かりな反オバマ・デモの意味とは?(FOXテレビが扇動したのか?…)とまどいを見せるメディア

共和党はこの抗議デモに機会を見る
党のリーダーたちを惹きつけるが、用心深い人たちもいる (9/12、WashingtonPost~)

…共和党議員のキーパーソンたちの幾人か(共和党上院議長のMike Penceを含めて)はこのデモ行進への支持を表明し、群衆を鼓舞しようとスピーチも行った。
 しかし、共和党のトップ戦略家たちや党のオブザーバーたちの多くは、この過激なデモが党のイメージに与える影響を心配している──デモの中にはナチスの鍵十字のサインを掲げたり、オバマのハワイでの出生の信憑性に過剰にこだわるような人々がいるからだ。

 John McCainの前・アドバイザーMark McKinnonや他の共和党員たちは、そこに、連邦政府のやりすぎに対しての正当な危惧感にふみ込める、「共和党にとっての機会」があるという。しかし「気のふれた右翼どもが彼ら自身をこれらの運動に連動させようとしていて」、彼らがメディアの露出を牛耳っている、ともいっている。

 土曜日のデモは、この夏「反・ヘルスケア法案」のデモを行い、春にも「反・増税」の集会を行ったのと同一の小グループの緩い連合体がスポンサーとなっていた。その中には、Tea Party Patriots や ResistNet、そしてFreedomworks(ワシントン本拠で、テキサス上院議員・共和党前院内総務のRichard Armeyが代表を務める)が含まれる。デモ行進はまた、FOXニュースのホスト、Glenn Beckによって、彼の"9-12プロジェクト" の一部として盛んに宣伝された。

 抗議運動の背後には、ワシントンの共和党のリーダーたちから独立して台頭しつつある、自称「リバタリアン」の広範な陣営、独立系その他のファクションの人々がいた。そうした保守主義グループのリーダーの活動家たちは、オバマ政権による財政負担増大の放置や、ウォールストリートへのベイルアウト救済策、その他ブッシュ時代の受け容れがたい政策などに反発を覚えていると語っている…
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/09/11/AR2009091103997_pf.html

 この抗議デモに関し、Foxが次のような挑発的な新聞の全面広告を出し、それに対する論議が過熱した:

“How Did ABC, CBS, NBC, MSNBC and CNN Miss This Story?" (なぜABC, CBS, NBC, MSNBC 、そして CNNはこの記事を掲載しなかったのか?) *背景に抗議デモの参加者の写真

…問題なのは、むろんFox以外の他のメディアでも、このデモを数多く報道していたからだ。Foxのトークショーのホスト、Glenn Beckによってこのデモは強力にプロモートされていたのだが。 この広告は金曜日に、Wall Street Journal と New York Post(共にFoxの親会社がオーナー)、そしてThe Washington Postに掲載された。

 ABC、NBC、CNNのスポークスマンはこの広告を「常識はずれで不正」、「真実が、これを真実ではないと語っている」、「甚だしく不正」とした─   Foxニュースは、Beckの「9/12」抗議行動の情報を他のメディアよりも多く載せていたが、他のメディアもとてもこれを無視できなかった。ABCのスポークスマンはWashintonPostがこれを掲載したことは事実確認の義務を怠っており業界に早急に謝罪せよと求めた… http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2009/09/18/AR2009091801102.html

WaPostのディスカッション欄より
(アリゾナ州Paysonの読者)’…Washington Postの現役の記者で、Dick Armeyに率いられたワシントンDCでの行進に、デジャヴを覚えるほど齢をとった記者はいるのだろうか?Joe Wilsonの議会での暴発(スピーチ中のオバマに「嘘つき」と叫んだ)や、タウンホールでの叫びが思い出させはしないか?
 私は60代の初めの年齢だが、この出来事はすべて理解できる気がする。公民権運動のあった時代に、こうした人々はやはり、人々に選挙権を与えることや、人種別の隔離をしない学校や、平等の実現に対して反対した─ 
 そして、その頃の抗議運動とは、連邦政府の権利や、独立主権に対するものだった。怒れる民衆というのは、いつも同じ、辛らつな叫びというのは、いつも同じだ。政治的な野望を抱く日和見主義者というのは、いつも同じだ。「"疑いを感じるときは、いつもそれを社会主義と呼べ"戦術」すらも、何世代もの間使われていなかったものが、埃を払って再度使用されている。私には、この国初のアフリカ系アメリカ人による政権の初めの何ヶ月かの間に、過去の時代の恥によって再訪されているのが、偶然だとは全く思えない。これはレイシズムだ。こうしたことは、別の名前や言いわけの背後に隠されるべきだ…’

(ディスカッションのHost Perry Bacon Jr): 'それについては多くの質問がよせられている、このデモが人種差別で構成されているというものだ。私は、この点には不賛成を覚える点がたくさんある、でも私はとにかくこの投書を載せてみたいと思った…’
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/discussion/2009/09/11/DI2009091103208.html

912DC集会を呼びかけた右派・共和党系諸団体のサイト http://912dc.org/
Glenn Beck のThe 912 projectのサイトhttp://www.the912project.com/the-912-2/

VIDEO:9/12 Taxpayer Tea Party March on Washington, DC http://www.youtube.com/watch?v=-VMXz6xGeqc
田中宇の関連記事
目立たず起きていた「反乱の夏」
http://tanakanews.com/090916rage.htm

ワシントンの反オバマ・デモ(1)/No, It’s Not About Race- By David Brooks


ワシントンD.Cに住むBrooksは、土曜日に反政府抗議“Tea party Patriots” のデモにであって驚いたとか… 彼はオバマ擁護を続ける──

いや、それは人種の問題ではない─ By デビッド・ブルックス  (9/18, NY times)

 私を見てもあなたは気づかないかもだが、私は週に数回はジョギングをする。私のお気に入りのルートは、リンカーン記念堂からキャピトル・ヒルに行き、また戻ってくるコースだ…とてもフラットなコースだからだが。
 それは先週の土曜日のこと、私はそこで何千人もの“tea party” の抗議デモに出くわし、私は人々の中を歩いていった。彼らは“Don’t Tread on Me(私を踏みつけにするな”)” と書いた旗や、“End the Fed(連邦政府の拡大を止めろ)などというプラカードやサインを掲げ、「大きな政府」のポリシーやバラク・オバマや、社会主義的なヘルスケア法案、いろいろなエリート機関、などのポリシーに対する非難を叫んでいた。

 そして次に、スミソニアン博物館の敷地の端にいたると、別の集団…“the Black Family Reunion Celebration”の人々に遭遇した。数千の人たちがアフリカン・アメリカンの文化を祝うために集っていた。私は、殆どが白人の“tea party” の人々がこの黒人たちの再結集のなかに混じりこんでいるのをみた。“tea party” の人々はFamily Reunionのフード・スタンドで昼食を買っており、ラップのコンサートの聴衆たちに合流していた。

 ──社会学のほうがフィットネスよりも大事だと思ったので、私は立ち止まってその交流を眺めていた。これらの2つのグループはそれぞれ政治的、文化的なスペクトラムの正反対の端に属する。彼らにはどちらも雄弁なスピーカーがおり、グループに活気をもたらしていた。しかし私には、これらの両グループの間に何の緊張も感じられなかった。それはまるで公園やスポーツアリーナでうろうろしている、異なるグループの人々のようだった。

 でも、いまだに我々はすべての争いごとを、人種のプリズムを通してみるような人々が居る国に住んでいる。それだから、過去数日間の間に多くの人々、ジミー・カーターに至るまで、オバマ大統領に対する人々の敵愾心は人種差別に起因する、と語っていた。ある人々は、“tea party” が掲げる“I Want My Country Back(私の国を返して欲しい)” のようなスローガンは、白人至上主義者(White Supremacist)のcode words (符丁・合言葉)なのだとも論じていた。また別の人々はキャピトル・ヒルでの無作法な行動は、オバマのダークな肌の色によって増幅されているのだと言っていた。

 …いや、私はオバマを批判する人の魂の中を覗き込む装置をもっていないので、そこにどれほどの人種差別があるのかの推測はできない。でも私の印象では、Race(人種)というのは殆ど主要なポイントからはずれている。そこにはもっと別の、アメリカの歴史上にある同じ様に重要な緊張した関係──現在の衝突状態(争いごと)により密接な関係のある緊張関係が存在するのだ。

 たとえば、何世代にもわたって我々は、学校の生徒としてハミルトン主義者(*註)とジェファーソン主義者(*註)の間の論争について学んできた。ハミルトン主義者は、urbanism(都会化主義)やindustrialism(産業主義)、federal power(連邦政府の強化)の立場にたち、いっぽうジェファーソン主義者たちは都市エリートや富の一極集中には懐疑を唱え、「小さな町の価値観」を信奉し、限界のある政府を主張していた。ジェファーソンは「賢く、かつ倹約的な政府」(人々が互いに傷つけあう機会のより少ない状態を導くものとして)を擁護し─それができない場合、政府は無作為の放任状態にすべきで、「労働や、それによって得る生活の糧から(税金を)奪いとって設立すべきでない」、と考えた。

 ジェファーソンの哲学はアンドリュー・ジャクソン(第7代大統領)にもひらめきを与え、彼はコスモポリタンなエリート層(cosmopolitan elites)に対する普通の人々(plain people )の運動を推進した。ジャクソンは、合衆国第2銀行(Second Bank of the United States )を解体した。彼が連邦政府と金融のパワーのミックスを恐れたからだった。

 このポピュリスト的な運動は、何世紀ものあいだ続いた。それは、時として右翼的な形で、時として左翼の形で現れた。時にそれは農地改革論者として、時には組合運動の方にむかった。それはしばしば過激で、陰謀的で無作法だった。
 ポピュリスト的な運動はつねに同じようなレトリックを使った:普通の人々と、それに対抗する太った輩(fat cats )や教育を受けた階層(educated class)、また小さな町(small towns)とそれが対抗する金融の中心地(financial centers)、などだ。

 そして、それはいつも同じようなモラル観──歴史家のMichael Kazinが生産者主義と呼んだモラルを掲げた。その考えとは自由な労働(free labor)はアメリカ人主義(Americanism)の真髄だというものだ。重労働によって、物質的な形の富を得る普通の人々が、国のモラル的な屋台骨をなすという考えだ。 この自由な資本主義の国では、人々は彼ら自身の生産品(Output)にも責任を持たねばならない。金銭は働かざるものに再配布されるべきものではない、そしてそれは、優越感にみちて恩着せがましい、操作巧みなエリート層によって吸い上げられるべきではないというのだ。

 バラック・オバマは、高度な教育を受けた人々の政府を組織している。彼の運動は都市の政治家や学者層、ハリウッドの献金家や、情報化時代のプロフェッショナルたちも巻き込んでいる。彼の政権のはじめの数ヶ月のあいだ、彼は連邦の力をウォールストリートや自動車産業、ヘルスケア産業や、エネルギー業界へと溶け込ませてきた。
 それらのすべてを受けて、彼の肌の色に関係なく、ポピュリストたちからの彼への反撃が爆発することは保証されたことなのだ。そうした反撃は無作法で、陰謀的で、限界を超えているだろう──なぜならそれが、こうした運動(その運動がHuey LongやFather Coughlin、あるいは誰に率いられようが)の常だからだ。

 たった今我々がみているものは、こうしたポピュリスト運動の繰り返しと、それに対する、闘争的でプログレッシブなリアクションだ。我々はいま、ポピュリストのニューメディアが、Van Jones(*註)やAcorn(*註)などのストーリーの重要度を(こうしたエリートたちとは退廃した反アメリカ的な人々だと証明するために)誇張して伝えて、そして我々もまたプログレッシブなニューメディアを持ち、 Joe Wilson議員がオバマの教育現場へのスピーチに反対するヤジを叫んで「小さな町(small towns)」の人々というのがのろまな変人なのだ、と晒したことを伝えているのだ。

 「この国は、法的正当性の危機の縁にあるといえる」と経済ブロガーのArnold Kling は書いた。「プログレッシブなエリートは、“田舎の白人たちのアメリカ”を 法的に違法だと切り捨て始めていて、またその逆も行われ始めた」
…それは人種の問題ではない。それは別のタイプの争いごとで、(人種の件と)同じように深くて古いものなのだ。http://www.nytimes.com/2009/09/18/opinion/18brooks.html

*註・アレキサンダー・ハミルトン:米国の建国の父の一人で$10札の顔。初代財務長官。ジョージ・ワシントン大統領時代に「ハミルトン経済プログラム」を唱えた。
*註・トーマス・ジェファーソン:米国独立宣言の作者でワシントン政権の国務長官。のち副大統領。ジェファソニアン・リパブリカン党 (現在の民主党)の創立者。
*註・Van Jones:オバマ大統領が環境問題顧問に任命した左翼的な黒人運動家。911Truth.orgの「911は政府の陰謀とする反政府的な運動と政府への調査要求」に2,3年前に署名していたとわかり、先日解雇された。
*註・ACORN=Association of Community Organizations for Reform Now、ワーキングクラス、低・中所得層のコミュニティ運動の全米団体。オバマ政権から多額の補助金を不正に得ていると共和党が追及?